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	<title>草津温泉 | (公財)日本交通公社</title>
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	<description>公益財団法人日本交通公社は、観光を専門とする実践的学術研究機関です。旅行・観光に関する学術的、実践的な調査研究を通して、わが国の観光文化の振興に寄与し、豊かな社会の実現を目指します。</description>
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		<title>地方観光地の人材不足にどう向き合うか　―地域単位で取り組む3温泉地の事例から―　[コラムvol.541]</title>
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		<dc:creator><![CDATA[webkamitomo]]></dc:creator>
		<pubDate>Wed, 13 May 2026 04:06:59 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[<p>はじめに 人口減少が進む中、日本各地の観光地で人材不足が深刻化している。観光地で働く人材が確保できないことには、来訪する観光客に対し質の高いサービスを提供できないどころか、施設や地域の存続そのものが危ぶまれる事態となる。･･･</p>
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										<content:encoded><![CDATA[<h3>はじめに</h3>
<p>人口減少が進む中、日本各地の観光地で人材不足が深刻化している。観光地で働く人材が確保できないことには、来訪する観光客に対し質の高いサービスを提供できないどころか、施設や地域の存続そのものが危ぶまれる事態となる。</p>
<p>人材不足への対応には、大きく2つの側面があるということができる。新たな人材を地域に呼び込む「確保」と、人材を地域で育て、長く働き続けてもらうための「育成・定着」である。これらに個々の施設で取り組むことも可能だが、人手が限られる中で、施設規模も小さい事業者が単独で十分な対策を講じることは容易ではない。こうした課題には、個々の施設の経営努力に加え、地域として協力して取り組むことが有効と考えられる。</p>
<p>本コラムでは、地域として人材不足の課題に取り組んでいる3つの温泉地の事例を取り上げる。それぞれの取組から、地方観光地における人材確保・育成・定着のあり方を考えてみたい。（写真提供：熊本県観光連盟）</p>
<h3>事例① 黒川温泉　―地域として採用し、地域として育てる―</h3>
<p>熊本県阿蘇地域に位置する黒川温泉は、30軒の旅館が集まる小規模な温泉地である。黒川温泉観光旅館協同組合は、2020年以降、人材の確保と育成に組合全体として取り組む体制を整えてきた <sup>1)</sup>。</p>
<p>まず人材確保の面では、組合が取りまとめの役割を担っている。「黒川温泉おもてなし体験インターンシップ」<sup>2)　※2</sup>は、個々の旅館が単独で学生にアプローチするのではなく、温泉地全体としてインターンシップの募集を行う取組である。参加者は各旅館での仕事体験に加え、共通プログラムとして黒川温泉という地域そのものについて理解する時間を持つ。また採用面では、組合のウェブサイトに各旅館の採用情報が集約されており、複数旅館への応募も可能である。条件面ではなく、従業員の働き方や暮らし方、経営者の思いといった、その地域・その施設で働くことの意味が前面に出されており、「○○旅館で働きたい」という人だけでなく、「黒川温泉で働きたい」という人を受け入れられる仕組みになっている。</p>
<p>育成の面でも、組合は階層別のプログラムを用意している。新入社員が参加する「合同入社式」では、黒川温泉の歴史や地域資源に触れるワークショップを通じて、この地域で働く意義を感じてもらう。また中堅層向けには、次世代リーダー育成プログラム「黒川塾」を開催している。旅館の従業員にとどまらず、「地域の観光人材」としての視点や視座を養い、キャリア意識を醸成することを目的に、キャリアデザインの考え方、地域文化の理解、旅館の魅力づくり等に関連するカリキュラムを設定している。経営者層に対しても人材育成研修を実施し、各旅館での取組をサポートしている <sup>1)</sup>。</p>
<p>これらの取組の背景には、黒川温泉が長年大切にしてきた「黒川温泉一旅館」という考え方がある。温泉地全体を一つの旅館として捉える、地域一体での観光地づくりの思想である。料理やサービスといった個々の施設の競争領域は各旅館が切磋琢磨する一方、人材の採用・育成という、地域全体の持続性に関わる領域については、組合として面で取り組む。この役割分担が、黒川温泉の人材戦略の特徴といえる。</p>
<figure>
<div style="text-align: center"><img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2026/05/column541_1.png" alt="研究員コラム" width="90%"></div>
<div style="text-align: center"><figcaption>黒川塾の様子<sup>※1</sup></figcaption></div>
</figure>
<h3>事例② 嬉野温泉　―日本語学校が「嬉野で暮らす入口」になる―</h3>
<p>佐賀県の嬉野温泉では、温泉旅館の敷地内に日本語学校が開校するという、ユニークな取組が始まっている。</p>
<p>この取組を進めているのは、嬉野温泉の老舗旅館・和多屋別荘である。同館の敷地内に2024年4月に開校した「ICA国際会話学院 嬉野校」は、文部科学大臣が認可した日本語学校で、アジア・中央アジアを中心とする海外人材に向けた日本語教育を提供する。学校の運営は外部法人が担うが、教室には和多屋別荘の現在使われていない宴会場を活用しており、温泉旅館と日本語学校が文字通り隣り合って存在している。</p>
<p>ただし、この日本語学校は旅館の従業員養成を目指すものではない。生徒は嬉野での就職や旅館での就職を目指して入学したわけではなく、日本語を学ぶ場所がたまたま嬉野にあったにすぎない。しかし、嬉野で暮らす中で愛着を抱く学生、学業の傍ら旅館でアルバイトをすることで旅館での就職を視野に入れる学生も現れている。学生のアルバイトは目下の人材不足の解消にもつながっており、地域にとって現在と将来の双方に意義がある。</p>
<p>当初から「嬉野で働きたい」と思っている人を集めるのではなく、まずは「嬉野で暮らし、学ぶ」という入口を地域として用意することで、結果として地域に根づく人材が育つ可能性を広げるという嬉野温泉の取組は、海外人材との接点づくりにおける一つの新たな試みといえるだろう。</p>
<figure>
<div style="text-align: center"><img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2026/05/column541_2.png" alt="研究員コラム" width="90%"></div>
<div style="text-align: center"><figcaption>旅館の宴会場フロアを活用した日本語学校</figcaption></div>
</figure>
<h3>事例③ 草津温泉　―外国人材を「労働力」ではなく「同じ地域の住民」として迎える―</h3>
<p>群馬県の草津温泉は、人口約6,000人の規模で、年間約400万人の観光客を受け入れている、観光に特化した町である。その担い手として外国人材の存在感が年々大きくなっており、現在では町の人口の約1割以上を外国人が占めるとされている<sup>3)</sup>。</p>
<p>草津温泉観光協会DMOには、2016年に発足した人材育成部会がある。合同入社式、若手従業員と地元住民が交流する月例イベント「あつまらナイト！」、地域の観光要素や生活のヒントを盛り込んだ動画制作など、地域全体で人材を確保・育成・定着させるための取組を継続してきた。</p>
<figure>
<div style="text-align: center"><img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2026/05/column541_3.png" alt="研究員コラム" width="90%"></div>
<div style="text-align: center"><figcaption>あつまらナイト！の様子<sup>※3</sup></figcaption></div>
</figure>
<p>近年、人材育成部会が特に力を入れているのが、外国人材との共生である。職場での外国人スタッフの受入れは進む一方で、家族（特に日本語に触れる機会の少ない母親等）の地域への溶け込み、ごみ出しなどの生活ルールの共有、食文化の違いへの相互理解といった、暮らしの場面における課題が顕在化している。同部会会長の中澤牧子氏は、外国人材を「単なる労働力の補填ではなく、ともに地域を支え地域を作る仲間」として迎える必要があると述べている<sup>4)</sup>。</p>
<p>こうした認識のもと、2025年5月には地元の旅館を会場に、地域住民・旅館関係者・行政・外国人住民らが一堂に会する多文化共生イベント「多文化共生会議 in 草津温泉」が開催された<sup>5)</sup>。母国文化の紹介や食を通じた交流が行われ、「同じ地域に暮らす住民」として顔の見える関係を築く第一歩が踏み出されている。</p>
<h3>まとめ　―人材不足対応は地域全体の課題―</h3>
<p>地方観光地における人材の確保・育成・定着は、もはや個々の施設の経営課題にとどまらず、地域全体で取り組むべき課題であるといえる。3つの事例から見えてきた、地域として人材の課題に取り組む意義・メリットを以下に挙げる。</p>
<ul>
<li>確保：旅館単体での取組では訴求力に限界があり、地域としての入り口やきっかけの作成が効果を発揮し得る。（黒川温泉のインターン・採用サイト、嬉野温泉の日本語学校）</li>
<li>育成：個々の旅館を超えたコミュニティの中で、地域文化への理解を深め、自分なりのキャリアを描いていくことが、人材の長期的な成長と定着につながる。さらに、温泉地のように事業者がまちづくりに主体的に関与する地域では、こうした人材の育成は、地域そのものを担う人材の育成へとつながりうる。（黒川温泉の地域同期構想、黒川塾）</li>
<li>定着：職場の中だけでなく、暮らしの場面における課題への対応が欠かせない。これは施設単独では対応しきれない領域であり、地域を巻き込んだ取組によって初めて成り立つ。（草津温泉の多文化共生）</li>
</ul>
<p>これらの事例に共通するのは、人材を「事業者の従業員」としてだけでなく、「地域の担い手」「地域に暮らす住民」として迎え、育て、住み続けてもらうという考え方である。このように人材を地域全体で支えるという視点に立てば、長く働き、暮らす場としての魅力を、地域全体で高めていく必要があるといえる。</p>
<p>もっとも、これらの取組によって人材不足の解決に至れるかというと、課題は多い。地方の人口減少は今後さらに進み、加えて観光・宿泊業は人手不足が構造的な課題となっており、労働条件の改善も含めた対応が業界として問われている。このように地域単位の工夫だけでは解決し切れない問題も多く、より抜本的な改革や観点の転換が求められる側面もある。海外人材を地域の担い手として迎えるという発想についても、生活基盤を長期的に支え続けられるか、子の世代の教育・進路をどう保障するかなど、迎える側の責任は重い。これらの取組はまだ始まって間もなく、長期的な視点に立ち、課題と向き合いながら継続的に検討と改善を重ねていくことが求められる。</p>
<h4>【参考文献】</h4>
<ul style="list-style-type: none">
<li>1)	黒川温泉観光旅館協同組合「キャリアサポート」黒川温泉採用情報サイト，<br /><cite>https://www.kurokawaonsen.or.jp/recruit/support/</cite></li>
<li>2)	黒川温泉観光旅館協同組合「黒川温泉おもてなし体験インターンシップ」SMOUT,<br /><cite>https://smout.jp/plans/17810</cite></li>
<li>3)	全国27市区町村で外国人住民が1割超　群馬県は大泉で21.3％、草津で10.5％　工業や観光の担い手に, 上毛新聞, 2025/11/7, 上毛新聞電子版,<br /><cite>https://www.jomo-news.co.jp/articles/-/803545</cite></li>
<li>4)	公益財団法人日本交通公社（2025）：「温泉まちづくり研究会2024年総括レポート」，pp.9-12,38-39.</li>
<li>5)	JICA東京高崎分室「多文化共生会議 in 草津温泉が開催されました！」JICA, 2025/6/5,<br /><cite>https://www.jica.go.jp/domestic/tokyo/information/topics/2025/1570042_67054.html</cite></li>
<li>※1 黒川温泉観光旅館協同組合より写真提供</li>
<li>※2 2025年度は「黒川温泉オープンカンパニー」として実施。</li>
<li>※3 草津温泉観光協会より写真提供</li>
</ul><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-tourism-workforce-yamamoto/">地方観光地の人材不足にどう向き合うか　―地域単位で取り組む3温泉地の事例から―　[コラムvol.541]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>草津温泉　―多くの人を惹きつけ続けるまちづくり　[コラムvol.511]</title>
		<link>https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-kusatsu-hotspring-yamamoto/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=column-kusatsu-hotspring-yamamoto</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[webkakishima]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 15 Jul 2024 07:20:54 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[<p>草津温泉は、今勢いのある温泉地の一つと言えるだろう。2023年には過去最高の来訪者数を記録し、また観光経済新聞社主催「にっぽんの温泉100選」では21年連続1位を獲得している。実際にまちなかを見渡しても、浴衣を着てそぞろ･･･</p>
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										<content:encoded><![CDATA[<div class="container">
<p>草津温泉は、今勢いのある温泉地の一つと言えるだろう。2023年には過去最高の来訪者数を記録し、また観光経済新聞社主催「にっぽんの温泉100選」では21年連続1位を獲得している。実際にまちなかを見渡しても、浴衣を着てそぞろ歩きをする若者で昼夜問わず賑わっている。なぜ草津温泉はこれほどまでに多くの人を惹きつけ続けるのだろうか。草津温泉に関する書籍や考察は数多く存在し、全てを語ることはできないが、ここでは草津温泉のまちづくりの変遷を概観し、その魅力の理由を考察する。</p>
<h3>湯治場としての草津温泉</h3>
<p>草津は、強酸性で殺菌力の強い特殊な泉質が「万病に吉」とされ、療養泉・湯治場として長らく人気を誇ってきた。草津の地名が記録に現れるのは1472年の本願寺蓮如の湯治記事が最初と言われている。その後江戸時代に入ると草津は徳川幕府の天領となり、「天下泰平」により多くの平民が湯治として草津を訪れ、湯屋や湯宿が整備された。その評判ゆえに遠隔地からも湯治客が訪れたという記録が残っている。</p>
<p>明治期以降、多くの日本の温泉は都市住民の保養の場、慰安の場としての機能も持つようになっていった。しかし草津ではその泉質が病気の治療に有効だとされていたことやアクセスの悪さ等が要因となり、引き続き湯治場としての特性が保たれていた。</p>
<h3>ベルツによりもたらされた「保養地」という概念</h3>
<p>草津に影響を与えた人物として無視できないのが、1876年に来日したドイツ人医学者・ベルツ博士である。ベルツは東京医学校（現東京大学医学部）にて勤務していたが、草津温泉の泉質や「時間湯」を始めとする入湯法による医学的有効性、また周囲の豊かな自然環境に惹かれ、度々草津を訪れることとなる。草津の周辺部に新たな保養地を作るというベルツの計画は彼の帰国により途絶えたが、「温泉保養地」「リゾート」という概念をもたらしたという点で、ベルツ博士は草津に大きな影響を及ぼしたということができる。</p>
<p>またこの時期、草津温泉では「まちづくり」の芽生えともいえる動きが生じる。1887年に温泉改良会が発足したが、その際に集められた意見書には、草津の改良には村民一致の協力体制が不可欠だと記載されており、村民がまちづくりに関わる重要性が唱えられていると言える。</p>
<h3>スキー場開発・高原開発</h3>
<p>日本にスキー技術が伝えられたのは1911年だが、草津ではその4年後にあたる1915年にスキークラブが誕生した。その後1931年には日本初のスキー学校が草津に誕生し、1948年には地元スキークラブの有志により天狗山スキー場に日本最初のリフトが造られ、昭和40年代中頃までには草津全山にわたってスキー場が開かれた。このようなスキー場開発により、草津の客層は湯治客から観光客へと変化していくこととなる。</p>
<p>また、スキーの人気向上に伴う観光客増加に対応するため、昭和35(1960)年には高台の開拓・別荘地化の方針が記載された「草津高原都市構想」が発表された。その後昭和43(1968)年には地元資本により草津初の本格的リゾートホテルが誕生し、1970年代を中心に草津外の企業による別荘地開拓も積極的に行われた。石油危機を機に一旦土地開発は沈静化したものの、昭和50年代に入ると草津内外の企業によりリゾートマンションの開発が進められた。</p>
<h3>中心部の再開発・町並み環境保全開始</h3>
<p>周辺部で進むリゾート開発の一方で旧態依然としていた中心部の再開発が、昭和50年代頃より一気に進められた。昭和50(1975)年には、岡本太郎の設計により湯畑が再整備された。また、昭和43(1968)年には「時間湯」を行っていた熱乃湯が湯もみショーの場に生まれ変わる、昭和58(1983)年には共同湯「大滝の湯」が設置される等、中心部に着目した大規模な開発が行われた。</p>
<p>その一方で、昭和63(1988)年に「歴史と伝統を守る会和風村」が組織され、住民を中心としたまちづくりも進んだ。会は旧来の伝統的町並み景観や温泉情緒の大切さを認識した旅館により構成され、まずは湯畑に近い滝下通りにおいて電柱の移設や沿道の緑化、旧来の建築様式の再現などが行われた。</p>
<h3>低迷期における方針の再確認</h3>
<p>平成9～11年にかけて「草津温泉ブラッシュアップ計画」が策定された。バブル経済崩壊による低迷期を経てもう一度草津温泉の魅力をブラッシュアップしよう、という計画である。3年間かけて策定された本計画では、培ってきた温泉文化を見直し現代に新たな湯治場を再現するとされている。</p>
<p>また平成13年にはスキー需要の低迷に伴い、冬の誘客を再検討するために旅館組合を中心に「草津の冬を考える会」が発足した。議論の末、「草津は季節を問わず、売りは温泉そのもの」という結論にまとまり、「泉質主義」宣言が発表された。この宣言は、現在でも草津において大きく掲げられている。</p>
<p>その後平成15年には「草津温泉歩きたくなる観光地づくり」に向けた調査が行われ、ワークショップ等には数百人が参加する等、住民のまちづくりへの参画は継続して行われた。</p>
<h3>「街づくり協定」に基づく官民によるまちづくりの推進</h3>
<p>草津町は平成21(2009)年に景観行政団体となり、国土交通省の「街なみ環境整備事業」に基づいて景観づくりを推進する方針を定めた。「街なみ環境整備事業」を活用して補助金を受けるためには、まず地権者の2/3以上の合意を得て「街づくり協定」を締結する必要がある。そのため平成21(2009)年から各地区において順次勉強会やまち歩きを行い、街づくり協定を作成・締結した。その結果始まった「街なみ環境整備事業」には、行政による景観事業と、住民が行う修景事業が含まれる。前者については、湯畑に隣接する駐車場を撤去して共同浴場「御座之湯」建設（2013年完成）と賑わいを創出する「湯路広場」整備（2014年完成）を行う、「熱の湯」を再建する（2015年完成）等、湯畑を中心に大規模な事業が多数行われた。後者の修景事業については、行政による景観整備の効果が出始めると申請件数が増加していった。なお、修景の申請は地元により構成される「まちづくり協議会」にて審査される。住民が自ら、ルールに則った修景であるかをチェックするのである。低迷していた草津温泉の入込客数はこの頃から増加し始め、2023年の過去最高入込客数更新に至る。</p>
<p><img decoding="async" class="alignright" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/07/511-image2.png" alt="草津温泉開発" width="300"></p>
<p>その後、西の河原公園整備（2018年完成）、BAN ZIP TENGUのオープン（2019年）と天狗山スキー場の通年営業開始、「裏草津地蔵」整備（2021年完成）、草津温泉入口付近の「温泉門」整備（2023年完成）、天狗山スキー場におけるパルスゴンドラと飲食店整備（2023年完成）等と、行政による整備は次々と行われており、それに伴い民間の新たな投資も見受けられる。今後はバスターミナルの改修やスキー場におけるレストハウス建設も予定されており、草津温泉はまだまだ進化していくと予想される。</p>
<h3>これからの草津温泉</h3>
<p>草津温泉のまちづくりの歴史はこれだけでは語りつくすことができないが、上記の概観を踏まえてポイントを2点挙げる。まず草津温泉のまちづくりは、長い時間軸で進められてきた。泉質や豊かな自然環境、雪山、古い町並み等といった地域特性を活用しながら、時代の潮流に合わせて魅せるものや魅せ方を絶え間なく更新し、進化してきている。また、官民双方が主体的に取組を行ってきたという点も重要である。行政はまちづくりの骨格形成やハード更新を担い、また住民主体の取組が草津温泉のまちづくりを前に推し進めている。</p>
<p>ポストコロナの今、日本の多くの観光地は大きな環境変化に直面している。前代未聞の人材不足により、今後従業員のみならず民間事業者の後継者やまちづくりを担う人材も減少することが懸念されている。草津町も例外ではなく、人口減少が進んでいる。また行政によるハード整備の推進や観光客数の増加を受けて外部からの投資が行われている一方で、地元に根付いた事業者の体力低下も生じている。そういった状況を解決するためには、「サステナブル」「DX」等とも紐づいた抜本的な改革が必要なのではという声も聞かれる。また今までまちづくりを担ってきた世代が交代するタイミングで、外部参入者も含め次の世代にその精神を引き継げるかどうかも重要なポイントかと思われる。</p>
<p>様々な時代の変化を乗り越えてきた草津温泉が、今後またどのように危機を乗り越えていくのか、引き続き着目し続けたい。</p>
<h3>【参考文献・引用】</h3>
<ul>
<li>木暮金太夫・中沢晁編著(1990)：『ベルツ博士と群馬の温泉』 上毛新聞社</li>
<li>山村順次(1992)：『草津温泉観光発達史』，草津町役場</li>
<li>黒岩裕喜男(2012)：「泉質主義」を貫き時代を紡ぐ草津温泉，『観光文化』，第215号，pp.13-18</li>
<li>公益財団法人日本交通公社(2014)：<a href="https://www.jtb.or.jp/book/onmachi-report/onmachi-report-2013/">『温泉まちづくり研究会2013年度総括レポート』</a>，pp.29-76</li>
<li>写真（湯畑）：草津温泉観光協会写真ギャラリーより引用</li>
</ul>
</div><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-kusatsu-hotspring-yamamoto/">草津温泉　―多くの人を惹きつけ続けるまちづくり　[コラムvol.511]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
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