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	<title>観光地経営 | (公財)日本交通公社</title>
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	<description>公益財団法人日本交通公社は、観光を専門とする実践的学術研究機関です。旅行・観光に関する学術的、実践的な調査研究を通して、わが国の観光文化の振興に寄与し、豊かな社会の実現を目指します。</description>
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		<title>文化を『消費』しない観光へ —日本遺産10年からの問い　[コラムvol.539]</title>
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		<dc:creator><![CDATA[webkamitomo]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 23 Mar 2026 02:41:19 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[<p>文化行政の「大きな転換点」に立ち会って 2015年、私は東京国立博物館で第1回認定証交付式の式典運営のお手伝いをさせて頂きました。日本遺産誕生の瞬間に立ち会えたことはとても素晴らしい経験であったと思います。誕生したばかり･･･</p>
<p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-japan-heritage-goto-shinichi/">文化を『消費』しない観光へ —日本遺産10年からの問い　[コラムvol.539]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<h3>文化行政の「大きな転換点」に立ち会って</h3>
<p>2015年、私は東京国立博物館で第1回認定証交付式の式典運営のお手伝いをさせて頂きました。日本遺産誕生の瞬間に立ち会えたことはとても素晴らしい経験であったと思います。誕生したばかりのこの日本遺産は、まだ誰にも知られていない「手探りの手作りの状態」であったように思います。日本遺産は制度ができて10年の節目となりました。とても感慨深いものです。</p>
<p>当時の日本は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックという「スポーツと文化の祭典」を見据え、国を挙げて観光立国への歩みを加速させていました。その潮流の中で誕生した日本遺産は、従来の文化財保護法に基づく「点」の保存という規制主導の枠組みを大きく修正し、地域の歴史や伝統を「ストーリー」としてパッケージ化し、一括して「面」で活用するという当時としては画期的な挑戦でした。</p>
<p>制度開始から10年。日本遺産は認定数が104件に達し、成熟期を迎えているように思います。その一方で、私はいまだに地方の現場で、観光による一方的な地域活性化を真っすぐに訴える観光課などの行政担当者に対し、文化財の担い手たちが浮かべる、どこか複雑な「苦笑い」を目にします。</p>
<figure>
<div style="text-align: center"><img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/column539_image3.jpg" alt="研究員コラム" width="90%"></div>
<div style="text-align: center"><figcaption>京都で開催された日本遺産のPRの様子</figcaption></div>
</figure>
<h3>「観光のための文化」から「文化のための観光」へ</h3>
<p>もちろん、この10年で状況は確実に前進しました。2018年の文化財保護法改正により「活用」に係る予算配分が手厚くなり、また、日本遺産等に関わる理解も広がってきたことで、かつてのような「保存か、活用か」というゼロサムの極端な二項対立ではなく、双方の重要性を理解する関係者は増えています。</p>
<p>しかし、現場では今、新たな形の「苦笑い」も生まれています。それは、急激に増加するインバウンド需要への対応に追われ、本来守るべき真正性が揺るぎ始めていることへの戸惑いです。また、高付加価値化の名のもとに、観光のために文化財を「利用」する流れも増えてきているのではないかと思います。日本政府が2030年に掲げる訪日客6,000万人という目標が現実味を帯びる中で、ある担い手の方は「観光客が増えるのは嬉しい。しかし、私たちが守ってきた歴史や伝統が、表面的な『見せ物』になっていないか不安」と話していました。</p>
<p>ここで私たちは、原点に立ち返る必要があるのではないかと思います。日本遺産が目指したのは、観光のために文化を「消費」することだったのでしょうか。それとも、貴重な文化財を次世代へ継承するために、観光を「手段」として使いこなすことだったのでしょうか。特に人口減少が加速する地方においては、この問いはますます重みを増しているのではないでしょうか。</p>
<figure>
<div style="text-align: center"><img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/column539_image4.jpg" alt="研究員コラム" width="90%"></div>
<div style="text-align: center"><figcaption>ツーリズムエキスポでの日本遺産のPRの様子</figcaption></div>
</figure>
<h3>デヴィッド・スロスビーが説く「文化資本」という視点</h3>
<p>この問いに対し、文化経済学が専門のデヴィッド・スロスビー氏が提唱する「文化資本（Cultural Capital）」の概念は、とても参考になると思います。スロスビー氏は、文化遺産を単なる観光資源ではなく、将来にわたって感動や知恵という「利息」を生み続ける「資本」であると定義しました。</p>
<p>スロスビーの理論の核心は、目に見える「経済的価値」は、目に見えない「文化的価値（真正性や社会的価値）」という土台に支えられているという点にあります。例えば、評価指標としての「入込客数」や「消費額」という数字を追うあまり、土台である文化の真正性が損なわれてしまえば、結果として文化資本そのものが目減りし、長期的には観光地としての魅力も経済的価値も失われてしまいます。</p>
<p>日本遺産の制度ができて10年。私たちが目を向けるべきことは、日本遺産のストーリー及び構成文化財を「資本」として適切に運用し、その価値を高めるための「投資」を行っているかという点です。単なる切り売りによる「消費」で終わらせないためには、どのような仕組みが地域に必要なのか、地域全体で考えていく必要があるのではないかと思います。</p>
<h3>継承をシステム化する：タイ・DASTAの挑戦</h3>
<p>文化資本を「消費」せず、いかに「運用」して次世代へ繋ぐか。先日、私がタイを視察調査した際に興味深い事例がありました。それはタイの政府機関DASTA（Designated Areas for Sustainable Tourism Administration）の取り組みです。彼らは自らを「システム・インテグレーター」と定義し、単に補助金を配るのではなく、地域が自立して文化を守るための「漁の仕組み」を地域の担い手と共に設計しています。</p>
<p>象徴的なのは、その評価指標です。彼らは単なる入込客数でだけではなく、「収入分配指数」を重視します。観光収益が特定の個人に偏らず、地域内で公平に分散されているか、そしてその一部が例えば、次世代を担う子供たちの学費や文化保存基金に還元されることを重視していました。加えて、一度途絶えたペッチャブリーの「ナン・ヤイ（伝統影絵劇）」を「観光を手段」として活用して、復活させるという、私の立場として考えられないような取り組みも成功させていました。観光客からの称賛が子供たちの誇りを育み、さらに経済的な裏付けが「学びのインセンティブ」として機能する、継承の好循環をDASTAの職員が地域に入り共にデザイン（仕組み作り）しており、とても感銘を受けました。</p>
<p>折しも、日本遺産審査・評価委員会が発表した最新の指針では、日本遺産の目的として「収益が文化・伝統の保存・継承に還元されること」が改めて明記されました。さらに、今後の評価指標例として「事業収益のうち文化資源の保存活用に再投資する金額」という項目も導入されています。</p>
<p>これは、私がDASTAで見聞きした「分配と還元の仕組み」が、日本遺産制度においても本質的な課題として示されたことを意味します。これまで重視されてきた「入込客数」「消費額」という結果だけではなく、その収益を次世代や文化保存にどう繋ぐかという「継承の装置」としての仕組み作りが、今まさに求められているのです。</p>
<h3>2035年の日本遺産：苦笑いを「共感」に変えるために</h3>
<p>日本遺産が認定から20周年を迎える2035年。その時、地域の日本遺産ストーリー、構成文化財はどのようになっているのでしょうか。</p>
<p>文化庁の指針では、短期的に目指すべき自立・自走の姿として、地域経済や住民生活への貢献を可視化し、事業者からの支援を得て継続する仕組みの構築が示されました。この具体策として、例えば文化庁が進める「日本遺産オフィシャルパートナーシッププログラム」を各地域が「地域版」として独自に展開し、民間企業との連携による収益を直接的に担い手や祭りの基金へ還流させるような、官民連携の新しい仕組み作りなどが期待されます 。</p>
<p>もし私たちが今のまま、目に見える数字だけを追い続ければ、2035年、担い手不足のなかで形骸化したストーリーだけが残されているかもしれません。しかし今、私たちが日本遺産を「活用によって価値を高めるべき資本」として捉え直し、「保存と還元の好循環」を各地で仕組み化することができれば、未来は大きく変わっていくのではないかと思います。</p>
<p>観光客は単なる「お金」ではなく、文化の「理解者」かつ「支援者」となり、その対価は直接的にも地域の未来へと還流されます。2035年、次の日本遺産の10年へ。観光が果たすべき役割は大きいのではないかと思います。</p>
<figure>
<div style="text-align: center"><img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/column539_image2.jpg" alt="研究員コラム" width="90%"></div>
<div style="text-align: center"><figcaption>琉球王国時代から連綿と続く沖縄の伝統的な「琉球料理」と「泡盛」、そして「芸能」<br />構成文化財 浦添城跡（画像提供：沖縄県文化振興課）</figcaption></div>
</figure>
<h4>【参考】</h4>
<ul>
<li>文化庁「日本遺産（Japan Heritage）」ポータルサイト<br />
        <cite>https://japan-heritage.bunka.go.jp/ja/</cite>（最終アクセス：2026年2月23日）
    </li>
<li>
    文化庁「日本遺産認定地域の今後の審査について」（日本遺産審査・評価委員会、令和6年1月）
</li>
<li>
    文化庁「令和8年度以降の総括評価・継続審査にあたっての地域活性化計画等の改善について」（日本遺産審査・評価委員会、令和8年2月）
</li>
<li>
    Throsby, David (1999) &#8220;Cultural Capital&#8221;, Journal of Cultural Economics, Vol. 23
</li>
<li>
    DASTA（Designated Areas for Sustainable Tourism Administration）公式サイト<br />
<cite>https://www.dasta.or.th/</cite>（最終アクセス：2026年2月23日）
</li><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-japan-heritage-goto-shinichi/">文化を『消費』しない観光へ —日本遺産10年からの問い　[コラムvol.539]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>「成功した観光地」のジレンマをどう乗り越えるか？ ―「観光自治体」という発想から考える―　[コラムvol.537]</title>
		<link>https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-tourism-municipality-ikeji/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=column-tourism-municipality-ikeji</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[webkamitomo]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 19 Jan 2026 04:43:32 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[<p>「成功した観光地」のジレンマ 観光客が増え、宿泊施設は満室が続き、飲食店や小売はにぎわう。観光政策では、こうした状態がまさに「成功」とされてきた。外から人を呼び込み、消費を生み、地域経済を回すことは、多くの地域が追求して･･･</p>
<p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-tourism-municipality-ikeji/">「成功した観光地」のジレンマをどう乗り越えるか？ ―「観光自治体」という発想から考える―　[コラムvol.537]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<h3>「成功した観光地」のジレンマ</h3>
<p>観光客が増え、宿泊施設は満室が続き、飲食店や小売はにぎわう。観光政策では、こうした状態がまさに「成功」とされてきた。外から人を呼び込み、消費を生み、地域経済を回すことは、多くの地域が追求している目標であり、今後も多くの地域で重要な目標であり続けると思われる。
</p>
<p>しかし一方で、観光がうまくいっている地域ほど、住民の生活環境や地域運営に負荷が顕在化しやすい。実際、道路の渋滞、公共空間の混雑、住宅不足や家賃の上昇といった現象は、各地で「オーバーツーリズム」として批判的に語られることが増えている。
</p>
<p>ここで押さえるべき点は、これらが「観光がうまくいかなかった結果」ではなく、むしろ「観光が一定程度うまくいったことによって生じる副作用」として理解できる、という点である。観光の成功は、地域に流入する人の量だけでなく、滞在の仕方、利用の時間帯や集中する場所、さらには不動産に対する投資や用途転換を通じて、地域の需要構造を大きく変化させる。課題は、こうした変化が一定程度不可避であるにもかかわらず、地域の制度や運営の仕組みが、依然として定住人口を前提とした設計に留まり、変化を受け止めて調整する仕組みの更新が追いついていない点にある。
</p>
<p>例えば、交通混雑は「観光客が増えたから当然に起きた」と整理するだけでは足りない。バスや鉄道、道路といったインフラは、もともと定住人口を前提に想定していた利用実態と、観光客を含む実際の利用実態とのあいだに乖離が生じることで負荷が顕在化する。同様に、住宅不足や家賃上昇も、観光関連用途（宿泊・短期賃貸等）が相対的に高収益となり、土地・建物が転用されていく過程の帰結であるが、地域の居住継続に必要な住宅供給を確保する観点から、用途・供給量・立地といった要素を「調整対象」として制度目的に組み込み、過度な転用圧力を緩和できる仕組みが十分に用意されていない点が課題となる。</p>
<h3>なぜこうした課題の解決が難しいのか</h3>
<p>こうした課題は広く認識されているにもかかわらず、地域で対応が追いつかないことが少なくない。その理由は個々の現場対応の工夫不足というより、制度設計上の制約に求められる。</p>
<p>第一に、財源と執行体制が、ともに定住人口を基礎として設計されている点である。自治体の財政規模は、原則として定住人口を基準に算定される。一方で、観光に起因する行政需要は、観光客が特定の時期・場所に集中することで発生する。道路や公共空間の混雑といった負荷は急激に増えるが、住民数は増えない。このため、観光によって生じる行政需要が拡大しても、それに対応するための財源や人員は自動的には補強されず、定住人口ベースの枠組みで対応せざるを得ない点に、構造的な無理がある。
</p>
<p>第二に、観光によって生じる外部性を調整するための裁量が、問題が発生している現場に十分に集約されていない点である。例えば、民泊の届出・監督や開発許可といった観光に直結する規制権限については、観光客数が定住人口を大きく上回るような小規模観光地には移譲されていない（＝都道府県レベルにとどまっている）場合が大半である。その結果、観光による影響が短期間・特定地域に集中的に発生するにもかかわらず、それらを一体として判断し、調整する裁量が、そうした影響が発生する現場の自治体に十分に集約されないという事態が生じ得る。
</p>
<p>第三に、そもそも規制権限の内容が、観光による需要構造の変化を調整すること自体を想定せずに設計されてきた点である。例えば、都市計画等における宿泊施設への規律は、用途制限が中心であり、「どこに建てられるか」は定められていても、「どの程度まで受け入れるか」というキャパシティの上限は、制度の射程に含まれてこなかった。これは、住民人口を基礎とする社会においては、宿泊客数を政策的に制御する必要性自体が強く意識されてこなかったことの反映でもある。その結果、混雑や住宅圧迫といった問題が顕在化しても、対応が後手に回りやすい。
</p>
<p>つまり、「オーバーツーリズム」と呼ばれるような観光地の問題への対応が遅れているのは、現場の努力や工夫の不足ではなく、①財源と体制、②権限の所在、③権限の内容という三層において、制度の前提が一貫して「住民人口モデル」に留まっていることから生じている。こうした制度上の制約や空白を埋めない限り、個別施策を積み重ねても、根本的な改善には至りにくい。
</p>
<h3>「観光自治体」という発想</h3>
<p>こうした状況を踏まえると、検討するべきなのは、観光という要素を前提に自治体制度そのものを捉え直すことである。すなわち、「住民」を基本単位として設計されてきた自治体制度を、観光によって生じる負荷を引き受け、調整することができるようにアップデートする必要がある。
</p>
<p>この文脈で考えられるのが、「観光自治体」という発想である。観光客数や滞在規模、観光が地域経済や空間に与える影響の大きさといった実態に照らし、既存の自治体制度の体制や権限配分等をアップデートする枠組みを指す。要は、観光によって生じる問題に対応するための権限、安定的な財源、そしてそれらを実効的に運用するための専門的な執行体制を、個別に切り離して付与するのではなく、一体として組み合わせて与えるという考え方である。
</p>
<p>このような制度設計は、決して突飛なものではない。欧米では、観光地やリゾート地域を一般の地域と同一視せず、特有の空間的・社会的条件を前提とした制度枠組みのもとで位置づけている例が少なくなく、そこでは、都市計画上の特別な規制や、宿泊税などの観光関連財源、さらには専門的な体制が、同一の地域に対して組み合わされて付与されている。
</p>
<p>例えばフランスでは、スキーリゾートを含む山岳地域を対象とした法律、いわゆる山岳法（Loi<br />
    Montagne）<sup>（※1）</sup>において、山岳地域を一般の地域とは異なる条件を持つ空間として明示的に位置づけている。ここではまず、山岳地域という地理的・社会的特性を持つ区域を、制度上の一つの単位として切り出すことが行われている。
</p>
<p>そのうえで、山岳地域における宅地開発や都市的開発については、既存の集落や村落と連続した形でのみ認めるという原則が示されており、観光需要の拡大に応じた無秩序な開発を抑制する仕組みが、都市計画上の特則として組み込まれている。これは、観光を前提とした開発圧力を、一般的な都市計画とは異なるルールで受け止めるための特則と位置づけることができる。
</p>
<p>さらに、こうした山岳地域の自治体については、地方公共団体総法典<sup>（※2）</sup>において宿泊税を課す権限が制度化されている。観光による開発圧力や行政需要が集中する山岳地域において、観光起因の負荷を支えるための財源手段が、恒常的に確保される構造が形成されている。
</p>
<p>国や地域によって社会制度や地方自治の前提は大きく異なるため、このような海外の制度をそのまま日本に移植することはできない。しかし、観光自治体という発想のポイントは、海外の制度の型を輸入することではなく、観光地で生じている問題を、個別の現場対応や観光客数の多寡に帰責するのではなく、自治体制度の前提そのものの課題として捉え直す点にある。
</p>
<h3>おわりに</h3>
<p>筆者は「<a href="/project/non-profit/network/zaigen/" target="_blank">観光財源研究会</a>」等において、宿泊税を始めとする観光地の安定した財源制度を、「<a href="/project/non-profit/network/mountain-resort/" target="_blank">マウンテンリゾート研究会</a>」や「<a href="/research/25-01-024/" target="_blank">観光地における規制条例に関する研究</a>」等において、条例等のローカルルールの活用可能性と限界を検討してきた。これらはいずれも、観光によって生じる行政需要を、住民人口を前提とした既存制度の枠内で処理しきれなくなっているという問題意識に基づくものであった。
</p>
<p>しかし、上記で見てきたように、観光地が直面する問題は、①財源と体制、②権限の所在、③権限の内容という複数の制度的制約が重なり合って生じている。そのため、個別の財源措置や規制手法を単独で積み重ねても、自治体制度全体としての前提が変わらない限り、対応は行き詰まりやすい。
</p>
<p>今後は、こうした個別手段の研究成果を前提としつつ、それらをばらばらの対症療法として並べるのではなく、住民人口モデルに依拠してきた自治体制度の限界を直視したうえで、権限・財源・体制を一体として再設計する「観光自治体」という発想から、観光地が抱える構造的課題への対応のあり方を探っていきたいと考えている。
</p>
<h4>【注】</h4>
<ul>
<li>（※1）山岳開発及び保護に関する法律（Loi n° 85-30 du 9 janvier 1985 relative au développement et à la protection de la montagne）、<cite>https://www.legifrance.gouv.fr/loda/id/LEGIARTI000033745607/2016-12-30</cite></li>
<li>山岳地域の近代化、開発及び保護に関する法律（LOI n° 2016-1888 du 28 décembre 2016 de modernisation, de développement et de protection des territoires de montagne）、<cite>https://www.legifrance.gouv.fr/loda/id/JORFTEXT000033717812/</cite></li>
</li>
<li>（※2）地方公共団体総法典（Code général des collectivités territoriales）、<cite>https://www.legifrance.gouv.fr/codes/texte_lc/LEGITEXT000006070633/</cite></li>
</ul>
<p style="text-align: right">画像出典：Google Geminiにて生成</p><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-tourism-municipality-ikeji/">「成功した観光地」のジレンマをどう乗り越えるか？ ―「観光自治体」という発想から考える―　[コラムvol.537]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>百年前の古書にみる観光地経営の処方箋 [コラムvol.533]</title>
		<link>https://www.jtb.or.jp/researchers/column/tourism-study-oldbooks-kanno/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=tourism-study-oldbooks-kanno</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[webkamitomo]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 27 Oct 2025 02:00:02 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[<p>戦前の観光学の古典に、現代のDMOの姿を見た 100年近く前のヨーロッパで書かれた観光学の学術書に、現代日本の観光地が直面する政策や課題が記されていたとしたら、驚かれるでしょうか。 筆者は、従来からの観光の調査研究を行う･･･</p>
<p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/tourism-study-oldbooks-kanno/">百年前の古書にみる観光地経営の処方箋 [コラムvol.533]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<h3>戦前の観光学の古典に、現代のDMOの姿を見た</h3>
<p>100年近く前のヨーロッパで書かれた観光学の学術書に、現代日本の観光地が直面する政策や課題が記されていたとしたら、驚かれるでしょうか。</p>
<p>筆者は、従来からの観光の調査研究を行う研究員という立場に加え、2025年4月より旅の図書館の副館長を兼務しています。<br />
旅の図書館は当財団が公益事業として設置・運営する専門図書館です。蔵書として、観光関連の学術誌や観光統計資料の他、ガイドブック、時刻表、機内誌、観光研究の専門図書、財団の刊行物・出版物など、観光研究に資する図書約7万冊をとりそろえています。<br />
図書館の蔵書の中には「古書・稀覯書」として位置付けられるものも約3,300冊あり（当館では概ね戦前のものを古書と定義）、そこには観光学の古典と位置付けられるような学術書も含まれます。<br />
ここ数年、観光地を対象とする「マネジメント」や「ガバナンス」の研究動向を追ってきた立場から、改めて何冊かの古典を紐解いてみると、現代の研究や実務における課題の「源流」がそこにあることに気づきました。</p>
<p>例えば、観光経済学の先駆者として知られるイタリアのアンジェロ・マリオッティ（アンヂエロ･マリオッティ）が1927年頃に著した『観光経済学講義』では、観光統計やホテル事業などと並び、「受動的ツーリスト事業機関」という組織が解説されています。これは旅行会社のような「能動的ツーリスト事業機関」と区別して定義され、日本語訳で「保勝會」という言葉が当てられています。いわば景勝地の同業者組合、観光協会のような組織ですが、着目すべきはその財源です。この組織は、5日以上滞在する観光客に課税される「滞在税」によって活動し、その税収は市町村の一般会計とは区別して観光開発に充てられるべき、と述べられています。まさに、現代日本で導入が進む宿泊税と、それを財源とするDMOの姿に通底するものがあります。</p>
<p>また、マリオッティと並ぶ同時代の代表的な研究者である、ドイツのロバート・グリュックスマン（ローベルト・グリュックスマン）が1935年に著した『観光事業概論』では、観光が地域に与える社会的影響が論じられています。特に「観光客と観光地住民に対する影響」や「観光事業による利潤にあずからない一部住民の態度」といった記述からは、オーバーツーリズムが問題となる現代において、地域住民と観光の調和をいかに図るかという普遍的な問いが、当時においても真正面から向き合うべきイシューであった様子が伺えます。</p>
<h3>温故知新―古典はいわば観光学の「一般教養」</h3>
<p>当財団の機関誌『観光文化』では、2018年に「古書から学ぶ」と題する特集を組みました。これは、古書にはその時代に大きな影響を与え、現代にも通じる示唆を投げかけるものが多く、現在の観光研究や実務が学ぶべきことが多い、との認識から企画されたものです。</p>
<p>観光研究は経済学、経営学、社会学、地理学、工学など、多様な分野にまたがる学際的な学問です。ある分野の研究や実務に取り組む際、最新の論文を参照することはもちろん不可欠です。しかし同時に、その分野の「古典」に触れ、議論の源流を知ることは、物事の全体像を捉えるためのいわば「基礎科目」あるいは「一般教養」として、極めて重要になってくるのではないでしょうか。</p>
<h3>古典が教えてくれた、これからの観光研究の視点</h3>
<p>上記のような古典に触れる中で、もう二つ、改めて考えさせられたことがあります。</p>
<p>一つは、海外の先端的な知見をいち早く国内に紹介し、実践に繋げることの重要性です。前述した2冊の日本語訳版は、いずれも現地での発刊から数年という比較的早い段階で、当時の鉄道省の外局である国際観光局によって発刊されています。また、これら以外にも、『ツーリスト移動論』（オギルヴィエ、1934年）や『観光事業論』（A.J.ノーヴァル、1941年）など、国際観光局が発刊した日本語訳の学術書は複数あります。ここからは、海外の観光理論の最先端を学ぶことで、日本の観光をより高いレベルへ引き上げようという、国家としての強い意志が感じられます。私たちもこの精神を受け継ぎ、国内外の取り組みに学び、その知見を日本の観光地域づくりに還元していく必要があると感じます。</p>
<p>そしてもう一つは、こうした「知的財産」を共有財産（コモンズ）としてシェアし、未来へ継承していくことの重要性です。旅の図書館では、前述した約3,300冊の古書のデジタル化を進めています。デジタルデータは、現在は館内での閲覧に限られていますが、これらの学術的価値を、時間や場所の制約を超えて研究者や実務家が活用できるようにすること。そしてそこからさらに新しいネットワークと知見が生まれること。それこそが、古典から未来への処方箋を見出すための、私たちの重要な使命だと考えます。100年前の知性が現代に光を当てるように、現代の私たちの活動が、未来の観光を照らす礎となることを信じて、引き続き活動を進めていきたいと、改めて感じているところです。</p>
<h4>【参考文献】</h4>
<ul style="list-style-type: none">
<li>1) アンヂエロ･マリオッティ（1934）, 観光経済学講義, 国際観光局</li>
<li>2) A.J.ノーヴァル（1941年）, 観光事業論, 国際観光局</li>
<li>3) オギルヴィエ（1934年）, ツーリスト移動論, 国際観光局</li>
<li>4) ローベルト・グリュックスマン（1940）, 観光事業概論, 国際観光局</li>
<li>※いずれの資料も、日本語訳版が旅の図書館に所蔵されています。</li>
</ul><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/tourism-study-oldbooks-kanno/">百年前の古書にみる観光地経営の処方箋 [コラムvol.533]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
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