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	<title>高付加価値旅行者 | (公財)日本交通公社</title>
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	<link>https://www.jtb.or.jp</link>
	<description>公益財団法人日本交通公社は、観光を専門とする実践的学術研究機関です。旅行・観光に関する学術的、実践的な調査研究を通して、わが国の観光文化の振興に寄与し、豊かな社会の実現を目指します。</description>
	<lastBuildDate>Tue, 20 Oct 2026 03:08:44 +0000</lastBuildDate>
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		<title>「高付加価値旅行者」をどう捉えるか？ ―観光政策の国際比較から考える日本の「100万円基準」― [コラムvol.547]</title>
		<link>https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-high-value-traveler-policies-kakishima/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=column-high-value-traveler-policies-kakishima</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[webkamitomo]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 07 Sep 2026 01:15:04 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[<p>高消費層への期待 日本のインバウンド政策では、旅行者数の拡大だけでなく、消費額の増加、地方への誘客、持続可能な観光地域づくりが重視されている。その中心的な対象の一つが「高付加価値旅行者」である。観光庁は、着地消費100万･･･</p>
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										<content:encoded><![CDATA[<h3>高消費層への期待</h3>
<p>日本のインバウンド政策では、旅行者数の拡大だけでなく、消費額の増加、地方への誘客、持続可能な観光地域づくりが重視されている。その中心的な対象の一つが「高付加価値旅行者」である。観光庁は、着地消費100万円以上／人の訪日外国人旅行者を政策上「高付加価値旅行者」と位置づけ、地方への誘客に向けたモデル観光地の整備などを進めてきた（観光庁 2022；2023；2026）。本稿では、議論を明確にするため、この金額基準によって把握される層を「高消費層」と呼び、政策が期待する幅広い価値との関係を検討する。</p>
<p>この基準の背景には、少数の旅行者が大きな消費を生み出す市場構造がある。観光庁によれば、高消費層は2019年には訪日外国人旅行者の約1%にすぎなかったが、消費額の約11.5%を占めた（観光庁 2023）。2023年には、人数の約2%消費額の約19%を占めている。一方、その消費は大都市圏に偏り、地方での消費が少ないことも課題とされている（観光庁 2026）。このため、高消費層への期待は、消費額の上積みだけでなく、その経済効果を地方へ波及させることにも向けられている。</p>
<p>ただし、高消費層であることが、直ちに地方分散や地域への貢献を意味するわけではない。消費総額だけでは、支出先や滞在のあり方、地域との関わり方までは捉えにくいからである。</p>
<p>こうした問題意識は、旅行者数や消費総額だけでなく、観光が地域社会や自然環境にもたらす効果を重視する近年の国際的な政策動向とも重なる（OECD 2024）。各国の公的資料では、「high-value visitor」「high-quality visitor」「quality tourism」などの用語が用いられているが、その定義や政策上の位置づけは一様ではない。そこで本稿では、用語そのものを比較するのではなく、旅行者が観光地にもたらす価値のうち、各国が何を重視しているのかに着目する。</p>
<p>OECDは近年の観光政策について、環境や地域社会への影響を管理しながら、観光の便益や旅行者の流れを新興観光地や閑散期へ広げ、持続可能かつ包摂的な観光を目指す必要があると整理している（OECD 2024）。この整理を踏まえ、本稿では、旅行者の「量」から「質」への転換を、単価の向上だけでなく、観光が地域にもたらす便益と負担の双方を踏まえて政策効果を評価することまで含むものとして捉える。</p>
<h3>国際比較から見える「高付加価値」の三つの観点</h3>
<p>各国の政策を比較すると、旅行者の消費による観光収入や地域経済への効果が重視されている点は、おおむね共通している。そのうえで、経済効果を地方や閑散期へ広げることを重視する政策や、地域社会、文化、自然への貢献まで視野に入れる政策もみられる。表1は、各国・地域の公的資料に示された主な目的と、それを具体化する数値目標、旅行者像、対象者の識別基準、評価方法を整理したものである。
</p>
<p style="text-align: center"><b>表1　各国・地域の観光政策・取組の主な目的</b></p>
<div class="table-area">
<table class="cntTable borTable floatL mrgt0 top sp-table" style="font-size: 12pt">
<tr>
<td bgcolor="#ffffd6" style="text-align: center;width: 12%">国・地域</td>
<td bgcolor="#ffffd6" style="text-align: center">主な計画・取組名</td>
<td bgcolor="#ffffd6" style="text-align: center">公的資料に示された目的</td>
<td bgcolor="#ffffd6" style="text-align: center">目的を具体化する内容</td>
</tr>
<tr>
<td style="width: 12%">シンガポール</td>
<td>Tourism 2040／Quality Tourism</td>
<td>観光収入の拡大</td>
<td>2040年の観光収入を470億～500億シンガポールドルと見込み、観光収入を国際旅行者数より速いペースで成長させる方針を示している（Singapore Tourism Board 2025:<cite>https://www.stb.gov.sg/about-stb/media-publications/speeches/speech-by-ms-melissa-ow&#8211;chief-executive&#8211;singapore-tourism-board&#8211;at-the-tourism-industry-conference-2025/</cite>）。
            </td>
</tr>
<tr>
<td style="width: 12%">オーストラリア</td>
<td>THRIVE 2030</td>
<td>旅行者消費額の拡大と、地方部での消費拡大</td>
<td>国内旅行を含むvisitor economy全体について、2030年の旅行者消費額を2,300億豪ドル、そのうち地方部での消費額を950億豪ドルとする目標を設定している（Austrade 2026）。
            </td>
</tr>
<tr>
<td style="width: 12%">ニュージーランド</td>
<td>high-quality visitorの誘致</td>
<td>観光による経済・文化・環境・地域社会への貢献</td>
<td>high-quality visitorの特徴として、長期滞在、高額消費、複数地域・異なる季節への訪問、環境や地域社会との積極的な関わりを挙げ、こうした旅行者の誘致を重視している（Tourism New Zealand 2023 <cite>https://www.tourismnewzealand.com/news-and-activity/australian-visitors-spending-more-post-covid/</cite>）。
            </td>
</tr>
<tr>
<td style="width: 12%">カナダ</td>
<td>Tourism 2030: A World of Opportunity／Traveller Segmentation Program</td>
<td>観光収入の拡大と、地域への経済的・社会文化的・環境的便益の創出</td>
<td>2030戦略に沿った対象旅行者の把握に向け、旅行消費額、旅行頻度、季節選好、活動に加え、旅行動機や価値観を組み合わせて旅行者を分類している（Destination Canada 2024a；2024b）。
            </td>
</tr>
<tr>
<td style="width: 12%">タイ</td>
<td>Sustainable Tourism Goals（STGs）／Sustainable Tourism Acceleration Rating（STAR）
</td>
<td>所得分配、文化・環境の保全、観光事業者の持続可能性の向上</td>
<td>STGsは、国連のSDGsを観光分野に展開する目標。所得分配、環境保全、再生可能エネルギー、廃棄物削減などを含む17の項目から構成される。STGsを実行に移す仕組みであるSTARは、観光事業者をガバナンス、社会経済的影響、文化保全、環境への責任の4つの観点から評価している（Tourism Authority of Thailand 2025a；2025b）。
            </td>
</tr>
<tr>
<td style="width: 12%">日本</td>
<td>地方における高付加価値なインバウンド観光地づくりに向けたアクションプラン／モデル観光地事業</td>
<td>旅行消費の拡大、地方誘客、地域産業への波及、自然・文化・産業の維持・発展、雇用・所得の増加、域内循環</td>
<td>着地消費100万円以上／人を対象者の把握に用いる。また、知的好奇心や探究心の強さなどの定性的な特徴にも言及している。モデル観光地を選定し、地方での誘致・受入体制の整備を進めている（観光庁 2022:<cite>https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001860218.pdf</cite>； 2026:<cite>https://www.mlit.go.jp/kankocho/seisaku_seido/kihonkeikaku/inbound_kaifuku/kofukakachi.html</cite>）。
            </td>
</tr>
</table><figcaption><small>注：「公的資料に示された目的」は、対象とした資料に記載された目的・期待される効果を要約した。「目的を具体化する内容」には、数値目標、誘致する旅行者像、対象者の識別基準、評価方法などを記載した。本表は各国・地域の観光政策全体を網羅するものではなく、政策の達成状況を示すものでもない。</small></figcaption></div>
<p>ただし、表1に並べたのは、同じ種類の概念や施策ではない。シンガポールは国全体の観光成長の方向性、オーストラリアは国内旅行を含むvisitor economy全体の数値目標、ニュージーランドは政策上望ましい旅行者像、カナダはマーケティング対象を選定するためのセグメンテーション、タイは観光事業者側の評価枠組み、日本は旅行者を把握する金額基準と地域づくり施策である。本稿では、これらを同一の制度として比較するのではなく、それぞれが「どのような価値を重視しているか」という観点から横断的に整理する。その際、「対象者をどう識別するか」「旅行者にどのような行動を促すか」「誘致によって何を実現するか」は区別して捉える必要がある。</p>
<p>以上を踏まえ、本稿では、各国が重視する価値を、①旅行者の消費がもたらす「経済的価値」、②訪問地域、旅行時期、滞在期間といった「分散を含む価値」、③地域社会、文化、自然への貢献を含む「地域への総合的価値」の三つの観点から整理する。これは各国政府による共通の分類ではなく、本稿が比較のために設定する分析枠組みである。また、三つの観点は優劣や発展段階を示すものではなく、一つの政策が複数の観点にまたがる場合がある。</p>
<p>第一の「経済的価値」は、旅行者の消費額や観光収入を重視するものである。シンガポールの「Quality Tourism」では、旅行者数の増加以上に観光収入を伸ばす方針が示されている（Singapore Tourism Board 2025）。旅行者数の量的拡大だけに依存せず、経済的価値を重視する点では、日本の100万円基準と共通する。ただし、シンガポールは国全体の観光収入、日本は個人単位の消費額を対象としており、指標の単位は異なる。</p>
<p>第二は、経済的価値に、消費が生み出される地域、時期、滞在期間といった分散の観点を加えた価値である。オーストラリアの「THRIVE 2030」は、国内旅行を含むvisitor economy全体について、旅行消費額と地方部での消費額の双方に目標を設定している。このように、分散の観点では、消費額の大きさだけでなく、それがどこで、いつ生み出されるかが問われる。観光需要の地域・時期の分散は、混雑の緩和や地域への経済効果の平準化という政策課題にも関係する（OECD 2024）。</p>
<p>第三は、経済的価値と分散の観点に、地域社会、文化、自然への貢献を加えた「地域への総合的価値」である。ニュージーランドの「high-quality visitor」は、多く消費し、長く滞在し、複数の地域を異なる季節に訪れるだけでなく、文化、環境、社会、経済にも積極的に貢献する旅行者として説明されている（Tourism New Zealand 2023）。ニュージーランドは、三つの観点すべてが示された例といえる。一方、タイのSTGsとSTARは、特定の旅行者を金額で識別する仕組みではない。しかし、観光が地域にもたらす価値を、経済、社会、文化、環境などの側面から評価する考え方を示している（Tourism Authority of Thailand 2025a；2025b）。</p>
<p>カナダの取組は、こうした価値をもたらす旅行者をどのように識別するかという、三つの観点を横断する論点を示している。カナダは、所得や旅行頻度を中心とした「High-Value Guests」から、消費行動に加えて旅行動機や価値観も考慮する「Highly Engaged Guests」へと重点を移した（Destination Canada 2024b）。これは、旅行者の購買力だけでなく、動機、価値観、行動の組合せから捉えようとする見直しである。</p>
<h3>日本の政策目的と100万円基準</h3>
<p>観光庁は、高付加価値旅行者の誘致を、消費額の拡大だけでなく、地方への誘客、地域産業への波及、自然・文化・産業の維持・発展、雇用・所得の増加、域内循環などにつなげようとしている（観光庁 2026）。本稿で設定した三つの観点に照らすと、日本の政策目的は、第一の「経済的価値」にとどまらず、第二の分散を含む価値、さらに第三の「地域への総合的価値」にまで及んでいる。</p>
<p>また、観光庁は、高付加価値旅行者について、単に消費額が大きいだけでなく、知的好奇心や探究心が強く、地域の伝統・文化や自然に触れる体験を通じて、知識を深めたりインスピレーションを得たりすることを重視する傾向があると説明している（観光庁 2022）。このように、日本でも消費額を超えた定性的な旅行者像が示されている。一方、旅行者をデータ上把握する定量的な基準は「着地消費100万円以上／人」であり、知的好奇心や探究心、地方分散、地域還元への貢献は、判定条件に含まれていない。つまり、政策上示されている旅行者像と、データ上の識別基準は同一ではない。「100万円基準」は、旅行後の消費実績から高消費層の規模を把握する事後的な指標として機能する。ただし、誘致前の市場選定には、所得、旅行動機、価値観、過去の旅行行動など、別の情報も必要になる。</p>
<p>また、消費総額だけでは、地方分散や地域への総合的価値までは捉えにくい。総額は滞在日数に左右され、同じ金額でも、地方での宿泊・体験への支出と大都市での買い物とでは、恩恵を受ける地域や産業が異なる。逆に、100万円未満でも、地方を訪れ、地域産品や文化・自然の保全につながる体験に支出する旅行者が含まれる可能性がある。</p>
<p>したがって検証すべきは、100万円基準の該当者が地方分散や地域還元につながる行動をどの程度取っているか、また、基準外に政策目的との親和性が高い層がどの程度含まれるかという点ではないだろうか。</p>
<h3>政策目的に照らして「高付加価値旅行者」を捉える</h3>
<p>国際比較を通じて、日本の政策が高付加価値旅行者に期待する価値は、旅行消費額だけでなく、地方・閑散期への分散と、地域社会、文化、自然への貢献まで含むものとして整理できる。100万円基準は、高消費層を事後的に把握する明確な指標である一方、それだけで政策目的への適合性まで判断できるわけではない。</p>
<p>今後は別稿で、カナダのように旅行動機や価値観も視野に入れ、消費額、滞在日数、訪問地域・時期、費目別支出、地域との関わり方を組み合わせて分析し、100万円以上の層の内部差と、100万円未満でも政策目的との親和性が高い層の存在についても検証したい。</p>
<p style="text-align: right">資料：筆者作成（画像はGoogle Geminiより作成）</p>
<p style="margin-top: 2em">
<h4>【参考文献】</h4>
<ul>
<li>観光庁（2022）「地方における高付加価値なインバウンド観光地づくりに向けたアクションプラン」2022年5月</li>
<li>観光庁（2023）「高付加価値旅行者の誘客に向けて集中的な支援等を行うモデル観光地11地域を選定しました～地方における高付加価値なインバウンド観光地づくり事業～」2023年3月28日</li>
<li>観光庁（2026）「訪日旅行での高付加価値旅行者の誘致促進」2026年3月23日更新</li>
<li>Australian Trade and Investment Commission（Austrade）（2026）“THRIVE 2030 Action Plan to 2030,” 11 February 2026</li>
<li>Destination Canada（2024a）“Destination Canada’s 2030 Tourism Strategy: A World of Opportunity,” May 2024</li>
<li>Destination Canada（2024b）“The Traveller Segmentation Program: Segment Summary Deck”。 </li>
<li>OECD（2024）, OECD Tourism Trends and Policies 2024, OECD Publishing, Paris. </li>
<li>Singapore Tourism Board（2025）“Speech by Ms Melissa Ow, Chief Executive, Singapore Tourism Board, at the Tourism Industry Conference 2025,” 11 April 2025 </li>
<li>Tourism Authority of Thailand（2025a）“TAT Celebrating 65 Years of Leading Thailand’s Sustainable Tourism Future,” 18 March 2025 </li>
<li>Tourism Authority of Thailand（2025b）“Thailand Unites to Drive Sustainable Tourism Goals Towards 2030,” 21 July 2025 </li>
<li>Tourism New Zealand（2023）“Australian visitors spending more post COVID,” 16 October 2023</li>
</ul><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-high-value-traveler-policies-kakishima/">「高付加価値旅行者」をどう捉えるか？ ―観光政策の国際比較から考える日本の「100万円基準」― [コラムvol.547]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>専門家帯同訪日ツアーによる高付加価値旅行の考察 ―「アカデミック」「コミュニティ」「実利」の3類型から― [コラムvol.531]</title>
		<link>https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-hvt-kakishima/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=column-hvt-kakishima</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[webkamitomo]]></dc:creator>
		<pubDate>Wed, 17 Sep 2025 05:34:07 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[<p>高付加価値旅行者が追求する「本物の体験」 世界的に「高付加価値旅行者」が注目を集めており、その動きは日本も例外ではない。我が国では「着地消費100万円以上」という定量的な条件に加え、旅行を通じて得られる知的満足や自己実現･･･</p>
<p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-hvt-kakishima/">専門家帯同訪日ツアーによる高付加価値旅行の考察 ―「アカデミック」「コミュニティ」「実利」の3類型から― [コラムvol.531]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<h3>高付加価値旅行者が追求する「本物の体験」</h3>
<p>世界的に「高付加価値旅行者」が注目を集めており、その動きは日本も例外ではない。我が国では「着地消費100万円以上」という定量的な条件に加え、旅行を通じて得られる知的満足や自己実現、そして「本物の体験」を追求する姿勢といった定性的な特徴にも言及されている。これらの層の関心は、単なる豪華さや快適さとは一線を画し、より内面的な充足にシフトしていると言えるだろう。<br />
高付加価値旅行者の「本物の体験」需要に応える手法の一つとして、「専門家帯同ツアー」がある。専門家が提供する信頼性の高い情報と解説は、高付加価値旅行者の満足度を向上させる上で有効である。そこで本稿では、専門家帯同ツアーという切り口から、高付加価値旅行者が求める体験について考察する。
</p>
<h3>専門家帯同ツアーとその類型</h3>
<p>専門家帯同ツアーとは、特定の専門分野で深い知見を持つ専門家が旅行に同行し、その専門的視点から解説を行うことを付加価値とする旅行形態である。本稿では多様な訪日ツアー事例を、専門家がもたらす「付加価値」と「提供形態」に着目して分析し、後述する3つの類型に分類した。
</p>
<ol>
<li><b>アカデミック型</b><br />
        イギリス、アメリカ、カナダ、ドイツを中心とする欧米圏で見られるのが「アカデミック型」である。スミソニアン協会や有名大学の同窓会のように学術的に権威ある組織が企画を主導し、参加者に深い学びの機会を提供する点が特徴である。<br />
        例えば、スミソニアン協会が主催する&#8221;Eternal Japan&#8221;では、日本美術史を専門とする大学教授が同行し、東京国立博物館で仏像鑑賞、箱根での現代彫刻鑑賞、そして、京都の禅寺訪問といった内容のツアーとなっている。ここでの専門家の役割は、個々の作品を解説するだけではない。古代仏教美術から現代アートに至る歴史的文脈を示し、日本美術史を一つの物語として理解できるよう導く役割を担っている（表-1）。<br />
        また、イギリスの専門旅行会社Martin Randall Travelが企画する&#8221;Autumn &amp; the Art of the Japanese Garden&#8221;では、桂離宮、龍安寺、足立美術館など、様式も時代背景も異なる庭園を連続して訪問し、専門家（園芸史）は、参加者に「比較」の視点を与える。実際に、このツアーを企画する旅行会社の公式サイトでは、専門家の役割を「情報提供だけでなく、物事を解明し、思考を刺激すること」と定義している。この記述に基づけば、専門家は単に情報を提供するだけでなく、参加者自身の発見と深い理解を導く機能も果たしているものと考えられる（表-1）。<br />
        このモデルにおける専門家は、大学教授、美術館のキュレーター、歴史家といった「講師」や「学者」であることが多い。また、ツアーの詳細を確認すると、特定分野での受賞経験者や有名大学の教授等、肩書きや実績が強調されている点も特徴的である。このことからも、このタイプでは、学術的な知見によって参加者の知的好奇心に応えることが求められているとわかる。
    </li>
<li><b>テーマ・コミュニティ型</b><br />
        台湾やオーストラリア、香港の専門テーマ旅行に見られるのが「テーマ・コミュニティ型」である。このモデルは、庭園や建築、歴史といった特定の趣味を共有する人々が集まり、専門家と共に体験を深める点に特徴がある。また、完全オーダーメイドで高額になりがちな実利・オーダーメイド型や、権威ある専門家を招聘するアカデミック型と比べ、価格が比較的安価なことや、参加者同士の交流会が企画されることも特徴的である。<br />
        具体的には、オーストラリアのRoss Garden Toursが企画する著名な園芸家と巡るガーデンツアーや、台湾の旅行系インフルエンサー工頭堅氏が案内する歴史探訪（雄獅旅遊）、同じく旅行系インフルエンサー阿倫氏が案内する立山黒部のツアー（金龍旅遊）、香港のLTRIPが企画する日本在住の旅行系インフルエンサー（風信子氏）が案内するツアーが挙げられる。<br />
        このモデルにおける専門家とは、テレビ司会者や人気ブロガーといった「達人（マスター）」や「リーダー」を指す。彼らの役割は、参加者と同じ目線に立ち、旅を通じて感動や体験を共有し、コミュニティとしての一体感を醸成することにある。
    </li>
<li><b>実利・オーダーメイド型</b><br />
        中国を中心にアジア圏で特徴的なのが「実利・オーダーメイド型」である。この類型は、顧客のビジネス、健康といった実利的な目的を達成するため、オーダーメイドで提供される点に特徴がある。<br />
        例えば、中国最大の旅行会社（中青旅）が手配するオーダーメイドのビジネス視察がある。ここでの専門コンサルタントは、業界の専門家や企業のアポイントを取得する役割を担う（表-1）。<br />
        また、海外医療サービスに特化した中国の盛诺一家（Hope Group）が提供する訪日がん治療・精密検査プログラムも一例として挙げられる。これは、日本のトップクラスの医療機関での治療を目的とするもので、医療コーディネーターは医療記録の翻訳、医師とのオンライン事前面談の設定、医療滞在ビザのサポート、治療中の専門医療通訳までを一貫して担う。この種の医療サービスは自己投資の一環として美容の領域にも広がり、同社では、美容医療関連のオーダーメイドツアーも販売されている。<br />
        実利・オーダーメイド型の専門家は、顧客が単独では実現困難な目的達成へと導く存在であり、彼らが提供する特別な「人脈」と、それによって保証される「アクセス」こそが、このモデルの価値となっている。
    </li>
</ol>
<h3>まとめ</h3>
<p>本稿では、専門家が帯同する訪日旅行を、「アカデミック型」「テーマ・コミュニティ型」「実利・オーダーメイド型」の3類型に分類し、その特徴を考察した。<br />
本稿の分析から、これら3類型は一つの連続体（スペクトラム）として捉えることができる（表-2）。一方には、専門家の学術的な「知見」を価値とする「アカデミック型」が存在する。その対極に位置するのが、専門家が持つ特別な「人脈」と「アクセス」を価値とする「実利・オーダーメイド型」である。専門家と参加者の関係は、前者が師弟関係に近い一方向的なものであるのに対し、後者は目的達成のためのパートナーという双方向的な側面を持つ。そして、この間に位置するのが「テーマ・コミュニティ型」である。このモデルの専門家は、アカデミック型ほどではないものの、特定の分野に関する深い「知見」を提供する。同時に、参加者と同じ目線で感動を共有し、一体感を醸成するという役割も担っている。加えて、専門家と参加者の関係性が水平的であることも特徴であり、テーマ・コミュニティ型は、他の2つのモデルの要素をあわせ持ち、両者の中間的な位置づけであると言えるだろう。<br />
本稿で行った類型化は、実務面においても重要な示唆を与える。高付加価値旅行商品を開発する際、ターゲット市場に応じて、どのタイプの専門家を起用し、どのような価値を訴求すべきかが明確になるだろう。より効果的な商品開発にあたっては、各モデルを形成する文化・社会・経済といった背景要因の理解が必要となるが、これらの解明は今後の研究課題としたい。
</p>
<p style="margin-top: 2em">
<p style="text-align: center"><b>表-1：国・地域別・専門家帯同訪日ツアー例</b></p>
<div class="table-area">
<table class="cntTable borTable floatL mrgt0 top sp-table" style="font-size: 12pt">
<tr>
<td bgcolor="#ffffd6" style="text-align: center;width: 12%">国/地域</td>
<td bgcolor="#ffffd6" style="text-align: center">ツアー名/旅行会社</td>
<td bgcolor="#ffffd6" style="text-align: center">帯同する専門家（例）</td>
<td bgcolor="#ffffd6" style="text-align: center">専門分野</td>
<td bgcolor="#ffffd6" style="text-align: center">限定アクセス・特別公開の例</td>
<td bgcolor="#ffffd6" style="text-align: center">日数</td>
<td bgcolor="#ffffd6" style="text-align: center">金額（現地通貨）</td>
<td bgcolor="#ffffd6" style="text-align: center">金額（日本円）</td>
</tr>
<tr>
<td style="width: 12%">イギリス</td>
<td>Japanese Gardens(Martin Randall Travel)</td>
<td>園芸史家、庭園デザイナー(例: Yoko Kawaguchi氏)</td>
<td>庭園</td>
<td>通常非公開の寺院の書院や茶室への特別拝観、庭園所有者や管理者からの直接解説</td>
<td>12日間</td>
<td>£8,990～</td>
<td>約1,784,200円～</td>
</tr>
<tr>
<td style="width: 12%"></td>
<td>Art in Japan(Martin Randall Travel)</td>
<td>美術史家、大学講師(例: Meri Arichi博士)</td>
<td>美術・建築</td>
<td>美術館の閉館後にプライベートツアー学芸員による特別レクチャー、個人コレクターの収蔵品鑑賞</td>
<td>12日間</td>
<td>£9,230～</td>
<td>約1,831,800円～</td>
</tr>
<tr>
<td style="width: 12%">アメリカ</td>
<td>Eternal Japan(Smithsonian Journeys)</td>
<td>大学教授、歴史家(例: Jonathan M. Hall氏)</td>
<td>歴史・文化</td>
<td>研究者用の施設や通常は入れないエリアへのアクセス、住職からの解説</td>
<td>13日間</td>
<td>$10,995～</td>
<td>約1,628,900円～</td>
</tr>
<tr>
<td style="width: 12%"></td>
<td>Japan with Sean Brock(Modern Adventure)</td>
<td>受賞歴のある著名シェフ(例: Sean Brock氏)</td>
<td>食文化</td>
<td>トップシェフと共に市場を巡り食材を学ぶシェフのコネクションによるレストランでの特別メニュー</td>
<td>9日間</td>
<td>$13,900～</td>
<td>約2,059,300円～</td>
</tr>
<tr>
<td style="width: 12%">オーストラリア</td>
<td>Autumn &amp; the Art of the Japanese Garden(ASA Tours with Jim Fogarty)</td>
<td>受賞歴ランドスケープデザイナー(Jim Fogarty氏)</td>
<td>庭園</td>
<td>「特別予約による小規模庭園の訪問」が明記されており、一部は特別許可が必要と記載</td>
<td>15日間</td>
<td>AU$16,800～</td>
<td>約1,622,000円～</td>
</tr>
<tr>
<td style="width: 12%"></td>
<td>Spring Festivals of Japan(Ross Garden Tours)</td>
<td>著名園芸家・TV司会者(Graham Ross氏)</td>
<td>庭園</td>
<td>－</td>
<td>14日間</td>
<td>AU$15,995～</td>
<td>約1,571,000円～</td>
</tr>
<tr>
<td style="width: 12%">台湾</td>
<td>【跟著阿倫去旅行】立山黑部雪壁6日（金龍永盛旅行社）</td>
<td>旅行系インフルエンサー（阿倫氏）</td>
<td>－</td>
<td>－</td>
<td>6日間</td>
<td>NT$75,900</td>
<td>約368,850円</td>
</tr>
<tr>
<td style="width: 12%"></td>
<td>搶救龍馬大作戰！工頭堅五日高知龍馬博覽會+京都坂本龍馬之旅（雄獅旅遊）</td>
<td>旅行系インフルエンサー（工頭堅氏）</td>
<td>歴史・文化</td>
<td>－</td>
<td>5日間</td>
<td>NT$43,500</td>
<td>約174,000円</td>
</tr>
<tr>
<td style="width: 12%">香港</td>
<td>與風信子、旦那的冬日流冰、走遍道東與日本最北 北海道8天團 等（LTRIP）</td>
<td>旅行系インフルエンサー（風信子氏）</td>
<td>－</td>
<td>－</td>
<td>8日間</td>
<td>HK$21,888</td>
<td>約¥415,000円～</td>
</tr>
<tr>
<td style="width: 12%">中国</td>
<td>ツアー名なし（オーダーメイド型）（盛诺一家 Hope Group）</td>
<td>医療コンサルタント、医師</td>
<td>医療</td>
<td>外国人が個人で予約困難なトップクラスのがん専門病院へのアクセス、日本の名医とのオンライン・セカンドオピニオン </td>
<td>オーダーメイド</td>
<td colspan="2">治療法や期間に応じて大きく変動</td>
</tr>
<tr>
<td style="width: 12%"></td>
<td>「遨游」企業定制（中青旅）</td>
<td>経営コンサルタント、アナリスト<br />※必ず帯同するわけではない</td>
<td>ビジネス</td>
<td>顧客との守秘義務に基づき非公開</td>
<td>オーダーメイド</td>
<td colspan="2"> 視察内容、面会する人物、滞在先に応じて大きく変動</td>
</tr>
</table>
</div>
<p style="text-align: center">資料：各社ウェブサイトより筆者作成<br />注：日本円は2025年9月3日～11日時点の為替レートによる参考価格／最終閲覧日：2025年9月11日</p>
<p style="margin-top: 2em">
<p style="text-align: center"><b>表-2：専門家帯同型訪日ツアーのタイプ</b></p>
<div class="table-area">
<table class="cntTable borTable floatL mrgt0 top sp-table" style="font-size: 12pt">
<tr>
<td style="width: 19%"></td>
<td bgcolor="#ffeddb" style="text-align: center;width: 27%"><b>アカデミック型</b></td>
<td bgcolor="#edffdb" style="text-align: center;width: 27%"><b>テーマ・コミュニティモデル型</b></td>
<td bgcolor="#dbedff" style="text-align: center;width: 27%"><b>実利・オーダーメイド型</b></td>
</tr>
<tr>
<td></td>
<td bgcolor="#ffeddb"><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2025/09/column531-2.png" alt="コラムvol.531画像"></td>
<td bgcolor="#edffdb"><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2025/09/column531-3.png" alt="コラムvol.531画像"></td>
<td bgcolor="#dbedff"><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2025/09/column531-4.png" alt="コラムvol.531画像"></td>
</tr>
<tr>
<td>顧客のニーズ</td>
<td bgcolor="#ffeddb" style="text-align: center">知的好奇心を満たすこと</td>
<td bgcolor="#edffdb" style="text-align: center">趣味を探求し、感動を共有すること</td>
<td bgcolor="#dbedff" style="text-align: center">実利（ビジネス、健康等）を得ること</td>
</tr>
<tr>
<td>専門家タイプと求められる役割</td>
<td bgcolor="#ffeddb" style="text-align: center">講師・学者</td>
<td bgcolor="#edffdb" style="text-align: center">達人（マスター）・リーダー</td>
<td bgcolor="#dbedff" style="text-align: center">案内人・仲介者</td>
</tr>
<tr>
<td>専門家との関係性</td>
<td bgcolor="#ffeddb" style="text-align: center">師弟関係に近い一方向的な関係<br />↓</td>
<td bgcolor="#edffdb" style="text-align: center">共感に基づく水平的な関係<br />→ ←</td>
<td bgcolor="#dbedff" style="text-align: center">双方向的<br />↔</td>
</tr>
<tr>
<td>限定アクセスの傾向</td>
<td bgcolor="#ffeddb" style="text-align: center">学術的・文化的な特別拝観（例：非公開の文化財、住職による直接解説）</td>
<td bgcolor="#edffdb" style="text-align: center">テーマや専門家に紐づく特別な体験（例：専門家の工房訪問、ファン限定の交流会）</td>
<td bgcolor="#dbedff" style="text-align: center">ビジネスや交渉のためのプライベート空間（例：企業トップとの面会等）</td>
</tr>
<tr>
<td>提供価値</td>
<td bgcolor="#ffeddb" style="text-align: center">専門家の「質」と「解説の深さ」学術的な権威を持つ専門家による信頼性の高い解説</td>
<td bgcolor="#edffdb" style="text-align: center">カリスマ的な専門家と参加者同士が趣味を通じて感動を共有できる場</td>
<td bgcolor="#dbedff" style="text-align: center">特別な「人脈」と「アクセス」独自のコネクションでしか実現不可能な機会</td>
</tr>
<tr>
<td>主な国・地域</td>
<td bgcolor="#ffeddb" style="text-align: center">イギリス、アメリカ、カナダ、ドイツ等</td>
<td bgcolor="#edffdb" style="text-align: center">台湾、オーストラリア、香港（専門テーマ）等</td>
<td bgcolor="#dbedff" style="text-align: center">中国、シンガポール、中東、香港（富裕層向け）等</td>
</tr>
</table>
</div>
<p style="text-align: right">資料：筆者作成（画像はGoogle Geminiより作成）</p>
<p style="margin-top: 2em">
<h4>【参考URL】</h4>
<ul>
<li>Martin Randall Travel: <cite>https://www.martinrandall.com</cite></li>
<li>Smithsonian Journeys: <cite>https://www.smithsonianjourneys.org/</cite>
</li>
<li>Modern Adventure: <cite>https://modernadventure.com/</cite></li>
<li>ASA Tours: <cite>https://www.asatours.com.au/</cite></li>
<li>Ross Garden Tours: <cite>https://rosstours.com/</cite></li>
<li>金龍永盛旅行社: <cite>https://www.dragontr.com.tw/</cite></li>
<li>LTRIP: <cite>https://www.ltrip.com/</cite></li>
<li>盛诺一家 Hope Group: <cite>https://www.hopenoah.com/</cite></li>
<li>中青旅: <cite>https://custom.aoyou.com/</cite></li>
</ul><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-hvt-kakishima/">専門家帯同訪日ツアーによる高付加価値旅行の考察 ―「アカデミック」「コミュニティ」「実利」の3類型から― [コラムvol.531]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
	</channel>
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