外国人旅行者向け消費税免税制度改正が与える影響について

2014.10.15

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図表 1 外国人旅行者向け消費税免税制度の改正内容

図表 2 今回の訪日旅行で実施した活動 (複数回答、上位10 活動)

資料:観光庁「訪日外国人消費動向調査 平成25 年年次報告書」

図表 3 費目別購入率(上位5費目)

資料:観光庁「訪日外国人消費動向調査 平成25 年年次報告書」

図表 4 免税制度利用意向

資料:(公財)日本交通公社「5 か国・地域旅行者調査」

 さる2014年10月1日から外国人旅行者向け消費税免税制度が改正となりました。
 改正前は免税対象品が家電や衣類、かばんなどに制限され、食品・飲料類、薬品類や化粧品類等の消耗品は対象外でしたが、10月からはこれらの商品も対象となりました(図表1)。
 また、改正前は1店舗、1日あたりの購入額が10,000円超でなければ免税の対象となりませんでしたが、改正で追加された品目については5,000円超で免税対象となっています。
 訪日外国人が訪日旅行中に行った活動のうち、「ショッピング」は2位に位置しており(図表2)、現状の訪日外国人旅行市場におけるショッピングの重要度はとても高まっています。
 なかでも、外国人に人気の商品上位5費目の中には改正により新たに免税対象となった「菓子類」「その他食料品・飲料・酒・たばこ」「化粧品・医薬品・トイレタリー」等の消耗品が含まれており(図表3)、免税制度改正が訪日外国人旅行者に与える影響は大きいと予想されます。

■改正後の消費税免税制度の利用意向

 現在、当財団では「諸外国のインバウンド政策に関する研究」というテーマで研究を進めています。昨年度からは“FITの地方分散化”をテーマに掲げて研究を行っており、今年度は5か国・地域を対象にインターネットによる発地調査を実施しました(調査概要は文末に掲載)。
 訪日経験があり、今後3年以内にFIT(フリープランを含む)での訪日意向のある旅行者を対象に、改正後の消費税免税制度利用意向について尋ねたところ、韓国を除いた4か国・地域で「必ず利用する」と回答した割合が5割を超えていました(図表4)。「必ず利用する」「たぶん利用すると思う」を合わせた“利用意向あり”の割合は概ね8割以上と高く、中国やインドネシアではほぼ100%に近い割合となっています。韓国人旅行者は買い物での消費額が少ない傾向にあり、免税制度から受ける恩恵が少ないことが影響してか、利用意向が低くなっています。

■地方へ与える影響

 では、今回の改正は大都市以外の地方にはどのような影響を及ぼすのでしょうか。
 現状、訪日外国人の訪問地域は大都市周辺およびゴールデンルート(成田空港~東京~富士山~大阪・京都~関西空港)沿いに集中する傾向が見られます。地方に個人で訪れる際の障壁を尋ねると(図表5)、言葉や地方への移動や時間の問題が上位に挙がる一方、中国やタイ等のショッピング好きな国では「ショッピングできる場所が少ない」「免税店が少ない」といった項目が高くなる傾向が見られました。どうやら地方の買い物場所や免税店の少なさ等が、訪日外国人を大都市へ集中させる要因の一つになっているようです。
 14年6月に閣議決定された「日本再興戦略改訂2014-未来への挑戦-」の中で、“外国人旅行者向け消費免税制度について、2020年に向けて全国各地の免税店を現在の約4,600店舗から10,000店規模へと倍増させる”との方針が掲げられました。政府公認の免税店シンボルマークが作成され、マークを使用している店舗リストがJNTOホームページにて公開されています(http://tax-freeshop.jnto.go.jp/eng/shop-list.php) 。旅行者にとっては安心して買い物できる一助となるよい制度ですが、気になるのはリストに並んでいる店舗の傾向です。リストを見ると、地方の店舗の多くを全国展開の家電量販店やディスカウントストア等が占めており、地場産品を扱う店の登録は少ないのが現状です。
 政府は免税店事業者になるための必要な情報を掲載したホームページ(http://www.mlit.go.jp/kankocho/tax-free/index.html)を10月から開設したほか 、各地で説明会を行い、免税店申請を促しています。実際、故郷に住む私の友人も改正を機に自分の店を免税店にするべく手続きを進めています。今回の改正により地方の免税店増加が促進され、地方を訪問して各地が誇る名産品の数々を買う楽しみを外国人旅行者に知ってもらうよいきっかけとなり、地方がより活性化することを期待しています。
(相澤 美穂子)

(2014/11/4追記)中国、インドネシアについて無効票の判定基準を見直したため集計結果を修正いたしました。
(2014/11/7追記)図表1の免税対象額について、一部説明が不十分な点がございましたので、追加させていただきました。お詫び申し上げます。

図表 5 地方を訪れる際に障壁となる点(複数回答)

資料:(公財)日本交通公社「5 か国・地域旅行者調査」

(公財)日本交通公社「5 か国・地域旅行者調査」調査概要