フォトレポート

フォトレポート(No.19)

都市と農村の「ほんもの」の交流事業 〜長野県飯田市の取り組み〜

 財団法人日本交通公社では、平成18年11月16日(木)〜17日(金)東京大手町にて「平成18年度観光実践講座」を開催いたします。本年度のテーマは、「地域主体の観光を考える 〜こうして地域はその気になった〜」。フォトレポートでは本年度出講される講師の方々が実際に取り組まれている事例を4回にわたり、このコーナーで取り上げてまいります。

最終回は長野県飯田市の事例をご紹介します。

[南アルプスと伊那山地に囲まれた自然] 飯田 「信州の小京都」飯田
 長野県飯田市は長野県の南部に位置し、中央アルプスと南アルプスに囲まれ、諏訪湖から流れ出た天竜川が中央を貫く伊那谷の中心都市として栄えてきました。元善光寺の門前町や旧飯田藩の城下町として、山間にありながらも文化的な発達を遂げ、現在に至るまでさまざまな芸能や食などが伝えられています。また、豊かな自然や風土から、2003年には飯田市全域が「南信州グリーン・ツーリズム特区」として構造改革特別区域に指定されています。
 しかしながら、近年では高齢化の進行が顕著で、産業も工業出荷額、農業粗生産額ともに減少傾向となっており、特に農業においては単純な生産振興と大量販売による巻き返しは限界を迎えていました。この状況を打開するために打ち出されたのが地域資源を活用した体験型プログラムによる滞在型・拠点型の観光地づくりです。

[冬のスノーシュートレッキング] 冬のスノーシュー※トレッキング風景 地域ツーリズムを担う「南信州観光公社」の設立
 2001年1月に飯田市、阿智村、喬木村、浪合村、平谷村の5市村とJAみなみ信州、信南交通をはじめとした10の地元企業・団体の出資により、第三セクターの「株式会社南信州観光公社」が設立されました。地元の観光資源を活かした体験型旅行による広域地域振興を目的し、現在では下伊那18市町村全ての出資を受けています。南信州観光公社は旅行業第二種の取得により、体験型プログラムの窓口として中心的な役割を担っています。
 また、2005年に下伊那郡上村、南信濃村が飯田市に編入、近隣自治体も平成の大合併により再編されたため、隣接する自治体も県内5村と静岡市・浜松市と変化しました。飯田市を含んだ天竜川流域の自治体では、飯田市・豊橋市・浜松市が交代で事務局を務める「三遠南信地域交流ネットワーク」によるポータルサイトを運営しており、広域の視点からも体験プログラムの情報発信をおこなっています。

[修学旅行生の酪農体験] 酪農体験 住民による「ほんもの」の体験
 飯田に受け継がれている自然・文化・暮らしを生かした体験プログラムが数多く実施されていますが、訪れた人々が飯田に暮らす人々のありのままの生活に飛び込んで、生業や生活を体験できる、それが飯田の取り組みが全国的に優れていると評される理由のひとつです。農林業体験・農家民泊を中心に伝統工芸、トレッキング・登山、そば打ちなどの味覚体験等、日ごろの体験では味わえない感動があり、修学旅行の企画としても評価されています。何より特筆すべきは、受け入れる側の飯田の人々自身が交流を自発的に楽しんでいること。
平成18年度観光実践講座では、都市のニーズを読み、いかにして飯田の人々が積極的な使命感を持つに至ったか、その仕掛け人となった飯田市産業経済部担当企画幹 井上弘司氏から地域の自立とツーリズムのあり方について学びます。

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スノーシュー=西洋風かんじきのこと

(中野 彩香)