外国人旅行者が過疎地域に及ぼす影響に関する研究

2016.09.20

研究の背景と目的

 これまでも政府では、地方創生、日本版DMO等、国を挙げた観光推進のための政策が掲げられ、具体的な事業等が展開されているが、2016年3月30日には、さらに「明日の日本を支える観光ビジョン」が策定され、国を挙げて観光を日本の基幹産業へと成長させ、「観光先進国」に挑戦していく覚悟が示された。

 「観光が日本経済、地方振興に重要であり、観光政策は、国家政策の中軸的な総合政策である。」と位置づけられた点は評価されるが、同ビジョンには、“インバウンド”に大きく偏った、極めて野心的な目標が掲げられている。

 我が国のあらゆる地域においても特にインバンド誘客による地域活性化への期待は年々高まっているが、地域が“インバウンド観光”を進めることにどのような意義があるのか、コストに見合うベネフィットがあるのか、十分な検証が行われてきたとは言い難い。特に、過疎地域(あるいは中山間地域、条件不利地域)では、人的・資金的リソースが限定的であり、効果的な施策に集中投資せざるを得ないが、例えば1.外国人旅行者が地方に行くことによるインパクトとして、どのようなことが起こり得るのか、2.外国人旅行者はどの範囲まで地方に分散し得るのか、分散する条件は何か、3.外国人旅行者が地方に外国人が行くことで本当に地域にお金が落ちるのかなどが明らかではない。

研究の方法

 本研究は、当面3カ年間を研究期間とし、2016年度では、全国で最も高齢化率が高く(高齢化率31.6%)、インバウンドの誘客においても苦戦している「秋田県」を対象地域として、いくつかの市町村(=ケース地域)において、外国人旅行者の来訪による影響について、モニターツアーや関係者意識調査から実証的に把握する。これにより、外国人旅行者と過疎地域との望ましい関係のあり方を、地域経済が循環しこの好機を如何に主体的に活かすことができるかを念頭に置きながら、考察する。