<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?><rss version="2.0"
	xmlns:content="http://purl.org/rss/1.0/modules/content/"
	xmlns:wfw="http://wellformedweb.org/CommentAPI/"
	xmlns:dc="http://purl.org/dc/elements/1.1/"
	xmlns:atom="http://www.w3.org/2005/Atom"
	xmlns:sy="http://purl.org/rss/1.0/modules/syndication/"
	xmlns:slash="http://purl.org/rss/1.0/modules/slash/"
	>

<channel>
	<title>その他 | (公財)日本交通公社</title>
	<atom:link href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-term/column-others/feed/" rel="self" type="application/rss+xml" />
	<link>https://www.jtb.or.jp</link>
	<description>公益財団法人日本交通公社は、観光を専門とする実践的学術研究機関です。旅行・観光に関する学術的、実践的な調査研究を通して、わが国の観光文化の振興に寄与し、豊かな社会の実現を目指します。</description>
	<lastBuildDate>Fri, 28 Nov 2025 00:55:25 +0000</lastBuildDate>
	<language>ja</language>
	<sy:updatePeriod>
	hourly	</sy:updatePeriod>
	<sy:updateFrequency>
	1	</sy:updateFrequency>
	<generator>https://wordpress.org/?v=6.9.4</generator>
	<item>
		<title>研究・学び・実務をつなぐ『旅の図書館』の役割　[コラムvol.534]</title>
		<link>https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-introduction-to-tabitosho-kudo/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=column-introduction-to-tabitosho-kudo</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[webkamitomo]]></dc:creator>
		<pubDate>Wed, 26 Nov 2025 01:32:31 +0000</pubDate>
				<guid isPermaLink="false">https://www.jtb.or.jp/?post_type=column&#038;p=56440</guid>

					<description><![CDATA[<p>私は現在、研究部の業務に加え、当財団が運営をする「旅の図書館」での業務も兼務しています。このコラムでは、旅の図書館の特徴とその活用方法について、研究員の立場から改めてご紹介したいと思います。 旅の図書館の概要と利用者層 ･･･</p>
<p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-introduction-to-tabitosho-kudo/">研究・学び・実務をつなぐ『旅の図書館』の役割　[コラムvol.534]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>私は現在、研究部の業務に加え、当財団が運営をする「旅の図書館」での業務も兼務しています。このコラムでは、旅の図書館の特徴とその活用方法について、研究員の立場から改めてご紹介したいと思います。</p>
<h3>旅の図書館の概要と利用者層</h3>
<p>「旅の図書館」は1978年に八重洲第一鉄鋼ビルに開設し、旅行ガイドブック、地図、時刻表、旅行関連雑誌等を中心に、徐々にその蔵書を増やしてきました。また、2016年には研究部門と共に港区南青山へ移転したことをきっかけに、近年は特に観光研究の専門書や学術書の収集に力を入れ、貴重資料のデジタル化や学術ジャーナルの公開にも取り組むなど、「観光の研究と実務に役立つ図書館」として機能を強化しています。</p>
<p>図書館の現在の利用者は、大学等の研究者（教員）、高校生・大学生、行政やマスコミ等様々です。利用目的としては、調査研究や業務での情報収集目的での利用者は約46％、趣味（旅行の下調べ等）での利用が54％（ともに2024年度実績）と、約半数ずつとなっています。今回はこれらのうち、研究者、学生、実務者からどのように図書館が活用されているかご紹介します。</p>
<h3>研究者からの利用</h3>
<p>旅の図書館は、当財団研究部の資料室としての役割を担っています。そのため、当財団の研究員に活用される図書館であることが、選書等を行う上での一つの基準となります。実際に、社内の研究員からリクエストされた本を図書館に受け入れることは多々あります。そのような特徴から、当財団研究員に限らず、観光分野の外部の研究者からも一定の需要があり、活用いただいています。</p>
<p>旅行・観光の専門書と一口にいっても、地理学、人類学、社会学、経済学、都市計画学…とアプローチは様々です。そこで、多岐にわたる観光関連資料について旅の図書館では独自の分類を行っています。具体的には、観光研究資料に用いる「T分類」、当財団の特徴的なコレクション資料に用いる「F分類」、基礎文献に用いる「NDC分類」の3つの分類方法によって蔵書を管理しています。</p>
<figure>
<div style="text-align: center"><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2025/11/image2_kudo2025.png" alt="研究員コラム図表" width="80%"></div>
<div style="text-align: center"><figcaption>※独自分類のうち観光研究資料に用いる「T分類」の詳細</figcaption></div>
</figure>
<p>例えば、自分の研究テーマと関連する「T８.観光経営・経済」の書架の一部を覗いてみると、観光まちづくりの事例を紹介している比較的新しく易しい内容の書籍から、地域経済学における基礎的な文献、計量経済学の手法を用いた空間経済学の観光地への適用、産業連関分析による観光の経済波及効果測定など、応用的かつ専門的で読み応えのある書籍が並びます。このような専門書籍について、経済学の中でも「より観光に関連する内容か」という視点で収集しているのは、旅の図書館ならではの特徴と言えます。</p>
<ul style="overflow: hidden;width: 100%;margin-top: 20px;list-style-type: none;padding-left: 0">
<li style="float: left;width: 49%"><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2025/11/image3_kudo2025.jpg" alt=""></li>
<li style="float: right;width: 49%"><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2025/11/image4_kudo2025.jpg" alt=""></li>
</ul>
<p>また、旅の図書館では古書・稀覯書として、約3,300冊を所蔵しています。主に戦前の観光産業や政策に関すること、戦前のガイドブック、旅行案内等が含まれますが、これらをひも解くことで、観光学だけでなく、歴史分野の研究に対しても一定の貢献が期待できると感じています。古書・稀覯書は、一部を除きデジタル化を進めており、図書館内の端末から、古い貴重な資料をデジタルでご覧いただけるようになっています。</p>
<h3>学生からの利用</h3>
<p>旅の図書館は、高校生や大学生の皆さんにも多く利用されています。たとえば、ガイドブックや機内誌のバックナンバーを手がかりに、過去と現在の旅行スタイルを比較したり、特定地域の観光について幅広く資料を集めたりと、学びの目的に応じてさまざまに活用されています。さらに、卒業論文等のテーマを決めかねている学生さんにとっては、上述の独自分類された書架を実際に見て回ることで、観光学という幅広い枠組みの中から、自分がどの分野を深掘っていきたいのか、思案することができるという声をいただくことがあります。<br />なお、旅の図書館では、主に大学の観光学部（学科）のゼミ単位での利用も受け入れています。</p>
<h3>実務者からの利用</h3>
<p>行政の方やマスコミ等で、業務目的の情報収集で来館される方も多くいます。例えば、近年日本各地の観光地で聞かれる「オーバーツーリズム」は、実務者の方々にとって日々頭を悩ませる課題かと思います。旅の図書館の蔵書検索で「オーバーツーリズム」と入力すると、下記のようなものを中心に、全66件の蔵書がヒットしました。</p>
<figure>
<div style="text-align: center"><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2025/11/image5_kudo2025.jpg" alt="研究員コラム図表" width="90%"></div>
<div style="text-align: center"><figcaption>※雑誌や論文の場合は「オーバーツーリズム」に関連する部分のタイトルを抜粋して記載している。</figcaption></div>
</figure>
<p>この内容を見てもわかる通り、雑誌から専門書、学術論文など、さまざまな切り口によってオーバーツーリズムという事象は論じられています。このような話題性のあるテーマは、WEB検索をするとどうしてもニュース記事などが上位に挙がってきやすく、キャッチ―なタイトルに踊らされてしまうと自分自身感じることがありますが、図書館で情報収集をすることで、より多面的かつ構造的に物事を捉えることができると感じます。</p>
<p>また、実務者の方からの利用に限った話ではありませんが、最近の書籍だけでなく、5年前、10年前の書籍も同じ棚に並んでいることで、特定の分野について議論の変遷をたどれるというのも、書店とは違う図書館の特徴です。</p>
<h3>おわりに</h3>
<p>旅の図書館の業務に就いて初めの頃、公立ではない専門図書館の社会的意義とは何なのかを漠然と考えました。図書館法によれば、図書館とは、「図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、保存して、一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーシヨン等に資することを目的とする施設」とされています。当初は言葉の意味をそのまま受け止めるに過ぎませんでしたが、数か月の業務を通じて、この定義の後半部分「一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーシヨン等に資すること」がまさにミッションであると日々実感します。すなわち、ただ必要な資料を収集・管理するだけでは不十分で、真に活用されるような仕組みを提供しなければいけないということです。</p>
<p>インターネットで容易に必要な情報に辿り着く時代、AIが瞬時に疑問に答えてくれる時代だからこそ、図書館で本を手に取り、知的探求に没頭する時間は贅沢にも感じます。旅の図書館は、「観光に関する研究機関が所有する専門図書館」という唯一無二とも言える特徴を活かし、多くの研究者、これから学びを深めていく学生、日々地域の課題と対峙している実務者の方々に、そのような時間と場を提供していければと思います。また、その結果として、当財団と利用者の皆さんとのネットワーク構築に旅の図書館が寄与すれば幸いです。</p>
<h4>※現在旅の図書館は予約制にてご利用いただけます。ご来館の際は下記HPよりご予約の上お越しください。</h4>
<ul style="list-style-type: none">
<li>【旅の図書館HP】<a href="/library/">https://www.jtb.or.jp/library/</a></li>
<li>【開館時間】月曜日～金曜日：10:30～17:00</li>
<li>【休館日】土曜日・日曜日・祝日・毎月第4水曜日・年末年始・その他</li>
<li>上記以外にも臨時休館となる場合があります。詳細は営業カレンダーをご覧下さい。</li>
</ul><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-introduction-to-tabitosho-kudo/">研究・学び・実務をつなぐ『旅の図書館』の役割　[コラムvol.534]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>百年先を見据え続ける道後温泉のまちづくり　[コラムvol.527]</title>
		<link>https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-dogo-hotspring-yamamoto/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=column-dogo-hotspring-yamamoto</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[webkamitomo]]></dc:creator>
		<pubDate>Wed, 25 Jun 2025 13:00:44 +0000</pubDate>
				<guid isPermaLink="false">https://www.jtb.or.jp/?post_type=column&#038;p=55356</guid>

					<description><![CDATA[<p>はじめに 2024年7月、道後温泉本館は保存修理工事を経て約5年半ぶりに全館営業を再開した。保存修理工事中の宿泊者数を見ると、コロナの影響はあったものの工事自体の影響は最小限に抑えることができたと言える。そして工事が終了･･･</p>
<p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-dogo-hotspring-yamamoto/">百年先を見据え続ける道後温泉のまちづくり　[コラムvol.527]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<h3>はじめに</h3>
<p>2024年7月、道後温泉本館は保存修理工事を経て約5年半ぶりに全館営業を再開した。保存修理工事中の宿泊者数を見ると、コロナの影響はあったものの工事自体の影響は最小限に抑えることができたと言える。そして工事が終了した現在は多くの人が道後を訪れている。</p>
<p>道後が賑わい続けている背景には、先人の偉業、そしてそれを引き継ぎ発展させてきた地元の取組がある。ここでは先人である伊佐庭如矢の功績と、近年の道後のまちづくりを主導している「道後温泉誇れるまちづくり推進協議会」の取組について述べる。（写真 所蔵：松山市）</p>
<p style="margin-top: 2em">
<h3>伊佐庭如矢により築かれた道後温泉まちづくりの基盤</h3>
<p>「日本最古の湯」として知られる道後温泉は、多くの人の営みにより築き上げられてきた。中でも現在の道後の礎を作るにあたり大きな功績を遺した人物の一人が、初代道後湯之町町長の伊佐庭如矢である。彼の功績の一つに、道後温泉本館の改築が挙げられる。公衆浴場として長らく利用されてきた道後温泉本館は当時老朽化が進んでおり、伊佐庭は本館の改築、霊の湯、又新殿の竣工を行い、結果1894年、本館は木造三階建ての立派な建築物となった。多額の費用がかかる工事に対しては多くの反対意見もあったが、伊佐庭は「100年後までも他所が真似できないものを作ってこそ、初めて物をいう。人が集まってくると町が潤い、子々孫々までの利益になる。」と説得し、改築を実現した。その言葉通り、道後温泉本館は多くの人が訪れる道後温泉のシンボルとなり、100年後の平成6年に国の重要文化財に指定された。</p>
<p style="margin-top: 2em">
<h3>道後温泉誇れるまちづくり推進協議会の設立経緯</h3>
<p>伊佐庭が遺したものはハードだけではない。そのまちづくりの精神も道後の人々に引き継がれた。バブル崩壊後の1992年、今のままでは先人が築き上げてきた偉業・遺産を食いつぶすという危機感より、地域の企業・団体・個人が立場や業種を超え、長期的視点に立って地域主導の特別のまちづくりを行う主体として、道後温泉誇れるまちづくり推進協議会（以下、まち協）が設立された。まち協は任意のまちづくり団体ではあるものの、地元企業、金融機関、町内会、愛媛大学、松山大学、松山市等、地元住民や大学、自治体等多くの主体が構成員となり、幅広い合意形成の場となっている。</p>
<p>また、まち協が作成したまちづくり計画と行政のまちづくりが紐づく形で行われてきたというのも、重要な特徴の一つである。以下、まち協が作成した計画とそれらと行政計画の関連性、実施された施策等について記述する。
</p>
<p style="margin-top: 2em">
<h3>1994年：第1次道後グランドデザイン「クラシックスパ道後」</h3>
<p>まち協は設立当初、①道後温泉本館への依存、②希薄な歴史の視認性、③競争の中での地域力低下、④観光事業者と住民の合意形成、⑤入湯税の適切な目的税化、等といった課題を抱えていた。これらの課題を踏まえて最初に作られたのが本計画である。この計画の下で実現した施策には、宿泊者以外も使用できる足湯を宿泊施設の玄関に設置するなど、各地域事業者が主体的に動いたものも含まれる。</p>
<p>一方で、1997年には松山市都市景観形成基本計画、1998年には道後温泉本館周辺景観整備計画が松山市により定められ、道後温泉本館周辺の道路の拡幅やバイパス整備等の動線整備の基本計画が示されたりと、この期間には行政と連動した施策も進められた。</p>
<p style="margin-top: 2em">
<h3>2002年：第2次道後グランドデザイン「DO! GO! 21～クラシック＆モダン道後をめざして～」</h3>
<p>第1次グランドデザインが状況変化に伴って見直しが必要になったため、また町に対する誇りと危機感を改めて共有するために、第2次グランドデザインが作成された。</p>
<p>このグランドデザインには、後につながる重要な施策の提言が複数明記された。本館以外の歴史を感じられる外湯を生み出すための「第3の外湯」建設構想（後の飛鳥乃温泉）、沿道の建築物の老朽化が目立っていた上人坂の整備構想等が代表例である。</p>
<p>また、まち協に望まれる機能として「景観規定の遵守状況の監視と違反広告等の撤去依頼」との記載がある。2006年にまち協により「ファサード整備協定書」「景観まちづくりデザインガイドライン」が作成されたが、それにつながる記述だったと思われる。</p>
<p>この時期の行政による施策としては、歩車分離を主な目的とした本館周辺の道路付け替え工事が開始されたのが大きなポイントである。</p>
<p style="margin-top: 2em">
<h3>2006年：「道後温泉歴史漂う景観まちづくり宣言『道後百年の景』」</h3>
<p>美しく文化的に豊かなまちの環境、つまり景観が発展の土台になるという考えから、景観づくりの具体的な方向性を示すために「道後百年の景」は作成された。この計画の元で、今まで構想されてきた多くの事業が実現した。</p>
<p>まち協としては、「道後上人坂再生整備協議会」を設置し再生整備の検討を行ったこと、「ファサード整備協定運営委員会」を設置し、新たに看板を設置する際は委員会の許可を得た後に松山市に申請するという仕組みを作ったこと等がハード関連の功績である。</p>
<p>松山市の動きとしては、2010年に作成された松山市景観計画で本館周辺は景観形成重点区域に指定され、建物の新築や外壁などの変更の際には届け出提出が義務付けられたり、2015年に作成された道後温泉活性化計画で外湯の新館（飛鳥乃温泉）建設、宝厳寺再建と上人坂エリア整備、本館修復と冠山整備等に関して具体的なロードマップが示され、実際に施策が進められた。</p>
<p>また、まち協主体で進められた取組としてもう一つ、2014年に開始された道後オンセナートがある。本館改築120周年を記念して、また本館保存修理工事中に新たな魅力を作ろうという目的で始まったアートイベント・道後オンセナートは継続的に実施され、本館保存修理工事終了後の2025年も「道後アート2025」として実施される予定である。</p>
<p style="margin-top: 2em">
<h3>2024年：「道後温泉2050ビジョン」</h3>
<p>まち協が設立30年を迎えるということで、これまでの取組を振り返りつつ次の30年を見据えて作られた計画である。</p>
<p>本計画には、これまでのまち協としての取組の経緯が大変詳しく記載されており、また道後が引き継いできたまちづくりの精神もあちこちに散りばめられている。</p>
<p>次の30年を見据えた計画としては、DX、回遊ルート整備、防災、ゼロカーボン、人材育成、財源確保等、これまでも実施してきた取組を改めて計画の中に位置づけてさらに大きく展開していく他、道後温泉歴史ミュージアムの整備、第4の外湯建設、道後公園湯築城跡の活用等、さらに地域全体としての厚みを増していくための新たな計画が記載されている。</p>
<p>本計画の位置づけとしては以下のような記載があり、道後を次代につなぐためにこれらの新たな計画が作られたことが読み取れる。</p>
<blockquote><p><i>「伝統は革新のたゆまぬ積み重ねである」という認識のもと、先人から受け継いだ「日本最古の温泉地」「おもてなしの心と歴史文化に溢れる湯のまち道後」の歴史を次代につなぎつつ、敢えて「温泉だけに依存することなく持続可能な温泉地」という視座に立って来し方行く末を展望する</i></p></blockquote>
<p style="margin-top: 4em">
<p style="text-align: center">道後温泉誇れるまちづくり推進協議会設立以後の計画・事業</p>
<p><a href=""></a></p>
<div class="scroll-box">
<div>
<img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2025/07/yamamoto-column527-timeline.jpg" alt="公益財団法人日本交通公社　コラム">
</div>
</div>
<figure><figcaption style="text-align: right"><cite>（道後温泉2050ビジョンを参照し筆者作成）</cite></figcaption></figure>
<p style="margin-top: 2em">
<h3>まとめ　―百年先の輝きへの期待―</h3>
<p>このように道後温泉では、先人の教えを踏まえ、まち協主導で数々の取組が行われてきた。これらを踏まえ、道後温泉のまちづくりにおいて特筆すべき事項を3点述べたい。</p>
<p>まず、上記のように地域のまちづくりの取組が行政計画と連動して前進してきた点である。まち協の計画に記載された事業のうち大規模なものや法整備が必要なものは、行政によって具体化・実現され、それを受けてまち協は自分たちの施策を推進してきた。まち協と行政の連携により、都市計画レベルから観光がデザインされてきたと言えよう。</p>
<p>次に、まち協の強い牽引力を支える地元事業者の存在である。まち協には様々な主体が関与しているが、まち協の会長は代々道後温泉の宿泊施設関係者が務めており、幅広い主体の中でも特に彼らが中心となりまち協の取組を牽引してきたと言える。道後温泉は、複数の源泉の湯を分湯場においてブレンドして各施設に配湯している。湯を共同の資源としてきたという地域特性が、地元事業者が協力してまちづくりを進める姿勢につながったのかもしれない。</p>
<p>最後に、彼らにより進められてきた百年先を見据えたまちづくりである。百年先まで続く地域であるために、まち協は本館に、そして温泉にまでも依存しないまちづくりを掲げている。確かに道後では自然災害により温泉湧出が止まったことが過去に何度もあり、今後も湧出が止まる可能性がないとは言い切れない。そのため彼らは、幅広い角度からまちづくりに取り組み、本館・温泉に頼らない地域としての地力を強化してきた。</p>
<p>伊佐庭が築いた本館は百年先まで引き継がれたが、それだけでなく彼の精神も、百年先まで引き継がれてきた。その精神を体現しているのが、道後温泉誇れるまちづくり推進協議会の活動である。次の世代にも、そして今から百年先にも、道後を誇りに思い、さらに百年先まで続けたいという思いが引き継がれることを願っている。</p>
<p style="margin-top: 2em">
<h4>【参考文献】</h4>
<ul style="list-style-type: none">
<li>1) 道後温泉誇れるまちづくり推進協議会（2002）：第2次道後グランドデザイン「DO! GO! 21～クラシック＆モダン道後をめざして～」</li>
<li>2) 道後温泉誇れるまちづくり推進協議会（2006）：「道後温泉歴史漂う景観まちづくり宣言『道後百年の景』」</li>
<li>3) 道後温泉誇れるまちづくり推進協議会（2024）：道後温泉2050ビジョン</li>
<li>4) 道後温泉誇れるまちづくり推進協議会（2024）：道後温泉誇れるまちづくり推進協議会 31年の歩み（抄）</li>
<li>5) 道後温泉誇れるまちづくり推進協議会：「道後温泉歴史漂う景観まちづくり」</li>
<li>6) 松山市（2015）：道後温泉活性化計画</li>
<li>7) 松山アーバンデザインセンター（2022）：「松山の都市形成史2020」，2.道後温泉_2.3外湯文化の再生.</li>
<li>8) 公益財団法人日本交通公社（2014）：「温泉地における不易流行を考える―温泉地、温泉旅館の課題と展望」，『観光文化』，第223号，pp.22-23.</li>
<li>9) 公益財団法人日本交通公社（2020）：『温泉まちづくり研究会2020年総括レポート』，pp.19-28.</li>
</ul><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-dogo-hotspring-yamamoto/">百年先を見据え続ける道後温泉のまちづくり　[コラムvol.527]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>「自律的」な観光振興とは何かを考える－欧州の「観光事業者税」をケースに－ [コラムvol.514]</title>
		<link>https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-tourism-promotion-ezaki/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=column-tourism-promotion-ezaki</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[webkamitomo]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 13 Sep 2024 04:24:15 +0000</pubDate>
				<guid isPermaLink="false">https://www.jtb.or.jp/?post_type=column&#038;p=52976</guid>

					<description><![CDATA[<p>全国各地で、宿泊税を中心とした観光財源の検討が進んでいます。通常、観光財源の検討にあたっては、観光財源確保のメニューをいくつか提示・検討したうえで、地域内で議論し、選択していくことになります。 このような地域内での議論の･･･</p>
<p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-tourism-promotion-ezaki/">「自律的」な観光振興とは何かを考える－欧州の「観光事業者税」をケースに－ [コラムvol.514]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>全国各地で、宿泊税を中心とした観光財源の検討が進んでいます。通常、観光財源の検討にあたっては、観光財源確保のメニューをいくつか提示・検討したうえで、地域内で議論し、選択していくことになります。</p>
<p>このような地域内での議論のなかで、欧州の一部の地域で実施されている「観光事業者税」の事例が稀に参照されることがあります。観光事業者税とは、域内に所在する事業者から観光振興のための税を徴収するものであり、宿泊税と併せて、地域の観光財源としているものです。</p>
<h3>観光事業者税の仕組み：オーストリア・レッヒ村（フォアアールベルク州）</h3>
<p>オーストリアの山岳リゾート地であるレッヒ村における観光事業者税について参照してみたいと思います。</p>
<p>レッヒ村では、観光財源を調達する手段として、宿泊客から徴収する「宿泊税」と市内の全事業者から徴収する「観光事業者税」を設けています。レッヒのDMOであるレッヒ観光局（Lech-Zürs Tourismus GmbH）の2023-24予算総額約600万€（約9億円）における観光財源の内訳を見ると、宿泊税収入が40%、観光事業者税が31%と、全体の約7割を公的財源として占めています。なお、残りの約3割は事業活動等となっています。このように、観光事業者税は、レッヒ観光局における重要な観光財源となっています。</p>
<figure>
    <img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/09/514-image2.png" alt="コラム画像514-1"><figcaption style="text-align: right"><cite>レッヒ観光局 2023/24予算における収入内訳<br />
    （Lech-Zürs Tourismus GmbH 2022-23アニュアルレポートより筆者作成）</cite><br />
    </figcaption></figure>
<p>レッヒ村はいわゆる「基礎自治体」レベルの単位ですが、欧州では、宿泊税や観光事業者税の根拠は、州法レベルでルールが設定されており、それに各自治体が従う形となります。</p>
<p>レッヒ村が位置するフォアアールベルク州の観光法では、自治体が観光振興に注力をする場合は、州政府に対し、「観光自治体」としての宣言をすることができるとしており、観光自治体を宣言することで、観光事業者税といった公的財源の確保が可能となります。また、一定の宿泊客数を有する観光自治体は、観光振興業務を担う有限会社等（GmbH）の設立（いわゆる「観光局」）を設立し、活動費の半分以上の出資をすることが求められます。</p>
<p>つまり、観光振興で生きていくことを宣言した自治体は、法定組織である観光局の立ち上げと運営を求められ、これを運営する費用として、公的な観光財源（宿泊税、観光事業者税）を徴収する権利を得られる、という立て付けです。</p>
<figure>
<blockquote style="margin-left: 0;width: 100%">
<div style="background: #166dde;border: 1px solid #166dde;padding-left: 10px"><span style="color: #fff"><strong>フォアアールベルク州「観光の促進と保護に関する法律(観光法)」（抜粋）</strong></span></div>
<div style="border: 1px solid #166dde;font-size: 100%;padding: 10px">
<strong>（第2条）観光自治体としての宣言</strong><br />
観光が特に重要である自治体や、観光振興に特に力を入れている自治体は、市議会の決議によって <span style="color: #dc143c"><strong><u>観光自治体</u></strong></span>として宣言することができる。<br />
<strong>（第3条）地域組織</strong><br />
観光税を集め、過去3年間（11月1日～10月31日）の<span style="color: #dc143c"><strong><u>平均宿泊数が10万泊を超える観光自治体</u></strong></span>は、観光に関連する業務を遂行するため、定款に従い、<span style="color: #dc143c"><strong><u>営利企業の運営、有限会社（GmbH）への参加、またはこれらの業務を行う団体に参加しなければならない。自治体が有限責任会社に参加する場合、少なくとも51％の出資を引き受けなければならない。</u></strong></span><br />
観光関連業務の遂行を委託された市町村の組織単位または経済企業には、地名および「観光（Tourismus）」を付加した名称を付さなければならない。市町村が有限責任会社または社団法人に参加する場合は、その旨を表示しなければならない。<br />
<strong>（第6条）徴収の権限</strong><br />
第2条に基づき自らを<span style="color: #dc143c"><strong><u>観光自治体として宣言した自治体</u></strong></span>は、観光促進のための措置および施設にかかる費用を賄うために、<span style="color: #dc143c"><strong><u>観光事業者税（Tourismusbeitrag）を徴収する権限を有する。</u></strong></span><br />
<strong>（第7条）納税義務者</strong><br />
(1) 自治体内に所在する<span style="color: #dc143c"><strong><u>すべての事業者が課税対象</u></strong></span>なる。<br />
(2) この法律の意味において、経済的利益を目的とした行動は職業活動とみなされる。<br />
(3) この法律における「所在」とは、事業活動を行うために使用される特定の場所又は施設を指す。「所在」には、12か月以上にわたり作業が行われている又は行われる予定の倉庫、タクシー乗り場、建設現場も含まれる。<br />
(6) 連邦税法第34条から第47条に基づく非営利、慈善および教会目的の減税要件を満たす機関は、第1項の意味では課税の対象にならない。
</div>
</blockquote><figcaption style="text-align: right"><cite>出所　フォアアールベルク州資料https://www.ris.bka.gv.at/GeltendeFassung.wxe?Abfrage=LrVbg&amp;Gesetzesnummer=20000639<br />
    ＊2024年9月11日最終閲覧<br />
    和訳：筆者</cite><br />
    </figcaption></figure>
<h3>観光事業者税の計算例：レッヒ</h3>
<p>フォアアールベルク州法では、観光事業者税は、観光自治体内に所在するすべての事業者が課税対象となるとしていますが、業種によって納税額が異なります。観光事業者税の額は「課税対象売上高」から業種別の「課税基準」を乗じ、さらに「税率」を乗じて決定されます。</p>
<p>具体的にみると、まず、州内の自治体は、住民１人あたりの宿泊数により「クラス」が設定されます。続いて、産業の種別と自治体のクラスにより、７つの課税グループのいずれかに分類されます。この課税グループごとに、課税基準（＝売上高のうちの何％が納税額となるか）が決定されます。このように、自治体のクラスと業種により、「課税基準」が決定され、課税売上高と課税基準が掛け算され、最後に、調整として自治体ごとに設定される「税率」を乗じることで、納税額が決定されます。</p>
<p>※なお、具体の計算例や各クラス、グループの分類等は以下を参照ください。</p>
<p>このような設計の基本的な考え方は、観光地としての立地や観光客の来客による恩恵を受ける度合いが高い事業者ほど、観光事業者税の納税額が高くなる、ということです。</p>
<figure>
    <img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/09/514-image3.png" alt="コラム画像514-2"><figcaption style="text-align: right"><cite>出所　フォアアールベルク州資料をもとに筆者作成</cite></figcaption></figure>
<h3>地域経営の前提を考える　－日本で成り立つのか－</h3>
<p>先述した制度は、レッヒ村に限らず、欧州の一部の地域山岳リゾートにおいて適用されています。そのため、宿泊税同様に「日本でも導入しよう」という指摘もでてきます。が、単に日本国内に適用可能な観光財源確保の事例として扱うのではなく、制度設計の背景にある「地域経営の考え方」への着目が必要でしょう。</p>
<p>まず、欧米の多くの地域では、「自身の税収により地域経営を行う（＝自身で税収をあげないと地域は成立しない）」ということが前提であり、自主財源比率も高く、「自律」の意識が色濃い地域です。故に、自地域が生き残るために「自分たちの力や制度でどのように地域の価値を高めていくか」「正しい政策決定にコミュニティが納得するか」を考えることが必要不可欠となります。特に、今回とりあげたオーストリアは連邦制の国家であり、各州が主権を持つ強い地方分権制度を持ち、その社会制度や歴史的背景からも、「自治・自律」が強い文化を有していると言えます。このような地域においては、「観光を主要産業として経済を回すことで、地域経営を行っていくこと」についても、観光事業者以外も含めたコミュニティ全体が合意・推進することが前提であり、観光事業者税の制度も、この考え方が出発点にあると言えます。</p>
<p>日本国内において、上記の前提が成り立つ地域がまったく無いとは言い切れませんが、事業者の移動の流動性が比較的高く、また、自治体の税収の不足分を国が交付税等で補填するシステムであることも含め、日本と欧米では地域経営の考え方のベースや税システムが異なることを意識する必要があると言えるでしょう。</p>
<p>仮に日本国内の地域で同様の税制度を検討する場合には、欧米との税システムの違いを理解しつつ、「域内事業者・関係者の多くが『自律が地域経営を支える』という意識を持つこと」、「地域が観光にフォーカスすることによる恩恵が自身のビジネスを支えていることに（業種の差はあれど）、共通の理解を持つこと」、「これらの認識・理解を行政が適切にフォローし、また、各事業者が納得する観光戦略を描けること」といった、共通認識や信頼感をもとにした「合意形成」が官民で必要となります。これらのいずれかが崩れると、地域の一体感を損ねるだけでなく、事業者による訴訟や反対表明等による、地域づくりの後退を招く可能性があります。</p>
<p>このように考えると、「自律性」「コミュニティ理解」という面で、日本では現時点ではまだまだハードルが高いと言えるのではないでしょうか。</p>
<h3>おわりに</h3>
<p>観光事業者税をはじめとする欧米の「事例」と呼ばれる諸制度を参照することは地域の発展にとって必要な作業ですが、表層部分をすくってトレースすることは、かえって混乱を招く恐れがあることに注意が必要です。</p>
<p>当財団では、自主研究の一環として、観光財源研究会を立ち上げています。本研究会では、「適切な手法で確保した観光財源をしっかりと観光振興のために使われること」をミッションに、今後も研究活動を行っていきたいと思います。</p>
<hr />
<div id="zaigen">
<p>詳しくは以下をご覧ください。<br />
<a title="観光財源研究会ページ" href="https://www.jtb.or.jp/project/non-profit/network/zaigen/">観光財源研究会ページ</a></p>
</div><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-tourism-promotion-ezaki/">「自律的」な観光振興とは何かを考える－欧州の「観光事業者税」をケースに－ [コラムvol.514]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>多様性観光を支える視点：乳がんサバイバーの入浴支援から考える　[コラムvol.512]</title>
		<link>https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-cancer-suvivor-bathing-aizawa/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=column-cancer-suvivor-bathing-aizawa</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[webkakishima]]></dc:creator>
		<pubDate>Sun, 04 Aug 2024 23:00:14 +0000</pubDate>
				<guid isPermaLink="false">https://www.jtb.or.jp/?post_type=column&#038;p=52601</guid>

					<description><![CDATA[<p>過去のコラムでも触れたとおり、2021年度から私は誰もが旅行を楽しめるためのツーリズムのあり方について研究を行っており、特にがん患者・サバイバー（以降、「サバイバー」と表記します）に焦点を当てて取り組んでいます。 今回は･･･</p>
<p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-cancer-suvivor-bathing-aizawa/">多様性観光を支える視点：乳がんサバイバーの入浴支援から考える　[コラムvol.512]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>過去のコラムでも触れたとおり、2021年度から私は誰もが旅行を楽しめるためのツーリズムのあり方について研究を行っており、特にがん患者・サバイバー（以降、「サバイバー」と表記します）に焦点を当てて取り組んでいます。</p>
<p>今回はその中でも女性でもっとも罹患者数が多い乳がんに着目し、様々な取り組みの一部をご紹介します。</p>
<h3>乳がんサバイバーの特徴と旅行における課題</h3>
<p>乳がんは女性が罹患するがんの中で最も多く、昨今では日本人女性の約9人に1人が生涯で乳がんになると言われています。</p>
<p>また一般的に、がんは高齢になるに従って罹患する割合が増加する傾向にありますが、乳がんは40代後半が最初のピークであり、旅行にアクティブな若い年代の方にも多いことが特徴です。</p>
<p>そして乳房の手術跡等を気にして温泉入浴などにためらいを感じるサバイバーの方が多くいらっしゃいます。</p>
<p>2023年3月にがんサバイバー支援団体ReVivが、がんサバイバーを対象に実施した調査によると、がんと診断される前に比べて診断後は旅行頻度が減った／もしくは旅行をしなかった方に理由を尋ねたところ、「人目が気になる」が50％と最も多い結果となりました。本調査の対象者の8割超が乳がんサバイバーであることを踏まえると、外見の変化が旅行を妨げる大きな要因になっていることが示唆されます。</p>
<p><img fetchpriority="high" decoding="async" class="aligncenter size-full wp-image-52606" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/07/512_image2.png" alt="" width="800" height="452" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/07/512_image2.png 800w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/07/512_image2-708x400.png 708w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/07/512_image2-768x434.png 768w" sizes="(max-width: 800px) 100vw, 800px" /></p>
<p style="text-align: center"><small>出典：ReViv「がんサバイバーを対象とした旅行実態調査（2023年3月）」<br />（2022年（公財）日本対がん協会 がんアドボケート活動助成事業）</small></p>
<p>&nbsp;</p>
<h3>乳がんサバイバーの入浴を後押しする様々な取り組み</h3>
<p>外見の変化により旅行や温泉入浴をためらう乳がんサバイバーに対しては、様々な取り組みが行われています。その中から、私が研究を進める中でお話を伺ったり、実際に訪問させていただいたりしたいくつかの事例についてご紹介させていただきます。</p>
<ul>
<li><strong>ピンクリボンのお宿ネットワーク（事務局・株式会社旅行新聞新社）</strong></li>
<li><strong>ピンクリボン温泉ネットワーク（認定NPO法人J.POSH）</strong></li>
</ul>
<p>こちらについては、すでに「観光文化」252号で紹介しておりますので詳細は記事をご覧ください。</p>
<p>両者とも、乳がん患者に対して様々な配慮がなされた宿泊施設を紹介しており、各施設がどのような対応をしているかについての丁寧な説明もあり、サバイバーが宿泊施設を選ぶ大きな手助けとなっています。</p>
<p>また、J.POSHでは入浴着歓迎の啓発ポスターやステッカーの配布・販売、また入浴着の販売も行っています。</p>
<p>ピンクリボン温泉ネットワーク（認定NPO法人J.POSH HP）（新しいウィンドウで開く）</p>
<p>ちなみに入浴着については、厚生労働省が2023年2月に「専用入浴着の着用は清潔な状態で使用する場合は衛生管理上の問題はない」と発表し、公衆浴場等における入浴着を着用した入浴への理解促進について周知依頼を発出しました。</p>
<p>入浴着を着用した入浴にご理解・ご配慮をお願いします（厚生労働省HP）（新しいウィンドウで開く）</p>
<p>これをきっかけに、より一層入浴着についての理解が広がることを期待しています。</p>
<h3>乙女温泉</h3>
<p>最後に紹介するのは、大浴場への入浴を後押しする取り組みである「乙女温泉」です。</p>
<p>乙女温泉は2020年に乳がん経験者のコミュニティ「Reborn.R」が立ち上げた活動で、温泉や銭湯などの公衆浴場を貸切り、乳がんサバイバーを中心とした参加者だけで入浴を楽しもうというイベントです。特にユニークなのが、男湯も女湯も貸切って、片方は「ファースト銭湯」として多くの人と一緒に入るのに抵抗がある方向けに、もう片方は病気の有無を問わず利用する方（女性のみ）向けに分けている点です。私はこの取り組みの記事を目にし、当事者ならではのきめ細やかな心配りに感銘を受け、いつか自分も参加したいと思っていました。</p>
<p>そして、実際に参加の機会を得たのは、2024年5月に札幌市の定山渓の「ぬくもりの宿 ふる川」で開催された回でした。</p>
<p>同宿には複数の大浴場があるのですが、そのうちのひとつ「ぬくもりSPA」はもともとが専用の湯着を着用して入る浴場であることから、当日はこのフロアを貸切ってイベントが開催されました。</p>
<p>当日の様子は主催者である北海道テレビの阿久津ディレクターの公式ブログで紹介されていますので、ぜひそちらをご覧ください。</p>
<p>乳がん患者だけど腕を伸ばして温泉に入りたい！両側乳がんになりました２４３（SODANE HP）（新しいウィンドウで開く）</p>
<p>乙女温泉の取り組みは全国各地で展開されており、このコラムが掲載される頃にはちょうど東京開催イベントに私がまた顔を出しているかと思います。東京では会場が銭湯であり、私が最初に記事で拝見した形式での開催なので、札幌とはまた違った雰囲気が楽しめるのではと今からワクワクしています。</p>
<h3>選択肢を増やしていこう！</h3>
<p>上記の記事中でも写真で掲載されておりますが、参加者に配布された不織布の入浴着はチェックやストライプなどの模様が入っていたり体形が出にくい形になっていたりとデザインに工夫が凝らされています。イベント中には、裸で入浴することに抵抗がある外国人旅行者や体型を気にする若い人たちにも入浴着が広まればいいのに！という声が挙がっていました。</p>
<p>もちろん、すべての入浴施設がそうなるべきだとは思いませんが、入浴着着用が基本という施設が増えていってもいいと感じています。</p>
<p>というのも、本研究に取り組み始めて実感したのは、こうあるべき、という決めつけではなくて、こういう選択肢もある、という選択肢の提示が何より重要だということです。</p>
<p>これまで多くのがんサバイバーの方とお話しする機会がありましたが、話を聞くたびに痛感するのはがん種が異なれば悩みが違うのはもちろんのこと、同じ乳がんで同じ治療をしたとしても症状や悩みが異なることも珍しくないことです。</p>
<p>サバイバーの方の中には入浴着を喜んで着用される方もおられますし、目立つから利用したくないという方もいらっしゃいます。一方では手術痕をみられても構わないという方もいらっしゃいます。また、貸切風呂はプライバシーが尊重されるからありがたい反面、料金を払ってまで利用するのはちょっと、とためらう方もいらっしゃるでしょう。</p>
<p>すべての人が満足できるソリューションを提供することは到底不可能です。できることは、様々な事情や悩みを持つ方が常に周りにいらっしゃる可能性に想像を巡らせ、その人に寄り添って、自分たちが提供できうるだけの選択肢を提示することだと思います。</p>
<p>そして、その選択肢を増やすことに各々が取り組み続けていけば、誰もが安心して楽しめる旅行の実現に近づいていく、私はそう信じています。</p><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-cancer-suvivor-bathing-aizawa/">多様性観光を支える視点：乳がんサバイバーの入浴支援から考える　[コラムvol.512]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>草津温泉　―多くの人を惹きつけ続けるまちづくり　[コラムvol.511]</title>
		<link>https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-kusatsu-hotspring-yamamoto/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=column-kusatsu-hotspring-yamamoto</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[webkakishima]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 15 Jul 2024 07:20:54 +0000</pubDate>
				<guid isPermaLink="false">https://www.jtb.or.jp/?post_type=column&#038;p=52690</guid>

					<description><![CDATA[<p>草津温泉は、今勢いのある温泉地の一つと言えるだろう。2023年には過去最高の来訪者数を記録し、また観光経済新聞社主催「にっぽんの温泉100選」では21年連続1位を獲得している。実際にまちなかを見渡しても、浴衣を着てそぞろ･･･</p>
<p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-kusatsu-hotspring-yamamoto/">草津温泉　―多くの人を惹きつけ続けるまちづくり　[コラムvol.511]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<div class="container">
<p>草津温泉は、今勢いのある温泉地の一つと言えるだろう。2023年には過去最高の来訪者数を記録し、また観光経済新聞社主催「にっぽんの温泉100選」では21年連続1位を獲得している。実際にまちなかを見渡しても、浴衣を着てそぞろ歩きをする若者で昼夜問わず賑わっている。なぜ草津温泉はこれほどまでに多くの人を惹きつけ続けるのだろうか。草津温泉に関する書籍や考察は数多く存在し、全てを語ることはできないが、ここでは草津温泉のまちづくりの変遷を概観し、その魅力の理由を考察する。</p>
<h3>湯治場としての草津温泉</h3>
<p>草津は、強酸性で殺菌力の強い特殊な泉質が「万病に吉」とされ、療養泉・湯治場として長らく人気を誇ってきた。草津の地名が記録に現れるのは1472年の本願寺蓮如の湯治記事が最初と言われている。その後江戸時代に入ると草津は徳川幕府の天領となり、「天下泰平」により多くの平民が湯治として草津を訪れ、湯屋や湯宿が整備された。その評判ゆえに遠隔地からも湯治客が訪れたという記録が残っている。</p>
<p>明治期以降、多くの日本の温泉は都市住民の保養の場、慰安の場としての機能も持つようになっていった。しかし草津ではその泉質が病気の治療に有効だとされていたことやアクセスの悪さ等が要因となり、引き続き湯治場としての特性が保たれていた。</p>
<h3>ベルツによりもたらされた「保養地」という概念</h3>
<p>草津に影響を与えた人物として無視できないのが、1876年に来日したドイツ人医学者・ベルツ博士である。ベルツは東京医学校（現東京大学医学部）にて勤務していたが、草津温泉の泉質や「時間湯」を始めとする入湯法による医学的有効性、また周囲の豊かな自然環境に惹かれ、度々草津を訪れることとなる。草津の周辺部に新たな保養地を作るというベルツの計画は彼の帰国により途絶えたが、「温泉保養地」「リゾート」という概念をもたらしたという点で、ベルツ博士は草津に大きな影響を及ぼしたということができる。</p>
<p>またこの時期、草津温泉では「まちづくり」の芽生えともいえる動きが生じる。1887年に温泉改良会が発足したが、その際に集められた意見書には、草津の改良には村民一致の協力体制が不可欠だと記載されており、村民がまちづくりに関わる重要性が唱えられていると言える。</p>
<h3>スキー場開発・高原開発</h3>
<p>日本にスキー技術が伝えられたのは1911年だが、草津ではその4年後にあたる1915年にスキークラブが誕生した。その後1931年には日本初のスキー学校が草津に誕生し、1948年には地元スキークラブの有志により天狗山スキー場に日本最初のリフトが造られ、昭和40年代中頃までには草津全山にわたってスキー場が開かれた。このようなスキー場開発により、草津の客層は湯治客から観光客へと変化していくこととなる。</p>
<p>また、スキーの人気向上に伴う観光客増加に対応するため、昭和35(1960)年には高台の開拓・別荘地化の方針が記載された「草津高原都市構想」が発表された。その後昭和43(1968)年には地元資本により草津初の本格的リゾートホテルが誕生し、1970年代を中心に草津外の企業による別荘地開拓も積極的に行われた。石油危機を機に一旦土地開発は沈静化したものの、昭和50年代に入ると草津内外の企業によりリゾートマンションの開発が進められた。</p>
<h3>中心部の再開発・町並み環境保全開始</h3>
<p>周辺部で進むリゾート開発の一方で旧態依然としていた中心部の再開発が、昭和50年代頃より一気に進められた。昭和50(1975)年には、岡本太郎の設計により湯畑が再整備された。また、昭和43(1968)年には「時間湯」を行っていた熱乃湯が湯もみショーの場に生まれ変わる、昭和58(1983)年には共同湯「大滝の湯」が設置される等、中心部に着目した大規模な開発が行われた。</p>
<p>その一方で、昭和63(1988)年に「歴史と伝統を守る会和風村」が組織され、住民を中心としたまちづくりも進んだ。会は旧来の伝統的町並み景観や温泉情緒の大切さを認識した旅館により構成され、まずは湯畑に近い滝下通りにおいて電柱の移設や沿道の緑化、旧来の建築様式の再現などが行われた。</p>
<h3>低迷期における方針の再確認</h3>
<p>平成9～11年にかけて「草津温泉ブラッシュアップ計画」が策定された。バブル経済崩壊による低迷期を経てもう一度草津温泉の魅力をブラッシュアップしよう、という計画である。3年間かけて策定された本計画では、培ってきた温泉文化を見直し現代に新たな湯治場を再現するとされている。</p>
<p>また平成13年にはスキー需要の低迷に伴い、冬の誘客を再検討するために旅館組合を中心に「草津の冬を考える会」が発足した。議論の末、「草津は季節を問わず、売りは温泉そのもの」という結論にまとまり、「泉質主義」宣言が発表された。この宣言は、現在でも草津において大きく掲げられている。</p>
<p>その後平成15年には「草津温泉歩きたくなる観光地づくり」に向けた調査が行われ、ワークショップ等には数百人が参加する等、住民のまちづくりへの参画は継続して行われた。</p>
<h3>「街づくり協定」に基づく官民によるまちづくりの推進</h3>
<p>草津町は平成21(2009)年に景観行政団体となり、国土交通省の「街なみ環境整備事業」に基づいて景観づくりを推進する方針を定めた。「街なみ環境整備事業」を活用して補助金を受けるためには、まず地権者の2/3以上の合意を得て「街づくり協定」を締結する必要がある。そのため平成21(2009)年から各地区において順次勉強会やまち歩きを行い、街づくり協定を作成・締結した。その結果始まった「街なみ環境整備事業」には、行政による景観事業と、住民が行う修景事業が含まれる。前者については、湯畑に隣接する駐車場を撤去して共同浴場「御座之湯」建設（2013年完成）と賑わいを創出する「湯路広場」整備（2014年完成）を行う、「熱の湯」を再建する（2015年完成）等、湯畑を中心に大規模な事業が多数行われた。後者の修景事業については、行政による景観整備の効果が出始めると申請件数が増加していった。なお、修景の申請は地元により構成される「まちづくり協議会」にて審査される。住民が自ら、ルールに則った修景であるかをチェックするのである。低迷していた草津温泉の入込客数はこの頃から増加し始め、2023年の過去最高入込客数更新に至る。</p>
<p><img decoding="async" class="alignright" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/07/511-image2.png" alt="草津温泉開発" width="300"></p>
<p>その後、西の河原公園整備（2018年完成）、BAN ZIP TENGUのオープン（2019年）と天狗山スキー場の通年営業開始、「裏草津地蔵」整備（2021年完成）、草津温泉入口付近の「温泉門」整備（2023年完成）、天狗山スキー場におけるパルスゴンドラと飲食店整備（2023年完成）等と、行政による整備は次々と行われており、それに伴い民間の新たな投資も見受けられる。今後はバスターミナルの改修やスキー場におけるレストハウス建設も予定されており、草津温泉はまだまだ進化していくと予想される。</p>
<h3>これからの草津温泉</h3>
<p>草津温泉のまちづくりの歴史はこれだけでは語りつくすことができないが、上記の概観を踏まえてポイントを2点挙げる。まず草津温泉のまちづくりは、長い時間軸で進められてきた。泉質や豊かな自然環境、雪山、古い町並み等といった地域特性を活用しながら、時代の潮流に合わせて魅せるものや魅せ方を絶え間なく更新し、進化してきている。また、官民双方が主体的に取組を行ってきたという点も重要である。行政はまちづくりの骨格形成やハード更新を担い、また住民主体の取組が草津温泉のまちづくりを前に推し進めている。</p>
<p>ポストコロナの今、日本の多くの観光地は大きな環境変化に直面している。前代未聞の人材不足により、今後従業員のみならず民間事業者の後継者やまちづくりを担う人材も減少することが懸念されている。草津町も例外ではなく、人口減少が進んでいる。また行政によるハード整備の推進や観光客数の増加を受けて外部からの投資が行われている一方で、地元に根付いた事業者の体力低下も生じている。そういった状況を解決するためには、「サステナブル」「DX」等とも紐づいた抜本的な改革が必要なのではという声も聞かれる。また今までまちづくりを担ってきた世代が交代するタイミングで、外部参入者も含め次の世代にその精神を引き継げるかどうかも重要なポイントかと思われる。</p>
<p>様々な時代の変化を乗り越えてきた草津温泉が、今後またどのように危機を乗り越えていくのか、引き続き着目し続けたい。</p>
<h3>【参考文献・引用】</h3>
<ul>
<li>木暮金太夫・中沢晁編著(1990)：『ベルツ博士と群馬の温泉』 上毛新聞社</li>
<li>山村順次(1992)：『草津温泉観光発達史』，草津町役場</li>
<li>黒岩裕喜男(2012)：「泉質主義」を貫き時代を紡ぐ草津温泉，『観光文化』，第215号，pp.13-18</li>
<li>公益財団法人日本交通公社(2014)：<a href="https://www.jtb.or.jp/book/onmachi-report/onmachi-report-2013/">『温泉まちづくり研究会2013年度総括レポート』</a>，pp.29-76</li>
<li>写真（湯畑）：草津温泉観光協会写真ギャラリーより引用</li>
</ul>
</div><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-kusatsu-hotspring-yamamoto/">草津温泉　―多くの人を惹きつけ続けるまちづくり　[コラムvol.511]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>アフターコロナにおけるVR観光の認知度と訪問意向　[コラムvol.510]</title>
		<link>https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-postcovid-virtual-tourism-medai/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=column-postcovid-virtual-tourism-medai</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[webkakishima]]></dc:creator>
		<pubDate>Sun, 23 Jun 2024 15:01:55 +0000</pubDate>
				<guid isPermaLink="false">https://www.jtb.or.jp/?post_type=column&#038;p=52452</guid>

					<description><![CDATA[<p>はじめに 近年のDX推進にかかわる潮流のなかで、観光に新たな価値をもたらす可能性のあるデジタル技術の一つとしてAR・VR（拡張現実・仮想現実）が注目されています（Fan et al., 2022）。IDC(2022)は2･･･</p>
<p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-postcovid-virtual-tourism-medai/">アフターコロナにおけるVR観光の認知度と訪問意向　[コラムvol.510]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<h3>はじめに</h3>
<p>近年のDX推進にかかわる潮流のなかで、観光に新たな価値をもたらす可能性のあるデジタル技術の一つとしてAR・VR（拡張現実・仮想現実）が注目されています（Fan et al., 2022）。IDC(2022)は2022年時点でAR・VRの世界の市場規模が約138億米ドルであると試算しており、2026年には509億米ドルにまで成長すると予測しています。</p>
<p>観光分野での活用の文脈では、ここ数年はとりわけVR等を活用したバーチャルな観光体験が高い関心を集めてきましたが、この背景としては、新型コロナウイルス感染症の流行によりオンサイトでの旅行が制限されたことが大きいといえます(Lu et al., 2022; Yang et al., 2023)。コロナ禍において、こうしたバーチャルな観光体験は、旅行への関心を維持するためのプロモーションツールとしての役割や、自宅にいながら旅行気分を味わうための代替手段としての役割を担っていました。</p>
<p>では、コロナ禍を経てVR観光はどの程度市場に認知されたのでしょうか。また、旅行実施にかかわる環境がほぼコロナ禍前の水準にまで戻ったといえる昨今の状況において、VR観光を今後も利用したいと思う層はどれだけ存在するのでしょうか。今回のコラムでは、当財団が日本人を対象として独自に実施している「JTBF旅行意識調査」のデータをもとに、アフターコロナにおける日本人のVR観光の認知度と今後の利用意向についてみていきたいと思います。</p>
<p>なお、本コラムおよびバックデータである「JTBF旅行意識調査（2023年5月調査）」におけるVR観光の定義は「VR機器やPCでデジタル空間に再現された仮想的な観光地で旅行を疑似的に体験できるコンテンツ」としております。</p>
<p>また、今回使用する「JTBF旅行意識調査」のデータは2023年5～6月にかけて収集されたものであり、2024年6月現在の状況を反映したものではありませんので、ご留意ください。</p>
<p>※「JTBF旅行意識調査」の詳細については<a href="https://www.jtb.or.jp/research/statistics-tourist/">こちら</a>をご参照ください。</p>
<p>&nbsp;</p>
<h3>認知している層は6割弱、今後利用したい層は2割程度</h3>
<p>まずは国内市場全体の認知度と今後の利用意向についてみていきます。以下の図表1はVR観光の認知および経験について、図表2は今後利用したいと思うかについての、調査参加者全員の回答構成比を示しています。</p>
<h5 style="text-align: center"><span style="font-size: 12pt">図表1 VR観光に対する認知・経験有無</span></h5>
<p><img decoding="async" class="aligncenter wp-image-52457 size-medium" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/06/510-image2-586x400.png" alt="" width="586" height="400" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/06/510-image2-586x400.png 586w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/06/510-image2-768x524.png 768w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/06/510-image2.png 800w" sizes="(max-width: 586px) 100vw, 586px" /></p>
<p style="text-align: center"><small>出典：(公財)日本交通公社「JTBF旅行意識調査（2023年5月調査）」をもとに筆者作成</small></p>
<h5 style="text-align: center"><span style="font-size: 12pt">図表2　VR観光の今後の利用意向</span></h5>
<p><img decoding="async" class="aligncenter wp-image-52458 size-medium" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/06/510-image3-663x400.png" alt="" width="663" height="400" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/06/510-image3-663x400.png 663w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/06/510-image3-768x464.png 768w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/06/510-image3.png 800w" sizes="(max-width: 663px) 100vw, 663px" /></p>
<p style="text-align: center"><small>出典：(公財)日本交通公社「JTBF旅行意識調査（2023年5月調査）」をもとに筆者作成</small></p>
<p>VR観光を認知している層は（経験したことがある層を含めて）全体の58.0%となり、過半数がVR観光を何らかのかたちで見聞きしたことがあることがわかりました。一方で、これまでにVR観光を経験したことがある層は全体の1%にも満たないことが確認され、認知と経験の間に大きなギャップがあることが示唆されました。また、今後の利用意向に関しては全体の19.4%が「利用したい」と回答しており、パンデミック収束後もVR観光には一定の需要がありそうだということが確認されました。</p>
<h3>利用意向高めは「60代」「世帯年収400～500万円未満」</h3>
<p>　次に人口統計学的な変数との関係をみていきます。ここでは、年代、性別、世帯年収ごとの結果を参照しました。</p>
<h5 style="text-align: center"><span style="font-size: 12pt">図表3　VR観光の認知度と利用意向（年代別）</span></h5>
<p><img loading="lazy" decoding="async" class="aligncenter wp-image-52459 size-medium" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/06/510-image4-533x400.png" alt="" width="533" height="400" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/06/510-image4-533x400.png 533w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/06/510-image4-768x576.png 768w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/06/510-image4.png 800w" sizes="auto, (max-width: 533px) 100vw, 533px" /></p>
<p style="text-align: center"><small>出典：(公財)日本交通公社「JTBF旅行意識調査（2023年5月調査）」をもとに筆者作成</small></p>
<h5 style="text-align: center"><span style="font-size: 12pt">図表4　VR観光の認知度と利用意向（性別）</span></h5>
<p><img loading="lazy" decoding="async" class="aligncenter wp-image-52460 size-medium" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/06/510-image5-533x400.png" alt="" width="533" height="400" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/06/510-image5-533x400.png 533w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/06/510-image5-768x576.png 768w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/06/510-image5.png 800w" sizes="auto, (max-width: 533px) 100vw, 533px" /></p>
<p style="text-align: center"><small>出典：(公財)日本交通公社「JTBF旅行意識調査（2023年5月調査）」をもとに筆者作成</small></p>
<h5 style="text-align: center"><span style="font-size: 12pt">図表5　VR観光の認知度と利用意向（世帯年収別）</span></h5>
<p><img loading="lazy" decoding="async" class="aligncenter wp-image-52461 size-medium" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/06/510-image6-578x400.png" alt="" width="578" height="400" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/06/510-image6-578x400.png 578w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/06/510-image6-768x532.png 768w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/06/510-image6.png 800w" sizes="auto, (max-width: 578px) 100vw, 578px" /></p>
<p style="text-align: center"><small>出典：(公財)日本交通公社「JTBF旅行意識調査（2023年5月調査）」をもとに筆者作成</small></p>
<p>年代においては、「30代」「50代」の認知率が7割弱と高くなっています。利用意向は「60代」が23.8%で最も高くなりましたが、認知率は平均的な水準になっています。認知率と参加意向は必ずしも連動していないようです。「70代」に関しては認知率、参加意向ともに平均を大きく下回りました。一方、性別において顕著な傾向は確認されませんでした。世帯年収を軸とした集計結果においては、認知率は「1000万円以上」（70.2%）が他のセグメントと10ポイント以上の差をつけてトップとなりました。他方で、利用意向においては比較的世帯年収の高い「600～800万円未満」「800～1000万円未満」「1000万円以上」がいずれも全体平均を下回り、「400～500万円未満」（22.8%）が最も高くなりました。</p>
<h3>旅行習慣のある層は認知率が高めだが利用意向は低い</h3>
<p>従前の旅行頻度、コロナ前後での行動変容との関係もみていきます。以下の図表6、図表7はそれぞれコロナ禍前の国内旅行頻度別、コロナ禍前と比べた外出頻度別の、VR観光の認知度と利用意向を示しています。</p>
<h5 style="text-align: center"><span style="font-size: 12pt">図表6　VR観光の認知度と利用意向（コロナ禍前の国内旅行頻度別）</span></h5>
<p><img loading="lazy" decoding="async" class="aligncenter wp-image-52462 size-medium" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/06/510-image7-599x400.png" alt="" width="599" height="400" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/06/510-image7-599x400.png 599w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/06/510-image7-768x513.png 768w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/06/510-image7.png 800w" sizes="auto, (max-width: 599px) 100vw, 599px" /></p>
<p style="text-align: center"><small>出典：(公財)日本交通公社「JTBF旅行意識調査（2023年5月調査）」をもとに筆者作成</small></p>
<h5 style="text-align: center"><span style="font-size: 12pt">図表7　VR観光の認知度と利用意向（コロナ禍前と比べた外出頻度別）</span></h5>
<p><img loading="lazy" decoding="async" class="aligncenter wp-image-52455 size-medium" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/06/510-image8-599x400.png" alt="" width="599" height="400" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/06/510-image8-599x400.png 599w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/06/510-image8-768x513.png 768w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/06/510-image8.png 800w" sizes="auto, (max-width: 599px) 100vw, 599px" /></p>
<p style="text-align: center"><small>出典：(公財)日本交通公社「JTBF旅行意識調査（2023年5月調査）」をもとに筆者作成</small></p>
<p>まず、コロナ禍前の国内旅行頻度を軸とした集計結果に着目します。認知率は従前の国内旅行頻度と正比例の関係にありましたが、参加意向は旅行頻度が高いセグメントほど低くなることが確認されました。高い旅行経験や習慣を持つ人々がコロナ禍においてもある程度旅行を継続的に実施していたことを踏まえると（山田ら、2024）、もともと旅行頻度が高かった人々にとって、オンサイトでの旅行に制約が科された状況下でより広く普及したVR観光は、それほど魅力的にうつらなかった可能性があると言えます。</p>
<p>一方、コロナ禍前と比べた外出頻度については、外出頻度が「減った」と回答したセグメントが認知度、利用意向ともに最も高くなりました。自宅で過ごす時間が増えた人々にとって、外出せずに安全かつ気軽に旅行気分を味わえるVR観光は、より魅力的なものとして受け入れられる可能性があると考えられます。</p>
<h3>まとめ</h3>
<p>今回のコラムでは、コロナ禍がほぼ明けた昨今の状況においてVR観光がどの程度市場に認知され、今後も利用したい層はどれだけいるのかという観点から、アフターコロナにおける日本人のVR観光に対する意識をみてきました。</p>
<p>分析の結果、コロナ禍を経て市場の過半数がVR観光を認知している状況となったことがわかりましたが、同時に、そのなかで実際にVR観光を経験したことのある人々はごくわずかであり、一般消費者への普及はまだ途上にあるということも示されました。</p>
<p>回答者の属性やコロナ前後の旅行・外出の状況を軸とした分析の結果からは、VR観光はコロナ禍を経て外出頻度が減った人々などの特定の層においてはパンデミック後も一定の需要が見込まれることが確認されました。一方で、オンサイトでの旅行に積極的な層に対しては、「旅行体験」としてではなく、別の魅力を訴求する必要があることも示唆されました。</p>
<p>今回は「VR観光」を一括りにしましたが、実際にはVR観光には没入感の程度や用途が多様に存在します。教育目的や文化体験など、コンテンツが活用されるシチュエーションもさまざまです。コンテンツの特性や用いられるシチュエーションにも注目しながら、今後もVR観光の発展と市場での活用状況を追いかけていきたいと考えています。</p>
<h3>参考文献</h3>
<ul>
<li>Fan, X., Jiang, X. and Deng, N. (2022). Immersive technology: A meta-analysis of augmented/virtual reality applications and their impact on tourism experience. Tourism Management, 91, 6, 104534. Doi: 10.1016/j.tourman.2022.104534</li>
<li>IDC. (2022). IDC Spending Guide Forecasts Strong Growth for Augmented and Virtual Reality. https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prUS49916122. （最終閲覧日：2024年6月13日）</li>
<li>Lu, J., Xiao, X., Xu, Z., Wang, C., Zhang, M. and Zhou, Y. (2022). The potential of virtual tourism in the recovery of tourism industry during the COVID-19 pandemic. Current Issues in Tourism, 25, 3, 441–457. Doi: 10.1080/13683500.2021.1959526</li>
<li>Yang, T.-T., Ruan, W.-Q., Li, Y.-Q. and Zhang, S.-N. (2023). Virtual tourist motivation: the differences between virtual tourism and on-site tourism. Tourism Review, 78, 5, 1280-1297. Doi: 10.1108/TR-07-2022-0331</li>
<li>山田雄一、目代凪、五木田玲子（2024）「コロナ禍がもたらした旅行需要減少の構造に関する考察」日本国際観光学会論文集31巻、pp.47-54.</li>
</ul><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-postcovid-virtual-tourism-medai/">アフターコロナにおけるVR観光の認知度と訪問意向　[コラムvol.510]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>寺田寅彦と旅行　[コラムvol.509]</title>
		<link>https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-torahiko-travel-nasu/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=column-torahiko-travel-nasu</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[]]></dc:creator>
		<pubDate>Tue, 04 Jun 2024 05:11:00 +0000</pubDate>
				<guid isPermaLink="false">https://www.jtb.or.jp/?post_type=column&#038;p=52277</guid>

					<description><![CDATA[<p>人生のある一定期間を、文学に心を傾け、紙を食むように過ごした経験を持つ人は、万人とまでは言えないにせよ、意外に多いのではないかと思う。そのような時期に筆者が触れた文章の中でとりわけ水が合うと感じたのは、寺田寅彦の随筆であ･･･</p>
<p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-torahiko-travel-nasu/">寺田寅彦と旅行　[コラムvol.509]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>人生のある一定期間を、文学に心を傾け、紙を食むように過ごした経験を持つ人は、万人とまでは言えないにせよ、意外に多いのではないかと思う。そのような時期に筆者が触れた文章の中でとりわけ水が合うと感じたのは、寺田寅彦の随筆であった。</p>
<p>寺田寅彦（1878 &#8211; 1935）は、東京帝国大学に籍を置いた物理学者である。地震や津波に関する寅彦の言説は現代のメディアで定期的に取り上げられるため、今日においては防災・地震学者のイメージを抱く人があるかもしれない。実際に、寅彦は1923年（大正12年）の関東大震災の際、寅彦は事後調査に参加しており、また同大地震研究所の設立にも大きな役割を果たしている。<br />
職業的自然科学者としての事績を残す一方で、寅彦は絵画、音楽、俳諧などに深く親しむ芸術の人でもあった。こと文学については旧制高校時代から夏目漱石の薫陶を受け、その後生涯にわたって多数の作品を残した。</p>
<p>今般、偶然の機会を得て寅彦の随筆を読み返すと、旅行を題材とした小品が、過去の印象よりもずっと多くあることに気付いた。観光に関わる仕事をする立場となって、以前とは見え方が変わったのかもしれない。ちょうど本稿を書くタイミングが重なったので、印象的な作品を幾つか取り上げてみることにした。<br />
なお、本稿に挙げる寅彦の随筆は既に著作権が消滅しており、正当な方法によってweb上に全文が公開されている。逐一リンクを張ることは避けるがwebブラウザ上で読むことができるので、気になった作品については検索し、触れて頂ければ嬉しい。</p>
<h3>旅と随筆</h3>
<p>『東上記』は、1899年（明治32年）帝大への進学にあたって上京する青年の、瑞々しい旅行記である。京都から逢坂の関を越えて至った琵琶湖を「鳰の海」と記し、百足山（三上山）を望んで大百足退治の伝説を思い起こす様子は、詩歌や物語の中にあった「ナドコロ」の実在を確かめるような、旅への新鮮な高揚が伺える。</p>
<p>上京からちょうど10年後の1909年（明治42年）、理学博士となり助教授の職を得た寅彦は欧州へ留学する。中国から香港、シンガポール、その後はマラッカ海峡を抜けてペナン（マレーシア）、コロンボ（スリランカ）に寄港し、スエズ運河を経て地中海に至る船旅の道程は、『旅日記から』に見ることができる。留学先であるベルリンでの生活や、欧州各地への訪問について記した作品は複数あるが、『異郷』や『二つの正月』はその端的な例である。留学を終えた寅彦は1911年（明治44年）にアメリカを経由して日本に帰国するが、『チューインガム』に描写される同国でのカルチャーギャップや税関での待遇は、海外での一種独特な居心地の悪さを思い起こさせる。</p>
<p>帰国後、寅彦は終生東京に居を定めたが、国内各地へのさまざまな形での旅行を随筆に残している。『札幌まで』では旅の目的は明示されていないが、文中に「大学構内」とあることから、札幌市内の北海道帝国大学を訪問したのだろうか。やや淡々とした筆致からは、現代にも通底する出張旅行の雰囲気が感じられる。『静岡地震被害見学記』は1935年（昭和10年）7月に発生した静岡地震の被災地を訪れた際の記録であるが、岸壁や民家の損壊に関する描写や考察など、業務的な往訪記録の趣が感じられる。また、『浅間山麓より』『小浅間』『小爆発二件』など複数の作品には、信州浅間山周辺への訪問や観察の様子が描写されている。浅間山麓峰の茶屋には1933年（昭和8年）に火山観測所が設置され、同施設は翌年に東大地震研究所へ移管されている。後述する夏季休暇の滞在拠点が近隣の軽井沢であったため、避暑旅行と合わせて訪問したケースもあったと思われるが、こちらも自然科学者としての仕事の意味合いが強いだろう。</p>
<p>これら硬めの旅行記録とは対照的に、『箱根熱海バス紀行』における家族旅行の様子はいかにも楽しげである。また『軽井沢』『沓掛より』『高原』『あひると猿』には、毎年の定宿であったらしい信州星野温泉への、家族連れ立っての避暑旅行が綴られている。植物を観察し、鳥の声を聴く滞在の様子は全体に牧歌的である。年によってはここで2週間を過ごしたとあるから、まさに世界水準の高原リゾート滞在といえる。余談となるが、（本稿の）筆者が観光業界に縁もゆかりもなかった時分に、これらの滞在記を始めて読み、「星野って、あの星野？」と素朴きわまる発見をしたことを覚えている。</p>
<p>安楽で快適な避暑旅行が書かれる一方で、友人とともに都会の喧騒を離れて足を伸ばした『伊香保』では、何かにつけて小さなトラブルに見舞われる、ままならない旅行の様子が綴られる。同じ旅館に投宿した団体旅行客の賑わいを苦々しく、それでいて完全に無視するでもなく、時におかしみを感じながら描写するまなざしには、共感を覚えなくもない。</p>
<p>遠方を訪れる旅行に加えて、寅彦は都内近郊にもしばしば脚を伸ばしたようだ。銀座界隈や百貨店へのちょっとした訪問の記録は、『丸善と三越』『銀座アルプス』『コーヒー哲学序説』など複数の作品に描写されている。これらは旅行とまでは言えないかもしれないが、震災後の京橋方面へ花火見物に出かける『雑記（２』、風景画や写真の題材を探して都内近郊を散策する『写生紀行』『カメラをさげて』には、週末の「銀ブラ」の延長線上にありながら、一定の目的を定めた小旅行の雰囲気が感じられる。</p>
<p>『異質触媒作用』のうちの一編では、運転手付きの自動車を仕立てて、都内から奥多摩方面へドライブに出かけている。同編が書かれた1933年（昭和8年）時点の自動車旅行は、「自動車で田舎へ遊山に出かけるというようなことは（中略）奢りの極みであるような気が何となしにしていた。二十年前にはたしかにそうであったにちがいないが、今ではもうそれほどでもなさそうに思われた」といった位置づけで、簡易ながら「鉄道省で出来た英文のモーターロードマップ」なども発行されていたようだ。「杉並区のはずれでやっとともかくも東京を抜け出す」という描写からは、戦前における東京都市圏の範囲とその後の膨張を思わせる一方で、「どこまで行ってもなかなか田舎らしい田舎へ出られないのに驚いた」という感想は、現代にも共通するものがあるかもしれない。帰路の一幕には夕景の中の「武蔵野特有の雑木林の聚落」の美しさが綴られており、国木田独歩の『武蔵野』に描かれた景のイメージは、この頃には既に広く共有されていたことが伺える。</p>
<p>この他、寅彦は記憶の中にある過去の旅行についても、その思い出を振り返る形で幾つかの随筆を残している。『初旅』には、中学時代の後半に甥と2人で、大人を連れずに出かけた初めての旅行が綴られている。旧制中学校であるから現代の中学生より年齢は少し上であるが、寅彦の郷里である高知県から淡路島の室津まで、「往復四、五日の遠足」というから、初旅としては大胆な部類に入るのかもしれない。『どんぐり』で描写されるのは自宅から植物園へのごく小さな旅行であるが、そこには既に思い出の人となった、乾いた喪失の悲しみがある。『夏』には夏を題材とする小品4点が集められているが、ここでは洋行中に遭遇した各地の暑熱や、中学校時代の京都への修学旅行、旧制高校時代に訪れた炭鉱の見学、帝大時代に行った釜石への調査行など、さまざまな非日常の「夏」が切り取られている。</p>
<h3>まなざしの感覚</h3>
<p>以上に挙げたものは全体の一部であるが、寅彦は自身のさまざまな旅行を、随筆の形で筆まめに記録した。その見聞や思索の過程は落ち着いた筆致でありながら、不思議と心に迫るものがある。端的に言えばそれは稀有なセンスの賜物であろうが、文学的な才覚以外に要因を求めるのであれば、寅彦は観察・鑑賞の対象となる物事や風物だけでなく、それらを視るにあたっての「見かた」、まなざしに対する鋭敏な感覚を有していたのではないかと思う。</p>
<p>『伊吹山の句について』で、寅彦は芭蕉の句「おりおりに息吹を見てや冬ごもり」に関する議論に触発され、伊吹山周辺の地形や冬季の気候について思索を巡らせている。地形は地形図に、気候は測候所から取り寄せたデータに基づいて考察する様子は自然科学者的な態度であるが、一方では伊吹山の山容について、「急峻な姿をしているのであるが、大垣から見れば、それほど突兀たる姿をしていないだろう」「富士のような孤立した感じはないに相違ない」など、その山麓から仰望した「感じ」についても言及している。</p>
<p>『田園雑感』には都会と田舎の人の違い、自然の美しさ（同作における表現では「親切さ」）、失われつつある国内の習俗、などが語られるが、自然や習俗そのものが有する価値と並列に、その深淵や背景を認めうるまなざしについても言及しているように思われる。例えば、寅彦は冒頭で自身が今のところは都会での生活を希望し、実行していると述べた上で、次のような話題を挙げている。</p>
<p>六つになる親類の子供が去年の暮れから東京へ来ている。これに東京と国とどっちがいいかと聞いてみたら、おくにのほうがいいと言った。どうしてかと聞くと「お国の川にはえびがいるから」と答えた。<br />
この子供のえびと言ったのは必ずしも動物学上のえびの事ではない。えびのいる清洌な小川の流れ、それに緑の影をひたす森や山、河畔に咲き乱れる草の花、そういうようなもの全体を引っくるめた田舎の自然を象徴するえびでなければならない。東京でさかな屋から川えびを買って来てこの子供にやってみればこの事は容易に証明されるだろう。<br />
私自身もこのえびの事を考えると、田舎が恋しくなる。しかしそれは現在の田舎ではなくて、過去の思い出の中にある田舎である。えびは今でもいるが「子供の私」はもうそこにはいないからである。<br />
しかしこの「子供の私」は今でも「おとなの私」の中のどこかに隠れている。そして意外な時に出て来て外界をのぞく事がある。</p>
<p>『案内者』における主題は科学における案内者であるが、その書き出しは旅行と、旅行案内記から始まる。同作ではある場所で旅行案内（を入念に予習した同行者の案内）によって、見逃してはならない景色を鑑賞することができた経験を紹介する一方で、「読んだ案内書や聞いた人の話が、いつまでも頭の中に巣をくっていて、それが自分の目を隠し耳をおおう」として、事物を視るまなざしを事前に準備することの利点と欠点を挙げている。</p>
<p>「目はその言葉におおわれて「物」を見なくなる。」という一節は、ともすれば口コミやガイドブックの再確認、SNSで見た風景の再現に腐心する現代的な旅行への警句とも取れるかもしれない。また同時に、「職業的案内者がこのような不幸な境界に陥らぬためには絶えざる努力が必要である」との指摘は、科学における案内者として教鞭を取った寅彦の自省的な言及であったようにも思われる。</p><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-torahiko-travel-nasu/">寺田寅彦と旅行　[コラムvol.509]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>外に出て身体を動かすことがくれる、病と共に歩む力 [コラムvol.498]</title>
		<link>https://www.jtb.or.jp/researchers/column/colmun-inclusive-tourism-2-aizawa/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=colmun-inclusive-tourism-2-aizawa</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[webkakishima]]></dc:creator>
		<pubDate>Sun, 12 Nov 2023 22:58:47 +0000</pubDate>
				<guid isPermaLink="false">https://www.jtb.or.jp/?post_type=column&#038;p=48903</guid>

					<description><![CDATA[<p>前回のコラムでも触れたとおり、ここ数年の私は慢性疾患、特に患者数が多いがんサバイバーに着目して、安心して旅行やアクティビティを楽しめるための調査研究に取り組んでいます。 医療の進歩に伴い、増え続ける「がんサバイバー」 が･･･</p>
<p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/colmun-inclusive-tourism-2-aizawa/">外に出て身体を動かすことがくれる、病と共に歩む力 [コラムvol.498]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>前回のコラムでも触れたとおり、ここ数年の私は慢性疾患、特に患者数が多いがんサバイバーに着目して、安心して旅行やアクティビティを楽しめるための調査研究に取り組んでいます。</p>
<h3>医療の進歩に伴い、増え続ける「がんサバイバー」</h3>
<p>がんサバイバーに着目した背景には、前回のコラムで患者数が増加傾向にあること、勤労世代である64歳以下の患者が全体の約３割に上ることを挙げましたが、その他にも医療の進歩によって生存率が向上することに伴い、がんサバイバーの数が増加していることが挙げられます（図1）。がんの治療期間は１年以上におよぶことも少なくなく、がん種によっては10年にわたって投薬治療が必要となる場合もあります。また、治療後にがんが一定期間消失した場合に寛解とみなされますが、その期間は5年または10年におよび、がんサバイバーは治療中から治療後の長期にわたって疾病とつきあいながら社会生活を送ることを余儀なくさせられます。</p>
<p>そのため、今年3月に閣議決定された第4期「がん対策推進基本計画」では３つの柱のうちのひとつに「がんとの共生」が掲げられており、官民が連携して様々な取り組みが行われています。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p style="text-align: center"><b>図1 年齢調整死亡率・罹患率年次推移</b></p>
<p><img decoding="async" class="aligncenter size-medium wp-image-47312" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/11/498_image1.jpg" alt="" /></p>
<p style="text-align: right"><small>（注）基準人口は昭和60年（1985年）モデル人口を使用<br />
元データ：高精度地域がん登録罹患データ、人口動態統計死亡データ<br />
出所：がん情報サービス（https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/1_all.html） </small></p>
<p>&nbsp;</p>
<h3>病気や副作用の悩みから解放される貴重なひととき</h3>
<p>「がんとの共生」に向けた取り組みのひとつに、公財）日本対がん協会が毎年開催している「がん患者さんの立場に立って社会的な問題解決に取り組む活動」を推進する人を養成するプログラム「がんアドボケートセミナー」があります。私は昨年のセミナーに参加し、前回のコラムで書いた治療中に高尾山に登ったエピソードを紹介しつつ、「誰もが安心して旅行やアクティビティを楽しめる環境づくり」を目指していることを発表しました。</p>
<p>すると、同セミナーに参加していたがんサバイバーの就労を支援する「一社）がんと働く応援団」の共同代表理事である吉田ゆりさんと、プロのスポーツトレーナーで大阪国際がんセンター認定の「がん専門運動指導士」として活躍されている石野田神さんが関心を寄せてくださり、がんサバイバーの方たちと一緒に高尾山を目指すプロジェクト「ゆる²トレプロジェクト」を共に立ち上げることとなりました（注：同プロジェクトは当財団研究員の立場ではなく、個人的な活動として行っています）。</p>
<p>同プロジェクトでは、まず石野田さんが中心となって高尾山に登るための体力をつけるためのオンライントレーニングプログラムを展開し、3月には私が主担当として代々木公園でウォークイベント、５月には高尾山のハイクイベントを開催しました。 ５月の高尾山イベントの日はあいにくの雨模様だったことから安全性を考慮して急遽おしゃべり会に変更となりましたが、3月の代々木公園のウォークイベントは天気に恵まれ、23人の方にお集まりいただきました。</p>
<p>ウォークイベントでは、各自が自己紹介した後、石野田さんとがん専門運動指導士の村上理香さんから準備運動や歩き方の指導を受けて、花が咲き始めた公園内を一周しました。</p>
<table border="0" cellspacing="">
<thead>
<tr valign="middle">
<th width="5%" height="10"> </th>
<th width="40%" height="10"><img loading="lazy" decoding="async" class="aligncenter size-full wp-image-48907" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/11/498_image2.png" alt="" width="800" height="450" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/11/498_image2.png 800w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/11/498_image2-711x400.png 711w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/11/498_image2-768x432.png 768w" sizes="auto, (max-width: 800px) 100vw, 800px" /></th>
<th width="10%" height="10"> </th>
<th width="40%" height="10"><img loading="lazy" decoding="async" class="aligncenter size-full wp-image-48908" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/11/498_image3.png" alt="" width="800" height="600" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/11/498_image3.png 800w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/11/498_image3-533x400.png 533w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/11/498_image3-768x576.png 768w" sizes="auto, (max-width: 800px) 100vw, 800px" /></th>
<th width="5%" height="10"> </th>
</tr>
</thead>
<tbody>
<tr valign="middle">
<td width="5%" height="10"> </td>
<td width="40%" height="10"> </td>
<td width="10%" height="10"> </td>
<td width="40%" height="10"> </td>
<td width="5%" height="10"> </td>
</tr>
</tbody>
<tfoot>
<tr align="right">
<td width="5%" height="10"> </td>
<td width="40%" height="10"><img loading="lazy" decoding="async" class="aligncenter size-full wp-image-48905" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/11/498_image4.png" alt="" width="800" height="450" /></td>
<td width="10%" height="10"> </td>
<td width="40%" height="10"> </td>
<td width="5%" height="10"> </td>
</tr>
</tfoot>
</table>
<p>イベントはおおいに盛り上がり、初対面の方も多くいるにもかかわらずあちこちで話に花が咲き、笑顔が多く見られる楽しい会となりました。</p>
<p>会の締めくくりには参加者のみなさんから感想をいただいたのですが、中でも「一般的な患者会だったら来なかった。なぜなら病気の話はしたくないから。でも、このイベントはただゆるく体を動かすというのが趣旨だったから来てみようと思った」という声を聞けて、このイベントを開催してよかったと改めて感じることができました。</p>
<p>また、治療は様々な副作用を伴いますが、その中でも抗がん剤の影響による手足の痺れは数年単位で続く人も少なくありません。参加者の方にも残る痺れに悩む方がいたのですが、その方がイベントの終わりにぽつりと「あ、そういえば痺れのこと忘れていた」とおっしゃったのです。もしかしたら身体を動かすことで血行がよくなったからかもしれませんが、おそらくイベントに集中していたことで痺れのことを忘れていたという部分が大きかったのではないかと思います。</p>
<p>後遺症だけでなく、がんサバイバーには常に再発に対する不安がつきまといます。そのため、たとえ少しの間でも病気のことを考えずに済む時間というのは、病を得た人間にとっては望んでも容易には得られないかけがえのないひとときです。</p>
<p>ですから、イベント中は病気や副作用のことを忘れていたという参加者のお話を聞いたときは何よりもうれしく、外に出て身体を動かすことがもたらす効能は、病と共生する人たちが前に進むための後押しになると確信した瞬間でした。</p>
<p>スマホゲーム「ポケモンGO」を開発したNiantic社創業者のジョン・ハンケ氏は「どうやったら世界を変えられるか？」という問いに対して、「人が外に出れば世界は変わる」と信念のもと、「ポケモンGO」の前身となる位置情報ゲームを開発したと言われています。</p>
<p>私たちの取り組みは「ポケモンGO」と比べたらごくささやかで、どこまでの影響を与えられるかはわかりませんが、外に出かけることがもたらす力をひとりでも多くのサバイバーたちにお届けできるように引き続き取り組んでいきたいと思います。</p>
<p>また、当財団の研究員の立場としては、学術面での検証や先進事例の調査等を通じて、がんをはじめとした慢性疾患と共生する方たちが安心して旅行やアクティビティを楽しめるための環境づくりにアプローチしていくべく、今後も取り組んでまいります。</p>
<p>&nbsp;</p>
<p>なお、上記イベントの開催にあたりましては、公財）日本対がん協会から助成金と多大なるご協力をいただきました。この場を借りて深くお礼申し上げます。</p><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/colmun-inclusive-tourism-2-aizawa/">外に出て身体を動かすことがくれる、病と共に歩む力 [コラムvol.498]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>地域ならではのサステナビリティの見せ方　[コラムvol.497]</title>
		<link>https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-destination-sustainable-yamamoto/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=column-destination-sustainable-yamamoto</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[webkakishima]]></dc:creator>
		<pubDate>Tue, 24 Oct 2023 12:29:56 +0000</pubDate>
				<guid isPermaLink="false">https://www.jtb.or.jp/?post_type=column&#038;p=48866</guid>

					<description><![CDATA[<p>コロナ禍が明けた今、サステナブルであることは旅行先として選んでもらう上で大切な条件となりつつあります。では、地域がサステナブルな取組をしているということを、どのように観光客に伝えればよいのでしょうか。 例えば太陽光発電を･･･</p>
<p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-destination-sustainable-yamamoto/">地域ならではのサステナビリティの見せ方　[コラムvol.497]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>コロナ禍が明けた今、サステナブルであることは旅行先として選んでもらう上で大切な条件となりつつあります。では、地域がサステナブルな取組をしているということを、どのように観光客に伝えればよいのでしょうか。</p>
<p>例えば太陽光発電を導入する、再生素材で作られた歯ブラシを販売する、等と、古いシステムを刷新したり新たな取組を始めるというのも重要な手法の一つです。しかしそれだけではなく、地域で長らく続けられてきた取組をサステナブルなものとして捉え、見せていくというやり方も有効です。</p>
<p>当財団は「温泉まちづくり研究会」という、全国の7つの温泉地が集まり、共通の課題について解決の方向性を探り各地の温泉地の活性化に資することを目指す研究会を運営しています（<a href="https://www.jtb.or.jp/project/non-profit/network/onmachi/" target="_blank" rel="noopener">https://www.jtb.or.jp/project/non-profit/network/onmachi/</a>）。研究会に参加する地域の取組の中から、地域ならではサステナビリティを発信している事例をご紹介します。</p>
<h3>海とのつながりを発信する鳥羽温泉郷</h3>
<p>鳥羽の観光にとっては、海の恵みは欠かせない資源です。伊勢海老、アワビ等の海産物に加え、海女、真珠養殖等鳥羽の文化も重要な観光資源となっています。しかし近年は海の環境変化により漁獲量減少が続いていたり、漁業者や海女の人口が減少していたりと、鳥羽の海とそこで育まれてきた文化は危機にさらされています。鳥羽市では、それらを守るための取組が以前から数多く行われてきました。</p>
<ul>
<li>海の植林活動<br />
海産物の生育には海藻が不可欠ですが、鳥羽の近隣の海では、磯焼けと呼ばれる藻場の減少が進んでいます。そのような状況を受け、海に藻場を造成する取組が長年にわたり行われています。当初は水産関係者の手により行われていましたが、現在は様々な主体を交えて取組が続けられています。</li>
<li>漁業と観光の連携促進事業　 ―漁観連携<br />
漁業が直面する様々な課題を踏まえ、鳥羽市観光協会、市、鳥羽磯部漁業協同組合による連携が2014年より開始されました。鳥羽の海産物の情報発信、地産地消、海を舞台にした体験、海女さんや食文化の保全、漁業の活性化を戦略分野とし、多岐にわたる活動を行っています。</li>
<li>海女の支援活動<br />
海女の支援を目的に、2015年に鳥羽市観光協会内に「海女さん応援基金」が設立されました。一部の宿泊プラン料金の１％や、宿泊施設等に海女が訪れてトークをするプログラムの料金の一部を基金として積み立てます。積み立てた資金は、海女さんの応援事業や海の環境保護、水産資源の保護に活用されます。</li>
</ul>
<p>海や、海で育まれてきた文化を守るこれらの活動は、サステナブルなものとして捉えられるでしょう。近年は、これらを観光客に改めて発信する取組が行われています。鳥羽市役所は教育旅行や企業研修旅行を見据え、鳥羽で今まで行われてきた取組をSDGsに当てはめてまとめています。また鳥羽温泉振興会では、「海藻」「海女」というテーマにフォーカスして、鳥羽が大切にしてきた資源やそれにまつわる思いを観光客にPRしています。</p>
<div style="width: 576px" class="wp-caption aligncenter"><img loading="lazy" decoding="async" class="wp-image-48871 size-full" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/497_image1.png" alt="「鳥羽のSDGsまなブック」" width="566" height="800" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/497_image1.png 566w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/497_image1-283x400.png 283w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/497_image1-425x600.png 425w" sizes="auto, (max-width: 566px) 100vw, 566px" /><p class="wp-caption-text">図　「鳥羽のSDGsまなブック」</p></div>
<p>&nbsp;</p>
<div id="attachment_48872" style="width: 810px" class="wp-caption aligncenter"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-48872" class="size-full wp-image-48872" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/497_image2.png" alt="鳥羽温泉郷HPの海女PRページ" width="800" height="471" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/497_image2.png 800w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/497_image2-679x400.png 679w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/497_image2-768x452.png 768w" sizes="auto, (max-width: 800px) 100vw, 800px" /><p id="caption-attachment-48872" class="wp-caption-text">図　鳥羽温泉郷HPの海女PRページ</p></div>
<h3>”循環“型温泉地を目指す黒川温泉</h3>
<p>黒川温泉は1986年以降、入湯手形の導入、景観づくり活動、共同資源の活用に取り組んできました。活動を開始した当時から、それらは今でいう「サステナブル」な考えに基づいたものだったと言うことができます。入湯手形は地元の杉を活用して作成され、利益は地元の老人会に還元されます。また景観づくりにおいては累計2万本に及ぶ植林を行っていました。その後現在にいたるまで黒川温泉では、地元の自然や経済に寄与する様々な取組が行われてきました。</p>
<ul>
<li style="list-style-type: none;">
<ul>
<li>湯あかり<br />
放置竹林から地域の環境や景観を守るために、竹の間伐・再生活動の一環として2012年より「湯あかり」の取組が始まりました。竹で作られた灯籠を、自然の景観に溶け込むように配置して点灯させる湯あかりは、毎年好評を得ている冬のイベントです。</p>
<p><div id="attachment_48868" style="width: 810px" class="wp-caption aligncenter"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-48868" class="wp-image-48868 size-full" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/497_image3.jpg" alt="図　黒川温泉の湯あかり" width="800" height="600" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/497_image3.jpg 800w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/497_image3-533x400.jpg 533w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/497_image3-768x576.jpg 768w" sizes="auto, (max-width: 800px) 100vw, 800px" /><p id="caption-attachment-48868" class="wp-caption-text">図　黒川温泉の湯あかり</p></div>
</li>
<li>野焼き<br />
阿蘇の草原は、何百年もの間野焼きによって保たれてきました。毎年黒川牧野組合の組合員が総出で行う野焼きは、早春の風物詩となっています。</li>
<li>Farm to Tableプロジェクト<br />
地産地消への取組を深めるために、熊本県立大学、南小国町と連携して、地域独自の食文化を調査するプロジェクトです。調査により得られた南小国町独自の食の文化を、宿の食事に活かします。</li>
</ul>
</li>
</ul>
<p>このように黒川温泉は、以前から地域の自然や文化の持続性を意識した取組を行ってきましたが、熊本地震やコロナ禍という危機を受けて、地域の持続可能性の向上のために何を行うべきかを改めて検討し、地域資源の”循環”という新たな理念を掲げるにいたりました。その理念のもと、入湯手形の売上の一部を環境に還元する取組、旅館の生ごみを利用して堆肥を作るコンポストプロジェクト、地元・南小国町で育てたあか牛を旅館で提供することで草原や農法の継承を目指す「あか牛”つぐも”プロジェクト」等、今までの活動を基盤としつつ新たな取組を開始しました。このような長年をかけて培ってきた黒川温泉ならではのサステナブルなスタイルを、観光客だけでなく、企業・行政・大学等、様々な主体にも発信し、ブランディングを行っています。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" class="aligncenter size-full wp-image-48869" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/497_image4.png" alt="" width="800" height="400" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/497_image4.png 800w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/497_image4-768x384.png 768w" sizes="auto, (max-width: 800px) 100vw, 800px" /></p>
<div id="attachment_48870" style="width: 581px" class="wp-caption aligncenter"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-48870" class="size-full wp-image-48870" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/497_image5.jpg" alt="図　黒川温泉2030年ビジョン" width="571" height="800" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/497_image5.jpg 571w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/497_image5-286x400.jpg 286w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/497_image5-428x600.jpg 428w" sizes="auto, (max-width: 571px) 100vw, 571px" /><p id="caption-attachment-48870" class="wp-caption-text">図　黒川温泉2030年ビジョン</p></div>
<h3>まとめ</h3>
<p>鳥羽と黒川の取組は、地域で受け継がれてきた考えや取組を「サステナブル」「SDGs」といった視点から切り取って、外部にわかりやすく、地域の魅力として発信しようとしているものと言えます。</p>
<p>温泉まちづくり研究会では引き続き、こういった会員温泉地の取組を注視しつつ、全国の温泉地や観光地の活性化に資する取組や発信を行うことを目指していきたいと思います。</p><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-destination-sustainable-yamamoto/">地域ならではのサステナビリティの見せ方　[コラムvol.497]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>不変ならざる自然の見せ方 &#8211; チューリヒ近郊の森林公園にて　[コラムvol.496]</title>
		<link>https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-zurich-nasu/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=column-zurich-nasu</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[webkakishima]]></dc:creator>
		<pubDate>Sun, 01 Oct 2023 01:00:18 +0000</pubDate>
				<guid isPermaLink="false">https://www.jtb.or.jp/?post_type=column&#038;p=48611</guid>

					<description><![CDATA[<p>2023年09月中旬、欧州方面への出張中にスイスを訪問する機会を得た。その際に訪れたシルヴァルト自然発見公園について、現地の写真を中心に紹介する。 なお、本稿で取り上げる施設や制度等の名称は、スイス公用語以外による表記が･･･</p>
<p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-zurich-nasu/">不変ならざる自然の見せ方 – チューリヒ近郊の森林公園にて　[コラムvol.496]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>2023年09月中旬、欧州方面への出張中にスイスを訪問する機会を得た。その際に訪れた<u>シルヴァルト自然発見公園</u>について、現地の写真を中心に紹介する。<br />
なお、本稿で取り上げる施設や制度等の名称は、スイス公用語以外による表記が確立されていないものが多い。文中における日本語での表記は、筆者による仮訳を含む点に留意されたい。上記の「シルヴァルト自然発見公園」のように、文中で下線を付した語については、<a href="#496hosoku">本稿の末尾</a>に訳出前の表記一覧を掲載する。</p>
<h4>概要</h4>
<p>シルヴァルト自然発見公園は、スイスの北部チューリヒ州内に位置する公園施設である。同州の州都であるチューリヒ中心部から、鉄道または自家用車により30分程度でアクセスが可能である。幹線道路に沿って流れるジル川の両岸を公園用地として、森林を中心としたフィールドが整備されている。<br />
同公園は近隣にある<u>ランゲンベルグ野生動物公園</u>とともに、2010年にスイス連邦から「<u>チューリヒ・シルヴァルト自然公園</u>」として、<u>郊外自然公園</u>の認定を受けた。郊外自然公園は、連邦政府が所管する公園制度である<u>国家重要公園</u>の一類型であり、都市住民のQOLの向上、自然学習の提供、緩衝地帯の確保等を目的として運営される。</p>
<div id="attachment_48615" style="width: 266px" class="wp-caption aligncenter"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-48615" class="wp-image-48615 size-full" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/496_image_01.png" alt="" width="256" height="400" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/496_image_01.png 512w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/496_image_01-256x400.png 256w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/496_image_01-384x600.png 384w" sizes="auto, (max-width: 256px) 100vw, 256px" /><p id="caption-attachment-48615" class="wp-caption-text">シルヴァルト自然発見公園 位置図（openstreetmapを元に筆者作成）</p></div>
<p>チューリヒ方面に接続する鉄道駅の周辺に、駐車場、ビジターセンター、野外遊具、カフェ等が集約され、利用拠点として整備されている。駐輪場の利用も見られ、自転車で訪れる人も多いようだ。</p>
<div style="display:flex; flex-wrap:wrap; gap:2px;">
<img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/496_image_02.png" alt="" width="400"/><br />
<img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/496_image_03.png" alt="" width="400"/><br />
<img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/496_image_04.png" alt="" width="400"/><br />
<img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/496_image_05.png" alt="" width="400"/>
</div>
<p>拠点周辺ではピットを利用すれば火の使用も認められており、訪問当日にもピクニック的に、焚き火をする人々の姿が見られた。なお訪問日は土曜日で、園内各所には家族連れを中心にそれなりの人出が見られたが、混雑は感じられなかった。</p>
<div style="display:flex; flex-wrap:wrap; gap:2px;">
<img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/496_image_06.png" alt="" width="400" /><br />
<img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/496_image_07.png" alt="" width="400" />
</div>
<h4>園内散策路の様子</h4>
<p>拠点エリアから出発し、園内に設定された3kmほどのコースを徒歩で散策した。森林内の周遊ルートは一部にアップダウンがあるものの、全体として歩きやすく整備されている。倒木を完全に撤去するのではなく、一部を残して「森らしく」整えている場所などは、いかにも楽しげである。</p>
<div style="display:flex; flex-wrap:wrap; gap:2px;">
<img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/496_image_08.png" alt="" width="400" /><br />
<img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/496_image_09.png" alt="" width="400" />
</div>
<p>ルート上にはいくつかの地点に標識が設置されており、併設された簡易な設備を使用して、それぞれの地点の環境に応じた自然体験ができるようになっている。</p>
<p>例えば下記写真の標識では腐朽した樹木に棲む昆虫についての説明があり、隣にある緑の筒を覗くと、枯死した立木や倒木の腐朽した部分を見ることができる、という仕掛けが用意されている。標識はドイツ語と英語の2言語表記だが、英語の説明には専門的な用語はなく、（英語ぼちぼち程度の筆者が、その場で読んでも引っかかることなく理解できるレベルの）平易な文章で書かれていた。緑の筒の横には踏み台が用意されていることからも、自然体験のターゲットとして、かなり低い年齢までが想定されていることが伺える。</p>
<div style="display:flex; flex-wrap:wrap; gap:2px;">
<img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/496_image_10.png" alt="" width="400" /><br />
<img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/496_image_11.png" alt="" width="400" /><br />
<img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/496_image_12.png" alt="" width="400" /><br />
<img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/496_image_13.png" alt="" width="400" />
</div>
<p>ある地点では林床（森林内の地面）付近から萌芽する特徴的な植物の様子を観察できるように、植生の密度が高めで暗い森林に木道が整備されていた。また別の地点では、樹木の更新によって生じたギャップ（倒木等により光を遮っていた葉がなくなり、一時的に林床まで光が届くようになった箇所）や、倒れた立木の根などがルート上から観察できる状態で置かれていた。</p>
<div style="display:flex; flex-wrap:wrap; gap:2px;">
<img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/496_image_14.png" alt="" width="400" /><br />
<img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/496_image_15.png" alt="" width="400" /><br />
<img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/496_image_16.png" alt="" width="400" /><br />
<img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/496_image_17.png" alt="" width="400" />
</div>
<h4>直線的なトウヒの木立</h4>
<p>以上のように、シルヴァルト自然発見公園は森林レクリエーションの場として、また自然体験・自然教育の場として、洗練された整備がなされていると感じた。その中でも、特に印象に残った箇所を一つ紹介したい。</p>
<div style="display:flex; flex-wrap:wrap; gap:2px;">
<img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/496_image_18.png" alt="" width="400" /><br />
<img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/496_image_19.png" alt="" width="400" /><br />
<img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/496_image_20.png" alt="" width="400" /><br />
<img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/496_image_21.png" alt="" width="400" />
</div>
<p>この区画ではトウヒの人工林が再現されており、ほぼ同じ樹齢の立木が列状に植栽されている。標識では同じ種類の樹木しか生育していないことや、林床に生えている植物の違いについて触れ、他の地点とは林内の様子が異なることに意識を向けさせている。</p>
<p>日本の国土面積の約7割は森林であり、世界中でも屈指の森林国家である。幼少期からの経験の中で、実体としての森に触れる、木材や香料などの産物に触れる、あるいは物語などのメディアを通じて「森」の像に触れる機会は多く、人々は大小それぞれの奥行きを持った、森林のイメージを獲得していることと思う。</p>
<p>しかしながら、我々がそうして想起する「日本の森林」の中に人工林は含まれているだろうか。日本で「人工林」と聞いてもっとも多く想起されるのは恐らく「花粉」であろうが、それ以外のイメージは非常に希薄であるようにも思われる。国土の約7割を占める森林のうちの4割、すなわち日本の3割弱を人工林が占めるにもかかわらず、その諸相に触れる機会はかなり限定されているのではないか。</p>
<p>やや極端な意見かもしれないが、とりわけ初等教育から中等教育にかけて触れる「森」や「自然」、「生き物」といったトピックにおいて、人工林の要素は丁重に遠ざけられているようにも見える。そのような印象を抱いていた筆者の目から見て、自然性の高い森林の隣に人工林区画を造成してその対比を観察させるという設計は新鮮であり、自然教育の場としても有効であると感じた。</p>
<h4>変化する自然を見せること</h4>
<p>出発から帰着まで2時間ほどの散策を終えて、筆者は「人間の時間的・空間的スケールからは乖離しているとしても、自然はその姿を変えながら、成長・変化するものだ」といった印象、あるいはメッセージのようなものを感じた。</p>
<p>学問的には森林の相観、攪乱と更新、植生遷移などの言葉を用いて高等教育の段階で学ぶ分野であるが、これらを直感的に、かつ子どもにも分かるように伝えることは難しいだろう。シルヴァルト自然発見公園では、場所に応じてさまざまに様相を変える樹木や植生の様子を並べて提示することで、そういったテーマへのアプローチを試みていたように思われた。もっとも、このような教育的な要素を抜きにしても、変化に富む森林内の散策コースは、レクリエーションとして五感を楽しませてくれる。</p>
<div style="display:flex; flex-wrap:wrap; gap:2px;">
<img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/496_image_22.png" alt="" width="400" /><br />
<img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/496_image_23.png" alt="" width="400" /><br />
<img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/496_image_24.png" alt="" width="400" />
</div>
<p>今回の往訪ではチューリヒを含むスイス・オーストリア国内の数ヶ所を訪れたが、いわゆる「アルプスの風景」とも言えるような、風光明媚な景観が各地で見られた。これらを特徴づける草原や疎林は二次的自然であり、多かれ少なかれ人為的な管理がなされている。都市域においても、個々の住人や所有者による手入れを通じて、統一感をもった景観が維持されている。気候的な条件が穏やかな欧州において、要求される管理の度合いはアジア圏とは異なるものの、それでも人々はかなりの労力と時間をかけて、好ましい風景を維持しているように思われた。</p>
<div style="display:flex; flex-wrap:wrap; gap:2px;">
<img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/496_image_25.png" alt="" width="400" /><br />
<img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/496_image_26.png" alt="" width="400" /><br />
<img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/496_image_27.png" alt="" width="400" /><br />
<img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/496_image_28.png" alt="" width="400" />
</div>
<p>そういった慣習的な行動の背景にはさまざまな要素が関係すると考えられるが、一つの社会通念的な要因として、「そもそも自然とは放っておくと変化し、人間社会にとって有益な状態から離れていく。だから手入れをして、有益な状態を維持しなければならない」といった共通認識があるのかもしれない。</p>
<p>物理的な実体としての風景は、極端に原生的な例を除けば、自然と人間との相互作用の産物である。このうち自然の側から働く作用は、人間の日常的な尺度を超えた空間的・時間的なスケールを有することは論を俟たない。であるからこそ、ひとたび失われれば元には戻らないという前提をもって、保護的な手法が採用される。<br />
一方で人間の側から働く作用は、一般的にはそれが有効に機能するシステムを明らかにし、ビジョンや計画、手引きやガイドラインといった規範的な手法を用いて駆動させれば、数年ないし数十年のうちには望ましい状態を確立できる（可能性がある）という前提を置くのではないか。しかしながら、美しい風景の担い手となる無名の彼ら彼女らが、幼少期からのさまざまな自然体験を通じて前述のような暗黙知を獲得しているのだとすれば、それは数年ないし数十年といった時間軸の問題ではなくなる。少なくとも、幾つかの世代を跨ぐ程度の時間的スケールは想定する必要がありそうだ。</p>
<h4 id="496hosoku">補足：施設・制度等の名称</h4>
<p>スイス国内の情報は、基本的にドイツ語、フランス語、イタリア語のうちの一つないし複数で提供されている。英語の情報は提供されている場合と、されていない場合がある。以下、日本語（筆者による仮訳を含む）および訳出前の表記（英 / 仏 / 独 / 伊のうち、公的な情報源から表記が入手可能なもの）一覧を掲載する。</p>
<table style="width: 100%; border-collapse: separate; border-color: #a9a9a9;" border="medium">
<tbody>
<tr>
<td style="width: 40%; vertical-align: top;">シルヴァルト自然発見公園</td>
<td style="width: 60%;">英 Sihlwald Nature Discovery Park /<br />
独 Naturerlebnispark Sihlwald</td>
</tr>
<tr>
<td style="width: 40%;">ランゲンベルグ野生生物公園</td>
<td style="width: 60%;">英 Langenberg Wildlife Park /<br />
独 Tierpark Langenberg</td>
</tr>
<tr>
<td style="width: 40%;">チューリヒ・シルヴァルト自然公園</td>
<td style="width: 60%;">Wildnispark Zurich Sihlwald (英・独・仏・伊いずれも）</td>
</tr>
<tr>
<td style="width: 40%;">郊外自然公園</td>
<td style="width: 60%;">
<p>仏 parcs naturels periurbains /<br />
独 Naturerlebnisparke / <br />
伊 parchi naturali periurbani</p>
</td>
</tr>
<tr>
<td style="width: 40%;">国家重要公園</td>
<td style="width: 60%;">仏 Parcs d&#8217;importance nationale /<br />
独 Parke von nationaler Bedeutung /<br />
伊 Parchi d&#8217;importanza nazionale</td>
</tr>
</tbody>
</table><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-zurich-nasu/">不変ならざる自然の見せ方 – チューリヒ近郊の森林公園にて　[コラムvol.496]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
	</channel>
</rss>
