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	<title>観光と社会の潮流 | (公財)日本交通公社</title>
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	<description>公益財団法人日本交通公社は、観光を専門とする実践的学術研究機関です。旅行・観光に関する学術的、実践的な調査研究を通して、わが国の観光文化の振興に寄与し、豊かな社会の実現を目指します。</description>
	<lastBuildDate>Mon, 25 May 2026 04:07:11 +0000</lastBuildDate>
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		<title>親子滞在型リゾートとして台湾リゾート・墾丁　[コラムvol.542]</title>
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		<dc:creator><![CDATA[webkamitomo]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 25 May 2026 04:07:11 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[<p>「沖縄の方が安い」という議論の背景 台湾では数年前から、「墾丁に行くなら沖縄へ行った方が安い」といった議論が話題となっていました。かつて台湾を代表する南部リゾート・墾丁（Kenting）ですが、近年は、観光客減少や「割高･･･</p>
<p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-kenting-yoshiyachi/">親子滞在型リゾートとして台湾リゾート・墾丁　[コラムvol.542]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<h3>「沖縄の方が安い」という議論の背景</h3>
<p>台湾では数年前から、「墾丁に行くなら沖縄へ行った方が安い」といった議論が話題となっていました。かつて台湾を代表する南部リゾート・墾丁（Kenting）ですが、近年は、観光客減少や「割高」というイメージも語られるようになっています。</p>
<p>私は先日、私用で実際に墾丁を訪れました。現地を歩いてみると、日本でイメージしていた「若者向けビーチリゾート」とは少し異なる風景が見えてきました。</p>
<p>墾丁は台湾最南端の恒春半島に位置し、1984年に台湾初の国家公園として指定されました。国家公園統計では、2014年には年間観光客数が約837万人に達しましたが、その後は減少傾向が続いています <sup>1)</sup>。</p>
<p>背景には複数の要因があります。LCCの普及により、日本や東南アジアへの海外旅行が一般化したこと、若年層の嗜好が都市型・短期型観光へ変化したこと、さらに「墾丁は割高」というイメージがSNS上で定着したことなどが挙げられています<sup>2)</sup>。台湾北部住民にとって、沖縄は桃園空港から約1.5時間で到着できる一方、墾丁へは高雄からさらにバス等で約2時間の陸路移動を要するため、時間効率の面でも不利とされています。</p>
<p>一方、行政側は、従来統計ではホテル滞在型観光客やエコツアー参加者を十分に把握できていないと説明しています。携帯電話位置情報を活用した推計では、従来統計とは異なる来訪実態も示されています<sup>3)</sup>。墾丁では、以前のように「何人来たか」だけでは、観光地の実態を測りにくくなっている、という状況になっているようです。</p>
<h3>「親子で学ぶリゾート」への変化</h3>
<p>今回、私が墾丁を訪れた大きな目的の一つは、子ども向け環境教育コンテンツの体験でした。若者向けビーチリゾートのイメージが強かった墾丁ですが、実際に訪れてみると、親子向け滞在型リゾートとしての側面もかなり目立っていました。その象徴が、台湾最大級の水族館である国立海洋生物博物館（海生館）です。</p>
<p>特に人気なのが、閉館後の水族館に宿泊する「夜宿海生館」プログラムです<sup>4)</sup>。参加者は夜間の生態観察やバックヤード見学などを体験できます。</p>
<p>実際に参加してみると、サンゴをはじめとする生物の夜間行動を観察したり、海中トンネルの下に布団を敷き、ベルーガの泳ぐ水槽を眺めながら就寝したりする構成となっていました。単なるレジャーではなく、海洋環境への理解を深める教育プログラムとして非常に完成度が高いと感じました。日本でも類似企画はありますが、ここまで大規模な常設型の宿泊プログラムは比較的珍しい印象でした。</p>
<figure>
<div style="text-align: center"><img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2026/05/column542_image2.png" alt="研究員コラム" width="90%"></div>
<div style="text-align: center"><figcaption>「夜宿海生館」体験写真（著者撮影）</figcaption></div>
</figure>
<p>印象的だったのは、自然環境だけでなく、地域インフラも学習対象に組み込まれている点でした。近隣港湾ではサンゴ礁観察やエネルギー展示なども行われていました。グラスボートで港を出ると、穏やかなサンゴ礁の海の背後に2棟の原子炉建屋が見えました。サンゴ礁の海と原発建屋が同時に視界へ入る光景は、日本のリゾート地ではあまり見られないものでした。</p>
<figure>
<div style="text-align: center"><img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2026/05/column542_image3.png" alt="研究員コラム" width="90%"></div>
<div style="text-align: center"><figcaption>サンゴ礁と原発が隣接する景観写真（著者撮影）</figcaption></div>
</figure>
<p>宿泊施設側でも、ファミリー市場への対応が進んでいます。大型リゾート「悠活リゾート」は、キッズ設備や、二段ベッドにクライミングウォールとブランコがある部屋、大型プールを備え、台湾国内で高い人気を集めています。スタッフの一人は台北出身で、「墾丁は台湾の沖縄のような場所。こういう場所で働きたくて移住してきた」と話していました。</p>
<p>実際に同行した子どもも、夜の水族館やベルーガ観察に強い興味を示し、電力展示館でも展示を通じて学習を楽しんでいました。悠活リゾートについても「また泊まりたい」と繰り返していました。</p>
<p>平日に訪れた現地は比較的落ち着いた雰囲気で、来訪者の多くは台湾国内客であるように見受けられました。大量集客型リゾートとして知られてきた墾丁とは、利用実態が変わりつつあるようにも感じられました。</p>
<h3>墾丁観光の裏側にある地域事情</h3>
<p>現地を調べていくと、墾丁では観光だけでなく、土地利用やエネルギー政策など、複数の課題が重なっていることも分かってきました。</p>
<p>国家公園区域では長年、厳しい土地利用規制が続いてきました。一方、地域住民からは「生活改善が難しい」「地元住民に利益が還元されにくい」といった不満も存在していました。</p>
<p>そのため近年は、一定条件下で農地転換を認める土地利用規制の見直しも進められています<sup>5)</sup>。外部資本による大規模開発を抑えつつ、地元住民主体の小規模宿泊業などを支援する方向性です。地域主導型エコツーリズムも推進されています。梅花鹿観察ツアーなどでは、地域住民自身がガイドとなり、観光収益を地域へ還元する取り組みが進められています<sup>6)</sup>。</p>
<p>墾丁では、観光とエネルギー政策も無関係ではありません。恒春半島に立地する台湾第3原子力発電所は2025年に運転を終了し、地域社会では雇用や地域経済への影響が議論されています<sup>7)</sup>。現地を歩いていると、観光だけでは語れない地域事情も背景にあるようでした。</p>
<h3>墾丁は「衰退」しているのか</h3>
<p>墾丁を巡っては、観光客減少ばかりが注目されがちです。しかし現地で感じたのは、単純な衰退ではなく、「観光地に何を求めるのか」という価値基準が変化しているという点でした。</p>
<p>行政や一部事業者は、沖縄や東南アジアとの価格競争ではなく、環境教育や長期滞在体験による差別化を図っています。実際、高級リゾート投資も徐々に進み、滞在型や体験型を重視する動きが強まっています<sup>8)</sup>。</p>
<p>一方で、こうした転換の恩恵を受ける事業者はまだ限定的であり、従来型観光に依存する地域経済との間には、温度差もなお残っているように感じられました。こうした変化が地域全体にどのような影響を与えていくのかは、まだ見通しにくい部分もあります。</p>
<p>墾丁を見ていると、観光地に求められるもの自体が少し変わりつつあるようにも感じられました。実際に訪れてみると、かつて日本でイメージしていた「台湾のビーチリゾート」とは少し異なる姿が見えてきました。少なくとも現在の墾丁は、単なる「安い南国リゾート」として語れる場所ではなくなっているように感じられました。</p>
<h4>【参考文献】</h4>
<ol>
<li>墾丁國家公園管理處「遊客統計資料」</li>
<li>台湾メディア・SNS上における「墾丁不如去沖縄」関連報道</li>
<li>墾丁國家公園管理處による通信ビッグデータ活用説明資料</li>
<li>國立海洋生物博物館「夜宿海生館」公式資料</li>
<li>墾丁國家公園第五次通盤檢討関連資料</li>
<li>墾丁國家公園管理處 エコツーリズム関連資料</li>
<li>台湾電力公司・核三廠除役関連資料</li>
<li>台湾観光業界報道（墾丁リゾート投資・ホテル開発関連）</li>
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			</item>
		<item>
		<title>地方観光地の人材不足にどう向き合うか　―地域単位で取り組む3温泉地の事例から―　[コラムvol.541]</title>
		<link>https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-tourism-workforce-yamamoto/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=column-tourism-workforce-yamamoto</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[webkamitomo]]></dc:creator>
		<pubDate>Wed, 13 May 2026 04:06:59 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[<p>はじめに 人口減少が進む中、日本各地の観光地で人材不足が深刻化している。観光地で働く人材が確保できないことには、来訪する観光客に対し質の高いサービスを提供できないどころか、施設や地域の存続そのものが危ぶまれる事態となる。･･･</p>
<p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-tourism-workforce-yamamoto/">地方観光地の人材不足にどう向き合うか　―地域単位で取り組む3温泉地の事例から―　[コラムvol.541]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<h3>はじめに</h3>
<p>人口減少が進む中、日本各地の観光地で人材不足が深刻化している。観光地で働く人材が確保できないことには、来訪する観光客に対し質の高いサービスを提供できないどころか、施設や地域の存続そのものが危ぶまれる事態となる。</p>
<p>人材不足への対応には、大きく2つの側面があるということができる。新たな人材を地域に呼び込む「確保」と、人材を地域で育て、長く働き続けてもらうための「育成・定着」である。これらに個々の施設で取り組むことも可能だが、人手が限られる中で、施設規模も小さい事業者が単独で十分な対策を講じることは容易ではない。こうした課題には、個々の施設の経営努力に加え、地域として協力して取り組むことが有効と考えられる。</p>
<p>本コラムでは、地域として人材不足の課題に取り組んでいる3つの温泉地の事例を取り上げる。それぞれの取組から、地方観光地における人材確保・育成・定着のあり方を考えてみたい。（写真提供：熊本県観光連盟）</p>
<h3>事例① 黒川温泉　―地域として採用し、地域として育てる―</h3>
<p>熊本県阿蘇地域に位置する黒川温泉は、30軒の旅館が集まる小規模な温泉地である。黒川温泉観光旅館協同組合は、2020年以降、人材の確保と育成に組合全体として取り組む体制を整えてきた <sup>1)</sup>。</p>
<p>まず人材確保の面では、組合が取りまとめの役割を担っている。「黒川温泉おもてなし体験インターンシップ」<sup>2)　※2</sup>は、個々の旅館が単独で学生にアプローチするのではなく、温泉地全体としてインターンシップの募集を行う取組である。参加者は各旅館での仕事体験に加え、共通プログラムとして黒川温泉という地域そのものについて理解する時間を持つ。また採用面では、組合のウェブサイトに各旅館の採用情報が集約されており、複数旅館への応募も可能である。条件面ではなく、従業員の働き方や暮らし方、経営者の思いといった、その地域・その施設で働くことの意味が前面に出されており、「○○旅館で働きたい」という人だけでなく、「黒川温泉で働きたい」という人を受け入れられる仕組みになっている。</p>
<p>育成の面でも、組合は階層別のプログラムを用意している。新入社員が参加する「合同入社式」では、黒川温泉の歴史や地域資源に触れるワークショップを通じて、この地域で働く意義を感じてもらう。また中堅層向けには、次世代リーダー育成プログラム「黒川塾」を開催している。旅館の従業員にとどまらず、「地域の観光人材」としての視点や視座を養い、キャリア意識を醸成することを目的に、キャリアデザインの考え方、地域文化の理解、旅館の魅力づくり等に関連するカリキュラムを設定している。経営者層に対しても人材育成研修を実施し、各旅館での取組をサポートしている <sup>1)</sup>。</p>
<p>これらの取組の背景には、黒川温泉が長年大切にしてきた「黒川温泉一旅館」という考え方がある。温泉地全体を一つの旅館として捉える、地域一体での観光地づくりの思想である。料理やサービスといった個々の施設の競争領域は各旅館が切磋琢磨する一方、人材の採用・育成という、地域全体の持続性に関わる領域については、組合として面で取り組む。この役割分担が、黒川温泉の人材戦略の特徴といえる。</p>
<figure>
<div style="text-align: center"><img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2026/05/column541_1.png" alt="研究員コラム" width="90%"></div>
<div style="text-align: center"><figcaption>黒川塾の様子<sup>※1</sup></figcaption></div>
</figure>
<h3>事例② 嬉野温泉　―日本語学校が「嬉野で暮らす入口」になる―</h3>
<p>佐賀県の嬉野温泉では、温泉旅館の敷地内に日本語学校が開校するという、ユニークな取組が始まっている。</p>
<p>この取組を進めているのは、嬉野温泉の老舗旅館・和多屋別荘である。同館の敷地内に2024年4月に開校した「ICA国際会話学院 嬉野校」は、文部科学大臣が認可した日本語学校で、アジア・中央アジアを中心とする海外人材に向けた日本語教育を提供する。学校の運営は外部法人が担うが、教室には和多屋別荘の現在使われていない宴会場を活用しており、温泉旅館と日本語学校が文字通り隣り合って存在している。</p>
<p>ただし、この日本語学校は旅館の従業員養成を目指すものではない。生徒は嬉野での就職や旅館での就職を目指して入学したわけではなく、日本語を学ぶ場所がたまたま嬉野にあったにすぎない。しかし、嬉野で暮らす中で愛着を抱く学生、学業の傍ら旅館でアルバイトをすることで旅館での就職を視野に入れる学生も現れている。学生のアルバイトは目下の人材不足の解消にもつながっており、地域にとって現在と将来の双方に意義がある。</p>
<p>当初から「嬉野で働きたい」と思っている人を集めるのではなく、まずは「嬉野で暮らし、学ぶ」という入口を地域として用意することで、結果として地域に根づく人材が育つ可能性を広げるという嬉野温泉の取組は、海外人材との接点づくりにおける一つの新たな試みといえるだろう。</p>
<figure>
<div style="text-align: center"><img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2026/05/column541_2.png" alt="研究員コラム" width="90%"></div>
<div style="text-align: center"><figcaption>旅館の宴会場フロアを活用した日本語学校</figcaption></div>
</figure>
<h3>事例③ 草津温泉　―外国人材を「労働力」ではなく「同じ地域の住民」として迎える―</h3>
<p>群馬県の草津温泉は、人口約6,000人の規模で、年間約400万人の観光客を受け入れている、観光に特化した町である。その担い手として外国人材の存在感が年々大きくなっており、現在では町の人口の約1割以上を外国人が占めるとされている<sup>3)</sup>。</p>
<p>草津温泉観光協会DMOには、2016年に発足した人材育成部会がある。合同入社式、若手従業員と地元住民が交流する月例イベント「あつまらナイト！」、地域の観光要素や生活のヒントを盛り込んだ動画制作など、地域全体で人材を確保・育成・定着させるための取組を継続してきた。</p>
<figure>
<div style="text-align: center"><img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2026/05/column541_3.png" alt="研究員コラム" width="90%"></div>
<div style="text-align: center"><figcaption>あつまらナイト！の様子<sup>※3</sup></figcaption></div>
</figure>
<p>近年、人材育成部会が特に力を入れているのが、外国人材との共生である。職場での外国人スタッフの受入れは進む一方で、家族（特に日本語に触れる機会の少ない母親等）の地域への溶け込み、ごみ出しなどの生活ルールの共有、食文化の違いへの相互理解といった、暮らしの場面における課題が顕在化している。同部会会長の中澤牧子氏は、外国人材を「単なる労働力の補填ではなく、ともに地域を支え地域を作る仲間」として迎える必要があると述べている<sup>4)</sup>。</p>
<p>こうした認識のもと、2025年5月には地元の旅館を会場に、地域住民・旅館関係者・行政・外国人住民らが一堂に会する多文化共生イベント「多文化共生会議 in 草津温泉」が開催された<sup>5)</sup>。母国文化の紹介や食を通じた交流が行われ、「同じ地域に暮らす住民」として顔の見える関係を築く第一歩が踏み出されている。</p>
<h3>まとめ　―人材不足対応は地域全体の課題―</h3>
<p>地方観光地における人材の確保・育成・定着は、もはや個々の施設の経営課題にとどまらず、地域全体で取り組むべき課題であるといえる。3つの事例から見えてきた、地域として人材の課題に取り組む意義・メリットを以下に挙げる。</p>
<ul>
<li>確保：旅館単体での取組では訴求力に限界があり、地域としての入り口やきっかけの作成が効果を発揮し得る。（黒川温泉のインターン・採用サイト、嬉野温泉の日本語学校）</li>
<li>育成：個々の旅館を超えたコミュニティの中で、地域文化への理解を深め、自分なりのキャリアを描いていくことが、人材の長期的な成長と定着につながる。さらに、温泉地のように事業者がまちづくりに主体的に関与する地域では、こうした人材の育成は、地域そのものを担う人材の育成へとつながりうる。（黒川温泉の地域同期構想、黒川塾）</li>
<li>定着：職場の中だけでなく、暮らしの場面における課題への対応が欠かせない。これは施設単独では対応しきれない領域であり、地域を巻き込んだ取組によって初めて成り立つ。（草津温泉の多文化共生）</li>
</ul>
<p>これらの事例に共通するのは、人材を「事業者の従業員」としてだけでなく、「地域の担い手」「地域に暮らす住民」として迎え、育て、住み続けてもらうという考え方である。このように人材を地域全体で支えるという視点に立てば、長く働き、暮らす場としての魅力を、地域全体で高めていく必要があるといえる。</p>
<p>もっとも、これらの取組によって人材不足の解決に至れるかというと、課題は多い。地方の人口減少は今後さらに進み、加えて観光・宿泊業は人手不足が構造的な課題となっており、労働条件の改善も含めた対応が業界として問われている。このように地域単位の工夫だけでは解決し切れない問題も多く、より抜本的な改革や観点の転換が求められる側面もある。海外人材を地域の担い手として迎えるという発想についても、生活基盤を長期的に支え続けられるか、子の世代の教育・進路をどう保障するかなど、迎える側の責任は重い。これらの取組はまだ始まって間もなく、長期的な視点に立ち、課題と向き合いながら継続的に検討と改善を重ねていくことが求められる。</p>
<h4>【参考文献】</h4>
<ul style="list-style-type: none">
<li>1)	黒川温泉観光旅館協同組合「キャリアサポート」黒川温泉採用情報サイト，<br /><cite>https://www.kurokawaonsen.or.jp/recruit/support/</cite></li>
<li>2)	黒川温泉観光旅館協同組合「黒川温泉おもてなし体験インターンシップ」SMOUT,<br /><cite>https://smout.jp/plans/17810</cite></li>
<li>3)	全国27市区町村で外国人住民が1割超　群馬県は大泉で21.3％、草津で10.5％　工業や観光の担い手に, 上毛新聞, 2025/11/7, 上毛新聞電子版,<br /><cite>https://www.jomo-news.co.jp/articles/-/803545</cite></li>
<li>4)	公益財団法人日本交通公社（2025）：「温泉まちづくり研究会2024年総括レポート」，pp.9-12,38-39.</li>
<li>5)	JICA東京高崎分室「多文化共生会議 in 草津温泉が開催されました！」JICA, 2025/6/5,<br /><cite>https://www.jica.go.jp/domestic/tokyo/information/topics/2025/1570042_67054.html</cite></li>
<li>※1 黒川温泉観光旅館協同組合より写真提供</li>
<li>※2 2025年度は「黒川温泉オープンカンパニー」として実施。</li>
<li>※3 草津温泉観光協会より写真提供</li>
</ul><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-tourism-workforce-yamamoto/">地方観光地の人材不足にどう向き合うか　―地域単位で取り組む3温泉地の事例から―　[コラムvol.541]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>賢明な未来を選び取る、「観光地のグロースマネジメント」 —まちづくりと観光事業⑱　[コラムvol.538]</title>
		<link>https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-machi18-goto/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=column-machi18-goto</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[webkamitomo]]></dc:creator>
		<pubDate>Tue, 03 Mar 2026 01:05:50 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[<p>はじめに―観光地の「成長」とは何か、代謝する各主体・要素の今 地域の発展を如何に捉え、如何なる方向へと向かうべきか。この問いは、いつの時代も都市・地域論の中心的な命題であり続けてきた。人々が暮らす「まち」は、常に変化とい･･･</p>
<p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-machi18-goto/">賢明な未来を選び取る、「観光地のグロースマネジメント」 —まちづくりと観光事業⑱　[コラムvol.538]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<h3>はじめに―観光地の「成長」とは何か、代謝する各主体・要素の今</h3>
<p>地域の発展を如何に捉え、如何なる方向へと向かうべきか。この問いは、いつの時代も都市・地域論の中心的な命題であり続けてきた。人々が暮らす「まち」は、常に変化という名の代謝を繰り返す生き物である。昨今、「脱成長」や「包摂的な成長」など、成長を巡る概念は多様化しているが、何れの文脈にせよ、その代謝を適切に調整・制御し、次なるステージへと繋げるマネジメント機能が不可欠である。
</p>
<p>観光分野においては長らく、Butler(1980)の「観光地ライフサイクル（TALC）モデル」が参照されてきた。観光地の発展を大きく成長・確立・停滞等の線形で捉える同モデルは、今日においても基礎となる理論的枠組みである。しかし、同モデルの提唱から半世紀を経てもなお、発展の各段階に応じた対策やマネジメントの知見が体系的に蓄積されているとは言い難い。現代においては、気候変動、インフラの老朽化、そして住民の受容限界といった複雑な外的・内的要因の相互作用も考慮に入れなければならない。
</p>
<p>勿論、世界を見渡せば事例は多数存在する。しかし、地域ごとに前提条件が異なる且つ複数の利害が複雑に絡み合うため、万能な成長管理モデル（処方箋）は成立し得ないだろう。結果として、地域政策と観光政策が交錯する領域で、対症療法的に部分的な管理がなされているのが現実である。視点を変え、成長におけるステークホルダー間の動的な均衡状態を捉えようとVICEモデル（訪問者・産業・コミュニティ・環境）をベースに俯瞰しても【図参照】、各主体のあり方や主体間の関係は時代とともに変容しており、その境界線も融解しつつある。
</p>
<p>また、メガシティ<sup>*1</sup>と中小規模の都市とでは、事象の捉え方も政策の調整手法も異なる。まちごとに異なる背景を持ちながらも、観光が地域社会での存在感を増す中で、規模の大小を超えて共通する潮流がある。それは、物理的な公共空間の整備にとどまらず、社会的に共有される体験や居場所づくりを重視する「パブリック・レルム（Public Realm: 公共的領域）」<sup>*2</sup>や、「観光コモンズ」の創出への志向である。すなわち、現代においてまちの魅力の核心は、人々が交わり体験を共有する「器」の質へと移行している。</p>
<figure>
<div style="text-align: center"><img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/column538_image1-1.png" alt="研究員コラム図表" width="80%"></div>
<div style="text-align: center"><figcaption>出典：「A Practical Guide to Tourism Destination Management」(UNWTO, 2007)のVICEモデル*および「訪れてよし の観光地づくり-まずは住民意識の把握から!」（（公財）日本交通公社、2013）、「沖縄観光成果指標（整理軸）」、「近江八幡市観光振興計画」（2023）の関係図をもとに、筆者作成　*Visitor、Industry、Community、Environment and Cultureの頭文字</figcaption></div>
</figure>
<p>例えばメガシティの代表格であるニューヨーク市は、マンハッタンへの一極集中を緩和すべく、ブルックリン等の開発を通じて賑わいと共生の場を生み出し、5区内外での多極・分散を図ってきた。一方で、グリーン・ジェントリフィケーション（環境改善に伴う地価高騰と低所得者の排除）等の副作用の内部化も試みている。地元雇用や生活賃金の保証、地元調達、低廉な住宅や公共空間の確保等を開発事業者と地域コミュニティ連合が直接契約する、民間主体の「コミュニティ還元協定（CBA：Community Benefits Agreement）」、さらに公的投資を約束する「合意事項（POA: Points of Agreement）」等の重層的な枠組みを通じて、開発時やその後の地域の持続性を担保している。こうした制度は、今後の観光地マネジメントにも参考となるだろう。前例を踏まえ、事前調整的なシステムを如何に実装していくか。その知恵が今求められている。
</p>
<h3>グロースマネジメント再考―量と質、そして「速度」を捉える複眼</h3>
<p>さて、ここからは都市計画の領域で培われてきた「グロースマネジメント（成長管理）」の展開を踏まえながら、“成長”という概念を再定義する視点から捉え直していく。</p>
<p>都市の成長管理の発祥である米国の都市計画の歩みを振り返ると、1970〜80年代にかけて、都市の無秩序な拡大（スプロール）を抑制するため、開発の量や場所、速度・タイミングを規制的に調整する「グロースマネジメント」が隆盛した<sup>*3</sup>。例えば、サンフランシスコのベットタウンとして人口が急増したカリフォルニア州のペタルーマ（Petaluma）は、1971年にプランを策定し、1972年から5年間、住宅建設許可に年間上限を設ける数値割当（Quota）を導入した。また、ニューヨーク州のマラポ（Ramapo）では、1969年に資本整備計画に基づくインフラ整備水準と開発許可を連動させる〔状況を得点化し、その点数に達しないと許可しない〕という段階的成長管理システムを設けた。こうした時間軸を有する制度形成の動きは、観光地及び観光領域の成長管理へと展開されていった。
</p>
<p>90年代には、成長をより良い形態へと誘導する質的なアプローチ「スマートグロース（賢明な成長）」へと議論が移行していく。その後、様々な議論や展開を経て、近年では、社会経済的な縮小を所与の前提として「スマートディクライン（賢明な縮小）」（我が国では「スマートシュリンク」）という概念も問われるようになっている。多種多様な地域・観光地が存在する中で今日直面している課題は、過剰な観光がもたらすオーバーツーリズムだけではない。施設の老朽化に伴う更新や空き家・廃屋の撤去、施設の集約化を通じたダウンサイジングもまた、視野に収めるべき切実な課題である。そして重要なのは、こうした課題への対応は単なる「後退」や「縮小」ではないという点だ。住民の生活の質（QOL）の向上や、地域に対するシビックプライドの醸成といった、別軸の規範的価値増大を目指すという意味において、これもまた広義の「成長」の一形態と言える。本コラムでは、これら多様なベクトルを包括して「観光地のグロースマネジメント」<sup>*4</sup>と呼称する。
</p>
<p>そして、半世紀を振り返り、改めて着目すべきは、「量・質・速度」という三つの次元である【前の図参照】。1970年代、我が国の観光政策審議会の場では、既に適正な規模（サイズ）と適正な速度（スピード）に眼差しは向けられていた<sup>*5</sup>。以下では、速度変化への対応として一時停止措置（モラトリアム）に焦点を充てて、海外の事例を幾つか概観する（観光モラトリアム研究自体の目的は、後藤（2024）を参照）。
</p>
<h3>モラトリアム―賢明な「足踏み」戦略の導入</h3>
<h4>事例 サンフランシスコ市―住居確保に向けたモラトリアム（1979）</h4>
<p>1970～80年代にかけて、サンフランシスコ市は急激な不動産開発と高級化、いわゆるマンハッタン化が進み、その発展の影で深刻化したのが、低所得者向けの住宅供給（単身者向け居住用ホテル（SRO: Single Room Occupancy））<sup>*6</sup>の減少である。市場原理に任せれば消失するであろう危機に対して、1979年、市議会に相当する同市の監督委員会は、観光客向け宿泊施設（ホテル・コンドミニアム）への転用を制限するため、「居住用ホテル（SRO）ユニット」の解体・転換を禁じる一時的措置（モラトリアム）を決定した。この猶予期間における議論を経て、1981年には「居住用ホテルユニット転換条例」として恒久化された<sup>*7</sup>。
</p>
<p>同条例の制度的核心は、SROを観光用途に転換する事業者に対して、開発がもたらす外部不経済の内部化を厳格に課した点にある。開発事業者は、①立ち退きを余儀なくされる居住者への移転支援を行うとともに、②喪失する居住ユニットと同数の居住ユニットを新たに新設・改修して置き換えるか、あるいは③金銭で補填するか〔相当額の「代替負担金（in-lieu fee）」を市の住宅基金に納付するか、公的機関・団体に資金提供して代替ユニットを確保するか〕という選択を迫る制度とした。なお、同条例は、観光宿泊施設の増設自体を完全には阻害しておらず、転用許可の代替として住居供給を強制するものである。
</p>
<p>また、こうした動きは、同時代の都市における成長管理の全体像と、サンフランシスコ市における時系列的な展開の両面から捉える必要がある。同市では、1980年代に住宅供給量とオフィス開発上限を連動させるリンケージ制度〔目標未達成の場合はオフィス枠の削減〕を設けるなど、絶えず制度改善を繰り返しながら現在に至る。
</p>
<h4>事例 ワイキキ―猶予期間が導く、センス・オブ・プレイスの体現に向けた規制の適正化へ（1990）</h4>
<p>モラトリアムは、より厳格な開発規制強化への助走だと捉えられがちである。しかし、過去の硬直化した規制がもたらした停滞を解きほぐし、規制の適正化（実質的な規制緩和を含む）へと向かう布石となることもある。1980年代後半、ハワイ州ホノルル市郡のワイキキ地区は国際的な観光地競争力の低下と施設の老朽化という課題に直面していた。1976年設立のワイキキ特別地区（WSD）で導入した厳格な基準（規制）が再投資を阻害していたことが要因の一つであった<sup>*8</sup>。
</p>
<p>この制度的ジレンマを打開すべく、ホノルル市議会は、1990年、ワイキキ地区における新規建設許可の発行を1年間に限定して停止する暫定開発規制（IDC (Interim Development Control)）条例を可決した<sup>*9</sup>。新規建設を停止して「新方針の検討に充てる戦略的猶予期間」を確保したのだ。この停止期間を利用して抜本的な制度設計の見直しを行い、1992年にはワイキキ・マスタープランを策定。そして地域の文化的・規範的価値「ハワイアン・センス・オブ・プレイス」を体現するための質的誘導（規制緩和を含む）を図る土地利用条例の改正（1996年）へと展開した<sup>*10</sup>。モラトリアムを契機として更新を阻むボトルネックを解消し、従前の規制の継ぎ接ぎ的緩和を回避しつつ、文化的な質向上への誘導と民間投資の促進を両立させる制度再構築を行った。
</p>
<p>なお、ホノルル市郡では、1980年代後半には既に他の地区でIDC条例を導入した先例があり、既存の制度的枠組みをワイキキという国際的なアーバンリゾートに適用した<sup>*11</sup>。</p>
<h4>事例 バリ島―異なるレベルの政府間調整による選択的開発と再配分（2026）</h4>
<p>直近の国際的な動向として注視すべきは、インドネシア・バリ島での開発調整と財政メカニズムを組み合わせたモラトリアムである。バリ州政府（以下、州政府）は2026年1月より生産的な土地（農地や森林、保水地等）、特に水田におけるホテルやレストラン、商業施設の新規建設許可の発行を停止した<sup>*12</sup>。
</p>
<p>バリ島では、コロナ禍からの回復期において、観光による負の影響が深刻化し、モラトリアム論争が再燃した<sup>*13</sup>。混雑と過剰開発を前に、ホテル、ナイトクラブ、ヴィラの建設を一時停止する計画や、新規建設の許可・監督権限を州政府に移管する案も浮上した<sup>*14</sup>。しかし、2025年初頭、州知事は経済的影響を危惧しモラトリアム導入を見送った。
</p>
<p>その後は、長年の課題である南北の空間的な経済格差と過度な土地開発に対処するため、州政府は、2025年7月に州内の県・市と新たな財政面での合意を形成した。それは、観光開発が集中する南部地域（Sarbagita地域）が徴収するホテル・レストラン税の10%を、州が基金化し特別財政支援として北部地域６県に直接再配分するというものである。対象地域に対しては、財源移転を受ける条件として、新規のホテル・レストランの開発抑制と農地・環境保全を義務付けた。これは法規制ではなく、経済的インセンティブによる調整を通じた島全体での異なる政府間調整を通じた成長管理の試みである。
</p>
<p>さらにその後、一度見送られたモラトリアムが2025年9月の大洪水を機に再検討されることになった。災害の原因の一つは、上流域における雨水浸透機能を有する緑地の減少、すなわち農地の無秩序な商業施設や観光宿泊施設への転用にあった。この環境的危機を受け、州知事は直ちに方針を強化し、2026年1月、生産的な土地における商業施設やホテルの新規建設許可を厳格に禁止するモラトリアムを正式発動した。税の再配分という「インセンティブ」と、「規制」の二段構えにより、バリ島は持続可能な地域へと近づく道を模索している。
</p>
<p>なお、この結実の背後には、州政府による「バリ州新時代100年ビジョン2025–2125」（2023年）の提示、州政府による空間計画（RTRW）（2023年）の見直しがあり、モラトリアムはその方向と合致していること。コロナ以前と異なり、今回は中央政府も州政府のモラトリアムを支持していること（2024年）、さらに遡れば、中央政府はバリ州を再規定する法律を公布（2023年）しているなど、幾重もの環境変化や体制の整備等があることも付記しておく<sup>*15</sup>。
</p>
<h3>おわりに―観光客との共生/共創を捉えた規範的価値の構築へ</h3>
<p>三つの事例（サンフランシスコ、ワイキキ、バリ島）が共通して示しているのは、モラトリアムという「変化速度の一時停止」が単なる開発の拒絶ではない、という事実である。「自ら歩みを止める」という政治的決断を下すことで、居住権の保護、投資環境の適正化、あるいは環境保全と富の再配分といった、「地域はどうあるべきか」（規範的価値）を再定義し制度として実装・介入していくための「猶予期間」を獲得したのである。
</p>
<p>社会的包摂、レジリエンス（回復力）、住民のウェルビーイング等といった多様な指標が現代の新たな成長の対象となる中で、より求められてくるのは、「成長を如何に管理するか」という受動的な問い（対応）を超えて、「地域としてどう在りたいのか、どのような状態を目指すのか」という、規範的ビジョンを自ら定義し選び取る能動的な意思である。成長、成熟、あるいは賢明な縮小や撤退といった多様な状況からの道筋は、地域の規範的価値、確固たるビジョンに基づいて選び取られ、デザインされなければならない。そのためには、最初に述べた、時代とともに変容する各主体のあり方や相互の関係性の「今」を捉えたビジョンを確立し、とりわけ観光客を地域を構成する主体の一つと正面から捉え、その共生/共創を見据えた規範的価値を構築することが不可欠である。こうした能動的な意思に基づくビジョンのもとでこそ、観光という調達エネルギーを用いたまちの良質な更新は実現し得ると筆者は考える。
</p>
<h4>【注】</h4>
<ul>
<li>*1 ここでは、東京、ロンドン、パリ、ニューヨーク、北京、上海、重慶、深圳、広州、ソウル、バンコクなどの高密度都市を想定。国連経済社会局（UNDESA）『世界都市化見通し2025年版』では、人口1,000万人以上の都市圏を「巨大都市（メガシティ）」と定義している。<br />
        <cite>https://www.unic.or.jp/news_press/info/53356/</cite><br />
        <cite>https://www.un.org/development/desa/pd/sites/www.un.org.development.desa.pd/files/undesa_pd_2025_wup2025_summary_of_results.pdf</cite>
    </li>
<li>*2 品川駅北周辺地区まちづくりガイドラインによれば、「所有関係にかかわらず、広く不特定多数の人々が利用し、認知する空間領域」を意味し、「空間」づくりの先にある「場所」づくりを強調する欧米諸国の先進的都市デザインを特徴づけるキーワードの一つとされる。<br />
        <cite>https://www.jreast.co.jp/press/2016/20170320.pdf</cite>
    </li>
<li>*3 当初は地方自治体主導で進められていた。しかし、スプロールの広域的影響や自治体間の調整が難航したことから、州レベルでの包括的な土地利用計画や成長管理法の制定がその後進んだ。オレゴン州の事例は代表的だが、ここでは、基礎自治体の事例を扱う。また、同時期に制定された連邦政府レベルの「都市成長・新コミュニティ開発法（National Urban Growth and New Community Development Act）」（1970年）等は今回は扱わない。</li>
<li>*4 当財団研究顧問である西山徳明氏（北海道大学）の言葉。本コラムでは、同用語の扱う範囲および射程を改めて設定し話を展開する。</li>
<li>*5 『望ましい観光地づくりの方向 観光政策審議会報告』（内閣総務大臣官房審議室編、1977）では、進士五十八氏は「10.「適正スケール」による観光地づくり」の中で、適正規模・適正速度・適正収容力の3つの必要性について述べている。『望ましい国内観光の実現のために』（内閣総理大臣官房審議室編、1982）では、「適正な規模と速度で整備を進めること」が述べられている。勿論、質に関する議論も当時からなされている。
    </li>
<li>*6 居住用ホテル（SRO）とは、単身者向けの低価格な居住用ホテルであり、ユニットとはSROの中の1つ1つの個室を指す（当時Airbnbのような民泊サービスは存在しないことに注意）。</li>
<li>*7 背景については以下を参照。<br />
        <cite>https://www.foundsf.org/1980-1991:_RENT_CONTROL_WARS</cite><br />
        また、条例については以下を参照。主に建物自体の保存（「住宅ホテル解体・転換条例（Residential Hotel Demolition and Conversion Ordinance）」（1980年制定、1981年改正））から、観光用途への転用を防ぐ「住宅ホテルユニット転換条例（Residential Hotel Unit Conversion Ordinance）」（1981年6月制定）へ。<br />
        <cite>https://law.justia.com/cases/california/court-of-appeal/3d/177/892.html</cite>
    </li>
<li>*8 Ken Schmidt, Jamie Peirson, and Mark Lierman : Waikiki Zoning: The Waikiki Special District (WSD) &#8211; Polishing Hawaii=s Jewel<br />
        <cite>https://proceedings.esri.com/library/userconf/proc98/PROCEED/TO750/PAP703/P703.HTM</cite>
    </li>
<li>*9 正式な文書では「モラトリアム」という言葉は必ずしも用いられていないが、1993年の市都市計画局による発表（報告書「ワイキキ開発：規制プロセスの合理化」（1998年）より）や民間のニュースレター（1992年）等で「モラトリアム」と呼称されることもあったことが確認される。<br />
        <cite>https://lrb.hawaii.gov/wp-content/uploads/1998_WaikikiDevelopments.pdf</cite><br />
        <cite>https://www.lwv-hawaii.com/alohavoter/av9201-waikiki.htm</cite>
    </li>
<li>*10 ホノルル市郡政府の土地利用条例の規定により、提案の開始日から1年を超える期間には適用されない旨が明記されている。</li>
<li>*11 付録21-E: 暫定管理条例<br />
        <cite>https://codelibrary.amlegal.com/codes/honolulu/latest/honolulu/0-0-0-23040</cite><br />なお、同時期にマウイ郡でもホテルの暫定開発規制措置を講じている（後藤、2024）。
    </li>
<li>*12 適切な許可があれば、法的に指定された土地（イエローゾーン）に別荘やホテルを建設することは可能。一律全面停止でないことに注意。適正化と農地保存を主眼。</li>
<li>*13 バリ州政府によるモラトリアムの発動は、今回が初めてではない。2010年、州政府は、供給過剰を危惧する民間側の声を受け、モラトリアムを通達し、翌年に発動した。島南部地域に限って星付きホテル等の許認可発行を原則一時停止するもので、同措置は市場の需給調整を図ること、飽和状態にある南部の観光開発を分散し、島全体の均衡ある経済発展を促すことを目指すものであった。これは学術的な需要調査結果が得られるまでの暫定的な措置であった。しかし、当時、同地域は、国の投資注目地域に指定されており、また、建設許可発行権限のないバリ州政府のモラトリアム通達は有効には機能しなかった。<br />
    コロナ明けにおいては、過密化が進む南部地域の新規建設許可の凍結措置とは異なり、南部の過剰開発抑制し北部を開発する方針から、北部の開発抑制と環境保全する方針へと舵が切られた。
    </li>
<li>*14 BTB-GIPI Supports Bali Hotel Moratorium<br />
        <cite>https://www.balidiscovery.com/btb-gipi-supports-bali-hotel-moratorium/</cite>
    </li>
<li>*15 州政府による長期ビジョンの名称は「Haluan Pembangunan Bali Masa Depan, 100 Tahun Bali Era Baru<br />
        2025-2125」。2023年5月に中央政府により公布された法律の内容は、バリ州の位置付けの再規定、文化的特性や伝統制度の明文化、財源措置の法的根拠整備（外国人観光客への課徴金制度の根拠）について。ジョグジャカルタ特別州のような地位を有したわけではないことに注意。
    </li>
</ul>
<h4>【参考文献】</h4>
<p>＜日本語文献＞</p>
<ul>
<li>アラン・B・ジェイコブス著、蓑原敬他訳（1998）：『サンフランシスコ都市計画局長の闘い 都市デザインと住民参加』、学芸出版社</li>
<li>梅川智也（2008）：1 成長管理と地域マネジメントの考え方（第９章 観光計画と地域マネジメント）、『観光まちづくり』、学芸出版社、pp.257-260</li>
<li>小泉秀樹、西浦定継（2003）：『スマートグロース―アメリカのサスティナブルな都市圏政策』、学芸出版社</li>
<li>後藤健太郎（2024）：ホテルモラトリアム－公共政策による環境変化への介入（特集1　ハワイにおける観光パラダイムシフト）、観光文化、260号、pp.17-20<br />
        <cite>https://www.jtb.or.jp/tourism-culture/bunka260/260-06/</cite>
    </li>
<li>後藤健太郎（2025a）：持続可能な地域のための観光―韓国の観光関連政策を通じて、観光文化、265号、pp.44-50<br />
        <cite>https://www.jtb.or.jp/tourism-culture/bunka265/265-07/</cite>
    </li>
<li>後藤健太郎（2025b）：海外事例から読み解くオーバーツーリズム対策、国立公園、（一財）自然公演財団、No.838、pp.21-24<cite>https://www.npfj.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/838_202511.pdf</cite>
    </li>
<li>後藤健太郎（2026）：視察の全体像と観光地マネジメントの基盤強化（特集2 欧州山岳リゾートにおける観光地マネジメントとゲストカード）、観光文化、260号、pp.20-24<cite>https://www.jtb.or.jp/tourism-culture/bunka268/268-08/</cite>
    </li>
<li>中島直人編著、関谷進吾・北崎朋希・三浦詩乃・三友奈々著（2024）：『ニューヨークのパブリックスペース・ムーブメント－公共空間からの都市改革』、学芸出版社</li>
</ul><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-machi18-goto/">賢明な未来を選び取る、「観光地のグロースマネジメント」 —まちづくりと観光事業⑱　[コラムvol.538]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>「観光による地域振興」を再考する　[コラムvol.536]</title>
		<link>https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-gentrification-yamada/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=column-gentrification-yamada</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[webkamitomo]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 29 Dec 2025 06:00:47 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[<p>観光立国への取り組み 我が国は、戦後、3回、国策として観光振興に取り組んできている。 1回目は、高度成長期、レジャーブームと呼ばれた時。2回目は、バブル経済期、リゾートブームと呼ばれた時。そして、現在の観光立国である。た･･･</p>
<p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-gentrification-yamada/">「観光による地域振興」を再考する　[コラムvol.536]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<h3>観光立国への取り組み</h3>
<p>我が国は、戦後、3回、国策として観光振興に取り組んできている。</p>
<p>1回目は、高度成長期、レジャーブームと呼ばれた時。2回目は、バブル経済期、リゾートブームと呼ばれた時。そして、現在の観光立国である。ただ、同じ観光でも過去2回と、現在では、大きく性格が異なっている。過去2回は、いずれも国内都市の住民で観光需要が急増し、その供給に対応するというものであったのに対し、現在の観光立国は、国外から需要を取り込んでこようというものだからだ。そのため、過去2回は、オイルショックやバブル崩壊によって、需要が減少すると共に自然消滅したが、現在は、国際的な人流が増大することで、約20年（観光立国推進基本法の成立が2006年12月）に渡って継続されている。</p>
<p>私が、公益財団法人日本交通公社（当時は財団法人）に転職したのは1998年。バブル崩壊の煽りを受け、観光市場は縮小の一途。観光やリゾートといった言葉は、バブル崩壊と紐づけられ、肯定的な意味合いで使うことは出来なかった時代だった。そうした時代を経験している身からすれば、現在の状況は、まさしく隔世の感がある。COVID-19によるパンデミックが発生し、世界中の人流が止まった時には、流石に覚悟するものがあったが、その後、タフに需要が回復するのを見て、観光は、人々にとってファンダメンタルな活動になっているのだということを感じている。細かい時間軸、または、地域断面で見れば、当然、振れ幅はあるが、全体としては、安定的な成長期に達していると言えるだろう。</p>
<p>観光立国に取り組み始めた当時は、まだ、東アジア、東南アジアの需要は顕在化しておらず、国内経済もまだ「バブルの余韻」を抱えており、かつ、人口縮小も数値上の問題であったことを考えれば、観光立国政策の立ち上げは、極めて先見性の高い判断であったと思う。</p>
<p>「こんな物価の高い国に、海外から人が来るわけない」などと議論していたのは、今となっては笑い話にすらならない。</p>
<p>実際に、訪日市場が拡大するのは、基本法の成立から約10年の時間が必要であったが、曲がりなりにも10年という時間の中で、様々な体制作りが進んだことが、世界的な需要増大の流れの中でも、我が国が相対的に高い成長を実現できた要因だろう。</p>
<h3>観光政策の立ち位置の変化</h3>
<p>ただ、観光立国政策から20年、訪日市場増大から10年という時間軸の中で、観光と日本、地域との関係は変質してきているのではないか。</p>
<p>当初の10年は、訪日市場を展望しつつも、実際には縮小する国内市場への対応が主体であった。毎年、当然のように客数が減少していく状況の中で、なんとか踏みとどまる方策を見つけ出し、実践していくことが求められたが、ここでの当事者の多くは、観光客数減の影響を直接受ける既存の観光事業者であり、観光地であった。特に団体客から個人客へ客層がシフトし、これを背景とした、様々なオルタナティブ・ツーリズム（国内ではニューツーリズムと呼称）への対応は、高い難易度を持っていたが、「対応できなければ、消滅する」という危機感も背景にあった。この時代、国などが、いかに「観光は将来性のある産業だ」と主張しても、ほとんどの人は相手にしていなかったが、背水の陣に置かれた関係者の一体感は高かったように思う。</p>
<p>その後、訪日客が目に見えて増え始めると、増田レポート(2014)をきっかけに始まった地方創生政策（2014〜）および、明日の日本を支える観光ビジョンの策定（2016）によって、観光の社会的位置づけは大きく変わっていく。政策レベルが、これまで、国交省の外局である観光庁から、内閣官房主導へと引き上げられたことで、名実ともに、観光は国家政策となった。さらに、国際観光旅客税（2019）が導入されたことで、訪日に関わる観光政策は、独立した財源を有する自立性の高い政策領域ともなった。こうした体制の中で、訪日客数は順調に増大し、政策としてのアウトカムを獲得してきた。パンデミック時に、GoToトラベルや、その後継となる全国旅行支援政策によって、国内需要の底支え出来たのも、こうした政策体制が構築できていたからだろう。</p>
<p>20年の積み上げの結果、我が国は国レベルで、観光について考え、政策実行できる体制を得たことは、誇って良いことだと思っている。</p>
<p>しかしながら、パンデミック後、揺り戻し的な動きが出てくることになる。オーバーツーリズムという言説が、日々、使われるようになったことが象徴的だが、これまで、観光振興を肯定的に捉えていた社会が、変化しつつあるように感じる。主観で言えば、この雰囲気は、バブル経済のピーク時の感覚に近い。</p>
<p>これには様々な原因があるだろうが、注目したいのは、同様のことが世界的に生じているということだ。当財団では、3年間にわたり海外視察を展開してきたが、反ツーリズム的な動きが出ている地域は少なくない。21世紀以降の国際旅客数の増大によって、日本同様に、国外からの観光客数が増大し、それが、様々な混乱を招いていることへの反動といえる。表面的には、グローバリズムとナショナリズムの関係にも似ているが、背景に、経済格差問題があることも大きい。地域において投資や消費が進むことで、不動産やサービス価格が上がり、元からの住民の生活が困難になる状況（ジェントリフィケーション）が起きている地域ほど、反発が大きいとも言える。実際、反ツーリズム的な動きが出ているのは、経済力の低い地域が多く、米国本土や欧州中央部では、客数が増えても、そうした反動は、ほとんど生じていない。</p>
<p>経済大国と言われた我が国が、「相対的に物価が安い旅行先」となった現実を突きつけられる事象は、気持ちの良いものではない。バブル経済期の、東京vs地方という構図が、世界vs日本という構図となっているのが実状であり、このフラストレーションは社会的に無視できないだろう。</p>
<p>さらに、観光立国の取り組みは、地方創生政策と密接な関係をもっているが、現実として、観光客が集まる地域は極めて限定されている。不動産価格やサービス価格の上昇どころか、廃墟となった建物や累積赤字を抱える公営施設など、負の遺産を抱えている地域は多い。</p>
<h3>新たな環境への対応</h3>
<p>こうした現実は、観光が解決できる社会課題は限定的であり、観光客数や消費額を増やせば解決レベルが上がるわけでもないことを示している。特に、ジェントリフィケーションの問題は、そもそも、観光消費による経済効果で、地域振興を行おうという基本戦略そのものに影響する現象である。</p>
<p>何事にも変化には、一定の痛みが伴うものではあるが、それが一時的な成長痛なのか、構造的な新たな抑圧なのか、我々は見極めていく必要がある。</p>
<p>DMOのMは、マーケティングとマネジメントのダブル・ミーニングとされてきたが、現在では、殆どの場合、マネジメントを指すようになっている。国際的に、観光客を呼び込むことよりも、観光という活動を地域の中で、どのように動かしていくのかが重要だというように認識が切り替わってきたことの証左であろう。</p>
<p>観光の可能性を信じつつ、国際的に視野を広げ、チャレンジを続けていきたい。</p><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-gentrification-yamada/">「観光による地域振興」を再考する　[コラムvol.536]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>研究・学び・実務をつなぐ『旅の図書館』の役割　[コラムvol.534]</title>
		<link>https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-introduction-to-tabitosho-kudo/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=column-introduction-to-tabitosho-kudo</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[webkamitomo]]></dc:creator>
		<pubDate>Wed, 26 Nov 2025 01:32:31 +0000</pubDate>
				<guid isPermaLink="false">https://www.jtb.or.jp/?post_type=column&#038;p=56440</guid>

					<description><![CDATA[<p>私は現在、研究部の業務に加え、当財団が運営をする「旅の図書館」での業務も兼務しています。このコラムでは、旅の図書館の特徴とその活用方法について、研究員の立場から改めてご紹介したいと思います。 旅の図書館の概要と利用者層 ･･･</p>
<p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-introduction-to-tabitosho-kudo/">研究・学び・実務をつなぐ『旅の図書館』の役割　[コラムvol.534]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>私は現在、研究部の業務に加え、当財団が運営をする「旅の図書館」での業務も兼務しています。このコラムでは、旅の図書館の特徴とその活用方法について、研究員の立場から改めてご紹介したいと思います。</p>
<h3>旅の図書館の概要と利用者層</h3>
<p>「旅の図書館」は1978年に八重洲第一鉄鋼ビルに開設し、旅行ガイドブック、地図、時刻表、旅行関連雑誌等を中心に、徐々にその蔵書を増やしてきました。また、2016年には研究部門と共に港区南青山へ移転したことをきっかけに、近年は特に観光研究の専門書や学術書の収集に力を入れ、貴重資料のデジタル化や学術ジャーナルの公開にも取り組むなど、「観光の研究と実務に役立つ図書館」として機能を強化しています。</p>
<p>図書館の現在の利用者は、大学等の研究者（教員）、高校生・大学生、行政やマスコミ等様々です。利用目的としては、調査研究や業務での情報収集目的での利用者は約46％、趣味（旅行の下調べ等）での利用が54％（ともに2024年度実績）と、約半数ずつとなっています。今回はこれらのうち、研究者、学生、実務者からどのように図書館が活用されているかご紹介します。</p>
<h3>研究者からの利用</h3>
<p>旅の図書館は、当財団研究部の資料室としての役割を担っています。そのため、当財団の研究員に活用される図書館であることが、選書等を行う上での一つの基準となります。実際に、社内の研究員からリクエストされた本を図書館に受け入れることは多々あります。そのような特徴から、当財団研究員に限らず、観光分野の外部の研究者からも一定の需要があり、活用いただいています。</p>
<p>旅行・観光の専門書と一口にいっても、地理学、人類学、社会学、経済学、都市計画学…とアプローチは様々です。そこで、多岐にわたる観光関連資料について旅の図書館では独自の分類を行っています。具体的には、観光研究資料に用いる「T分類」、当財団の特徴的なコレクション資料に用いる「F分類」、基礎文献に用いる「NDC分類」の3つの分類方法によって蔵書を管理しています。</p>
<figure>
<div style="text-align: center"><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2025/11/image2_kudo2025.png" alt="研究員コラム図表" width="80%"></div>
<div style="text-align: center"><figcaption>※独自分類のうち観光研究資料に用いる「T分類」の詳細</figcaption></div>
</figure>
<p>例えば、自分の研究テーマと関連する「T８.観光経営・経済」の書架の一部を覗いてみると、観光まちづくりの事例を紹介している比較的新しく易しい内容の書籍から、地域経済学における基礎的な文献、計量経済学の手法を用いた空間経済学の観光地への適用、産業連関分析による観光の経済波及効果測定など、応用的かつ専門的で読み応えのある書籍が並びます。このような専門書籍について、経済学の中でも「より観光に関連する内容か」という視点で収集しているのは、旅の図書館ならではの特徴と言えます。</p>
<ul style="overflow: hidden;width: 100%;margin-top: 20px;list-style-type: none;padding-left: 0">
<li style="float: left;width: 49%"><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2025/11/image3_kudo2025.jpg" alt=""></li>
<li style="float: right;width: 49%"><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2025/11/image4_kudo2025.jpg" alt=""></li>
</ul>
<p>また、旅の図書館では古書・稀覯書として、約3,300冊を所蔵しています。主に戦前の観光産業や政策に関すること、戦前のガイドブック、旅行案内等が含まれますが、これらをひも解くことで、観光学だけでなく、歴史分野の研究に対しても一定の貢献が期待できると感じています。古書・稀覯書は、一部を除きデジタル化を進めており、図書館内の端末から、古い貴重な資料をデジタルでご覧いただけるようになっています。</p>
<h3>学生からの利用</h3>
<p>旅の図書館は、高校生や大学生の皆さんにも多く利用されています。たとえば、ガイドブックや機内誌のバックナンバーを手がかりに、過去と現在の旅行スタイルを比較したり、特定地域の観光について幅広く資料を集めたりと、学びの目的に応じてさまざまに活用されています。さらに、卒業論文等のテーマを決めかねている学生さんにとっては、上述の独自分類された書架を実際に見て回ることで、観光学という幅広い枠組みの中から、自分がどの分野を深掘っていきたいのか、思案することができるという声をいただくことがあります。<br />なお、旅の図書館では、主に大学の観光学部（学科）のゼミ単位での利用も受け入れています。</p>
<h3>実務者からの利用</h3>
<p>行政の方やマスコミ等で、業務目的の情報収集で来館される方も多くいます。例えば、近年日本各地の観光地で聞かれる「オーバーツーリズム」は、実務者の方々にとって日々頭を悩ませる課題かと思います。旅の図書館の蔵書検索で「オーバーツーリズム」と入力すると、下記のようなものを中心に、全66件の蔵書がヒットしました。</p>
<figure>
<div style="text-align: center"><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2025/11/image5_kudo2025.jpg" alt="研究員コラム図表" width="90%"></div>
<div style="text-align: center"><figcaption>※雑誌や論文の場合は「オーバーツーリズム」に関連する部分のタイトルを抜粋して記載している。</figcaption></div>
</figure>
<p>この内容を見てもわかる通り、雑誌から専門書、学術論文など、さまざまな切り口によってオーバーツーリズムという事象は論じられています。このような話題性のあるテーマは、WEB検索をするとどうしてもニュース記事などが上位に挙がってきやすく、キャッチ―なタイトルに踊らされてしまうと自分自身感じることがありますが、図書館で情報収集をすることで、より多面的かつ構造的に物事を捉えることができると感じます。</p>
<p>また、実務者の方からの利用に限った話ではありませんが、最近の書籍だけでなく、5年前、10年前の書籍も同じ棚に並んでいることで、特定の分野について議論の変遷をたどれるというのも、書店とは違う図書館の特徴です。</p>
<h3>おわりに</h3>
<p>旅の図書館の業務に就いて初めの頃、公立ではない専門図書館の社会的意義とは何なのかを漠然と考えました。図書館法によれば、図書館とは、「図書、記録その他必要な資料を収集し、整理し、保存して、一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーシヨン等に資することを目的とする施設」とされています。当初は言葉の意味をそのまま受け止めるに過ぎませんでしたが、数か月の業務を通じて、この定義の後半部分「一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーシヨン等に資すること」がまさにミッションであると日々実感します。すなわち、ただ必要な資料を収集・管理するだけでは不十分で、真に活用されるような仕組みを提供しなければいけないということです。</p>
<p>インターネットで容易に必要な情報に辿り着く時代、AIが瞬時に疑問に答えてくれる時代だからこそ、図書館で本を手に取り、知的探求に没頭する時間は贅沢にも感じます。旅の図書館は、「観光に関する研究機関が所有する専門図書館」という唯一無二とも言える特徴を活かし、多くの研究者、これから学びを深めていく学生、日々地域の課題と対峙している実務者の方々に、そのような時間と場を提供していければと思います。また、その結果として、当財団と利用者の皆さんとのネットワーク構築に旅の図書館が寄与すれば幸いです。</p>
<h4>※現在旅の図書館は予約制にてご利用いただけます。ご来館の際は下記HPよりご予約の上お越しください。</h4>
<ul style="list-style-type: none">
<li>【旅の図書館HP】<a href="/library/">https://www.jtb.or.jp/library/</a></li>
<li>【開館時間】月曜日～金曜日：10:30～17:00</li>
<li>【休館日】土曜日・日曜日・祝日・毎月第4水曜日・年末年始・その他</li>
<li>上記以外にも臨時休館となる場合があります。詳細は営業カレンダーをご覧下さい。</li>
</ul><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-introduction-to-tabitosho-kudo/">研究・学び・実務をつなぐ『旅の図書館』の役割　[コラムvol.534]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
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		<title>下呂温泉・水明館に学ぶ―現場でのカイゼンが結ぶ生産性向上―　[コラムvol.530]</title>
		<link>https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-gero-onsen-ebisawa/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=column-gero-onsen-ebisawa</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[webkamitomo]]></dc:creator>
		<pubDate>Wed, 27 Aug 2025 06:29:20 +0000</pubDate>
				<guid isPermaLink="false">https://www.jtb.or.jp/?post_type=column&#038;p=55847</guid>

					<description><![CDATA[<p>観光業、とりわけ宿泊業は、人手不足や人件費高騰という構造的課題に直面しており、サービス品質の維持と生産性向上を同時に実現することが急務となっている。こうした中、製造業で培われた「トヨタ生産方式（TPS）」をホテル運営へ応･･･</p>
<p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-gero-onsen-ebisawa/">下呂温泉・水明館に学ぶ―現場でのカイゼンが結ぶ生産性向上―　[コラムvol.530]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>観光業、とりわけ宿泊業は、人手不足や人件費高騰という構造的課題に直面しており、サービス品質の維持と生産性向上を同時に実現することが急務となっている。こうした中、製造業で培われた「トヨタ生産方式（TPS）」をホテル運営へ応用し、6年間で累計約3.4億円の改善効果を上げた下呂温泉・水明館の事例は、具体的でかつ示唆に富んだ解答としてさらに注目に値する。（写真提供：下呂温泉水明館）</p>
<p style="margin-top: 2em">
<h3>サービス工学との接点─科学技術と現場改善の橋渡し</h3>
<p>このような現場改善の取り組みが注目される背景には、サービス産業全体の生産性向上に向けた学術的・政策的な流れがある。2008年、産総研に「サービス工学研究センター」が設立されたのは、従来「経験と勘」に頼ってきたサービス業に、科学的・工学的手法による改善の道を拓くことが求められたからである。サービス工学とは、「効率（生産性）と効果（品質）の両立を図りながら、価値創出を支える学際的な工学分野」であり、その設立には、サービス産業を製造業に並ぶ成長エンジンへと育てる国家戦略が背景にあった。</p>
<p>この視点は、理論と現場の橋渡しを志向する産総研の姿勢と一致する。つまり、水明館のカイゼンは、サービス工学の理念「科学的手法を用いた現場改善」の具体例として位置づけられる。サービス需要が増大し、サービス業界に対する社会的期待が高まる今、その基本を丁寧に・地道に実践しながら、さらに前へ進んでいる先進事例である。</p>
<p style="margin-top: 2em">
<h3>トヨタ式カイゼンの導入背景</h3>
<p>水明館では、従業員約300名のうち1割が「カイゼンリーダー」として活動を牽引し、2018年から特に本格導入された。モットーは「増員・増床・増設なく、増収・増益を図る」。部署を超えた連携と現場主体の改善により、ムダの排除、作業の標準化、在庫・備品の定位置・定量・定数管理を徹底している。</p>
<p>特徴的なのは、「1歩減らす、1秒減らす」という小さな削減を積み重ねる姿勢だ。歩数や秒数を具体的に計測・金額換算し、成果を可視化して現場への納得感と改善意欲を高めている。現場ヒアリングでは「まだ改善できていないこと」が次々と挙がる。改善が進むほど新たな課題が明らかになり、活動の幅が広がっていく。社長はこうした現場発の提案を正確に把握し、経営判断に反映している。トップの強力な後押しと現場の主体性が好循環を生んでおり、継続的な成果を支えている。</p>
<p style="margin-top: 2em">
<h3>部署をまたぐ改善の積み重ね</h3>
<p>改善は多岐にわたる。洋食調理部では朝食バイキングの仕込み量をロット化し、派遣社員教育を動画化。料飲部では配膳動線を「一筆書き化」し、年間150万歩以上を削減した。<br />
客室清掃では「セル化」を導入し、清掃から部屋セットまでを一人で完結。派遣人員削減と残業時間の大幅減を実現した。<br />
施設管理部では点検作業の見直しにより時間と身体負担を改善。購買部では在庫管理と発注方法を見直し、在庫金額を約3分の1に削減。マーケティング部では宿泊プランを再設計し、年間500万円以上の売上増を達成している。
</p>
<p style="margin-top: 2em">
<h3>数字が語る成果</h3>
<p>カイゼンの効果は金額に如実に表れる。2019年の約4,400万円を皮切りに、年間3,000〜9,000万円規模の改善を継続し、累計では341,780,814円に達する。これは単なるコスト削減ではない。作業動線や手順の見直しによりスタッフの負担を軽減し、接客や演出に時間を充てられるようになり、顧客満足度の向上につながっている。</p>
<p>例えば料飲部では、食器片付けに1回20秒の短縮。朝食350名規模営業で年間約1,000時間分の作業時間を削減した。こうして生まれた時間は、料理説明や声かけといった「顧客接点の質」向上に活用されている。</p>
<p style="margin-top: 2em">
<h3>カイゼンが生み出す「おもてなし時間」</h3>
<p>水明館のカイゼンは、効率化のための効率化ではない。削減した歩数や秒数は「お客様と向き合う時間」に置き換えられる。客室清掃のセル化で浮いた時間は館内演出やクレーム対応に、料飲部では盛付けや配膳の省力化により、お客様の表情や会話に目を向ける余裕が生まれている。その結果、単なる「作業の速さ」ではなく、「心を込めた接客の深さ」が実現される。</p>
<p style="margin-top: 2em">
<h3>カイゼン文化の根付かせ方</h3>
<p>この取り組みの根底には、「自主性・主体性を尊重する文化」がある。改善案は現場から上がり、リーダーが検証・共有。成果は全社で可視化され、部署横断的に学び合う。改善は「人を減らす」のではなく、「ムダを減らして人の力を活かす」ためにあり、顧客対応やサービス演出へ人員を再配置することを可能にしている。</p>
<p style="margin-top: 2em">
<h3>観光業全体への示唆</h3>
<p>水明館の事例は、サービス工学が示す「科学的手法によるサービス改善」の現場応用として貴重なモデルである。特に人手不足が常態化する地方の宿泊施設にとって、カイゼンは経営の持続性を高める現実的なアプローチとなり得る。鍵は「小さな改善を可視化し、共有し、継続すること」。こうした地道な積み重ねが、数億円規模の成果と組織文化の変容につながる。</p>
<p style="margin-top: 2em">
<h3>おわりに</h3>
<p>水明館のカイゼンは、サービス業の生産性向上が現場と経営の一体的な取り組みによってこそ達成されることを示している。地道な改善は、やがて顧客体験を変え、経営の安定をもたらす。そしてこれは、サービス産業全体に求められるサービス工学の理念、「科学的に、しかし人と“おもてなし”を中心に据えた改善」の実践例でもある。観光業の現場にとって、この事例は実践的かつ持続可能な変革の道筋を照らす光となるだろう。</p>
<p style="margin-top: 4em">
<h4>【カイゼン事例】バッシング作業時の仕分け</h4>
<ul style="list-style-type: none">
<li>■従来ではゴミなどの仕分けが完了しないと次工程が始められず人員の余剰やムダな時間が発生していた。</li>
<li>
<table class="cntTable borTable floatL mrgt0 top" style="font-size: 12pt">
<tr style="text-align: center">
<td>改善作業</td>
<td>改善前の所要時間</td>
<td>削減内容</td>
<td>改善後所要時間</td>
<td>削減時間</td>
</tr>
<tr>
<td>仕分け作業～次工程</td>
<td>4分30秒</td>
<td>バッシング時に仕分けすることでリードタイム削減</td>
<td>35秒</td>
<td>3分55秒</td>
</tr>
</table>
</li>
<li>270秒－35秒＝235秒　235秒×360日＝84,600円</li>
<li>1,750円×4.5ｈ×360日＝2,835,000円</li>
<li>情報提供：下呂温泉水明館</li>
</ul>
<p style="margin-top: 2em">
<h4>【カイゼン事例】作業工程の見直しと作業工程の標準化。動画による派遣社員への作業確認と教育。</h4>
<ul style="list-style-type: none">
<div style="text-align: center">
<li><img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/gero-column-image.png" alt="カイゼン事例" width="600px"></li>
</div>
<div style="text-align: center">
<li>（写真提供：下呂温泉水明館）</li>
</div>
</ul>
<p style="margin-top: 2em">
<h4>【参照】</h4>
<ul style="list-style-type: none">
<li>1）国立研究開発法人　産業技術総合研究所ホームページ「サービス工学研究センター」の設立について」<br /><cite>https://www.aist.go.jp/aist_j/news/pr20080305.html?utm_source=chatgpt.com</cite></li>
<li>2）サービス工学の概要、藤田武志、2011年</li>
</ul><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-gero-onsen-ebisawa/">下呂温泉・水明館に学ぶ―現場でのカイゼンが結ぶ生産性向上―　[コラムvol.530]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>観光振興の先に待ち受ける住宅不足 －観光部門としての向き合い方－ [コラムvol.529]</title>
		<link>https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-housing-solutions-ezaki/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=column-housing-solutions-ezaki</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[webkamitomo]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 04 Aug 2025 01:15:51 +0000</pubDate>
				<guid isPermaLink="false">https://www.jtb.or.jp/?post_type=column&#038;p=55795</guid>

					<description><![CDATA[<p>近年、国内のリゾート地で「住宅が手に入らない」という声が聞こえてきている。その背景には、観光需要の拡大と不動産市場の加熱がある。ニセコや白馬といった人気のリゾート地では、富裕層や外国人投資家による別荘購入、短期民泊向けの･･･</p>
<p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-housing-solutions-ezaki/">観光振興の先に待ち受ける住宅不足 －観光部門としての向き合い方－ [コラムvol.529]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>近年、国内のリゾート地で「住宅が手に入らない」という声が聞こえてきている。その背景には、観光需要の拡大と不動産市場の加熱がある。ニセコや白馬といった人気のリゾート地では、富裕層や外国人投資家による別荘購入、短期民泊向けの物件取得が相次ぎ、地元の住民や観光産業の労働者が住宅を確保できない状況が広がりつつある。</p>
<p>この住宅危機は、観光振興の成果ともいえるが、放置すれば地域経済や観光の持続可能性そのものを脅かしかねない。実際、ホテルや飲食店が人手不足で稼働率を下げざるを得ない例や、地域の子育て世帯が転出せざるを得ない例も出てきている。</p>
<p style="margin-top: 2em">
<h3>海外リゾートでは「観光部門が住宅政策に関わる」</h3>
<p>この問題に先進的に取り組んでいるのが、北米の山岳リゾートである。その中でも、カナダのウィスラーは観光による住宅市場への圧力に最も早くから正面から取り組んできた地域の一つだ。1997年、Resort Municipality of Whistler（RMOW：ウィスラー自治体）は、Whistler Housing Authority（WHA：ウィスラー住宅局）を設立した。WHAは観光産業に従事する労働者や地元住民の「手頃な価格の住宅（アフォーダブル住宅）」へのニーズに対応するための公的機関である。ウィスラーで働く人やその家族が安定して暮らせる住まいを確保することを目的として、住宅の建設や取得を行い、販売または賃貸をしている。これらの住宅は、原則としてウィスラーで働く人およびその家族に限定され、別荘や投資目的での購入は禁止されている。また、転売時には上限価格が設定されるなど、投機的な価格上昇を防ぐための措置も導入されている。このように、地域の労働者や住民が安定して暮らせる住宅を確保するための一連の取り組みは「アフォーダブル住宅」と呼ばれる。</p>
<p>また、WHAの取り組みは「労働者の75％を地元で住まわせる」という目標に基づいている <sup>（※1）</sup>。WHA自身も「ウィスラーの労働者の少なくとも75％を地域内に住まわせる」という目標を掲げ、その目標を達成し続けており、実際には80％前後を維持していると報告されている。</p>
<p>この仕組みを支えているのが、MRDT（Municipal and Regional District Tax：宿泊税）や開発業者からの拠出金である。WHAはこれらを財源として住宅整備や維持管理を行う他、新規のホテル開発等のプロジェクトには住宅供給義務や資金拠出を課す制度も運用している。なお、2023年にはMRDT収入から約297万カナダドルがWHAの住宅供給・管理に投入された<sup>（※1）</sup>。なお、このうち200万ドルは、Airbnb等のオンライン宿泊仲介業者（OAP：Online Accommodation Providers）経由の宿泊から得られた税収である<sup>（※2）</sup>。OAP経由の宿泊は、住宅を観光用途として貸し出すケースが多く、住宅市場を圧迫する要因となり得るため、この税収は全額アフォーダブル住宅の整備に充てる方針となっている。</p>
<p>これらの取り組みの結果、2024年時点でウィスラーの住宅ストック全体の約50％がWHAによって管理されており<sup>（※3）</sup>、観光による住宅圧力を観光収益や行政の仕組みで緩和するモデルが確立されている。</p>
<figure>
<p style="text-align: center"><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2025/07/529_Resort-Municipality-of-Whistler.png" alt="Resort Municipality of Whistler strategic plan"></p><figcaption>
<div style="text-align: center">Resort Municipality of Whistler 2023-2026 Strategic Plans <sup>（※4）</sup><br />RMOWの戦略プランには「住宅施策」が重点事項として位置づけられている</div>
</figcaption></figure>
<p style="margin-top: 2em">
<h4>【注】</h4>
<ul style="list-style-type: none">
<li>（※1）RMOW Housing Facts 2023<br /><cite>https://www.whistler.ca/property-housing/housing/housing-facts/</cite></li>
<li>（※2）Municipal and Regional District Tax<br /><cite>https://www.whistler.ca/municipal-services/grants-and-funding/municipal-and-regional-district-tax/</cite></li>
<li>（※3）WHA financials; mill rate changes; record number of applications to Community Enrichment Program<br /><cite>https://www.whistler.ca/news/wha-financials-mill-rate-changes-record-number-of-applications-to-community-enrichment-program/?utm_source=chatgpt.com</cite></li>
<li>（※4）RMOW Housing<br /><cite>https://www.whistler.ca/property-%20housing/housing/</cite></li>
</ul>
<p style="margin-top: 2em">
<p>アメリカ・コロラド州アスペンもまた、早くから住宅危機への対応に乗り出した地域だ。1970年代から住宅プログラムの検討が始まり、1982年11月にAspen-Pitkin County Housing Authority（APCHA）という公的住宅供給機関が設立され、観光労働者や地域従業員向けの住宅確保を進めてきた<sup>（※5）</sup>。APCHAの役割は、地域で働く人々が手頃な価格で住めるように、権利制限付き（deed-restricted）住宅を管理し、その販売・賃貸を促進することにある。deed-restricted住宅とは「権利制限付き」の住宅を意味し、転売価格や入居者の所得条件に制限をかけることで、長期的に手頃な価格を維持することを狙っている。これにより、住宅が高騰する市場においても、地域社会の多様性と機能性を保つことが可能となっている。</p>
<p>また、APCHAは、新規開発を行う事業者に対し、従業員向け住宅の供給を義務付けている。その運営財源としては、観光関連の税収や開発事業者の負担金が充てられており、観光の利益を住宅供給に回す循環型の仕組みを構築している点でウィスラーと共通する。</p>
<p>2023年現在、APCHAが管理するdeed-restricted住宅は3,000戸を超え、北米の山岳リゾートでは最大規模を誇る<sup>（※6）</sup>。この取り組みにより、高級リゾートとしての人気が高い一方で、観光労働者が安定的に地域に住み続けられる基盤が維持されている。</p>
<h4>【注】</h4>
<ul style="list-style-type: none">
<li>（※5）Aspen-Pitkin County Housing Authority<br /><cite>https://www.apcha.org/</cite></li>
<li>（※6）Household Financial Security<br /><cite>https://www.aspen.gov/DocumentCenter/View/817/11-Household-Financial-Security</cite></li>
</ul>
<p style="margin-top: 2em">
<h3>日本の観光部門として考えるべきこと</h3>
<p>これらの事例を参照しながら、日本において考えるべきことは、観光が地域の住宅市場に与える影響を政策の中でどう位置づけるかだ。日本では住宅政策は建築・都市計画・福祉など複数部門にまたがっており、観光部門が直接関与するケースは少ない。宿泊税の使途に「住宅確保」を含める発想も乏しい。結果として、観光施策が住宅市場に与える影響が可視化されにくく、対応が後手に回りがちになっている。</p>
<p>では、日本の観光部門はこの住宅問題にどう関わるべきだろうか。筆者は以下の3点を提案したい。</p>
<p style="margin-top: 2em">
<ul style="list-style-type: none">
<li><b>①観光の視点から地域の住宅市場の実態を把握する</b><br />
        「宿泊客数のうち民泊（短期賃貸）が占める割合の把握」「住宅が観光用途に転用される動き（空き家の民泊化や長期賃貸から短期賃貸への転用）の把握」「観光関連労働者の住宅確保率や地域の住宅負担率」等、観光振興が住宅市場に与える影響を把握する。
    </li>
<li><b>②観光財源の一部を住宅対策に充てる</b><br />宿泊税や入湯税の使途として、労働者・住民向け住宅の整備や家賃補助を認める仕組みを検討する。海外では宿泊税を住宅確保に使うのは珍しくなくなってきている。</li>
<li><b>③都市部門・住宅部門と連携し、地域独自のルールづくりを検討する</b><br />北米のアフォータブル住宅の事例を参考に、条例等を用い、転売価格や入居者の所得条件の制限等を検討する。<br />（なお、直近では都心の一部でマンションの転売を一定期間制限する動きも見られている）
    </li>
</ul>
<p style="margin-top: 2em">
<p>これらの問題は、本来は都市計画の枠組み（用途地域）で対応することが基本となるが、特に地方部では都市計画地域や用途地域が指定されないことで、その対応が困難となっている実情がある。今後も観光需要が拡大していく中で、部門間連携を行いながら、従来の常識にとらわれない、柔軟で戦略的な対応が求められるだろう。</p>
<figure>
<p style="text-align: center"><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2025/07/529_Community-Monitoring-Dashboard.png" alt="Community Monitoring Dashboard"></p><figcaption>
        RMOWの「Community Monitoring Dashboard <sup>（※7）</sup>」において、住宅費負担の重さを整理。この他にもダッシュボードでは労働人口に対するベッド数等、観光の数値以外にも住宅に関する指標をモニタリングしている。</p>
<ul style="list-style-type: none">
<li>青の棒グラフ：住宅費が総所得の30%以上を占める回答者の割合</li>
<li>水色の棒グラフ：住宅費が総所得の40%以上を占める回答者の割合</li>
</ul>
</figcaption></figure>
<p style="margin-top: 2em">
<h4>【注】</h4>
<ul style="list-style-type: none">
<li>（※7）Resort Municipality of Whistler Community Monitoring Dashboard<br /><cite>https://performance.whistler.ca/</cite></li>
</ul><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-housing-solutions-ezaki/">観光振興の先に待ち受ける住宅不足 －観光部門としての向き合い方－ [コラムvol.529]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>離島観光と「関係人口」：持続可能な地域社会のために　[コラムvol.528]</title>
		<link>https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-related-population-iwano/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=column-related-population-iwano</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[webkamitomo]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 14 Jul 2025 02:00:52 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[<p>はじめに 日本が直面する人口減少と高齢化は、特に離島において急速に進み、その持続可能性は喫緊の課題となっています。集落機能の低下、担い手不足、医療・福祉サービスの脆弱化など、地域社会の維持は困難さを増し、交通手段の制約や･･･</p>
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										<content:encoded><![CDATA[<h3>はじめに</h3>
<p>日本が直面する人口減少と高齢化は、特に離島において急速に進み、その持続可能性は喫緊の課題となっています。集落機能の低下、担い手不足、医療・福祉サービスの脆弱化など、地域社会の維持は困難さを増し、交通手段の制約や生活物資の輸送コスト、医療機関の不足といった物理的・経済的な不利性も負担となっています。このような厳しい状況下で、離島がその活力を維持し、未来を切り拓いていくためには、「関係人口」という概念がこれまで以上に重要な意味を持ち始めているように感じています。</p>
<p>国土交通省は、「関係人口」を「移住した『定住人口』でもなく、観光に来る『交流人口』でもない、地域と多様な形で関わる人々」と定義しています。国土交通省の「地域との関わりについてのアンケート」（2020年9月実施）によれば、三大都市圏の18歳以上の約18%（約861万人）が訪問型関係人口として特定の地域に関わり、その他地域でも約16%（約966万人）が同様の関わりを持っています。この中には、地域の内発的発展に直接寄与する「直接寄与型」も多数含まれています。内閣官房の2022年度調査では、全国の地方公共団体の約7割が関係人口に関する取り組みを実施していることが明らかになっており、この概念への期待の高さがうかがえます。</p>
<p>今回のコラムでは、離島における関係人口の意義、メリット、アプローチ事例を挙げ、離島の持続可能な地域社会の維持・発展に関する関係人口の役割を深掘りしたいと思います。</p>
<p style="margin-top: 3em">
<h3>離島における「関係人口」創出の意義</h3>
<p>多くの離島では、本土以上の速さで人口減少と高齢化に直面し、地域社会の維持が困難になる中、古くから育まれてきた互助（助け合い）の精神に外部の担い手が加わる意義は大きいでしょう。作野（2019）は、関係人口を従来の「交流人口と定住人口の間に位置する第3の人口」という捉え方から一歩進め、「新しい時代における都市地域と農山漁村地域との関わり方の一つ」として位置づけています。一時的な観光客誘致では解決できない地域社会の課題に対し、継続的に関わるリピーター、すなわち「関係人口」が貢献する可能性を秘めているといえます。彼らは離島の多様な問題に新たな視点と解決策をもたらし、地域の活性化に寄与することが期待されます。</p>
<p>国土交通省は、関係人口を「地域の内発的発展に比較的に直接的に寄与する人から、地域と様々な関わりを持つ人」まで多様に存在するとし、地域づくりにおいては「地域への影響が強い関係人口及び定住人口を増やしていくことが重要ではあるものの、特に目立った活動をしない人を含めて、多種多様な関係人口及び定住人口が存在し、ごちゃ混ぜになって活動することにより、地域が賑やかになることが望ましい」と述べています。</p>
<p style="margin-top: 3em">
<h3>離島の関係人口がもたらす具体的なメリット</h3>
<p>関係人口、特にリピーターが離島にもたらすメリットは多岐にわたります。</p>
<p>まず、最も直接的なメリットとして「人手不足の解消」が挙げられます。漁業、農業、観光業といった基幹産業における担い手不足や、医療・介護、教育現場での人材不足は多くの離島で深刻化しており、関係人口はこれらの分野で貴重な労働力となる可能性があります。</p>
<p>次に、祭りや清掃活動、子育て支援など、地域住民だけでは維持が困難になりつつある活動への積極的な参加と支援を通じて、「地域活動の活性化」に大きく貢献してくれると考えられます。関係人口が積極的に参加し、支援することで、地域の活力を維持することができるのではないでしょうか。</p>
<p>また、関係人口が地域内で消費活動を行うことで、お金と人の循環が促され、商店や交通機関などの生活サービスが維持される基盤となり、「地域経済の維持」に不可欠な役割を果たします。</p>
<p>さらに、外部の視点から「地域資源の再発見」が促されることも期待されます。島民が気づかなかった地域の魅力や課題が明確になり、新たな観光資源やビジネスチャンスが生まれる可能性があります。</p>
<p>彼らの生の声は、地域の魅力をよりリアルに伝えることができるので、SNSなどを通じたリアルな体験談の発信は、「情報発信力」を強化し、新たな来訪者や関係人口を呼び込む強力なツールとなります。そして、関係人口との交流や外部からの刺激が、島の魅力を再認識するきっかけとなり、「若者のUターン・Iターン促進」につながる可能性もありそうです。</p>
<p style="margin-top: 3em">
<h3>離島で関係人口を育むためのアプローチ</h3>
<p>離島の特性を踏まえ、関係人口を増やすためには、従来の観光振興とは異なるアプローチが必要だと考えます。</p>
<p>例えば、「島暮らし体験」の充実はその一つで、農漁業体験や地域行事への参加、古民家での宿泊など、よりリアルな暮らしを体験できるプログラムが求められます。単なる観光ツアーに留まらず、農漁業体験や地域行事への参加、古民家での宿泊など、よりリアルな暮らしに触れることができるプログラムの提供が重要です。沖縄県宮古郡多良間村の「Tarama Adventure Journey」では、多良間島の文化と暮らしを五感で伝える体験を提供し、謎解きプログラムや伝統文化体験（豆腐づくり、追い込み漁、さとうきび刈りなど）を通じて来島者と地域住民の交流を促しています。地元住民が島の価値を再認識し、誇りを持てる機会を提供するとともに、中学校での授業で観光コンテンツ体験を提供し、将来の担い手への関心を喚起する活動も行われています。現代の働き方の多様化に対応した「複業」「兼業」との相性もよいです。リモートワークやワーケーションを前提とした、都市部と離島を行き来する柔軟な働き方を提案することで、多様なスキルを持つ人材を呼び込むことが可能になります。離島の季節性のある仕事と、都市部で培われたスキルを組み合わせる「複業」のマッチングも、双方にメリットのあるものになると考えられます。</p>
<p>「コミュニティ形成の支援」もまた、不可欠な要素です。関係人口同士や島民との交流の場（オンライン・オフライン問わず）を提供することで、彼らが地域に自然に溶け込み、継続的なつながりを持てるような仕組み作りが必要です。作野（2019）は、「地域を守る」行動を継続的に行える人材としての関係人口の重要性を指摘しており、この視点からも、「島ファンクラブ」のような制度や、環境保全、特産品開発といった特定のテーマに関心を持つ関係人口が集まるプロジェクトの立ち上げは有効な手段となります。沖縄県うるま市の地域団体SU-TEは、古民家食堂「あごーりば食堂」を運営し、地域住民が集まる「島のリビング」として活用しています。ここではヨガ教室や修学旅行のワークショップも行われ、島内外の交流の場となっています。また、同団体はアートイベントを通じて地域住民の楽しみを創出し、島外からの訪問者との交流を通じて関係人口を増やしています。</p>
<p>「教育の機会創出」も、関係人口の育成において重要な役割を担います。隠岐諸島・海士町の「島留学」のように、島外から学生を呼び込み、島での学びと地域との交流を深める取り組みは、将来的な定住人口や関係人口の創出につながる可能性を秘めています。沖縄県読谷村の「ちゅらむら読谷」は、修学旅行生向けの教育民泊事業を展開し、沖縄民家での生活体験を通じて心の交流と感動体験を提供しています。ここでは、サトウキビ農家との連携による農業体験や、沖縄の歴史文化を伝えるプログラムが実施され、地域住民の誇りにも繋がっています。</p>
<p>そして、「情報発信の工夫」も欠かせません。離島のリアルな暮らしや課題、そこで奮闘する人々の姿を魅力的に伝えるストーリーテリングは、人々の共感を呼び、深い関心を引き出します。西表島の自然保護・社会貢献活動「Us 4 IRIOMOTE」は、「エシカルな旅」をキーワードに、イリオモテヤマネコのロードキル防止支援やビーチクリーンイベントを行うほか 、西表島の歴史・文化を伝える映画『生生流転』を制作し、YouTubeで発信することで、観光客の行動や意識変革を目指しています。</p>
<p style="margin-top: 3em">
<h3>まとめ</h3>
<p>従来の観光客をいかにして関係人口へと深化させるか、その方法はとても重要です。関根他（2024）の研究では、現地活動への参加や現地に友人・知人がいることが、関係人口の地域愛着と当事者意識を高める要因となることが示されています。また、田原・敷田（2023）は、観光経験における「自己拡大」（自身の内面的な成長や発見）と「現地交流」（地域の人々との交流）が、地域への関与意識である「自己表現」と「利他心」を醸成し、結果として地域への積極的な関わり意向を高めることを明らかにしています。これは、観光客が単なる消費者としてではなく、地域と協働し、地域づくりに関わる活動に主体的に関わることで、地域の新たな担い手となり得る可能性を示唆しているといえます。</p>
<p>このような知見を踏まえると、「また来たい」と思わせるような魅力的な観光体験の提供だけでなく、地域住民との温かい交流の機会を設けることが、関係人口化を促す上で不可欠です。リピーター特典として、再訪を促す割引や特別な体験を提供することも有効かもしれません。地域のイベント情報や暮らしに役立つ情報を積極的に発信し、深い関心を持ってもらうための「情報提供の強化」も重要だと考えます。さらに、ボランティア募集や体験プログラムなど、気軽に地域と関われる機会を複数用意し、「関わりの『入り口』を作る」ことも、新たな関係人口を呼び込む上で有効です。</p>
<p>互助（助け合い）の精神にある人と人とのつながりは、離島が持つ魅力の一つです。現代人が求める「心の豊かさ」を提供し、その地域を愛する人たちがその地域のために、支え合っていくことで地域を持続可能にしていくかもしれません。</p>
<p style="margin-top: 3em">
<p style="text-align: center"><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2025/07/column528-image2.png" alt="岩野コラム画像" width="70%"></p>
<h4>【参考文献】</h4>
<ul style="list-style-type: none">
<li>1) 藤田美幸,小宮山智志(2025).アドベンチャーツーリズムによる地域愛着の醸成に関する研究:関係人口に着目して令和6年度報告.『新潟国際情報大学国際学部情報学部ビジネス情報学部紀要』,8.</li>
<li>2) 石河正寛(2023).離島地域における訪問型関係人口の活動実態.『農村計画学会誌』,42(2),54-57.</li>
<li>3) 岩永洋平(2020).観光リピート意向と関係人口はいかに形成されるかーリピート循環モデルによる検証.『地域活性研究』,12,15-24.</li>
<li>4) 作野広和(2019).人口減少社会における関係人口の意義と可能性.『経済地理学年報』,65(1),10-28.</li>
<li>5) 国土交通省(2021).ライフスタイルの多様化と関係人口に関する懇談会最終とりまとめ.</li>
<li>6) 関根仁美,佐藤充基,武田裕之,加賀有津子(2024).地域との関係性による関係人口の分類と特徴-岐阜県飛騨市における行政施策に着目して-.『日本建築学会計画系論文集』,89(825),2125-2134.</li>
<li>7) 田原洋樹,敷田麻実(2023).交流人口から関係人口への変容可能性の検討一観光経験による関与意識醸成と地域への継続的な関わり意向との関係―.『観光研究』,34(2),49-64.</li>
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			</item>
		<item>
		<title>百年先を見据え続ける道後温泉のまちづくり　[コラムvol.527]</title>
		<link>https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-dogo-hotspring-yamamoto/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=column-dogo-hotspring-yamamoto</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[webkamitomo]]></dc:creator>
		<pubDate>Wed, 25 Jun 2025 13:00:44 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[<p>はじめに 2024年7月、道後温泉本館は保存修理工事を経て約5年半ぶりに全館営業を再開した。保存修理工事中の宿泊者数を見ると、コロナの影響はあったものの工事自体の影響は最小限に抑えることができたと言える。そして工事が終了･･･</p>
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										<content:encoded><![CDATA[<h3>はじめに</h3>
<p>2024年7月、道後温泉本館は保存修理工事を経て約5年半ぶりに全館営業を再開した。保存修理工事中の宿泊者数を見ると、コロナの影響はあったものの工事自体の影響は最小限に抑えることができたと言える。そして工事が終了した現在は多くの人が道後を訪れている。</p>
<p>道後が賑わい続けている背景には、先人の偉業、そしてそれを引き継ぎ発展させてきた地元の取組がある。ここでは先人である伊佐庭如矢の功績と、近年の道後のまちづくりを主導している「道後温泉誇れるまちづくり推進協議会」の取組について述べる。（写真 所蔵：松山市）</p>
<p style="margin-top: 2em">
<h3>伊佐庭如矢により築かれた道後温泉まちづくりの基盤</h3>
<p>「日本最古の湯」として知られる道後温泉は、多くの人の営みにより築き上げられてきた。中でも現在の道後の礎を作るにあたり大きな功績を遺した人物の一人が、初代道後湯之町町長の伊佐庭如矢である。彼の功績の一つに、道後温泉本館の改築が挙げられる。公衆浴場として長らく利用されてきた道後温泉本館は当時老朽化が進んでおり、伊佐庭は本館の改築、霊の湯、又新殿の竣工を行い、結果1894年、本館は木造三階建ての立派な建築物となった。多額の費用がかかる工事に対しては多くの反対意見もあったが、伊佐庭は「100年後までも他所が真似できないものを作ってこそ、初めて物をいう。人が集まってくると町が潤い、子々孫々までの利益になる。」と説得し、改築を実現した。その言葉通り、道後温泉本館は多くの人が訪れる道後温泉のシンボルとなり、100年後の平成6年に国の重要文化財に指定された。</p>
<p style="margin-top: 2em">
<h3>道後温泉誇れるまちづくり推進協議会の設立経緯</h3>
<p>伊佐庭が遺したものはハードだけではない。そのまちづくりの精神も道後の人々に引き継がれた。バブル崩壊後の1992年、今のままでは先人が築き上げてきた偉業・遺産を食いつぶすという危機感より、地域の企業・団体・個人が立場や業種を超え、長期的視点に立って地域主導の特別のまちづくりを行う主体として、道後温泉誇れるまちづくり推進協議会（以下、まち協）が設立された。まち協は任意のまちづくり団体ではあるものの、地元企業、金融機関、町内会、愛媛大学、松山大学、松山市等、地元住民や大学、自治体等多くの主体が構成員となり、幅広い合意形成の場となっている。</p>
<p>また、まち協が作成したまちづくり計画と行政のまちづくりが紐づく形で行われてきたというのも、重要な特徴の一つである。以下、まち協が作成した計画とそれらと行政計画の関連性、実施された施策等について記述する。
</p>
<p style="margin-top: 2em">
<h3>1994年：第1次道後グランドデザイン「クラシックスパ道後」</h3>
<p>まち協は設立当初、①道後温泉本館への依存、②希薄な歴史の視認性、③競争の中での地域力低下、④観光事業者と住民の合意形成、⑤入湯税の適切な目的税化、等といった課題を抱えていた。これらの課題を踏まえて最初に作られたのが本計画である。この計画の下で実現した施策には、宿泊者以外も使用できる足湯を宿泊施設の玄関に設置するなど、各地域事業者が主体的に動いたものも含まれる。</p>
<p>一方で、1997年には松山市都市景観形成基本計画、1998年には道後温泉本館周辺景観整備計画が松山市により定められ、道後温泉本館周辺の道路の拡幅やバイパス整備等の動線整備の基本計画が示されたりと、この期間には行政と連動した施策も進められた。</p>
<p style="margin-top: 2em">
<h3>2002年：第2次道後グランドデザイン「DO! GO! 21～クラシック＆モダン道後をめざして～」</h3>
<p>第1次グランドデザインが状況変化に伴って見直しが必要になったため、また町に対する誇りと危機感を改めて共有するために、第2次グランドデザインが作成された。</p>
<p>このグランドデザインには、後につながる重要な施策の提言が複数明記された。本館以外の歴史を感じられる外湯を生み出すための「第3の外湯」建設構想（後の飛鳥乃温泉）、沿道の建築物の老朽化が目立っていた上人坂の整備構想等が代表例である。</p>
<p>また、まち協に望まれる機能として「景観規定の遵守状況の監視と違反広告等の撤去依頼」との記載がある。2006年にまち協により「ファサード整備協定書」「景観まちづくりデザインガイドライン」が作成されたが、それにつながる記述だったと思われる。</p>
<p>この時期の行政による施策としては、歩車分離を主な目的とした本館周辺の道路付け替え工事が開始されたのが大きなポイントである。</p>
<p style="margin-top: 2em">
<h3>2006年：「道後温泉歴史漂う景観まちづくり宣言『道後百年の景』」</h3>
<p>美しく文化的に豊かなまちの環境、つまり景観が発展の土台になるという考えから、景観づくりの具体的な方向性を示すために「道後百年の景」は作成された。この計画の元で、今まで構想されてきた多くの事業が実現した。</p>
<p>まち協としては、「道後上人坂再生整備協議会」を設置し再生整備の検討を行ったこと、「ファサード整備協定運営委員会」を設置し、新たに看板を設置する際は委員会の許可を得た後に松山市に申請するという仕組みを作ったこと等がハード関連の功績である。</p>
<p>松山市の動きとしては、2010年に作成された松山市景観計画で本館周辺は景観形成重点区域に指定され、建物の新築や外壁などの変更の際には届け出提出が義務付けられたり、2015年に作成された道後温泉活性化計画で外湯の新館（飛鳥乃温泉）建設、宝厳寺再建と上人坂エリア整備、本館修復と冠山整備等に関して具体的なロードマップが示され、実際に施策が進められた。</p>
<p>また、まち協主体で進められた取組としてもう一つ、2014年に開始された道後オンセナートがある。本館改築120周年を記念して、また本館保存修理工事中に新たな魅力を作ろうという目的で始まったアートイベント・道後オンセナートは継続的に実施され、本館保存修理工事終了後の2025年も「道後アート2025」として実施される予定である。</p>
<p style="margin-top: 2em">
<h3>2024年：「道後温泉2050ビジョン」</h3>
<p>まち協が設立30年を迎えるということで、これまでの取組を振り返りつつ次の30年を見据えて作られた計画である。</p>
<p>本計画には、これまでのまち協としての取組の経緯が大変詳しく記載されており、また道後が引き継いできたまちづくりの精神もあちこちに散りばめられている。</p>
<p>次の30年を見据えた計画としては、DX、回遊ルート整備、防災、ゼロカーボン、人材育成、財源確保等、これまでも実施してきた取組を改めて計画の中に位置づけてさらに大きく展開していく他、道後温泉歴史ミュージアムの整備、第4の外湯建設、道後公園湯築城跡の活用等、さらに地域全体としての厚みを増していくための新たな計画が記載されている。</p>
<p>本計画の位置づけとしては以下のような記載があり、道後を次代につなぐためにこれらの新たな計画が作られたことが読み取れる。</p>
<blockquote><p><i>「伝統は革新のたゆまぬ積み重ねである」という認識のもと、先人から受け継いだ「日本最古の温泉地」「おもてなしの心と歴史文化に溢れる湯のまち道後」の歴史を次代につなぎつつ、敢えて「温泉だけに依存することなく持続可能な温泉地」という視座に立って来し方行く末を展望する</i></p></blockquote>
<p style="margin-top: 4em">
<p style="text-align: center">道後温泉誇れるまちづくり推進協議会設立以後の計画・事業</p>
<p><a href=""></a></p>
<div class="scroll-box">
<div>
<img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2025/07/yamamoto-column527-timeline.jpg" alt="公益財団法人日本交通公社　コラム">
</div>
</div>
<figure><figcaption style="text-align: right"><cite>（道後温泉2050ビジョンを参照し筆者作成）</cite></figcaption></figure>
<p style="margin-top: 2em">
<h3>まとめ　―百年先の輝きへの期待―</h3>
<p>このように道後温泉では、先人の教えを踏まえ、まち協主導で数々の取組が行われてきた。これらを踏まえ、道後温泉のまちづくりにおいて特筆すべき事項を3点述べたい。</p>
<p>まず、上記のように地域のまちづくりの取組が行政計画と連動して前進してきた点である。まち協の計画に記載された事業のうち大規模なものや法整備が必要なものは、行政によって具体化・実現され、それを受けてまち協は自分たちの施策を推進してきた。まち協と行政の連携により、都市計画レベルから観光がデザインされてきたと言えよう。</p>
<p>次に、まち協の強い牽引力を支える地元事業者の存在である。まち協には様々な主体が関与しているが、まち協の会長は代々道後温泉の宿泊施設関係者が務めており、幅広い主体の中でも特に彼らが中心となりまち協の取組を牽引してきたと言える。道後温泉は、複数の源泉の湯を分湯場においてブレンドして各施設に配湯している。湯を共同の資源としてきたという地域特性が、地元事業者が協力してまちづくりを進める姿勢につながったのかもしれない。</p>
<p>最後に、彼らにより進められてきた百年先を見据えたまちづくりである。百年先まで続く地域であるために、まち協は本館に、そして温泉にまでも依存しないまちづくりを掲げている。確かに道後では自然災害により温泉湧出が止まったことが過去に何度もあり、今後も湧出が止まる可能性がないとは言い切れない。そのため彼らは、幅広い角度からまちづくりに取り組み、本館・温泉に頼らない地域としての地力を強化してきた。</p>
<p>伊佐庭が築いた本館は百年先まで引き継がれたが、それだけでなく彼の精神も、百年先まで引き継がれてきた。その精神を体現しているのが、道後温泉誇れるまちづくり推進協議会の活動である。次の世代にも、そして今から百年先にも、道後を誇りに思い、さらに百年先まで続けたいという思いが引き継がれることを願っている。</p>
<p style="margin-top: 2em">
<h4>【参考文献】</h4>
<ul style="list-style-type: none">
<li>1) 道後温泉誇れるまちづくり推進協議会（2002）：第2次道後グランドデザイン「DO! GO! 21～クラシック＆モダン道後をめざして～」</li>
<li>2) 道後温泉誇れるまちづくり推進協議会（2006）：「道後温泉歴史漂う景観まちづくり宣言『道後百年の景』」</li>
<li>3) 道後温泉誇れるまちづくり推進協議会（2024）：道後温泉2050ビジョン</li>
<li>4) 道後温泉誇れるまちづくり推進協議会（2024）：道後温泉誇れるまちづくり推進協議会 31年の歩み（抄）</li>
<li>5) 道後温泉誇れるまちづくり推進協議会：「道後温泉歴史漂う景観まちづくり」</li>
<li>6) 松山市（2015）：道後温泉活性化計画</li>
<li>7) 松山アーバンデザインセンター（2022）：「松山の都市形成史2020」，2.道後温泉_2.3外湯文化の再生.</li>
<li>8) 公益財団法人日本交通公社（2014）：「温泉地における不易流行を考える―温泉地、温泉旅館の課題と展望」，『観光文化』，第223号，pp.22-23.</li>
<li>9) 公益財団法人日本交通公社（2020）：『温泉まちづくり研究会2020年総括レポート』，pp.19-28.</li>
</ul><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-dogo-hotspring-yamamoto/">百年先を見据え続ける道後温泉のまちづくり　[コラムvol.527]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>タロイモ畑のほとりで　[コラムvol.523]</title>
		<link>https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-hawaii-nakajima/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=column-hawaii-nakajima</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[webkamitomo]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 28 Mar 2025 06:15:54 +0000</pubDate>
				<guid isPermaLink="false">https://www.jtb.or.jp/?post_type=column&#038;p=53904</guid>

					<description><![CDATA[<p>タロイモ畑のほとりで ２０２５年１月、自身にとって７度目のハワイ訪問の機会を得た。 今回、ハワイで進められている「マラマ・ハワイ（Mālama Hawai&#8217;i）」の取り組みをテーマに、ハワイ州観光局（HTA）･･･</p>
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										<content:encoded><![CDATA[<h3>タロイモ畑のほとりで</h3>
<p>
    ２０２５年１月、自身にとって７度目のハワイ訪問の機会を得た。<br />
    今回、ハワイで進められている「マラマ・ハワイ（Mālama Hawai&#8217;i）」の取り組みをテーマに、ハワイ州観光局（HTA）やその他の関係者との意見交換をしていく中で、特に印象的に感じたのは、ハワイにおける地域文化の復興と観光が持つ関係性の深さである。
</p>
<p style="margin-top: 3em">
<h3>１. ハワイアン・ルネッサンスの水脈</h3>
<p>
    １９７０年代に始まった「ハワイアン・ルネッサンス」は、ハワイ諸島における文化復興運動であり、アメリカ合衆国による同化政策の影響を受けたハワイ語や伝統文化の復活を目指したものである。この運動は、特に若者たちによるハワイ音楽の再評価を契機に発展し、伝統楽器の使用やハワイ語での歌唱が盛んに行われるようになった。また、ハワイ語の復興は単なる言語の回復にとどまらず、ハワイ先住民のアイデンティティと土地との深い結びつきを再構築する試みでもあった。<br />
    そして教育現場では、ハワイ語使用の再開や地域社会での言語教育プログラムの拡充が進み、１９７８年にはハワイ語が公用語として指定されるに至った。その後も、ハワイ語を学べる教育機関やプログラムが増加し、ハワイ大学ではハワイ文化知識学部（Hawai’inuiākea School of Hawaiian Knowledge）が設立され、若い世代の学びの場が広がっている。現在、こうした文化復興の流れは、７０年代のハワイアン・ルネッサンス勃興時の当事者たちの子世代にも引き継がれ、２０００年代以降のハワイアン・ルネッサンスの再びの盛り上がりにも繋がっていると言われる。<br />
    「マラマ・ハワイ」は、ハワイの自然環境や文化を守るための取り組みであり、環境保護と伝統的な知識や文化の復興を目指し、地域社会の支援や教育プログラムなども進められている。また、若い世代に伝統を伝え、持続可能な未来を築くための活動も行われているが、こうした取り組みの背景には、70年代から続く文化復興運動の精神が脈々と世代間で引き継がれている、社会的なうねりがあることを理解しておく必要がある。
</p>
<p style="margin-top: 3em">
<h3>2. ホクレアの航海と人々の誇り</h3>
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    ハワイアン・ルネッサンスの中で象徴的な出来事のひとつは、１９７６年に実施された伝統航海カヌー「ホクレア」による航海である。この航海では、現代の航海技術を用いず、ポリネシア人が古来より用いていた自然のサイン（星、風、波）を頼りに、ハワイとタヒチを結ぶ２５００マイルの海路を制覇している。今回の滞在では、ホクレアにおける日本人初クルーである内野加奈子さんにもお会いし、話を伺うことができた。<br />
    ホクレアの成果は、ポリネシア人の先祖が太平洋を横断し、ハワイに到達したという証拠を示すものであり、ポリネシア航海技術の正当性と先住民の知識体系の復権を意味するという。その後、ホクレアはアメリカ本土やニュージーランド、イースター島などを含む多くの地域を巡り、伝統的な航海技術を再評価し、広く伝える役割を果たした。ホクレアは、ハワイの人々にとって単なる航海カヌーではなく、文化的アイデンティティと誇りの象徴（シンボル）となっている。現在、ホクレアは教育の場としても機能しており、若い世代が伝統的知識と価値観を学び、「自分たちは何者か」を再認識し、共同体を再構築するための「動く文化遺産」にもなっている。
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<h3>伝統知の再評価とマラマ体験ツアー</h3>
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    現在、ハワイの文化復興は、単なる言語や伝統技術の回復にとどまらず、「生物文化多様性（bio-cultural diversity）」という枠組みを通じてさらに幅を拡げている。そのひとつが、流域に沿って山から海までを一体的な社会単位として捉える伝統的な土地利用制度「アフプアア（Ahupua&#8217;a）」の再評価である。この制度は、単位内で農業、漁業、森林資源の利用などを一体的に管理し、共同体と自然との共生を図るもので、先住民の知恵（伝統知）に基づいた上での現代版の森林再生、流域管理、持続可能な農業などにつながっている。<br />
    このアフプアアの概念を旅行者が体感して学ぶことができるのが、オアフ島北東部のクアロアランチで実施されている「マラマ体験ツアー（Mālama Experience）」である。同ツアーで参加者は、タロイモ畑（ロイ）に入り、タロの植え付けや雑草除去を行うことで、伝統的な農法と食文化に触れる。また、古代ハワイで重要な役割を果たしていた魚養殖池（ロコイア）の保全活動にも取り組み、水路の清掃やゴミ拾いなどを通じて、水資源と生態系のつながりについて学ぶ機会が提供される。加えて、ツアー中にはクアロアの歴史や神話、アフプアアの土地区画制度といったハワイ固有の文化的知識について、専門ガイドによる解説が行われる。これにより、参加者は単なる旅行者としてではなく、土地と深く関わる主体としての意識を育むことができる。<br />
    所要時間は約２時間で、観光と教育、文化体験を融合させたこのプログラムは、旅行者がハワイとの持続的な関係を築くための重要な一歩となっている。
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<h3>４. ハワイから帰国して</h3>
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    帰国後、屋久島で訪れた「MOSS OCEAN HOUSE」と「Sumu Yakushima」。そこで展開されていたのは、ハワイで見て学んだアフプアアそのものの世界観であった。舞台は、屋久島の山から海へと広がるひとつの流域。滞在を通じて自然と向き合いながら、本来そこにあったはずのライフスタイルを少しずつ形にしている人たちがいた。そこに旅行者も加わることで、さまざまな知恵や経験が交わり、新たな気づきや想像を生み出していく。春休み期間ということもあり、いわゆる“意識の高い”層ではなく、ごく普通の家族連れが訪れ、流域単位での生活スタイルを体験し、そこに宿泊することを楽しんでいた風景がとても新鮮であった。<br />
    観光業は地域経済にとって重要な存在であるが、その一方で、観光と環境保護・文化保全との関係性については、十分に整理されているとは言いがたい。日本においても、観光客と地元住民との間に意識のギャップが見られ、観光が地域社会に与える影響をどのように調整すべきかが問われている。観光業者や地域住民は、観光と環境・文化の共存の意義を理解し、協力して持続可能な観光の枠組みを構築することが求められている。しかし現状では、観光と環境保護、文化継承とを有機的に結びつける制度や仕組みは、まだ確立されていない。<br />
    旅先での自然や地域社会との深い関わりが、新たな気づきや創造を生み出す世界。ハワイにおける実践は、地域の文化や自然環境を尊重する観光モデルの構築に向けて多くの示唆を与えてくれた。教育や地域住民との連携を通じて、観光が地域社会に対してポジティブな影響を与える仕組みを整備していくこと。その実践の積み重ねが、本来の観光が持つ価値・意義を引き上げる、「持続可能な観光」の実現に向けたカギとなるのではないか。
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<p style="text-align: center"><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2025/03/image_nakajima2.png" alt="中島コラム画像"></p><figcaption>
<div style="text-align: center">ハワイ州では有料でホクレアが描かれた自動車のナンバープレートが購入可能。<br />売上の一部はポリネシア航海協会の活動資金として寄付される。</div>
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<p style="text-align: center"><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2025/03/image_nakajima3.png" alt="中島コラム画像"></p><figcaption>
<div style="text-align: center">ハワイの朝靄や夕陽の下、ロコたちがカヌーを漕ぎ出す光景は、この地に息づく日常の一幕である。</div>
</figcaption></figure><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-hawaii-nakajima/">タロイモ畑のほとりで　[コラムvol.523]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
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