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	<title>那須 將 | (公財)日本交通公社</title>
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	<description>公益財団法人日本交通公社は、観光を専門とする実践的学術研究機関です。旅行・観光に関する学術的、実践的な調査研究を通して、わが国の観光文化の振興に寄与し、豊かな社会の実現を目指します。</description>
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		<title>寺田寅彦と旅行　[コラムvol.509]</title>
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		<dc:creator><![CDATA[]]></dc:creator>
		<pubDate>Tue, 04 Jun 2024 05:11:00 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[<p>人生のある一定期間を、文学に心を傾け、紙を食むように過ごした経験を持つ人は、万人とまでは言えないにせよ、意外に多いのではないかと思う。そのような時期に筆者が触れた文章の中でとりわけ水が合うと感じたのは、寺田寅彦の随筆であ･･･</p>
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										<content:encoded><![CDATA[<p>人生のある一定期間を、文学に心を傾け、紙を食むように過ごした経験を持つ人は、万人とまでは言えないにせよ、意外に多いのではないかと思う。そのような時期に筆者が触れた文章の中でとりわけ水が合うと感じたのは、寺田寅彦の随筆であった。</p>
<p>寺田寅彦（1878 &#8211; 1935）は、東京帝国大学に籍を置いた物理学者である。地震や津波に関する寅彦の言説は現代のメディアで定期的に取り上げられるため、今日においては防災・地震学者のイメージを抱く人があるかもしれない。実際に、寅彦は1923年（大正12年）の関東大震災の際、寅彦は事後調査に参加しており、また同大地震研究所の設立にも大きな役割を果たしている。<br />
職業的自然科学者としての事績を残す一方で、寅彦は絵画、音楽、俳諧などに深く親しむ芸術の人でもあった。こと文学については旧制高校時代から夏目漱石の薫陶を受け、その後生涯にわたって多数の作品を残した。</p>
<p>今般、偶然の機会を得て寅彦の随筆を読み返すと、旅行を題材とした小品が、過去の印象よりもずっと多くあることに気付いた。観光に関わる仕事をする立場となって、以前とは見え方が変わったのかもしれない。ちょうど本稿を書くタイミングが重なったので、印象的な作品を幾つか取り上げてみることにした。<br />
なお、本稿に挙げる寅彦の随筆は既に著作権が消滅しており、正当な方法によってweb上に全文が公開されている。逐一リンクを張ることは避けるがwebブラウザ上で読むことができるので、気になった作品については検索し、触れて頂ければ嬉しい。</p>
<h3>旅と随筆</h3>
<p>『東上記』は、1899年（明治32年）帝大への進学にあたって上京する青年の、瑞々しい旅行記である。京都から逢坂の関を越えて至った琵琶湖を「鳰の海」と記し、百足山（三上山）を望んで大百足退治の伝説を思い起こす様子は、詩歌や物語の中にあった「ナドコロ」の実在を確かめるような、旅への新鮮な高揚が伺える。</p>
<p>上京からちょうど10年後の1909年（明治42年）、理学博士となり助教授の職を得た寅彦は欧州へ留学する。中国から香港、シンガポール、その後はマラッカ海峡を抜けてペナン（マレーシア）、コロンボ（スリランカ）に寄港し、スエズ運河を経て地中海に至る船旅の道程は、『旅日記から』に見ることができる。留学先であるベルリンでの生活や、欧州各地への訪問について記した作品は複数あるが、『異郷』や『二つの正月』はその端的な例である。留学を終えた寅彦は1911年（明治44年）にアメリカを経由して日本に帰国するが、『チューインガム』に描写される同国でのカルチャーギャップや税関での待遇は、海外での一種独特な居心地の悪さを思い起こさせる。</p>
<p>帰国後、寅彦は終生東京に居を定めたが、国内各地へのさまざまな形での旅行を随筆に残している。『札幌まで』では旅の目的は明示されていないが、文中に「大学構内」とあることから、札幌市内の北海道帝国大学を訪問したのだろうか。やや淡々とした筆致からは、現代にも通底する出張旅行の雰囲気が感じられる。『静岡地震被害見学記』は1935年（昭和10年）7月に発生した静岡地震の被災地を訪れた際の記録であるが、岸壁や民家の損壊に関する描写や考察など、業務的な往訪記録の趣が感じられる。また、『浅間山麓より』『小浅間』『小爆発二件』など複数の作品には、信州浅間山周辺への訪問や観察の様子が描写されている。浅間山麓峰の茶屋には1933年（昭和8年）に火山観測所が設置され、同施設は翌年に東大地震研究所へ移管されている。後述する夏季休暇の滞在拠点が近隣の軽井沢であったため、避暑旅行と合わせて訪問したケースもあったと思われるが、こちらも自然科学者としての仕事の意味合いが強いだろう。</p>
<p>これら硬めの旅行記録とは対照的に、『箱根熱海バス紀行』における家族旅行の様子はいかにも楽しげである。また『軽井沢』『沓掛より』『高原』『あひると猿』には、毎年の定宿であったらしい信州星野温泉への、家族連れ立っての避暑旅行が綴られている。植物を観察し、鳥の声を聴く滞在の様子は全体に牧歌的である。年によってはここで2週間を過ごしたとあるから、まさに世界水準の高原リゾート滞在といえる。余談となるが、（本稿の）筆者が観光業界に縁もゆかりもなかった時分に、これらの滞在記を始めて読み、「星野って、あの星野？」と素朴きわまる発見をしたことを覚えている。</p>
<p>安楽で快適な避暑旅行が書かれる一方で、友人とともに都会の喧騒を離れて足を伸ばした『伊香保』では、何かにつけて小さなトラブルに見舞われる、ままならない旅行の様子が綴られる。同じ旅館に投宿した団体旅行客の賑わいを苦々しく、それでいて完全に無視するでもなく、時におかしみを感じながら描写するまなざしには、共感を覚えなくもない。</p>
<p>遠方を訪れる旅行に加えて、寅彦は都内近郊にもしばしば脚を伸ばしたようだ。銀座界隈や百貨店へのちょっとした訪問の記録は、『丸善と三越』『銀座アルプス』『コーヒー哲学序説』など複数の作品に描写されている。これらは旅行とまでは言えないかもしれないが、震災後の京橋方面へ花火見物に出かける『雑記（２』、風景画や写真の題材を探して都内近郊を散策する『写生紀行』『カメラをさげて』には、週末の「銀ブラ」の延長線上にありながら、一定の目的を定めた小旅行の雰囲気が感じられる。</p>
<p>『異質触媒作用』のうちの一編では、運転手付きの自動車を仕立てて、都内から奥多摩方面へドライブに出かけている。同編が書かれた1933年（昭和8年）時点の自動車旅行は、「自動車で田舎へ遊山に出かけるというようなことは（中略）奢りの極みであるような気が何となしにしていた。二十年前にはたしかにそうであったにちがいないが、今ではもうそれほどでもなさそうに思われた」といった位置づけで、簡易ながら「鉄道省で出来た英文のモーターロードマップ」なども発行されていたようだ。「杉並区のはずれでやっとともかくも東京を抜け出す」という描写からは、戦前における東京都市圏の範囲とその後の膨張を思わせる一方で、「どこまで行ってもなかなか田舎らしい田舎へ出られないのに驚いた」という感想は、現代にも共通するものがあるかもしれない。帰路の一幕には夕景の中の「武蔵野特有の雑木林の聚落」の美しさが綴られており、国木田独歩の『武蔵野』に描かれた景のイメージは、この頃には既に広く共有されていたことが伺える。</p>
<p>この他、寅彦は記憶の中にある過去の旅行についても、その思い出を振り返る形で幾つかの随筆を残している。『初旅』には、中学時代の後半に甥と2人で、大人を連れずに出かけた初めての旅行が綴られている。旧制中学校であるから現代の中学生より年齢は少し上であるが、寅彦の郷里である高知県から淡路島の室津まで、「往復四、五日の遠足」というから、初旅としては大胆な部類に入るのかもしれない。『どんぐり』で描写されるのは自宅から植物園へのごく小さな旅行であるが、そこには既に思い出の人となった、乾いた喪失の悲しみがある。『夏』には夏を題材とする小品4点が集められているが、ここでは洋行中に遭遇した各地の暑熱や、中学校時代の京都への修学旅行、旧制高校時代に訪れた炭鉱の見学、帝大時代に行った釜石への調査行など、さまざまな非日常の「夏」が切り取られている。</p>
<h3>まなざしの感覚</h3>
<p>以上に挙げたものは全体の一部であるが、寅彦は自身のさまざまな旅行を、随筆の形で筆まめに記録した。その見聞や思索の過程は落ち着いた筆致でありながら、不思議と心に迫るものがある。端的に言えばそれは稀有なセンスの賜物であろうが、文学的な才覚以外に要因を求めるのであれば、寅彦は観察・鑑賞の対象となる物事や風物だけでなく、それらを視るにあたっての「見かた」、まなざしに対する鋭敏な感覚を有していたのではないかと思う。</p>
<p>『伊吹山の句について』で、寅彦は芭蕉の句「おりおりに息吹を見てや冬ごもり」に関する議論に触発され、伊吹山周辺の地形や冬季の気候について思索を巡らせている。地形は地形図に、気候は測候所から取り寄せたデータに基づいて考察する様子は自然科学者的な態度であるが、一方では伊吹山の山容について、「急峻な姿をしているのであるが、大垣から見れば、それほど突兀たる姿をしていないだろう」「富士のような孤立した感じはないに相違ない」など、その山麓から仰望した「感じ」についても言及している。</p>
<p>『田園雑感』には都会と田舎の人の違い、自然の美しさ（同作における表現では「親切さ」）、失われつつある国内の習俗、などが語られるが、自然や習俗そのものが有する価値と並列に、その深淵や背景を認めうるまなざしについても言及しているように思われる。例えば、寅彦は冒頭で自身が今のところは都会での生活を希望し、実行していると述べた上で、次のような話題を挙げている。</p>
<p>六つになる親類の子供が去年の暮れから東京へ来ている。これに東京と国とどっちがいいかと聞いてみたら、おくにのほうがいいと言った。どうしてかと聞くと「お国の川にはえびがいるから」と答えた。<br />
この子供のえびと言ったのは必ずしも動物学上のえびの事ではない。えびのいる清洌な小川の流れ、それに緑の影をひたす森や山、河畔に咲き乱れる草の花、そういうようなもの全体を引っくるめた田舎の自然を象徴するえびでなければならない。東京でさかな屋から川えびを買って来てこの子供にやってみればこの事は容易に証明されるだろう。<br />
私自身もこのえびの事を考えると、田舎が恋しくなる。しかしそれは現在の田舎ではなくて、過去の思い出の中にある田舎である。えびは今でもいるが「子供の私」はもうそこにはいないからである。<br />
しかしこの「子供の私」は今でも「おとなの私」の中のどこかに隠れている。そして意外な時に出て来て外界をのぞく事がある。</p>
<p>『案内者』における主題は科学における案内者であるが、その書き出しは旅行と、旅行案内記から始まる。同作ではある場所で旅行案内（を入念に予習した同行者の案内）によって、見逃してはならない景色を鑑賞することができた経験を紹介する一方で、「読んだ案内書や聞いた人の話が、いつまでも頭の中に巣をくっていて、それが自分の目を隠し耳をおおう」として、事物を視るまなざしを事前に準備することの利点と欠点を挙げている。</p>
<p>「目はその言葉におおわれて「物」を見なくなる。」という一節は、ともすれば口コミやガイドブックの再確認、SNSで見た風景の再現に腐心する現代的な旅行への警句とも取れるかもしれない。また同時に、「職業的案内者がこのような不幸な境界に陥らぬためには絶えざる努力が必要である」との指摘は、科学における案内者として教鞭を取った寅彦の自省的な言及であったようにも思われる。</p><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-torahiko-travel-nasu/">寺田寅彦と旅行　[コラムvol.509]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>不変ならざる自然の見せ方 &#8211; チューリヒ近郊の森林公園にて　[コラムvol.496]</title>
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		<dc:creator><![CDATA[webkakishima]]></dc:creator>
		<pubDate>Sun, 01 Oct 2023 01:00:18 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[<p>2023年09月中旬、欧州方面への出張中にスイスを訪問する機会を得た。その際に訪れたシルヴァルト自然発見公園について、現地の写真を中心に紹介する。 なお、本稿で取り上げる施設や制度等の名称は、スイス公用語以外による表記が･･･</p>
<p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-zurich-nasu/">不変ならざる自然の見せ方 – チューリヒ近郊の森林公園にて　[コラムvol.496]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>2023年09月中旬、欧州方面への出張中にスイスを訪問する機会を得た。その際に訪れた<u>シルヴァルト自然発見公園</u>について、現地の写真を中心に紹介する。<br />
なお、本稿で取り上げる施設や制度等の名称は、スイス公用語以外による表記が確立されていないものが多い。文中における日本語での表記は、筆者による仮訳を含む点に留意されたい。上記の「シルヴァルト自然発見公園」のように、文中で下線を付した語については、<a href="#496hosoku">本稿の末尾</a>に訳出前の表記一覧を掲載する。</p>
<h4>概要</h4>
<p>シルヴァルト自然発見公園は、スイスの北部チューリヒ州内に位置する公園施設である。同州の州都であるチューリヒ中心部から、鉄道または自家用車により30分程度でアクセスが可能である。幹線道路に沿って流れるジル川の両岸を公園用地として、森林を中心としたフィールドが整備されている。<br />
同公園は近隣にある<u>ランゲンベルグ野生動物公園</u>とともに、2010年にスイス連邦から「<u>チューリヒ・シルヴァルト自然公園</u>」として、<u>郊外自然公園</u>の認定を受けた。郊外自然公園は、連邦政府が所管する公園制度である<u>国家重要公園</u>の一類型であり、都市住民のQOLの向上、自然学習の提供、緩衝地帯の確保等を目的として運営される。</p>
<div id="attachment_48615" style="width: 266px" class="wp-caption aligncenter"><img fetchpriority="high" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-48615" class="wp-image-48615 size-full" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/496_image_01.png" alt="" width="256" height="400" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/496_image_01.png 512w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/496_image_01-256x400.png 256w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2023/10/496_image_01-384x600.png 384w" sizes="(max-width: 256px) 100vw, 256px" /><p id="caption-attachment-48615" class="wp-caption-text">シルヴァルト自然発見公園 位置図（openstreetmapを元に筆者作成）</p></div>
<p>チューリヒ方面に接続する鉄道駅の周辺に、駐車場、ビジターセンター、野外遊具、カフェ等が集約され、利用拠点として整備されている。駐輪場の利用も見られ、自転車で訪れる人も多いようだ。</p>
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</div>
<p>拠点周辺ではピットを利用すれば火の使用も認められており、訪問当日にもピクニック的に、焚き火をする人々の姿が見られた。なお訪問日は土曜日で、園内各所には家族連れを中心にそれなりの人出が見られたが、混雑は感じられなかった。</p>
<div style="display:flex; flex-wrap:wrap; gap:2px;">
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</div>
<h4>園内散策路の様子</h4>
<p>拠点エリアから出発し、園内に設定された3kmほどのコースを徒歩で散策した。森林内の周遊ルートは一部にアップダウンがあるものの、全体として歩きやすく整備されている。倒木を完全に撤去するのではなく、一部を残して「森らしく」整えている場所などは、いかにも楽しげである。</p>
<div style="display:flex; flex-wrap:wrap; gap:2px;">
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</div>
<p>ルート上にはいくつかの地点に標識が設置されており、併設された簡易な設備を使用して、それぞれの地点の環境に応じた自然体験ができるようになっている。</p>
<p>例えば下記写真の標識では腐朽した樹木に棲む昆虫についての説明があり、隣にある緑の筒を覗くと、枯死した立木や倒木の腐朽した部分を見ることができる、という仕掛けが用意されている。標識はドイツ語と英語の2言語表記だが、英語の説明には専門的な用語はなく、（英語ぼちぼち程度の筆者が、その場で読んでも引っかかることなく理解できるレベルの）平易な文章で書かれていた。緑の筒の横には踏み台が用意されていることからも、自然体験のターゲットとして、かなり低い年齢までが想定されていることが伺える。</p>
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</div>
<p>ある地点では林床（森林内の地面）付近から萌芽する特徴的な植物の様子を観察できるように、植生の密度が高めで暗い森林に木道が整備されていた。また別の地点では、樹木の更新によって生じたギャップ（倒木等により光を遮っていた葉がなくなり、一時的に林床まで光が届くようになった箇所）や、倒れた立木の根などがルート上から観察できる状態で置かれていた。</p>
<div style="display:flex; flex-wrap:wrap; gap:2px;">
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</div>
<h4>直線的なトウヒの木立</h4>
<p>以上のように、シルヴァルト自然発見公園は森林レクリエーションの場として、また自然体験・自然教育の場として、洗練された整備がなされていると感じた。その中でも、特に印象に残った箇所を一つ紹介したい。</p>
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<p>この区画ではトウヒの人工林が再現されており、ほぼ同じ樹齢の立木が列状に植栽されている。標識では同じ種類の樹木しか生育していないことや、林床に生えている植物の違いについて触れ、他の地点とは林内の様子が異なることに意識を向けさせている。</p>
<p>日本の国土面積の約7割は森林であり、世界中でも屈指の森林国家である。幼少期からの経験の中で、実体としての森に触れる、木材や香料などの産物に触れる、あるいは物語などのメディアを通じて「森」の像に触れる機会は多く、人々は大小それぞれの奥行きを持った、森林のイメージを獲得していることと思う。</p>
<p>しかしながら、我々がそうして想起する「日本の森林」の中に人工林は含まれているだろうか。日本で「人工林」と聞いてもっとも多く想起されるのは恐らく「花粉」であろうが、それ以外のイメージは非常に希薄であるようにも思われる。国土の約7割を占める森林のうちの4割、すなわち日本の3割弱を人工林が占めるにもかかわらず、その諸相に触れる機会はかなり限定されているのではないか。</p>
<p>やや極端な意見かもしれないが、とりわけ初等教育から中等教育にかけて触れる「森」や「自然」、「生き物」といったトピックにおいて、人工林の要素は丁重に遠ざけられているようにも見える。そのような印象を抱いていた筆者の目から見て、自然性の高い森林の隣に人工林区画を造成してその対比を観察させるという設計は新鮮であり、自然教育の場としても有効であると感じた。</p>
<h4>変化する自然を見せること</h4>
<p>出発から帰着まで2時間ほどの散策を終えて、筆者は「人間の時間的・空間的スケールからは乖離しているとしても、自然はその姿を変えながら、成長・変化するものだ」といった印象、あるいはメッセージのようなものを感じた。</p>
<p>学問的には森林の相観、攪乱と更新、植生遷移などの言葉を用いて高等教育の段階で学ぶ分野であるが、これらを直感的に、かつ子どもにも分かるように伝えることは難しいだろう。シルヴァルト自然発見公園では、場所に応じてさまざまに様相を変える樹木や植生の様子を並べて提示することで、そういったテーマへのアプローチを試みていたように思われた。もっとも、このような教育的な要素を抜きにしても、変化に富む森林内の散策コースは、レクリエーションとして五感を楽しませてくれる。</p>
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<p>今回の往訪ではチューリヒを含むスイス・オーストリア国内の数ヶ所を訪れたが、いわゆる「アルプスの風景」とも言えるような、風光明媚な景観が各地で見られた。これらを特徴づける草原や疎林は二次的自然であり、多かれ少なかれ人為的な管理がなされている。都市域においても、個々の住人や所有者による手入れを通じて、統一感をもった景観が維持されている。気候的な条件が穏やかな欧州において、要求される管理の度合いはアジア圏とは異なるものの、それでも人々はかなりの労力と時間をかけて、好ましい風景を維持しているように思われた。</p>
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<p>そういった慣習的な行動の背景にはさまざまな要素が関係すると考えられるが、一つの社会通念的な要因として、「そもそも自然とは放っておくと変化し、人間社会にとって有益な状態から離れていく。だから手入れをして、有益な状態を維持しなければならない」といった共通認識があるのかもしれない。</p>
<p>物理的な実体としての風景は、極端に原生的な例を除けば、自然と人間との相互作用の産物である。このうち自然の側から働く作用は、人間の日常的な尺度を超えた空間的・時間的なスケールを有することは論を俟たない。であるからこそ、ひとたび失われれば元には戻らないという前提をもって、保護的な手法が採用される。<br />
一方で人間の側から働く作用は、一般的にはそれが有効に機能するシステムを明らかにし、ビジョンや計画、手引きやガイドラインといった規範的な手法を用いて駆動させれば、数年ないし数十年のうちには望ましい状態を確立できる（可能性がある）という前提を置くのではないか。しかしながら、美しい風景の担い手となる無名の彼ら彼女らが、幼少期からのさまざまな自然体験を通じて前述のような暗黙知を獲得しているのだとすれば、それは数年ないし数十年といった時間軸の問題ではなくなる。少なくとも、幾つかの世代を跨ぐ程度の時間的スケールは想定する必要がありそうだ。</p>
<h4 id="496hosoku">補足：施設・制度等の名称</h4>
<p>スイス国内の情報は、基本的にドイツ語、フランス語、イタリア語のうちの一つないし複数で提供されている。英語の情報は提供されている場合と、されていない場合がある。以下、日本語（筆者による仮訳を含む）および訳出前の表記（英 / 仏 / 独 / 伊のうち、公的な情報源から表記が入手可能なもの）一覧を掲載する。</p>
<table style="width: 100%; border-collapse: separate; border-color: #a9a9a9;" border="medium">
<tbody>
<tr>
<td style="width: 40%; vertical-align: top;">シルヴァルト自然発見公園</td>
<td style="width: 60%;">英 Sihlwald Nature Discovery Park /<br />
独 Naturerlebnispark Sihlwald</td>
</tr>
<tr>
<td style="width: 40%;">ランゲンベルグ野生生物公園</td>
<td style="width: 60%;">英 Langenberg Wildlife Park /<br />
独 Tierpark Langenberg</td>
</tr>
<tr>
<td style="width: 40%;">チューリヒ・シルヴァルト自然公園</td>
<td style="width: 60%;">Wildnispark Zurich Sihlwald (英・独・仏・伊いずれも）</td>
</tr>
<tr>
<td style="width: 40%;">郊外自然公園</td>
<td style="width: 60%;">
<p>仏 parcs naturels periurbains /<br />
独 Naturerlebnisparke / <br />
伊 parchi naturali periurbani</p>
</td>
</tr>
<tr>
<td style="width: 40%;">国家重要公園</td>
<td style="width: 60%;">仏 Parcs d&#8217;importance nationale /<br />
独 Parke von nationaler Bedeutung /<br />
伊 Parchi d&#8217;importanza nazionale</td>
</tr>
</tbody>
</table><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-zurich-nasu/">不変ならざる自然の見せ方 – チューリヒ近郊の森林公園にて　[コラムvol.496]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>そこは景色か、目的地か。つくば霞ヶ浦りんりんロード走行記　[コラムvol.483]</title>
		<link>https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-ringringroad-nasu/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=column-ringringroad-nasu</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[]]></dc:creator>
		<pubDate>Tue, 13 Dec 2022 06:14:55 +0000</pubDate>
				<guid isPermaLink="false">https://www.jtb.or.jp/?post_type=column&#038;p=46745</guid>

					<description><![CDATA[<p>11月初旬、茨城県の「つくば霞ヶ浦りんりんロード」を、自転車を持参して訪問した。 つくば霞ヶ浦りんりんロードは、JR岩瀬駅からJR土浦駅、さらに霞ヶ浦西浦の湖岸全周と、その東端からJR潮来駅・水郷潮来バスターミナルまでを･･･</p>
<p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-ringringroad-nasu/">そこは景色か、目的地か。つくば霞ヶ浦りんりんロード走行記　[コラムvol.483]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>11月初旬、茨城県の「つくば霞ヶ浦りんりんロード」を、自転車を持参して訪問した。</p>
<p>つくば霞ヶ浦りんりんロードは、JR岩瀬駅からJR土浦駅、さらに霞ヶ浦西浦の湖岸全周と、その東端からJR潮来駅・水郷潮来バスターミナルまでを接続するサイクリングコースである<sup>1)</sup>。2021年度の利用者数は110,000人と推計されており、2015年度から毎年度増加を続けている<sup>1)</sup>。2019年には、「日本を代表し、世界に誇りうるサイクルルート」である、ナショナルサイクルルートの指定を受けた。</p>
<blockquote><p><a href="https://www.ringringroad.com/about/" rel="noopener" target="_blank">つくば霞ヶ浦りんりんロードとは？</a></p></blockquote>
<p>北端から南端までの距離はおよそ180kmである。その内部には初心者向けから熟練者向け、平坦からヒルクライムまで、<a href="https://www.ringringroad.com/course/" rel="noopener" target="_blank">複数のモデルコース</a>が設定されている。</p>
<p>今回はこれらのモデルコースのうち、霞ヶ浦1周コースと、筑波山方面の旧筑波鉄道コース、ヒルクライムコースを走ってみた。現地の様子をレポートする。</p>
<p><small></p>
<h4></h4>
<ul>
<li>1) 県道桜川土浦潮来自転車道線の範囲を指して「つくば霞ヶ浦りんりんロード」とする文書等もみられるが、本稿ではナショナルサイクルルートの指定を受けた範囲を指してつくば霞ヶ浦りんりんロードと表記する。県道桜川土浦潮来自転車道線の範囲および位置関係は、<a href="https://www.pref.ibaraki.jp/soshiki/doboku/naruhodo/documents/h28naruhodo07.pdf" rel="noopener" target="_blank">茨城県資料</a>を参照。ナショナルサイクルルートの指定を受けた範囲の詳細は、同指定に関する<a href="https://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/ncr-root/pdf01/02-1.pdf" rel="noopener" target="_blank">審査総括表</a>を参照。</li>
<li>2) 茨城県(2022): <a href="https://www.pref.ibaraki.jp/seikatsukankyo/sports/cycling/r3-riyousya.html" rel="noopener" target="_blank">つくば霞ヶ浦りんりんロードのR3年度の利用者について</a> 2022/06/10更新、2022/11/14最終閲覧</li>
</ul>
<p></small></p>
<h3>目次</h3>
<ul>
<li><a href="#kasumigaura">霞ヶ浦1周コース</a></li>
<li><a href="#tsuchiuraeki">土浦駅</a></li>
<li><a href="#kyutsukubatetsudo">旧筑波鉄道コース</a></li>
<li><a href="#hill-climb">ヒルクライムコース</a></li>
<li><a href="#100km">100km走れる地域の設計</a></li>
<li><a href="#mokutekichi">景色が目的地になる</a></li>
</ul>
<h3 id="kasumigaura">霞ヶ浦1周コース</h3>
<p><img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image2-533x400.jpg" alt="" width="533" height="400" class="aligncenter size-medium wp-image-46754" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image2-533x400.jpg 533w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image2-800x600.jpg 800w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image2-768x576.jpg 768w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image2-1536x1152.jpg 1536w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image2-2048x1536.jpg 2048w" sizes="(max-width: 533px) 100vw, 533px" /></p>
<p>今回の旅程は2泊3日。1日目の夜に現地入りして投宿、3日目の昼過ぎまで滞在するスケジュールで、実質的な行動時間は2日弱である。朝から夕方までをフルに使える2日目は、<a href="https://www.ringringroad.com/k-course1/" rel="noopener" target="_blank">霞ヶ浦1周コース</a>を走った。</p>
<p>途中の霞ヶ浦大橋を渡って高浜入（霞ヶ浦西浦の北側部分）をショートカットする約90kmのコースと、ショートカットをしない約130kmのコースがあるが、今回は後者のコースに挑戦した。</p>
<p>スタート / ゴール地点と周回の方向は自由に設定できるので、今回は湖西端の土浦駅から出発し、右岸（南西側）から左岸（北東側）へ、地図上で反時計回りに走るルートとした。当日は晴天、一部区間では向かい風が強く苦しんだものの、気候は全体に良好であった。途中2回の補給を挟み、4時間半ほどで完走した。</p>
<p><img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image3-687x400.png" alt="" width="687" height="400" class="aligncenter size-medium wp-image-46755" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image3-687x400.png 687w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image3-768x447.png 768w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image3.png 951w" sizes="(max-width: 687px) 100vw, 687px" /></p>
<p>上記の画像は走行中の位置情報を、地図と標高グラフ上に出力したものである。アップダウンは皆無で、距離は長いが走りやすいコースプロフィールとなっている。赤線の走行経路は湖の形とほぼ一致しており、全周にわたって湖岸沿いのサイクリングロードが整備されていることが分かる。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image4-533x400.jpg" alt="" width="533" height="400" class="aligncenter size-medium wp-image-46756" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image4-533x400.jpg 533w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image4-800x600.jpg 800w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image4-768x576.jpg 768w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image4-1536x1152.jpg 1536w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image4-2048x1536.jpg 2048w" sizes="auto, (max-width: 533px) 100vw, 533px" /></p>
<p>コース上の道路には矢羽の路面表示が整備されており、マップ等がなくとも走行は容易である。走行中、片側の風景は常に湖だが、もう片側には蓮根畑が続く区間などもあり、所々で収穫作業をする人の様子も見えた。蓮の花のシーズンに来訪すれば、この地域ならではの風景が楽しめるだろう。当日は雲もなく、場所によっては遠方に筑波山や、牛久大仏の（おそらく）背中なども見えた。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image5-533x400.jpg" alt="" width="533" height="400" class="aligncenter size-medium wp-image-46757" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image5-533x400.jpg 533w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image5-800x600.jpg 800w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image5-768x576.jpg 768w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image5-1536x1152.jpg 1536w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image5-2048x1536.jpg 2048w" sizes="auto, (max-width: 533px) 100vw, 533px" /></p>
<p>サイクリングロードは一部、湖岸を離れて国道に合流する区間があり、その前後には専用の路面標示・標識等が整備されている。これらのサイン類のデザインは、霞ヶ浦りんりんロード全域で共通化されている。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image6-533x400.jpg" alt="" width="533" height="400" class="aligncenter size-medium wp-image-46758" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image6-533x400.jpg 533w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image6-800x600.jpg 800w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image6-768x576.jpg 768w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image6-1536x1152.jpg 1536w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image6-2048x1536.jpg 2048w" sizes="auto, (max-width: 533px) 100vw, 533px" /></p>
<p>舗装は良好で軽快に走ることができるが、基本的に自転車専用の道路<sup>3)</sup>ではないため<sup>4)</sup>、農作業車やツーリングバイクなど、一般車両の追い越しや離合には注意を要する。一部の釣りスポットと思しき区間では、路肩への駐車や釣り人の往来が集中する状況もみられた。</p>
<p><small></p>
<h4></h4>
<ul>
<li>3) 本稿では「自転車が通行でき、自動車の通行は制限される道路」の意で用いる。具体的には道路法上の自転車専用道路または自転車歩行者専用道路を指す。</li>
<li>4) 一部区間では車道に並行して縁石で区画された自転車歩行者専用道が整備されているが、コースの総延長に占める割合は小さい。</li>
</ul>
<p></small></p>
<h3 id="tsuchiuraeki">JR土浦駅</h3>
<p>滞在の拠点はJR土浦駅とした。土浦駅は「駅からサイクリング」をコンセプトとして、施設全体にさまざまな工夫が凝らされている。</p>
<p>鉄道で自転車を持ち運ぶ際には、サイクルトレイン等の特別な場合を除いて、自転車の一部を分解・固定した上で、全体を袋に納める必要がある（輪行）。このため、到着地の駅では分解した自転車を組み立てる必要があるが、土浦駅の改札近くには専用の組み立てスペースが用意されている。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image7-533x400.jpg" alt="" width="533" height="400" class="aligncenter size-medium wp-image-46759" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image7-533x400.jpg 533w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image7-800x600.jpg 800w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image7-768x576.jpg 768w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image7-1536x1152.jpg 1536w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image7-2048x1536.jpg 2048w" sizes="auto, (max-width: 533px) 100vw, 533px" /></p>
<p>駅ビル内の通路には青いラインが引かれており、市中の街路と同様に、自転車を押して歩くことができる。施設内には各所にサイクルラックが置かれ、ちょっとした買物や飲食であれば、自転車を組み立てた後でも立ち寄ることができる。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image8-300x400.jpg" alt="" width="300" height="400" class="aligncenter size-medium wp-image-46760" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image8-300x400.jpg 300w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image8-450x600.jpg 450w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image8-768x1024.jpg 768w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image8-1152x1536.jpg 1152w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image8-1536x2048.jpg 1536w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image8-scaled.jpg 1920w" sizes="auto, (max-width: 300px) 100vw, 300px" /></p>
<p>地上階の一部店舗は、地上階から自転車を押して入店することすら可能である。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image9-300x400.jpg" alt="" width="300" height="400" class="aligncenter size-medium wp-image-46761" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image9-300x400.jpg 300w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image9-450x600.jpg 450w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image9-768x1024.jpg 768w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image9-1152x1536.jpg 1152w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image9-1536x2048.jpg 1536w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image9-scaled.jpg 1920w" sizes="auto, (max-width: 300px) 100vw, 300px" /></p>
<p>つまり駅ビル全体が、到着後に自転車を組み立て、そのままエレベーターで地上階に降り、ビル内を抜けて屋外に出られる造りになっており、非常に楽、かつ特別感がある。土浦駅を発つ際にも同様に、改札近くまで自走可能な状態の自転車を持ち込むことができる訳で、滞在の最初から最後まで、他の駅施設とは一線を画する体験が提供されている。</p>
<p>自転車に乗っていない時にも特別な体験ができるという点は、スノーリゾートにおけるスキーイン・スキーアウトが可能な宿泊・飲食施設のデザインに通じるものがあるように感じられた。</p>
<h3>旧筑波鉄道コース・ヒルクライムコース</h3>
<p>最終日の3日目は<a href="https://www.ringringroad.com/t-course1/" rel="noopener" target="_blank">旧筑波鉄道コース</a>と、筑波山を登る<a href="https://www.ringringroad.com/t-course2/" rel="noopener" target="_blank">ヒルクライムコース</a>を走った。</p>
<p>土浦駅を起点として旧筑波鉄道コースを北上し、途中からヒルクライムコースに乗り入れ東進、南側から筑波山を登坂後、西方向へ下山し旧筑波鉄道コースに合流、土浦駅に戻るルートとした。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image10-732x400.png" alt="" width="732" height="400" class="aligncenter size-medium wp-image-46762" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image10-732x400.png 732w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image10-768x420.png 768w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image10.png 946w" sizes="auto, (max-width: 732px) 100vw, 732px" /></p>
<p>地図上では、ヒルクライムコースを反時計回りに走るルートとなる。走行距離は60km強で、そのうち約40kmが旧筑波鉄道コース部分、約20kmがヒルクライムコース部分にあたる。所要時間は休憩を含めて4時間程度であった。</p>
<h4 id="kyutsukubatetsudo">旧筑波鉄道コース</h4>
<p><img loading="lazy" decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image11-533x400.jpg" alt="" width="533" height="400" class="aligncenter size-medium wp-image-46763" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image11-533x400.jpg 533w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image11-800x600.jpg 800w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image11-768x576.jpg 768w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image11-1536x1152.jpg 1536w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image11-2048x1536.jpg 2048w" sizes="auto, (max-width: 533px) 100vw, 533px" /></p>
<p>写真からも、霞ヶ浦一周コースと比べて格段に「手厚い」設計であることが分かると思う。</p>
<p>旧筑波鉄道コースの線形はほとんどが直線で、カーブがあっても円周は緩やかである。勾配は南から北に向かって僅かに登るが、明らかな負荷がかかる程ではない。コース名が示す通り、鉄道路線であった時代の特徴をそのまま生かした造りといえる。</p>
<p>舗装は全線に渡ってほぼ最高と言える状態で、路面のたわみもない。入念なメンテナンスの手が入っていることは想像に難くないが、それに加えて旧鉄道路線の堅牢な土工・路床と、重量のある自動車が走行しないことも影響しているように思われた。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image12-533x400.jpg" alt="" width="533" height="400" class="aligncenter size-medium wp-image-46764" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image12-533x400.jpg 533w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image12-800x600.jpg 800w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image12-768x576.jpg 768w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image12-1536x1152.jpg 1536w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image12-2048x1536.jpg 2048w" sizes="auto, (max-width: 533px) 100vw, 533px" /></p>
<p>沿線には定期的に拠点駅や周辺施設までの距離標が設置されている他、場所によっては大判のイラストマップや、二次元バーコードによるデジタルマップの案内もある。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image13-533x400.jpg" alt="" width="533" height="400" class="aligncenter size-medium wp-image-46765" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image13-533x400.jpg 533w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image13-800x600.jpg 800w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image13-768x576.jpg 768w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image13-1536x1152.jpg 1536w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image13-2048x1536.jpg 2048w" sizes="auto, (max-width: 533px) 100vw, 533px" /></p>
<p>また、旧筑波鉄道コースほぼ全線が自転車専用の道路として整備されている。自動車との交通分離については指針が徹底されており、ある程度の規格の ―― 道幅や舗装も良好で、青色の誘導ラインを引けばサイクリングロードとして案内できるように見える ―― 一般道路がすぐ隣にある区間でも、個別に区画された自転車専用の道路が整備されている。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image14-533x400.jpg" alt="" width="533" height="400" class="aligncenter size-medium wp-image-46766" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image14-533x400.jpg 533w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image14-800x600.jpg 800w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image14-768x576.jpg 768w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image14-1536x1152.jpg 1536w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image14-2048x1536.jpg 2048w" sizes="auto, (max-width: 533px) 100vw, 533px" /><br />
<img loading="lazy" decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image15-533x400.jpg" alt="" width="533" height="400" class="aligncenter size-medium wp-image-46767" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image15-533x400.jpg 533w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image15-800x600.jpg 800w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image15-768x576.jpg 768w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image15-1536x1152.jpg 1536w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image15-2048x1536.jpg 2048w" sizes="auto, (max-width: 533px) 100vw, 533px" /></p>
<p>交差点の整備状況は、交差する道路の規模や管理者により異なるが、いずれも自動車等がノンストップで自転車と交錯しないよう配慮されている。交差する車道側に一時停止標識と路面標示を置くだけでなく、チャッターバーを設置して物理的に減速させている箇所もみられた。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image16-533x400.jpg" alt="" width="533" height="400" class="aligncenter size-medium wp-image-46768" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image16-533x400.jpg 533w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image16-800x600.jpg 800w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image16-768x576.jpg 768w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image16-1536x1152.jpg 1536w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image16-2048x1536.jpg 2048w" sizes="auto, (max-width: 533px) 100vw, 533px" /></p>
<p>付帯設備に目を向けると、沿線には旧駅舎を活用した休憩所が整備されている。全長約40kmの旧筑波鉄道コース上に、ベンチ、自動販売機、トイレ、サイクルラック等が併設された休憩所は6箇所あり、土浦市や桜川市の市街地区間ではおよそ4kmから5kmごと、郊外ではおよそ10kmごとに置かれている。市街地区間では郊外と比べて平均速度が低下するため、走行中の感覚としては一定時間ごとに休憩所が出てくる感覚があった。中・長距離の走行に不慣れな初心者にとっては、定期的に現れる休憩所が、そのまま休憩すべきタイミングを示す指標として機能するだろう。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image17-533x400.jpg" alt="" width="533" height="400" class="aligncenter size-medium wp-image-46769" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image17-533x400.jpg 533w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image17-800x600.jpg 800w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image17-768x576.jpg 768w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image17-1536x1152.jpg 1536w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image17-2048x1536.jpg 2048w" sizes="auto, (max-width: 533px) 100vw, 533px" /></p>
<p>駐車場が併設されている休憩所もあり、自家用車での移動と組み合わせ、発着拠点として利用する人の様子もみられた。</p>
<p><id="#hill-climb"></p>
<h4 id="hill-climb">ヒルクライムコース</h4>
<p><img loading="lazy" decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image18-450x400.png" alt="" width="450" height="400" class="aligncenter size-medium wp-image-46770" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image18-450x400.png 450w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image18-674x600.png 674w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image18-768x683.png 768w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image18.png 952w" sizes="auto, (max-width: 450px) 100vw, 450px" /></p>
<p>ヒルクライムコースは筑波山の南側から、不動峠を経由して筑波山ロープウェイ山麓駅（つつじヶ丘駅）の駐車場まで登るルートである。1周の距離は約25km、そのうち約11kmが登坂区間となる。獲得標高は500m程度であるので、計算上の平均勾配は5%弱<sup>5)</sup>だが、尾根線に沿って走る区間に平坦や下りが含まれるため、登り坂部分の実際の勾配はもう少し手強く、断続的に6 &#8211; 8%、時に10%を超える箇所もある。基本的にはある程度の機材と経験を備えたサイクリストが、走行それ自体を目的として走るコースと言えるだろう。このため、コースの設計や整備のレベルも旧筑波鉄道コースとは異なっている。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image19-300x400.jpg" alt="" width="300" height="400" class="aligncenter size-medium wp-image-46771" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image19-300x400.jpg 300w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image19-450x600.jpg 450w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image19-768x1024.jpg 768w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image19-1152x1536.jpg 1152w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image19-1536x2048.jpg 1536w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image19-scaled.jpg 1920w" sizes="auto, (max-width: 300px) 100vw, 300px" /></p>
<p>一般論として山岳路では、走者は勾配だけでなく、山岳路ゆえの落葉や落枝、舗装のひび割れ等にも対応しつつ走行しなければならない。カーブの向こうから来る（かもしれない）自動車・自転車との離合、追い越しについても、各自が注意し対応することが求められる。ヒルクライムコースにおいてもこの点は同様であり、コース全線にわたる手厚い整備はなされていない。交通量の多いスカイラインとの合流部や、ゴール地点となるつつじヶ丘駐車場への侵入誘導など、要所に必要な標識や路面標示が整備されている。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image21-533x400.jpg" alt="" width="533" height="400" class="aligncenter size-medium wp-image-46772" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image21-533x400.jpg 533w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image21-800x600.jpg 800w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image21-768x576.jpg 768w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image21-1536x1152.jpg 1536w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image21-2048x1536.jpg 2048w" sizes="auto, (max-width: 533px) 100vw, 533px" /></p>
<p>安全・誘導のための整備は最低限（十分に充実しているが、あくまで他コースとの比較において）であるが、一方で登坂区間の起点には上掲写真のような標識が設置されており、現在地からゴール地点までの距離、獲得標高、カーブの数等が案内されている。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image22-544x400.jpg" alt="" width="544" height="400" class="aligncenter size-medium wp-image-46773" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image22-544x400.jpg 544w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image22-815x600.jpg 815w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image22-768x565.jpg 768w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image22-1536x1130.jpg 1536w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image22-2048x1507.jpg 2048w" sizes="auto, (max-width: 544px) 100vw, 544px" /></p>
<p>道中ではカーブごとに小型の標識が置かれ、現在のカーブ数と地点距離が表示されている。現在地と残りの距離が分かることは安心感にも繋がると思われるが、どちらかと言えばペース配分の調整やラストスパートのタイミング等、やや競技的に登坂を楽しむための表示であるように感じた。坂を登りに来た走者の心をくすぐる仕掛けと言えるかもしれない。</p>
<p><small></p>
<h4></h4>
<ul>
<li>5)  水平距離100ｍにつき垂直標高が1m上昇する場合の傾きを1%とする、道路勾配%の値。</li>
</ul>
<p></small></p>
<h3 id="100km">100km走れる地域の設計</h3>
<p>以上の現地レポートを踏まえて、現地で感じたことを簡単に書いてみたい。</p>
<p>ロードサイクリング界隈で聞かれる慣用句の一つに、「100km走れたら初心者卒業」がある。100kmという距離は象徴的で、日常的な移動の感覚とは隔たりがあり、しかし適切な方法を用いれば達成可能という点で、この表現はよく出来ていると思う。</p>
<p>この時に必要とされる「適切な方法」として、まず想起されるのは脚力や持久力といった、走者の肉体的な能力である。しかし実際には、例えば走りやすいルート（線形、勾配、自転車専用の道路かそうでないか等）を設定する、スケジュールを決めて走行計画を立てる、適切なタイミングで休憩を挟む、水分やエネルギーを補給し、また補給品を補充できる場所を想定しておく、パンクなどのトラブルに対応できる装備と技術を備える、重量や容積と相談して持ち物を取捨選択する等、フィジカル以外にも多くの要素が影響し、これら一つ一つの改善をはかることで、100km走破の達成は近づく。自転車は機材スポーツであるので、各々の懐が許す範囲で、長距離走行に適したフレームやホイールを買う、速度やパワーを数値化してモニター可能なサイクルコンピュータを導入する、といったことも取り得る方法の一つである。</p>
<p>ここで今回実際に走行した、霞ヶ浦りんりんロード内の各コースを振り返ってみる。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image23-533x400.jpg" alt="" width="533" height="400" class="aligncenter size-medium wp-image-46774" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image23-533x400.jpg 533w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image23-800x600.jpg 800w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image23-768x576.jpg 768w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image23-1536x1152.jpg 1536w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image23-2048x1536.jpg 2048w" sizes="auto, (max-width: 533px) 100vw, 533px" /></p>
<p>旧筑波鉄道コースは全線が自転車専用の道路で、走者は走ることに集中できる。舗装や線形は良好であり、休憩所の配置によって、一息を入れるタイミングが自動的に提案される。距離も程よく、コースの両端にあたるJR岩瀬駅あるいは土浦駅でレンタサイクルを借りて走ってみるのは、いかにも楽しそうだ。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image24-533x400.jpg" alt="" width="533" height="400" class="aligncenter size-medium wp-image-46775" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image24-533x400.jpg 533w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image24-800x600.jpg 800w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image24-768x576.jpg 768w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image24-1536x1152.jpg 1536w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image24-2048x1536.jpg 2048w" sizes="auto, (max-width: 533px) 100vw, 533px" /></p>
<p>霞ヶ浦一周コースは平坦で走りやすいが、距離が長い。半日ないし一日の持久走となるため、休憩だけでなく途中の補給（食事やコンビニなど）も必須となるが、これらの施設はコース沿線にはほとんど現れない。走者は発着地点と走力に応じて休憩・補給のタイミングを自ら決め、そのための施設を（地点によっては一時的にコースを外れて）自分で見つけ出すことが求められる。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image25-533x400.jpg" alt="" width="533" height="400" class="aligncenter size-medium wp-image-46776" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image25-533x400.jpg 533w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image25-800x600.jpg 800w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image25-768x576.jpg 768w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image25-1536x1152.jpg 1536w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image25-2048x1536.jpg 2048w" sizes="auto, (max-width: 533px) 100vw, 533px" /></p>
<p>また、道は基本的に自転車専用ではなく、一部区間では交通量のある車道も走行する。走行中の安全確保は、各走者の注意と責任に依る部分が大きくなっている。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image26-533x400.jpg" alt="" width="533" height="400" class="aligncenter size-medium wp-image-46749" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image26-533x400.jpg 533w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image26-800x600.jpg 800w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image26-768x576.jpg 768w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image26-1536x1152.jpg 1536w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image26-2048x1536.jpg 2048w" sizes="auto, (max-width: 533px) 100vw, 533px" /></p>
<p>ヒルクライムコースは旧筑波鉄道コースの途中から分岐する形でコースが設定されており、JR岩瀬駅や土浦駅、潮来市といった地域内の代表的な拠点からはやや距離がある。意図して筑波山近傍に拠点を置く・自家用車でアクセスする等の方法を用いないのであれば、走者はまずコースの起点まで、体力・脚力を温存して到達することが要求される。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image27-533x400.jpg" alt="" width="533" height="400" class="aligncenter size-medium wp-image-46750" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image27-533x400.jpg 533w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image27-800x600.jpg 800w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image27-768x576.jpg 768w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image27.jpg 1276w" sizes="auto, (max-width: 533px) 100vw, 533px" /></p>
<p>コースは山岳路であり、走行時の負荷は大きいが、加えて中央線のない山道から交通量の多いスカイラインまで、様々に変化する道の状況にも対応しなければならない。気温や天候の状況に応じて、防寒のための装備も必要だろう。</p>
<p>以上のように各コースの特徴をみると、先に挙げた「肉体的な能力以外の要素」が、旧筑波鉄道コースではハード・ソフトの整備により自動的に提供されているのに対して、それ以外のコースでは走者自身での対処・対応を求められていることが分かる。俯瞰的に見れば、旧筑波鉄道コースは誰でも自転車に誰でも親しめるように作られているが、全てのコースをそのように設計するのではなく、整備の「手厚さ」が異なる複数のコースを併存させている、とも言える。</p>
<p>サイクリングに興味を持ち、長距離を走ってみたいと思う人にとって、それぞれのコースは実力の発展段階に応じて、相応の課題と楽しみを都度提供してくれるのではないだろうか。彼（あるいは彼女）がこの地に二度、三度と足を運んだならば、そう遠くないうちに100km走破を達成できるだろう、そう思わせる配慮と仕掛けが、地域全体を貫いているように感じられた。</p>
<h3 id="mokutekichi">景色が目的地になる</h3>
<p>最後に、今回の訪問で筆者がもっとも「よくできている」と感じた場所の写真を紹介したい。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image28-533x400.jpg" alt="" width="533" height="400" class="aligncenter size-medium wp-image-46751" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image28-533x400.jpg 533w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image28-800x600.jpg 800w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image28-768x576.jpg 768w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image28-1536x1152.jpg 1536w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image28-2048x1536.jpg 2048w" sizes="auto, (max-width: 533px) 100vw, 533px" /></p>
<p>旧筑波鉄道コースの途中、藤沢休憩所と筑波休憩所の間の一地点から、JR岩瀬駅方向を見た写真である。ここにはサイクルラックを併設した簡単なフォトスポットが用意されており、往訪当日も通過する人の半数ほどが自転車を停め、風景写真や自撮り写真を撮影していた。</p>
<p>この場所から見える筑波山は、多くの来訪者にとって目を楽しませる景物である。しかし既に見たように、この先には筑波山を登るコースが用意されており、そこを目的地とする一部の者たちもまた、サイクリングロードを通過していく。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image29-533x400.jpg" alt="" width="533" height="400" class="aligncenter size-medium wp-image-46752" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image29-533x400.jpg 533w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image29-800x600.jpg 800w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image29-768x576.jpg 768w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image29-1536x1152.jpg 1536w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/12/483_image29-2048x1536.jpg 2048w" sizes="auto, (max-width: 533px) 100vw, 533px" /></p>
<p>それが景色としても目的地としても見られるという点において、上掲2つの写真は同じ文脈を共有するとも言えるかもしれない。遥か遠くに仰望する景色の一部と思われた場所、そこへ向かうものが隣を通り過ぎ、その場所が足元の地面と地続きであると知ったとき、驚くか、呆れるか、あるいは面白いと思うか、去来する感想は当事者によりさまざまであろうが、いずれにせよ、そこにあるのは無味乾燥な景色ではなく、その人がその時その場所で感じたものごとが書き込まれた風景である。</p>
<p>多様な携帯を包含するサイクルツーリズムの中でも、特に自転車での移動・行動そのものを主目的とする旅行（所謂「自転車旅行」的な旅行）の楽しさは、「日常から遠く離れた場所に行く」「今まで行けなかった所まで行けるようになる」といった経験を、自分の身体ひとつで（身体性を損なうことなく）味わえることであるように思う。今回訪問したつくば霞ヶ浦りんりんロードは、間口は万人に向けて広く丁寧に取りながらも、さらにその先にある ―― 世間一般には「物好き」と苦笑されるような ―― 楽しみ方へと巧みに誘導する、そういった造りになっているように感じられた。そのような、プリミティブな楽しみに関心を抱いたのであれば、来春霞ヶ浦を訪ねてみてはどうだろう。</p><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-ringringroad-nasu/">そこは景色か、目的地か。つくば霞ヶ浦りんりんロード走行記　[コラムvol.483]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>Wildlife Tourismと野生動物観光 &#8211; 国内における実践の事例　[コラムvol.468]</title>
		<link>https://www.jtb.or.jp/researchers/column/wildlife-tourism-nasu2/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=wildlife-tourism-nasu2</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 25 Apr 2022 07:50:42 +0000</pubDate>
				<guid isPermaLink="false">https://www.jtb.or.jp/?post_type=column&#038;p=44053</guid>

					<description><![CDATA[<p>本コラムは全2回のうちの2回目である。 前稿では新たな旅行形態の一つとなっているWildlife Tourismについて、国際的な概況と潮流を整理した上で、そこにどのような観光者のまなざしが注がれているのかを論じた。その･･･</p>
<p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/wildlife-tourism-nasu2/">Wildlife Tourismと野生動物観光 – 国内における実践の事例　[コラムvol.468]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>本コラムは全2回のうちの2回目である。</p>
<p>前稿では新たな旅行形態の一つとなっているWildlife Tourismについて、国際的な概況と潮流を整理した上で、そこにどのような観光者のまなざしが注がれているのかを論じた。その要旨は下記の通りである。論の詳細や具体の数値等については、<a title="Wildlife Tourismと野生動物観光　[コラムvol.444]" href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/wildlife-tourism-nasu/">該当記事</a>を参照されたい。</p>
<ul>
<li>Wildlife Tourismは、野生動物観察の体験が重要な動機となる観光である。狩猟や釣りといった消費型の体験は含まれず、動物観察や生息地での滞在体験といった非消費的な観光活動に限定される。</li>
<li>Wildlife Tourismは世界的な成長市場とみなされている。観光産業としての経済効果や雇用の創出だけでなく、生じた便益を活用した野生動物の保護や生息環境の保護、密猟の排除といった効果も期待される。</li>
<li>Wildlife Tourismに向けられる観光者のまなざしは成熟しつつあり、単に珍しい動物を見たり触ったりできるかではなく、観光の対象となる動物について、真正性が担保されているか（例：動物が野生に近い状態に保たれているか）、倫理的であるか（例：動物の行動を変容させる行為や、収奪的な利用が排除されているか）、持続可能な関わり方ができるか（例：自分が体験プログラムや観察ツアーに参加することで、その動物の保護や生息地の保全に資するか）といった評価の軸が導入されつつある。</li>
<li>国連世界観光機関（UNWTO）が提唱する「持続可能な観光」の実践に求められる要素は、Wildlife Tourismにもフィットするものであり、世界水準のWildlife Tourismは持続可能な観光として行われることが望ましい。</li>
</ul>
<p>なお、前稿ではWildlife Tourismに対応する語として「野生動物観光」を挙げた。これは2019年度から2020年度にかけて実施された環境省補助事業における表現である。その後、環境省が2021年3月に公表した事例集（※１）では「野生生物観光」の語が用いられている点、あわせてここで紹介する。</p>
<p>本稿では、日本国内におけるWildlife Tourismの事例として、小笠原ホエールウォッチング協会（OWA）によるホエールウォッチングの事例を紹介する。</p>
<ul><small></p>
<li style="list-style-type: none;">（※１）環境省(2021): 生きものとの出会いの旅を創る 国内・海外20の事例:<a href="https://www.env.go.jp/nature/wildlifetourism/top.html" rel="noopener" target="_blank">https://www.env.go.jp/nature/wildlifetourism/top.html</a>,2022/01/30 最終閲覧</li>
</ul>
<p></small></p>
<h3>小笠原村の基礎情報と観光の展開</h3>
<p>小笠原村は東京都の南方およそ1,000kmの太平洋上に分布する、30余の島嶼から構成される基礎自治体である。一般住民の居住する島は父島と母島の2島で、2022年1月末時点の人口は2,581人（※２）である。</p>
<p>小笠原村とその周辺海域は、一部の島嶼（※３）を除き小笠原国立公園に指定されており、陸域面積6,629haに加えて、779.5haが海域公園地区となっている。2011（平成23）年6月には「小笠原諸島（※４） 」が世界自然遺産の登録を受けた。2016（平成28）年にはエコツーリズムを推進する組織として「小笠原エコツーリズム協議会」を設置、『小笠原村エコツーリズム推進全体構想』を作成・申請し、エコツーリズム推進法に基づく認定を受けている（※５）。</p>
<p>小笠原村への主たるアクセスとして東京都港区（東京港竹芝埠頭）と父島（二見港）を結ぶ定期航路があり、現用の船舶は3代目「おがさわら丸」である。また、所要時間は片道およそ24時間である。就航日程の関係から、観光客の旅程は往路の船中で1泊、小笠原村内に3泊、復路の船中で1泊、計5泊6日の行程が基本となる。</p>
<p>定期航路以外の来訪経路としてクルーズ船がある。大半が国内のクルーズ船であり、2016（平成29）年度には13便のクルーズ船が寄港し、同年度の小笠原村への入込客数29,766人に対して、4,775人の観光客が来島している（※６）。また本土と小笠原諸島を結ぶ小笠原航空路に関して、2018（平成30）年時点では父島須崎地区の活用について集中的な検討が進められている（※７）が、現時点で航空便の運行はなされていない。</p>
<p>域内交通について、有人島である父島（二見港）と母島（沖港）は、定期航路で接続されている。所要時間は片道およそ24時間である。両島以外の無人島および周辺海域は、民間の船舶により不定期にアクセスが提供されている。</p>
<p>小笠原村への観光入込客数は、2004（平成16）年度から2010（平成22）年度まで、およそ2万人から2.3万人の間で推移してきた。2011（平成23）年には世界自然遺産登録を契機として入込客数は増加し、同年度には32,376人、翌2012（平成24）年度にはピークの39,564人に達した。翌年度からは減少に転じ、2015（平成27）年度に25,214人を記録した後、2019（平成31・令和元）年度まで、およそ2.8万人から3.2万人までの範囲で推移している（※８）。</p>
<ul><small></p>
<li style="list-style-type: none;">（※２）小笠原村Webページ:<a href="https://www.vill.ogasawara.tokyo.jp/" target="_blank" rel="noopener">https://www.vill.ogasawara.tokyo.jp/</a>,2022/01/30 最終閲覧</li>
<li style="list-style-type: none;">（※３）硫黄島、南硫黄島、沖ノ鳥島、南鳥島が国立公園区域外。なお南硫黄島は、1972（昭和47）年の当初指定時点では国立公園区域に含まれていたが、1975（昭和50）年の原生自然環境保全地域指定に伴って除外。</li>
<li style="list-style-type: none;">（※４）聟島列島、父島列島、母島列島、硫黄列島のうち北硫黄島と南硫黄島、西之島。ただし父島と母島については集落地等を除いた陸域と、周辺海域の一部。</li>
<li style="list-style-type: none;">（※５）立入制限などの保護措置の対象となる「特定自然観光資源」については、指定なし。</li>
<li style="list-style-type: none;">（※６）小笠原村調べ。国土交通省 小笠原諸島振興開発審議会 配布資料掲載図の数値を参照。</li>
<li style="list-style-type: none;">（※７）国土交通省(2018): 第95回小笠原諸島振興開発審議会配布資料, 資料3-2 小笠原空路に係る検討状況 / 東京都総務局行政部(2021): 小笠原空路の検討状況について</li>
<li style="list-style-type: none;">（※８）小笠原村調べ。国土交通省 小笠原諸島振興開発審議会 配布資料掲載図の数値を参照。</li>
</ul>
<p></small></p>
<h3>小笠原におけるホエールウォッチング</h3>
<p>小笠原村における代表的な野生動物観光の一つに、クジラ・イルカのウォッチングがある。小笠原諸島近海では例年、冬から春にかけてはザトウクジラ、夏から秋を中心にマッコウクジラ、ミナミハンドウイルカやハシナガイルカについては通年の観察が可能であり、年間を通じて誘客が可能なコンテンツとなっている。やや古いデータとなるが、クジラ・イルカウォッチングへの参加者は1999年時点で年間延べ12,000人、関連産業への直接経済効果を年間4億3,600万円とする報告（※９）があり、経済面でもその影響は大きい。同地におけるホエールウォッチングを統括する団体が、小笠原ホエールウォッチング協会（Ogasawara Whale Watching Association 以下、本稿ではOWAと表記）である。</p>
<p>OWAはホエールウォッチングに関する自主ルールの運用、鯨類に係る調査研究、観察会や船内レクチャー等の普及啓発活動、ガイドの育成と教育を行う一般社団法人（※１０）である。小笠原村内の宿泊・飲食物販施設、アクティビティ事業者等が加盟するほか、村内外の個人・法人がサポーター会員として参加することができ、会員は一部の加盟店で割引などの優待を受けることができる。事務局には設立当初から自然科学系の研究員が配置され、学術的な知見に基づく調査研究や情報発信を行っている。</p>
<p>1988（昭和63）年、小笠原諸島の返還20周年記念事業として、日本で最初のホエールウォッチングが小笠原村で実施された。OWAは翌1989（昭和64・平成元）年に発足し、同年から小笠原における事業としてのホエールウォッチングが開始された。この時点でホエールウォッチングに係るルールが『WWの手引き』として整備され、以降2度の改定を経て、現在まで運用されている。</p>
<p>現行のルールは1997（平成9）年1月に改定された『小笠原ホエールウォッチング協会自主ルール（※１１）（以下、本稿では「自主ルール」と表記）』であり、「小笠原海域においてホエールウォッチングを行う際に、小笠原のみならず日本全体の自然資源である鯨類の自然な行動を妨げないと共に、鯨類の生息環境を守ること」を目的としている。内容はアクティビティ商品としてホエールウォッチングを提供する事業者向けのルールであり、ホエールウォッチングを行う船舶や飛行機・ヘリコプター等が、ルールの適用対象となる鯨類に接近する際の操船や運行に関する禁止行為等が定められている。</p>
<ul><small></p>
<li style="list-style-type: none;">（※９）財団法人海事産業研究所（2003）: 離島航路事業の高度化及び離島におけるエコツーリズム振興に関する調査研究報告書: p20 なお、同報告では「関連産業」をウォッチング船乗船料、宿泊代、飲食代、おみやげ物代としている。</li>
<li style="list-style-type: none;">（※１０）2011年04月に一般社団法人化。同月以前は任意団体として活動。</li>
<li style="list-style-type: none;">（※１１）小笠原ホエールウォッチング協会Webサイト:<a href="http://www.owa1989.com/watching/rule" rel="noopener" target="_blank"> http://www.owa1989.com/watching/rule</a>,2022/01/31 最終閲覧</li>
</ul>
<p></small></p>
<h3>着目すべきポイント</h3>
<p>野生動物を含む所与の自然資源を適切に保全しつつ、地域（着地側）が魅力的なWildlife Tourismをいかに展開するべきかという視点に立ち戻ると、小笠原におけるホエールウォッチングの事例から学ぶべきことは多い。その中でも筆者が特に着目すべきと考えるのは、以下の2点である。</p>
<h4>１）自主ルールの位置付けと運用の手法</h4>
<p>前提として、小笠原には小笠原国立公園としての規制（自然公園法）、世界自然遺産としての規制（保護担保措置と管理計画に基づくアクションプラン）など、主として行政による規制や行動計画等が存在する。これらは基本的に任意のエリアに対して網をかける手法であり、エリア内でのゾーニングに基づいて利用者の行動を制限したり、行うべき取組を定めたりするものと整理される。一方で、自主ルールはホエールウォッチングという行為に対して網をかける手法であり、行政等による他の規制とは異なる軸から、相補的に機能する構造となっている。</p>
<p>野生動物観光において対象となる資源は基本的に無主の動産であり、またフィールドも広範囲に及ぶことから、単一の主体のみで事業が簡潔することは稀であり、公・民・地域など複数の主体が参画する共同・協働関係の中で事業が行われることが多い。この場合、それぞれの主体（が設定する規程やルール）が何をコントロールし、どのように役割を分担するのかという点の整理が必要となる。</p>
<p>以上を踏まえて、小笠原においては「民」の範囲で定められた自主ルールの中身に着目すると、船舶の規模に応じてクジラ周辺の進入禁止水域や原則水域を定めるなど、端的ながら具体的な内容となっている。</p>
<div id="attachment_44061" style="width: 576px" class="wp-caption aligncenter"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-44061" class="size-medium wp-image-44061" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/04/469_image1-566x400.jpg" alt="" width="566" height="400" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/04/469_image1-566x400.jpg 566w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/04/469_image1-768x543.jpg 768w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/04/469_image1.jpg 842w" sizes="auto, (max-width: 566px) 100vw, 566px" /><p id="caption-attachment-44061" class="wp-caption-text">図　『小笠原ホエールウォッチング協会自主ルール』の一部（※１２）</p></div>
<p>対象動物の鑑賞や動態観察をコンテンツの肝とする野生動物観光において、対象にどれだけ近付けるかは参加者の満足度に直結する要素であり、事業者にとっては「痛い」ところが押さえられたルールといえる。換言すれば、もしも民間事業者の自由競争に任せた場合、自然資源の過剰利用による価値の毀損（この場合は船舶の過剰な接近による鯨類の行動変容など）が生じる可能性がある要素について、踏み越えてはならない基準が自主ルールとして整備されている。</p>
<p>このようなルールの運用は、対象となる資源（野生動物）の保全 ―― もう少し積極的な表現をするならば、持続可能な利用 ―― に寄与するが、それだけでなく、観光の対象となる資源への関わり方が具体的に定められていることで、商品としてのツアーやアクティビティの質、すなわち冒頭で触れた「倫理的であり、持続可能な関わり方であるか」をも担保する点に特徴がある。</p>
<p>なおOWAは、同会に加盟する事業者には自主ルールを守る義務を課し、会員以外の事業者に対しては、自主ルールの遵守を要望している。2018（平成30）年時点で、小笠原村観光協会に所属する事業者は21社、OWAの加盟ウォッチング事業者は14社である（※１３）。加盟する事業者の一覧は、OWAのwebサイトにて「OWA加盟船」として公開される等、各主体の協働関係（パートナーシップ）の中で、地域が総体としてルールを守るための仕組み、より率直に言えば、商業的にWildlife Tourismを行う事業者や個人に、ルールを守らせるための仕組みが構築されている。この点については次項にも関係するため、ここでは一旦論を進めたい。</p>
<h4>２）観光客を巻き込む工夫</h4>
<p>以下に挙げる画像は、『小笠原ルールブック（※１４）』のうち、ホエールウォッチングとドルフィンウォッチング・スイムに関する2ページを抜粋したものである。なお、OWAはホエールウォッチングのほか、ドルフィンウォチング・スイムに関する自主ルールの運用にも携わっている。</p>
<div id="attachment_44073" style="width: 873px" class="wp-caption aligncenter"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-44073" class="size-large wp-image-44073" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/04/469_image2-863x600.png" alt="" width="863" height="600" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/04/469_image2-863x600.png 863w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/04/469_image2-575x400.png 575w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/04/469_image2-768x534.png 768w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/04/469_image2.png 1345w" sizes="auto, (max-width: 863px) 100vw, 863px" /><p id="caption-attachment-44073" class="wp-caption-text">図　『小笠原ルールブック』におけるホエールウォッチング等に係るルールの解説</p></div>
<p>小笠原ルールブックは小笠原エコツーリズム協議会が発行する34ページの冊子であり、小笠原諸島に関わる法令・ルールと適用範囲を示す地図のほか、主要な生物の写真と特徴、関係団体の連絡先等が掲載されている。説明やイラストは平易なものが用いられ、また小笠原自然情報センターWebページ（※１５）では「小笠原を訪れる方へ」として本冊子を紹介していることから、ルールブックは観光客、とりわけ小笠原初心者の観光客向けに作成された媒体であることが分かる。</p>
<p>冊子の内容のうち、例えば「ウミガメのナイトウォッチではライトで足元だけを照らす」、「ヤコウタケの見学時には車を十分手前で駐車しエンジンとライトを切る」等のルールは、観光客に直接周知すべき事項である。一方で、ホエールウォッチングやドルフィンウォッチング・スイムに関しては、そこに参加する観光客を単なる消費者、あるいはサービスの受益者とみなすのであれば、ルールの内容を観光客に伝達する必要性は低い。クジラに接近可能な水域や、群れにアプローチできる船の隻数などは、船舶を操縦する事業者が把握・遵守すればよい事項であり、乗船する観光客には関係がない（関与できない）部分であるので、極論すれば「船上では船主の指示に従って下さい」とだけ記載しておけば用は足りる。しかしながら、小笠原では冊子を始めとした媒体の作成・配布に要するコストを負担してでも、地域において是認され、共有されているルールや価値観、考え方の全体像を観光客にも提示し、巻き込んでいくための仕組みが構築されている。</p>
<p>小笠原村では同ルールブック以外にも、「観光客を巻き込んでいくための仕組み」が複数展開されている。一例を挙げると、東京港竹芝埠頭から二見港へ向かう（本土からの観光客にとっては往路便にあたる）おがさわら丸では「船内レクチャー」の時間が設定されているが、ここでは時期により、専門ガイドによる「船内クジラレクチャー」が実施される。また小笠原村への到着後にも、OWA研究員がクジラに関する短時間のレクチャーを実施する等の取組が行われている。これらの取組は、ホエールウォッチングに参加する観光客だけでなく、ウォッチングに参加しない観光客も対象として想定されている点が特徴的である。</p>
<div id="attachment_44060" style="width: 630px" class="wp-caption aligncenter"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-44060" class="size-full wp-image-44060" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2022/04/469_image4.png" alt="" width="620" height="285" /><p id="caption-attachment-44060" class="wp-caption-text">図 村内の展望台で、OWA研究員がザトウクジラの生態に関するレクチャーを実施する様子（※１６）</p></div>
<p>このような仕組みの効用は、第一には観光客の満足度の向上である。自身の観光が地域の提示する持続可能な方法（ルール）に準じていることを理解し、実際にそのような方法に基づいた体験を享受することは、地域に対して「珍しい生物を見物に来た消費者」以上の関わり方を求める ―― Wildlife Tourismの文脈においては理想的な ―― 観光客の需要に応えるものといえる。満足度の向上の先にあるものは、消費単価や再訪率の向上による、経済的・社会的持続性の確立である。</p>
<p>また、本田ら(2006) （※１７）は小笠原村を事例とした報告において、よそ者としての観光客が「単にお金を落とす存在である『お客さん』や『コントロールすべき対象』ではなく、業者が環境に配慮しているかどうか監視する重要な役割」を担うことができる可能性を指摘している。観光客を地域のルールに巻き込んでいくための仕組みの構築は、ルールそのものの持続性（実効性）や、観光対象となる資源の持続性にも寄与し得るものと考えられる。</p>
<ul><small></p>
<li style="list-style-type: none;">（※１２）小笠原ホエールウォッチング協会Webサイト:<a href="http://www.owa1989.com/news/4076.html" rel="noopener" target="_blank">http://www.owa1989.com/news/4076.html</a>,2022/01/31 最終閲覧</li>
<li style="list-style-type: none;">（※１３）小笠原エコツーリズム協議会(編)(2015): 小笠原ルールブック 平成27年度版（以降、出所同じ）</li>
<li style="list-style-type: none;">（※１４）令和元年度自然公園制度のあり方検討会　利用のあり方分科会（第１回）参考資料3</li>
<li style="list-style-type: none;">（※１５）小笠原自然情報センターWebページ: <a href="http://ogasawara-info.jp/mamorutamenorule/mamorutamenorule.html" rel="noopener" target="_blank">http://ogasawara-info.jp/mamorutamenorule/mamorutamenorule.html</a>, 2022/01/31最終閲覧</li>
<li style="list-style-type: none;">（※１６）例年2月頃から4月頃まで、定期船入港日の夕方に30分程度実施。</li>
<li style="list-style-type: none;">（※１７）本田裕子, 西口元, 山崎麻里, 柴崎茂光, 永田信(2006): よそ者としての観光客が野生生物の観光利用に果たす役割 &#8211; 東京都小笠原村を事例に &#8211; : 林業経済59（4）, pp1-12</li>
</ul>
<p></small></p>
<h3>まとめと補足</h3>
<p>本稿ではOWAによるホエールウォッチングを題材として、日本国内における野生動物観光（野生生物観光）を世界水準のWildlife Tourismとして行うために有効と考えられる方策を、地域内の仕組みづくりの視点から検討した。特に着目すべき点として、地域主導によるルールの構築と運用と、観光客を巻き込む工夫について述べた。この他、本稿では十分に言及できなかった内容についても、簡単に補足したい。</p>
<p>まず、とりわけ前述の2点目（観光客を巻き込む工夫）の実践にあたっては、地域の資源と観光客との間に立ち、インタープリテーションを担うガイドの存在は不可欠である。ここでは、ガイドの職能をどのように担保・育成するかという視点に加えて、職業（生業）としてのガイドをどのように維持するかという視点が求められる。当財団の調査報告や出版物に、ガイドについて扱ったものが一定数蓄積されているので、参照されたい。</p>
<p>また本稿では、小笠原村で提供されているホエールウォッチングの具体的な内容（ツアー商品の設計や料金設定など）について、詳細を述べなかった。その理由は、筆者が小笠原という地域についても、またホエールウォッチングという旅行商品についても「初心者」であり、地域内の仕組みよりも現場側の領域について、充分な比較や分析ができなかったことによる。この点は書き手としての不明をお詫びするところであるが、OWAは事業を行う上で踏み越えてはならない基準を示した自主ルールとは別に、その一段階先、「観光商品としてのホエールウォッチングの魅力をどのように高めるか」についての提言集を公表しているので、こちらも参照されたい。</p>
<p style="padding-left: 2em;">小笠原ホエールウォッチング協会<br />
<a title="ホエールウォッチングファンを増やすために [ 5つの提案 + 1 ] - 小笠原をケーススタディとして -" href="http://www.owa1989.com/owa/five" rel="noopener" target="_blank">ホエールウォッチングファンを増やすために [ 5つの提案 + 1 ] &#8211; 小笠原をケーススタディとして &#8211;</a></p>
<p>また敢えて申し上げるならば、小笠原におけるWildlife Tourismに興味を持たれた際には、ぜひ現地に足を運び、実際のツアーを体験頂ければと思う。百聞も届かぬ一見と、百考を積んでも及ばぬすばらしい一行を得られるだろう。</p><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/wildlife-tourism-nasu2/">Wildlife Tourismと野生動物観光 – 国内における実践の事例　[コラムvol.468]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>Wildlife Tourismと野生動物観光　[コラムvol.444]</title>
		<link>https://www.jtb.or.jp/researchers/column/wildlife-tourism-nasu/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=wildlife-tourism-nasu</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 26 Apr 2021 04:20:47 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[NEWS・新着情報]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://www.jtb.or.jp/?p=33158</guid>

					<description><![CDATA[<p>一昨年度から昨年度にかけて、Wildlife Tourism に携わる機会を得た。Wildlife、すなわち野生動物の観光ということになる。本稿では業務の中で感じたことについて述べたい。 本稿のカバー写真はWildlif･･･</p>
<p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/wildlife-tourism-nasu/">Wildlife Tourismと野生動物観光　[コラムvol.444]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>一昨年度から昨年度にかけて、Wildlife Tourism に携わる機会を得た。Wildlife、すなわち野生動物の観光ということになる。本稿では業務の中で感じたことについて述べたい。<br />
本稿のカバー写真はWildlife Tourismの代表的な目的地の一つ、南アフリカ国のKruger National Parkで、季節は雨季の終わり頃である。利用者は自家用車や乗合バスで園内を移動・散策するが、指定面積19,480km<sup>2</sup>の広大な敷地内で、野生動物に出逢えるかどうかは運次第である（比較として挙げると、日本の国立公園の総面積は21,949km<sup>2</sup>）。</p>
<h3>Wildlife Tourism</h3>
<p>野生環境にある自然資源、特に野生動物を対象とする観光活動は、国際的にはWildlife Tourismと称される。下図は世界的なWildlife Tourismの目的地と、自然保護地域の分布を示した模式図である。資源性が高く観光の対象となりやすい――率直に言えば、目玉商品となる――Wildlifeは、観光開発が行われる以前から各地で保護の対象となっていることが多い。そのため、Wildlife Tourismの実施地域は、大半が各地の自然保護地域と重複している。</p>
<div id="attachment_33160" style="width: 1010px" class="wp-caption aligncenter"><img loading="lazy" decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-33160" class="size-full wp-image-33160" src="/wp-content/uploads/2021/04/444_image1.jpg" alt="" width="1000" height="509" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2021/04/444_image1.jpg 1000w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2021/04/444_image1-768x391.jpg 768w" sizes="auto, (max-width: 1000px) 100vw, 1000px" /><p id="caption-attachment-33160" class="wp-caption-text">図１：Wildlife Tourismの代表的な目的地（赤字）と、自然保護地域（陸域：緑・海域：青）の分布 （※1）</p></div>
<p>「野生動物を対象とする観光活動」を字義通りに解釈すると、前世紀から行われてきたトロフィーハンティング（※2）のような活動も含まれることになるが、現代では一定の基準や要件を満たすものをWildlife Tourismと捉えるのが一般的である。その定義については文献や識者により差異がみられるが、ここでは世界旅行ツーリズム協議会（WTTC）による解説を引用する。</p>
<blockquote>
<p><span style="font-weight: bold;text-decoration: underline">Wildlife Tourism</span>（※3）</p>
<ul>
<li>野生動物観察の体験や交流が重要な動機となる観光。</li>
<li>動物園や動物園に準ずる公園、動物のパフォーマンスを伴うサーカスやテーマパーク等は含まれない。</li>
<li>狩猟や釣りといった消費型の体験は含まれない。言い換えれば、自然生息地における野生動物の鑑賞や滞在体験といった「非消費的な」活動に限定される。</li>
<li>関連する観光活動との区分は明確でない。ここではWildlife Tourismと関連する観光との関係を下図の通り整理するが、言うまでもなく、すべての既往研究がこの定義に従うものではない。</li>
<li>他のさまざまな旅行形態と同様に、個々の旅行者はサファリでの動物鑑賞だけでなく、その土地の料理や工芸品の購入、文化の探求など複数の目的を持ってWildlife Tourismに参加する。このような複雑性に留意する必要があるものの、Wildlife Tourismによる経済効果を評価することは、多くの国や関係者にとって重要であり、とりわけ野生動物が生息地の破壊、気候変動、密猟など多くの危機に晒されている環境下ではその重要性が高まる。</li>
</ul>
</blockquote>
<div id="attachment_33161" style="width: 510px" class="wp-caption aligncenter"><img decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-33161" class="size-full wp-image-33161" src="/wp-content/uploads/2021/04/444_image2.png" alt="" width="500" height="" /><p id="caption-attachment-33161" class="wp-caption-text">図２：Wildlife Tourismと関連するTourismとの関係整理（WTTCによる）</p></div>
<p>すなわち現代のWildlife Tourismは、野生動物等の自然生息地において非収奪的に行われることを前提とした上で、観光活動を通じた経済的な便益により、保護地域における資源保全のための方策を持続的に提供する一連の取組とみなされていると考えられる。<br />
なお、上記の解説で言及されたWildlife Tourismによる経済効果については、2018年時点の全世界における推計値として、直接経済効果が1,201億ドル、関連産業への波及を含めた間接経済効果が3,436億ドルであり、2,180万人の雇用が維持されているとの報告がある。旅行観光産業全体の数値と比較すると、Wildlife Tourismは直接経済効果の4.4%、間接経済効果の3.9%を占め、雇用の6.8%を維持している（※4）。</p>
<p>※1：Twining-Ward et al. (2018): Supporting Sustainable Livelihoods through Wildlife Tourism: World Bank Group, pp16-17<br />
※2：食料としてではなく、専らスポーツとして野生動物の狩猟を行うこと。通常、仕留めた動物は展示のため剥製にされ、あるいは身体の一部が保存される。※Society for the Prevention of Cruelty to Animalsによる定義（<a href="https://www.spcai.org/take-action/trophy-hunting/trophy-hunting-defined" target="_blank" rel="noopener noreferrer">https://www.spcai.org/take-action/trophy-hunting/trophy-hunting-defined</a>）<br />
※3：World Travel &amp; Tourism Council (WTTC) (2019): THE ECONOMIC IMPACT OF GLOBAL WILDLIFE TOURISM: p5　をもとに筆者作成。<br />
※4：数値、割合ともにWorld Travel &amp; Tourism Council (WTTC) (2019): THE ECONOMIC IMPACT OF GLOBAL WILDLIFE TOURISM: pp2-3 算出額はGDPベース</p>
<p>&nbsp;</p>
<h3>日本のWildlife</h3>
<p>では本邦において、どのような資源が ”Wildlife” とみなされているのだろうか。<br />
下図は、日本政府観光局（JNTO）が海外旅行者向けに観光案内を行うWebサイト Travel Japan において、&#8221;wildlife&#8221; で検索を行った結果の一部をキャプチャしたものである。</p>
<div id="attachment_33162" style="width: 910px" class="wp-caption aligncenter"><img decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-33162" class="size-full wp-image-33162" src="/wp-content/uploads/2021/04/444_image3.jpg" alt="" width="900" height="" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2021/04/444_image3.jpg 1000w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2021/04/444_image3-768x318.jpg 768w" sizes="(max-width: 1000px) 100vw, 1000px" /><p id="caption-attachment-33162" class="wp-caption-text">図３：Travel Japanにおける ”Wildlife” な資源の検索結果（※5）</p></div>
<p>八幡平、知床、比地大滝など代表的な自然資源や、釧路湿原のタンチョウ、コハクチョウの集団越冬地である米子水鳥公園に加えて、高尾山さる園や和歌山アドベンチャーワールドなどの施設、さらには地獄谷野猿公苑のSnow Monkey, 石巻市のネコの島こと田代島、ウサギの島として知られる大久野島など、訪日インバウンドにとっての「定番」が一通り押さえられていることがわかる。</p>
<p>※5：JNTO: <a href="https://www.japan.travel/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">https://www.japan.travel/</a> 表示言語を ”English (global) ” に設定し、トップページから検索。2021/02/03時点</p>
<p>&nbsp;</p>
<h3>成熟する観光者のまなざし</h3>
<p>ここで、下記にリンクを示した記事を参照いただきたい。東京の訪日外国人や在住外国人をメインターゲットとする情報Webサイトに掲載された記事で、内容は日本で体験できる動物関係のアクティビティの紹介である。</p>
<blockquote>
<p style="text-align: center">7 Ethical Animal Experiences Around Japan &#8211; How To Encourage Responsible Animal Tourism</p>
<p>
(<a href="https://savvytokyo.com/7-ethical-animal-experiences-around-japan/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">https://savvytokyo.com/7-ethical-animal-experiences-around-japan/</a>)</p></blockquote>
<p>一部には東京都内の猫カフェなどを含むものの、屋久島のウミガメ、御蔵島のドルフィンスイムなど、大半はWildlife Tourism的なアクティビティが取り上げられている。記事タイトルにもある通り、全体を通じてethical, responsibleといった視点から、個々のアクティビティの内容が検討されていることがわかる。記事の結びには、同様の視点から「有名どころだが、この記事には載せなかったアクティビティと、その理由」が掲載されている。</p>
<p>上記リンク先記事の内容は、本コラム筆者の意見と完全に一致するものではないし、率直に言えば議論の余地が残ると思われる部分もある。しかしながら、リンク先記事の冒頭でも触れられているように、世界的なWildlife Tourismの成熟に伴って、娯楽や観光分野における動物の扱いについて、倫理性や真正性――野生動物であれば野生に近い状態が、飼育動物であればストレスの少ない環境などが、適切に保たれているか等――を批判的に検証する視点や、その動物の保護・保全に資するかどうかといった評価軸が導入されつつあるという点は、首肯できるところである。</p>
<p>立ち返って日本のWildlifeは、このような評価のまなざしに耐えるだろうか。<br />
国内には世界に比肩し得る ”Wildな” 自然資源がいくつも存在すること、また動物園や水族館といった専門施設が果たしてきた（そして、現在も果たしている）役割の重要性については、いずれも論を俟たない。懸念されるのは、観光分野におけるWildlifeという若い概念の箱に、さまざまな背景や役割を有する資源が、未整理な状態で放り込まれつつあるのではないかという点である。</p>
<p>&nbsp;</p>
<h3>世界水準のWildlife Tourismに向けて</h3>
<p>国連世界観光機関（UNWTO）は「訪問客、業界、環境および訪問客を受け入れるコミュニティーのニーズに対応しつつ、現在および将来の経済、社会、環境への影響を十分に考慮する観光」を持続可能な観光として定義し、その実施にあたって求められる要素として、以下の三点を指摘している（※6）。</p>
<blockquote>
<ul>
<li>主要な生態学的過程を維持し、自然遺産や生物多様性の保全を図りつつ、観光開発において鍵となる環境資源を最適な形で活用する。</li>
<li>訪問客を受け入れるコミュニティーの社会文化面での真正性を尊重し、コミュニティーの建築文化遺産や生きた文化遺産、さらには伝統的な価値観を守り、異文化理解や異文化に対する寛容性に資する。</li>
<li>訪問客を受け入れるコミュニティーが安定した雇用、収入獲得の機会、社会サービスを享受できるようにする等、全てのステークホルダーに公平な形で社会経済的な利益を分配し、貧困緩和に貢献しつつ、実行可能かつ長期的な経済運用を実施する。</li>
</ul>
</blockquote>
<p>環境省は2019年度から2020年度にかけて、野生動物の保全活動を組み込んだツアーコンテンツの作成等に対する補助事業を実施しているが、ここではWildlife Tourismに対応する語彙として「野生動物観光」が用いられている。上記の持続可能な観光の実現に求められる要素のうち、特に一点目と三点目は、本邦における野生動物観光の検討にあたっても有用な視点といえるだろう。他のさまざまな観光領域と同様に、野生動物観光についても持続可能性の視点から検証し、その質を担保・維持することで、世界水準のWildlife Tourismに伍することができると考えられる。</p>
<p>それでは具体的にどのような方法論によって、質の担保と維持に取り組むべきか。<br />
この点については本稿で参照した資料においても言及がなされており、また着目すべき国内外の事例もある。国内では、特に観光客や事業者の動態を把握しやすい島嶼部等においてケーススタディの蓄積がなされているが 、紙幅と期限の関係から、詳細については稿を改めることとしたい。</p>
<p>※6：国連世界観光機関(UNWTO): なぜ観光が重要なのか &#8211; 持続可能な観光の定義: <a href="https://unwto-ap.org/why/tourism-definition/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">https://unwto-ap.org/why/tourism-definition/</a>, 2021/04/21最終閲覧<br />
※7：例えば　財団法人海事産業研究所（2003）: 離島航路事業の高度化及び離島におけるエコツーリズム振興に関する調査研究報告書: p20　など</p>
<p>&nbsp;</p><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/wildlife-tourism-nasu/">Wildlife Tourismと野生動物観光　[コラムvol.444]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>ゲストのためのガイドライン 「できる人 / できない人」の二元論を超えて［Vol.424］</title>
		<link>https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-covid19-guideline-nasu/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=column-covid19-guideline-nasu</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[]]></dc:creator>
		<pubDate>Tue, 23 Jun 2020 06:01:25 +0000</pubDate>
				<guid isPermaLink="false">https://www.jtb.or.jp/?post_type=column&#038;p=36495</guid>

					<description><![CDATA[<p>新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、当財団においても年度当初から順次、在宅勤務への移行がなされた。日々の余剰カロリー消費を自転車通勤によって自動引き落とし的に達成してきた筆者は、新たな環境の下で「自主的かつ日常的な運動･･･</p>
<p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-covid19-guideline-nasu/">ゲストのためのガイドライン 「できる人 / できない人」の二元論を超えて［Vol.424］</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、当財団においても年度当初から順次、在宅勤務への移行がなされた。日々の余剰カロリー消費を自転車通勤によって自動引き落とし的に達成してきた筆者は、新たな環境の下で「自主的かつ日常的な運動」という副次課題に取り組む事となった。</p>
<h3>模索する消費者と業界</h3>
<p>朝夕あるいは休日にサイクリングでも、と考えたが、外出自粛の要請下ではそう気軽にできるものでもない。屋外での運動は、国や自治体による明示的な禁止こそなされていなかったものの、「○○公園では週末にランナーが集中」といった報道に触れると、運動を企むこと自体が望ましくないような気さえしてくる。<br />
ヒントを求めてWebを検索してみると、04月から05月にかけて複数の指針やガイドラインが提案されていた（注参照）。発出の時期や主体により差はあるものの、おおよそ共通して挙げられていた項目は以下の通りであった。</p>
<ul>
<li>1) 自国、地域の指針やガイドラインを確認し、それに従う。</li>
<li>2) 機材と体調の管理は万全に。医療機関にサイクリストを受け入れる余裕はない。</li>
<li>3) 受傷の危険がある乗り方や、免疫力の低下リスクが生じるハードワークは避ける。</li>
<li>4) 特に感染拡大期においては、屋内サイクリングの設備があればそれが最善。</li>
<li>5) 屋外で乗る場合は、以下を遵守する。<br />
　・サイクリストを含む周囲の人すべてに感染のリスクと不快感を与えない。<br />
　・個人、ないし同一世帯で走り、グループライドは避ける。<br />
　・人混み、中心街、観光地、混雑箇所を避けたルートを設計する。<br />
　・ライド中もソーシャルディスタンスを確保（走行中はより大きな間隔の確保が必要との指摘も）。<br />
　・立寄先は最低限に。補給食や工具は持参し、休憩や立寄の必要ない距離を走る。</li>
</ul>
<p>※すべての指針、ガイドラインが1) から5)までを網羅する訳ではない。1) のみに準じ、厳格な屋内待機のみを提案する指針も含まれる。</p>
<h3>誰のための指針か</h3>
<p>ガイドライン群をチェックする中で筆者が興味深く感じたのは、これらがみな自転車に乗る当事者の視点から整理されていた点である。その理由を考えてみると、サイクリングは基本的にお金と時間と道があれば実施でき、目的地は当事者の裁量に委ねられていることが挙げられる。<br />
実施にあたって施設を必要とする運動（例えばボルタリング、バスケット、競泳など）は、施設が閉鎖されれば実施できない。一方でサイクリング、ジョギング、トレッキングといったパブリックな空間を利用する運動は施設閉鎖によるコントロールが効きにくく、実施者自身による自律的な「実施してよい / すべきでない」「実施する場合の適切な方法」の判断が求められる。ゆえに、ガイドライン群は当事者の視点から整理されたのではないか。<br />
いくつもの指針が、さまざまな主体から発出されている点もまた興味深い。以下は筆者の想像に過ぎないが、コロナをめぐる状況が目まぐるしく変化し続けた04月から05月にかけて、多くのサイクリストが運動の可否や配慮すべき事項について、疑問や不安を抱いたのではないか。そのようなニーズに、まずはユーザーに近しいサイクルショップ・関連情報サイト・雑誌社などの主体が、続いて公的・横断的な競技団体や振興団体等が、順次応じる形で指針が整理されていったものと推察される。</p>
<p>ところで「基本的にお金と時間と道（移動手段）があれば実施でき、目的地は当事者の裁量に委ねられている」余暇活動の筆頭が旅行である。あえて露悪的な表現をすれば、緊急事態宣言下でもレジャー旅行は可能であるし、目当ての施設が閉鎖されていたとしても、替わりの訪問先・替わりの目的地を探すことは容易い。アクセス手段の限定される島嶼部や山岳では、航空機や船舶の利用制限、登山道の閉鎖等による制御が可能であるが、自家用車で到達できる地域が取り得る手段は限定的である。</p>
<p>経緯は定かでないものの、GW前後には一部の観光地において、アンコントローラブルな観光旅行の状況が批判的に報道されたことも記憶に新しい。この点において、旅行は関連する施設の閉鎖や制限のみによってコントロールすることが難しい側面を有すると考えられる。ゆえに、旅行者自身にも自律的な「実施してよい / すべきでない」「実施する場合の適切な方法」の判断が求められるところである。我々は、それをどのように考えればよいだろうか。</p>
<h3>ホストの戦略とゲストの原則</h3>
<p>全国的な緊急事態の宣言が解除され、06月19日には都道府県をまたぐ移動の自粛が緩和される中で、観光地の様子が伝えられる機会も増えつつある。withコロナ、アフターコロナの観光復興をにらみ、旅行業、航空、鉄道、宿泊施設、旅客船、バス、観光施設、外食、小売業など、関連する業界において種々の指針、シナリオ、ガイドライン等が策定されつつある。<br />
こうした戦略の重要性は論を俟たないが、その対象（ガイドライン等を参照し、自身や自社の行動指針を検討する者）は基本的に、旅行者を「観光客」として受容するホスト側である。国による消費者向けの施策として、国による観光需要喚起のためのキャンペーン等が発表されているものの、管見によれば、旅行者（ゲスト）自身を対象としたガイドライン等の事例は僅少であるように思われる。</p>
<p>仮に、ゲスト自身を対象とした『新たな日常下における旅行の原則』といったものを策定するのであれば、そこには例えば次のような事項が含まれてくるだろう。</p>
<ul>
<li>事前に目的地の状況や、必要な対策を確認しましょう。</li>
<li>訪問先では、現地自治体や当局、施設係員の指示に従いましょう。</li>
<li>可能な範囲で、混雑する時期や時間を避けましょう。</li>
<li>旅行の途中で体調が悪化したら、すぐに旅行を中断して必要な対策を</li>
</ul>
<p>文字に起こしてみると、原則と称するにはあまりに基本的な事項にも見える。しかしながら、筆者はゲスト側にも上記のような原則を示した指針が必要ではないかと考えている。旅行の多くが余暇活動である以上、その経験には個人差があり、経験に基づく予測や想像の精度も同様であるからだ。</p>
<h3>旅行者ができることは旅行者で</h3>
<p>社会活動のあらゆる領域において、従前とは異なる配慮や判断が要求される「新たな日常」下には、良識を備え自律的な判断ができる者と、それらを意図的に無視する者のみが暮らすのではない。両者の中間には、相当数の「社会的な要請に従うことの必要性は感じているが、具体的にどのような配慮をすればよいか分からない」人々の存在が想定される。疲弊した諸産業の再生、一方では継続的な感染リスクの存在、さまざまな情報が錯綜する状況において、そのような中間の人々に一定の指針を提供することが必要ではないか。<br />
望ましい旅行者の像を提示することは、旅行に出かけようとする人を萎縮させ、観光需要の回復を遅らせるとの懸念があるかもしれない。しかしながら、「新たな日常」下の旅行において増大する総体的なコスト（人員・技術・備品などの経費以外にも、気配り、気遣いといった目に見えないコストも増大するだろう）が、宿泊施設や観光施設といったホスト側のみに課されることは、望ましい状況とはいえない。ゲスト側の注意によりカバーできる領域を指針という形で示すことで、ホスト &#8211; ゲスト間が可能な範囲でコストを分担できる関係性を構築していくことが、結果的に産業としての持続性を高めるものと考えられる。</p>
<p>さて、ちょうど本稿を執筆している最中に、旅行連絡会から『新しい旅のエチケット』が公開された。感染リスクを避けた安全な旅行のために留意すべき事項が、旅行者の視点から取りまとめられている。<br />
タイミングの関係で後出しジャンケンのような形になってしまったが、本稿で検討した指針試案と共通する部分もあるようだ。リーフレットには具体的な留意点がイラスト付きで掲載されているので、是非ご参照いただければと思う。</p>
<p>旅行連絡会: 新しい旅のエチケット（<a href="http://www.jata-net.or.jp/virus/2006_newqetiquettetourism.html">http://www.jata-net.or.jp/virus/2006_newqetiquettetourism.html</a>）<br />
［掲載先: 一般社団法人 日本旅行業協会］</p>
<h3>顛末と余談</h3>
<p>緊急事態宣言下における適度な運動について「社会的な要請に従うことの必要性は感じているが、具体的にどのような配慮をすればよいか分からない」層であった筆者は、外出を伴うサイクリングを当面自粛することにした。前出のガイドライン群を踏まえ、種々のリスクを十分に小さくすることは、技術や経験の面から自分にとって荷が重いと感じたからだ。<br />
代替措置として廉価なローラーを導入し、自宅のベランダでライドすることにした。ペダルを回しても前進せず、中空に浮いたような感覚は思いのほか新鮮で、ハムスターのような心地でそれなりに楽しく続けている。<br />
盛夏の頃には、休日の外乗りも再開できるだろうか。</p>
<h4>注</h4>
<p>以下、更新日順に掲載。「※」以下はすべて筆者補注。</p>
<ul>
<li>Cycle Sports: コロナウイルス（COVID-19）禍におけるサイクリストの行動 &lt;<a href="https://www.cyclesports.jp/news/others/20513/">https://www.cyclesports.jp/news/others/20513/</a> &gt; 2020/04/03更新, 2020/06/19最終閲覧<br />
※ 米国心臓協会による、行動制限下における運動に関する提言を紹介。日本における行動指針を提案。</li>
<li>BiCYCLE CLUB: サイクリストが注意すべき6つのすべきこと（4月5日アップデート版） &lt; <a href="https://funq.jp/bicycle-club/article/578410/">https://funq.jp/bicycle-club/article/578410/</a> &gt; 2020/04/05更新, 2020/06/19最終閲覧<br />
※ シンガポール自転車連盟が提示した指針を紹介。「一人で走る“#RideSolo”（ライドソロ）」の提案。</li>
<li>cyclowired.jp: 新型コロナの状況下、自転車にどう乗ればよいのか、乗るべきでないのか？ &lt; <a href="https://www.cyclowired.jp/news/node/322142">https://www.cyclowired.jp/news/node/322142</a> &gt; 2020/04/06更新, 2020/06/19最終閲覧<br />
※ 室内での運動が最善であることを前提とした上で、屋外で運動する場合の指針として、オランダ自転車競技連盟の提唱するガイドラインを紹介。</li>
<li>eels: サイクリングを楽しむ際のガイドライン &lt; <a href="http://urx3.nu/VlPw">http://urx3.nu/VlPw</a> &gt; 2020/04/08更新, 2020/06/19最終閲覧</li>
<li>公益財団法人日本自転車競技連盟: 自転車を愛するみなさまへ &lt; <a href="http://urx3.nu/VsGW">http://urx3.nu/VsGW</a> &gt; 2020/04/09更新, 2020/06/19最終閲覧</li>
<li>日本サイクルスポーツ振興会: 新型コロナウイルス感染対策における日本サイクルスポーツ振興会からの提言 &lt; <a href="https://www.jcspa.or.jp/wp/wp-content/uploads/2020/04/d5d84a3e87252ad01155446bfcc7e632-1.pdf">https://www.jcspa.or.jp/wp/wp-content/uploads/2020/04/d5d84a3e87252ad01155446bfcc7e632-1.pdf</a> &gt; 2020/04/10更新, 2020/06/19最終閲覧</li>
<li>一般社団法人日本サイクルツーリズム推進協会: 新型コロナウィルス感染を防ぐための乗り方 &#8211; Cycling UK Newsletter &#8211; &lt; <a href="https://cycletourismjp.org/cuk_newsletter_20200420/">https://cycletourismjp.org/cuk_newsletter_20200420/</a> &gt; 2020/04/20更新, 2020/06/19最終閲覧</li>
<li>一般社団法人 全日本実業団自転車競技連盟: 新型コロナウィルス感染拡大状況下における自転車活動について &lt; <a href="https://www.jbcf.or.jp/information/150">https://www.jbcf.or.jp/information/150</a> &gt; 2020/04/20更新, 2020/06/19最終閲覧</li>
<li>公益財団法人日本サイクリング協会: サイクリングと新コロナウイルス対策 &lt; <a href="http://www.j-cycling.or.jp/news/detail.php?news_id=75">http://www.j-cycling.or.jp/news/detail.php?news_id=75</a> &gt; 2020/04/24更新, 2020/06/19最終閲覧<br />
※ 協会の考え方としては原則として「#StayHome」を要請するとした上で、サイクリング時に注意すべき重要事項を指摘。</li>
<li>一般社団法人グッド・チャリズム宣言プロジェクト: COVID-19（新型コロナウイルス感染症）による緊急事態宣言下におけるサイクリストの「マナー」について &lt; <a href="https://good-charism.com/archives/2853">https://good-charism.com/archives/2853</a> &gt; 2020/04/30更新, 2020/06/19最終閲覧</li>
<li>TABIRIN: 【新型コロナ】感染リスクがない環境での運動としてのサイクリングで徹底すべきこと &lt; <a href="https://tabi-rin.com/archives/article/41590">https://tabi-rin.com/archives/article/41590</a> &gt; 2020/05/04更新, 2020/06/19最終閲覧</li>
<li>公益社団法人日本トライアスロン連合: トライアスロンを愛するファミリーの皆様へ &lt; <a href="http://urx3.nu/LZWo">http://urx3.nu/LZWo</a> &gt; 2020/05/12更新, 2020/06/19最終更新</li>
<li>一般社団法人グッド・チャリズム宣言プロジェクト: 緊急事態宣言が明けて &#8211; 「withコロナ＝新しい生活様式」でのサイクリストの「マナー」を考える &lt; <a href="https://good-charism.com/archives/2871">https://good-charism.com/archives/2871</a> &gt; 2020/05/29更新, 2020/06/19最終閲覧</li>
<li>一般社団法人日本サイクルツーリズム推進協会: New life, new cycling 新しい生活様式下のサイクリングについて &#8211; Cycling UK × JCTA Guidance &#8211; &lt; <a href="https://cycletourismjp.org/cycling-in-the-new-era/">https://cycletourismjp.org/cycling-in-the-new-era/</a> &gt; 2020/06/08更新, 2020/06/19最終閲覧</li>
<li>日本サイクルスポーツ振興会: 新型コロナウイルス感染対策における日本サイクルスポーツ振興会からの提言（2020年6月12日改定） &lt; <a href="https://www.jcspa.or.jp/wp/wp-content/uploads/2020/06/d49436259b46ce1f2a53fa34adcf643a.pdf">https://www.jcspa.or.jp/wp/wp-content/uploads/2020/06/d49436259b46ce1f2a53fa34adcf643a.pdf</a> &gt; 2020/06/12更新, 2020/06/19最終閲覧</li>
</ul>
<p>&nbsp;</p><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-covid19-guideline-nasu/">ゲストのためのガイドライン 「できる人 / できない人」の二元論を超えて［Vol.424］</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>インバウンドが感じる「わかりづらさ」とは何か？　[コラムvol.402]</title>
		<link>https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-fit-transportation-nasu/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=column-fit-transportation-nasu</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[]]></dc:creator>
		<pubDate>Tue, 13 Aug 2019 00:49:03 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[NEWS・新着情報]]></category>
		<guid isPermaLink="false">https://www.jtb.or.jp/?p=27411</guid>

					<description><![CDATA[<p>2017年07月から2018年06月にかけて、（公財）日本交通公社は東京都台東区谷中の「澤の屋旅館」との共同研究により、同旅館に宿泊したFITの日本国内における動態について調査を行った。FIT（Foreign Indep･･･</p>
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										<content:encoded><![CDATA[<p>2017年07月から2018年06月にかけて、（公財）日本交通公社は東京都台東区谷中の「澤の屋旅館」との共同研究により、同旅館に宿泊したFITの日本国内における動態について調査を行った。FIT（Foreign Independent TourもしくはFree Individual Traveler）とは、団体旅行やパッケージドツアーを利用せず、個人手配によって海外旅行を行う方法、または旅行者を指す。</p>
<p>本調査の結果については、プレスリリース・調査報告書が当サイトで公開されている。調査の概要、特性と位置づけ等については、下記リンク先（※1）を参照されたい。回答者のプロフィールについてのみ摘要を述べると、本調査の有効回答は727サンプル、日本滞在日数の平均は17.3日であり、個人手配により訪問した欧・米・豪の長期滞在者を中心に構成される。訪日旅行経験回数の平均値は2.61回（※2）であり、回答者の約半数は「初めて」の訪日旅行である。</p>
<p>本稿では調査結果のうち、特に日本の公共交通に対する訪日外国人旅行者の意向に着目し、彼らが感じる「わかりづらさ」について考えてみたい。</p>
<p>※1：ＦＩＴの動向と志向に関する調査　－東京･谷中「澤の屋旅館」を事例として－（<a href="/news/newsrelease-fit-trend2019/">https://www.jtb.or.jp/news/newsrelease-fit-trend2019/&#8221;）</a><br />
※2：今回の旅行を1回とした場合の相加平均。</p>
<h3>FITの訪問先と移動手段</h3>
<p>まず前提として、FITは日本のどこを、どのように旅行しているのだろうか。回答者が日本国内で訪問した / する予定の場所について、自由記述・複数回答形式で回答を求めたところ、671人から全241箇所、合計2,860件の回答が得られた（※3）。訪問先の回答数は回答者によってばらつきがあるものの、単純計算すると、回答者1人あたりの平均訪問箇所数は4.26箇所であった。回答者数に占める訪問率を地点別に見ると、京都が6割超と突出していたが、その他にも大阪、広島、金沢、箱根、福岡、札幌、長崎など、訪問先は全国各地に分布していた。</p>
<p>では、これら全国各地に散らばる訪問先へ、FITはどのように移動しているのだろうか。日本国内で利用した交通機関について複数回答形式で質問したところ、671人から回答が得られた。結果は下図表の通りである。</p>
<div id="attachment_27415" style="width: 510px" class="wp-caption aligncenter"><img decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-27415" class="size-full wp-image-27415" src="/wp-content/uploads/2019/08/402_image1.jpg" alt="" width="500" height="" /><p id="caption-attachment-27415" class="wp-caption-text">図　日本で利用した交通機関（MA, %, n=671）</p></div>
<p>JR、新幹線の選択率が6割を超える一方、私鉄は27.6%、飛行機は21.3%、レンタカーは7.2%に留まった。東京都心部の宿泊施設という調査地の特性を考慮する必要はあるものの、FITの都市間・長距離移動手段としては、鉄道が多くのシェアを占めるようだ。</p>
<p>本コラムの主題からは外れるが、この結果について、訪日外国人旅行者にその経済性・利便性が高く評価されるJapan Rail Pass（以下、JRPと表記）の存在を無視することはできない。本調査では回答者の56.2%がJRPを利用していた（※4）。2017年には訪日外国人向けの全国高速道路乗り放題パスJapan Expressway Passが発売され、また航空各社も、JALの“ Japan Explorer Pass”のように訪日外国人向けの料金プラン等を設定するなど、各界から巨人JRPへの挑戦者が名乗りを上げつつあるが、勢力図の塗り替えには今しばらくの時間を要するものとみられる。</p>
<p>※3：調査地が東京都内であることから、「東京」にはすべての回答者が必ず1回訪問する。「東京」を除いた場合、回答項目数は240、回答件数の合計は1,960である。<br />
※4：日本で利用した鉄道パス等に関する設問（複数回答）の回答者651人を母数とした選択率。</p>
<h3>ストレスの要因は？</h3>
<p>さて、鉄道に代表される公共交通を利用し、日本各地を渡り歩くFITであるが、彼らはその途上で一定の困難にも直面しているようだ。本調査で「日本滞在中にストレスを感じた状況」について複数回答形式により質問したところ、ストレスを感じる状況のトップは「公共交通機関」、次いで「標識・看板」であり、この2つの選択肢のみ、回答者数に対する選択率が2割を超えた。結果の詳細は下図表に示す通りである。</p>
<div id="attachment_27416" style="width: 510px" class="wp-caption aligncenter"><img decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-27416" class="size-full wp-image-27416" src="/wp-content/uploads/2019/08/402_image2.jpg" alt="" width="500" height="" /><p id="caption-attachment-27416" class="wp-caption-text">図　日本滞在中にストレスを感じた状況（MA, %, n=625）</p></div>
<p>こうした「ストレスを感じる状況」に関して、本調査では下記のような自由記述回答がみられた（カッコ内は回答者の国籍）。</p>
<ul>
<li><i>①新幹線駅では、行き先の都市名が目立つように表示されないので、正しいホームにたどり着くのが大変だった（アメリカ）</i></li>
<li><i>②東京の地下鉄の表示と情報はもっと改善できると思う（フランス）</i></li>
<li><i>③JRパス、地下鉄パス、列車チケットをいつ使用するのか、分かりにくい（フランス）</i></li>
<li><i>④地下鉄のシステムを英語で説明する書面があれば、我々が自分で切符を購入する際の助けになると思う（オランダ）</i></li>
<li><i>⑤日本の習慣を説明するパンフレットを発行する。人々が電車や地下鉄で話さないのはなぜか（オランダ）</i></li>
</ul>
<p>①や②に指摘されるように、ストレスを感じる状況としての「公共交通機関」と「標識・看板」は複合的な問題であり、公共交通機関の利用時に、表示や案内の点で不便さを感じている状況が示唆される。</p>
<p>また、言及されているのが新幹線や東京都内の地下鉄であることから、彼らが利用した駅等の施設に、英語をはじめとする外国語の表記がなかったとは考え難い。「目立つように表示されない」「もっと改善できる」といった表現からは、英語が併記されていても分からない状況があったことが伺える。</p>
<p>なお、訪日外国人旅行者全体を対象とした観光庁の調査（※5）では、「旅行中に困ったこと」として「困ったことはなかった」の選択率がもっとも高かったものの、「公共交通機関の利用」は16.6%、「観光案内版・地図等」は16.4%と、いずれも上位の選択率を示した。この結果は本調査と類似する傾向が認められる。すなわち、FITを含む訪日外国人旅行者は、ストレスや困ったことを経験せずに日本国内を旅行する場合が多数派である一方、公共交通機関利用時における表示や案内に対しては、一定数の旅行者が不便さや困難さを感じていることが推察される。</p>
<p>※5「訪日外国人旅行者の受入環境整備に関するアンケート」結果: &lt; <a href="http://www.mlit.go.jp/common/001281549.pdf">http://www.mlit.go.jp/common/001281549.pdf</a> &gt;, 2019/07/11 閲覧</p>
<h3>わかりづらさの所在を考える</h3>
<p>外国人旅行者にとって「英語が併記されていても分からない」とは、どのような状況だろうか。</p>
<p>卑近な例を挙げて考えてみると、我々が東京駅から新幹線で京都駅に向かうとき、目指すホームの表示は「名古屋・新大阪方面」である。日本人が咄嗟にこのような判断を行うとき、逐一意識されることはないものの、その背後には、“東海道新幹線とはおおよそどのようなルートで敷設されているのか”、“京都駅は名古屋駅と新大阪駅の間にある”、という前提知識が隠れている。</p>
<p>そのような前提知識を持たない外国人旅行者は、日本語の表示が多言語化され、日本人と同じ情報量の表示を見ても（この場合はfor Nagoya, Shin-Osaka が併記されていても）同じ理解に到達することは難しい。外国人旅行者が感じるわかりづらさは、一定数がこのような前提知識の差異に起因するのではないだろうか。</p>
<div id="attachment_27417" style="width: 510px" class="wp-caption aligncenter"><img decoding="async" aria-describedby="caption-attachment-27417" class="size-full wp-image-27417" src="/wp-content/uploads/2019/08/402_image3.jpg" alt="" width="500" height="" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2019/08/402_image3.jpg 800w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2019/08/402_image3-768x512.jpg 768w" sizes="(max-width: 800px) 100vw, 800px" /><p id="caption-attachment-27417" class="wp-caption-text">JRPで乗車可能な「こだま」の方向幕<br />
　日本語はすべて英訳されているが、京都を目指すインバウンドは、東京駅でこの列車に躊躇なく乗車できるだろうか？</p></div>
<p>&nbsp;</p>
<p style="text-align: center">（出典：https://unsplash.com/photos/4CVR9EbMr_8, public domain）</p>
<p>ここで先に示した自由記述回答を再度見てみると、③、④および⑤のコメントからは、外国人旅行者は駅名や路線名といった最低限の情報に留まらず、利用上の慣習や作法にまで関心を示している。この点からも、外国人旅行者は日本国内を旅する途上で、日本人が意識することのない前提知識を求めていることが伺える。</p>
<h3>新大阪駅の事例</h3>
<p>日本人が必要とする情報のレイヤーと、外国人旅行者が必要とする情報のレイヤーは異なっており、その差異が外国人旅行者の「わかりづらさ」を生んでいるようだ。これを解消するためには、日本語表示の多言語とは別の、今ここで動いているシステムの全体像を提示するようなアプローチが求められる。</p>
<p>一方で現実問題として、日本語での案内をベースとして設置されている標識や案内板の空きスペースには限りがあり、前提となるすべての情報を多言語化して併記すること――先に上げた東京駅の例で考えれば「名古屋・新大阪方面」の下に、for Nagoya, Kyoto, Shin-Osaka, Himeji, Okayama, Hiroshima… を延々と並べること――は困難である。</p>
<p>ここで一例として、JR新大阪駅の案内表示を紹介したい。この案内表示は在来線コンコース内の券売機横に設置されており、新幹線と在来線を乗り継ぐ乗客の目に留まるよう掲出されている。</p>
<p><img decoding="async" class="aligncenter size-full wp-image-27437" src="/wp-content/uploads/2019/08/402_image4tri.jpg" alt="" width="500" height="" /> <img decoding="async" class="aligncenter size-full wp-image-27434" src="/wp-content/uploads/2019/08/402_image5tri.jpg" alt="" width="500" height="" /></p>
<p>これらの表示は、新幹線から在来線に乗り換える乗客や、近隣の空港から到着した乗客を想定して作成されている。注目すべきポイントは、描かれている路線図が「今、ここで（新大阪駅で）必要な範囲にのみ」限定されている点である。これは必要な情報の取捨選択によって慎重に作成されており、よく駅の券売機上に掲出されているような、管内の路線すべてを網の目のように網羅した路線図とは、その明瞭さ、分かりやすさにおいて一線を画すると言えるだろう。</p>
<p>さらに、上記の表示がある在来線コンコースから階下のプラットホームに移動すると、ホーム中央の柱には下のような表示が現れる。</p>
<p><img decoding="async" class="aligncenter size-full wp-image-27414" src="/wp-content/uploads/2019/08/402_image6.jpg" alt="" width="500" height="" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2019/08/402_image6.jpg 800w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2019/08/402_image6-768x576.jpg 768w" sizes="(max-width: 800px) 100vw, 800px" /></p>
<p>ここでは先ほどの路線図からさらに情報が厳選され、「今から乗る路線」に関係する項目だけが記載されている、利用者は到着した列車に安心して乗り込むことができるだろう。関係者にお話を伺ったところ、作成にあたっては現地で乗客の対応にあたる駅職員に、外国人旅行者から頻繁に尋ねられる事項について聞き取りを行い、その内容を踏まえて内容を検討したとのことであった。</p>
<p>これらの表示は日本語ベースの案内に併記するのではなく、表示そのものをはじめから外国人向けに作成することによって、スペースの問題をはじめとした諸般の課題をクリアしている。</p>
<h3>「わかりづらさ」へのアプローチ</h3>
<p>本稿では公共交通機関の標示案内を切り口として、訪日外国人旅行者が感じる「わかりづらさ」について検討してきた。</p>
<p>わかりづらさの要因が前提となる知識や常識の差異であるとすれば、解決策の検討にあたっては日本人としての前提を外して考えることが必要になる。しかしながら、前提となる知識や常識は無意識に活用されており、その機能や役割を自覚することは難しい。日本人の担当者にとってみれば、「外国人旅行者にとって、何が分からないのか分からない。英語、中国語、韓国語も併記しているのに……」といった事態にもなりかねない点に、この問題の難しさがある。また、表示の設計にあたっては言語だけでなく、ピクトグラムの活用なども検討する必要があるだろう。</p>
<p>言うは易く、行うは難しの作業であるが、本調査で取り上げたFITに代表されるように、昨今の外国人旅行者が日本各地を旺盛に旅行し、さまざまな楽しみ方を発見していること、さらには各地域がそれらを受容し、新たな日本像を提供する伸びしろを有していることも事実である。5年後、10年後の日本が、訪日外国人旅行者にとって「どこにでも行ける国」になっていることを期待したい。</p><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-fit-transportation-nasu/">インバウンドが感じる「わかりづらさ」とは何か？　[コラムvol.402]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>観光地における危機管理の枠組み	防災計画のその先へ　[コラムvol.379]</title>
		<link>https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-crisis-management-nasu/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=column-crisis-management-nasu</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[]]></dc:creator>
		<pubDate>Tue, 25 Sep 2018 07:27:52 +0000</pubDate>
				<category><![CDATA[NEWS・新着情報]]></category>
		<category><![CDATA[観光地経営]]></category>
		<category><![CDATA[観光政策]]></category>
		<category><![CDATA[組織・人材]]></category>
		<category><![CDATA[観光復興]]></category>
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					<description><![CDATA[<p>　起稿にあたり、北海道胆振東部地震で亡くなられた方々に謹んでお悔やみを申し上げるとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。 &#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;- 被災者とな･･･</p>
<p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-crisis-management-nasu/">観光地における危機管理の枠組み	防災計画のその先へ　[コラムvol.379]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>　起稿にあたり、北海道胆振東部地震で亡くなられた方々に謹んでお悔やみを申し上げるとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。</p>
<p>&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;&#8212;-</p>
<h3>被災者となった観光客</h3>
<p>　2018年09月06日未明、北海道胆振東部地震が発生した。</p>
<p>　災害により41名が死亡したほか、5市町において住宅139棟が全壊する等 <sup>1)</sup>、深刻な被害を被った。一部地域では18日時点で停電が続く <sup>2)</sup>など、発災から約2週間が経過した現在でも、被災地の生活は再建の途上にある。</p>
<p>　被害の甚大さが時々刻々と明らかになる一方、今回の災害では発災直後から、道内に滞留した観光客の存在が耳目を集めた。発災当日から新千歳空港や女満別空港が閉鎖され、また北海道新幹線を始めとする鉄道網でも運休が相次いだために、帰宅手段を失った観光客が一定数、道内に留まる事態となった。</p>
<p>　6日には新千歳空港のターミナルビルが閉鎖されたことから、千歳市は市内に開設した避難所 3)のうち、2箇所を外国人・観光客向け避難所として運用し、空港から退出した旅客を受け入れた <sup>4)</sup>。報道によれば、千歳市における避難者のピークは6日夜時点の1,768人であり、その半数が観光客だった <sup>5)</sup>。</p>
<p>　観光客は生活の拠点となる住居がなく、また土地勘や地縁も薄いことから、宿泊先の営業停止や交通の寸断をもたらす災害が発生した場合、自助努力によってこれを克服する手段は限られる。換言すれば、観光客は地域住民との比較において、防災上の「要配慮者」群である。このことから、発災後に多数の観光客が帰宅手段を失い、観光地周辺に留まるといった事態は、北海道に限らず全国の観光地で発生し得る。</p>
<p>　このような防災上のリスクに対して、自治体はどのように備えることができるだろうか。</p>
<h3>観光地における危機管理のスキーム</h3>
<p>　地方自治体における危機 <sup>6)</sup>対応は、原則として「地域防災計画」に基づいて遂行される。先行研究によれば、国内の総合的な政策枠組みにおいて、危機対応の局面は発生以前の「事前」、発生直後から応急期の「発災期」、一定時間が経過した「事後」の三段階に整理される <sup>7)</sup>。</p>
<p>　以上は災害対策基本法を根拠法とする全国共通の枠組みであるが、一部の自治体は観光客や観光業に着目した計画やマニュアルを追加的に整備し、観光地としての危機管理体制を構築している。これらの事例では、災害発生後の対応は大きく　①発災から72時間後までの期間と　②それ以降の期間　の二段階が想定されており、それぞれの期間で対応の指針が異なる。</p>
<p>　本稿ではまず①の期間に着目しつつ、国内の先行事例を紹介したい。</p>
<h3>富士河口湖町の事例</h3>
<p>　富士河口湖町は2013年度に『富士河口湖町観光安心安全マニュアル』を作成し、町内の観光事業者に配布した。マニュアルでは自然災害や事件などの発生時に、必要となる対応と行動目標の設定方法が解説されている。</p>
<p>　さらに2016年度以降、ピークシーズンに発生する可能性のある帰宅困難者数を推計し、観光客の一時滞留場所や収容施設、主体間の役割分担などを検討した。その成果は『富士河口湖町観光防災の手引き【発災時対応編】』として取りまとめられた。</p>
<p>富士河口湖町: 富士河口湖町観光防災の手引き【発災時対応編】<br />
<a href="https://www.town.fujikawaguchiko.lg.jp/ka/info.php?if_id=4278&amp;ka_id=9">https://www.town.fujikawaguchiko.lg.jp/ka/info.php?if_id=4278&amp;ka_id=9</a></p>
<p>　手引きでは、発災から72時間までを一定の時間ごとに区切り、各区間における観光客の誘導指針を定めるとともに、行政・団体・事業者など関係する主体それぞれに対して担うべき役割と連絡方法を規定している。このほか、宿泊施設が発災後すぐに取組むべき項目のリスト（継続宿泊機能の確保を企図）や、外国人観光客対応の考え方、事前の備えについても言及がなされており、計画から実践まで、平時から有事まで、さまざまな現場での活用が想定されている。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" src="/wp-content/uploads/2018/09/zu1-nasu-379.png" alt="" width="1020" height="574" class="aligncenter size-full wp-image-23807" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2018/09/zu1-nasu-379.png 1020w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2018/09/zu1-nasu-379-768x432.png 768w" sizes="auto, (max-width: 1020px) 100vw, 1020px" /></p>
<p style="text-align: center"><strong>図1　富士河口湖町における観光防災対応の基本的な流れ<br />
（『富士河口湖町観光防災の手引き【発災時対応編】』から抜粋 <sup>8)</sup>）</strong></p>
<h3>京都市の事例</h3>
<p>　京都市は大規模災害時に発生する帰宅困難者に着目し、その総数を37万人と推定した。その上で、京都市においては帰宅困難者に観光客が含まれることから、関係団体や民間企業との連携による帰宅困難者対策の構築が課題であるとして、2012年に「ターミナル対策（京都駅周辺）協議会」「観光地対策協議会」「事業所対策協議会」からなる検討体制を構築した。</p>
<p>　3種の協議会のうち、「観光地対策協議会」における検討の成果は、2013年に『京都市観光地避難誘導取組指針』、ならびに清水・祇園地域と嵯峨・嵐山地域における『帰宅困難観光客避難誘導計画』として取りまとめられた。</p>
<p>京都市: 大規模災害時における観光客等帰宅困難者対策<br />
<a href="http://www.city.kyoto.lg.jp/gyozai/page/0000076886.html">http://www.city.kyoto.lg.jp/gyozai/page/0000076886.html</a></p>
<p>　京都市の避難誘導計画では、観光客に対して正確な情報を伝えるとともに、一斉帰宅の抑制によりターミナルへの集中を回避し、二次災害を未然に防ぐという指針が示された。発災後、観光客はまず一時滞留場所となる「観光客緊急避難広場」へ誘導され、水道とトイレの使用、公共交通機関の運行情報や災害対応情報などの提供等を受ける。その後、休憩や宿泊が可能な「観光客一時滞在施設」へと誘導され、公共交通機関が復旧する3日後までを目途に支援を受けて滞在し、その後順次帰宅することとなる。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" src="/wp-content/uploads/2018/09/zu2-nasu-379.png" alt="" width="861" height="746" class="aligncenter size-full wp-image-23808" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2018/09/zu2-nasu-379.png 861w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2018/09/zu2-nasu-379-768x665.png 768w" sizes="auto, (max-width: 861px) 100vw, 861px" /></p>
<p style="text-align: center"><strong>図2　京都市における帰宅困難観光客の避難誘導イメージ<br />
（『帰宅困難観光客避難誘導計画 概要版』から抜粋 <sup>9)</sup>）</strong></p>
<p>　なお、「観光客緊急避難広場」および「観光客一時滞在施設」には公園や博物館といった公共施設だけでなく、八坂神社、清水寺、天竜寺、伏見稲荷大社等の民営施設が含まれる。京都市は施設を運営する民間事業者との協定締結によって避難広場や滞在施設を拡大しており、2017年10月時点で京都市内の「緊急避難広場」は50箇所、「一時滞在施設」は143箇所となっている <sup>10)</sup>。京都市内の観光地区における民間施設を包括した避難誘導の有効性については、学術的な観点からも一定の検証がなされている <sup>11)  12)</sup>。</p>
<h3>北海道胆振東部地震における帰宅困難観光客対応</h3>
<p>　富士河口湖町、京都市いずれの事例においても、発災から72時間を目安として観光客が自治体内に滞留・滞在できるよう誘導し、交通機関の復旧後に帰宅支援へと移行するという指針が示されていた。</p>
<p>　以上の二事例をふまえて、北海道胆振東部地震における対応を、現時点で参照可能な記録をもとに整理したい。</p>
<p>　まず交通機関への影響をみると、新千歳空港は発災当日の6日、ターミナルビルが終日閉鎖され、国内線については7日以降、国際線は8日以降に、それぞれ順次運航を再開した。女満別空港は6日午後から閉鎖され、7日以降に順次運行を再開した。北海道新幹線は、6日始発から新青森－新函館北斗間の運転を見合わせ、7日に運転を再開した。</p>
<p>　札幌市は発災後8日までに、宿泊先を確保できない観光客の避難所として札幌駅前通地下歩行空間を解放した <sup>13)</sup>。また外国人を含む観光客向け避難所を6箇所開設し、これらは12日までに閉鎖されている <sup>14)</sup>。千歳市では、6日に外国人・観光客向けの避難所が2箇所開設され、9日11:00までに閉鎖された <sup>15)</sup>。</p>
<p>　情報は限られているものの、道外に接続する交通機関は発災から2日後までに順次復旧し、これに伴って3日後の9日までに、周辺自治体における観光客の帰宅支援がほぼ完了したと考えられる。現実に発生する災害においても、72時間を目安とする観光客対応の枠組みが、一定程度有効に機能することが示唆された。</p>
<h3>観光産業への影響と「危機からの回復」</h3>
<p>　観光客に対する帰宅支援が落着し、応急的な対応が中心となる「発災期」から「事後」へと移行しつつある中で、観光産業における経済的な損失は今後も拡大することが見込まれる。北海道庁は、発災から15日までに発生した道内宿泊施設の予約キャンセルはのべ94万2千人、観光全体の推計損失額は約292億円であり、これは今後さらに増大する可能性があると発表した <sup>16)</sup>。これは農林水産の被害額397億円 <sup>17)</sup>の7割超に相当し、土木インフラの被害額1千億円 <sup>18)</sup>の3割程度に相当する。民間事業者の損失も拡大しており、JR北海道は地震による同社の減収額が11億円を超えると発表した <sup>19)</sup>。</p>
<p>　一般に観光産業は季節性が高く、また供給を在庫として留め置くことができないため、災害による需要の低下が経営状況の悪化や、廃業に直結する可能性が想定される。また、著名な観光資源や大規模な宿泊施設といった、ある地域の観光需要を量的に担保する存在が毀損された場合、その影響は周辺の事業者にも派生し、地域内の産業が連鎖的に疲弊することが想定される。災害後に観光産業を維持しつつ地域の活力を取り戻すには、地域防災計画とは異なるアプローチが求められる。</p>
<p>　そのような試みが計画に落とし込まれた例として、沖縄県が2015年に策定した『沖縄県観光危機管理基本計画』、および2016年に策定した『沖縄県観光危機管理実行計画』が挙げられる。</p>
<p>沖縄県: 沖縄県観光危機管理基本計画の策定について<br />
<a href="http://www.pref.okinawa.jp/site/bunka-sports/kankoseisaku/kikaku/report/policy/h26kannkoukiki.html">http://www.pref.okinawa.jp/site/bunka-sports/kankoseisaku/kikaku/report/policy/h26kannkoukiki.html</a></p>
<p>沖縄県: 「沖縄県観光危機管理実行計画」の策定について<br />
<a href="http://www.pref.okinawa.jp/site/bunka-sports/kankoseisaku/kikaku/report/policy/h27kankoukikikanrijikkoukeikaku.html">http://www.pref.okinawa.jp/site/bunka-sports/kankoseisaku/kikaku/report/policy/h27kankoukikikanrijikkoukeikaku.html</a></p>
<p>　計画の中で、沖縄県は「観光危機管理」を「観光客や観光産業に甚大な被害をもたらす観光危機を予め想定し、被害を最小化するための減災対策、観光危機発生時における観光客への情報発信、避難誘導・安全確保、帰宅困難者対策等の迅速な対応、観光危機後の風評被害対策、観光産業の早期復興・事業継続支援等を組織的かつ計画的に行うこと <sup>20)</sup>」として定義した。</p>
<p><img loading="lazy" decoding="async" src="/wp-content/uploads/2018/09/zu3-nasu-379.png" alt="" width="790" height="594" class="aligncenter size-full wp-image-23809" srcset="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2018/09/zu3-nasu-379.png 790w, https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2018/09/zu3-nasu-379-768x577.png 768w" sizes="auto, (max-width: 790px) 100vw, 790px" /></p>
<p style="text-align: center"><strong>図3　沖縄県における観光危機管理対策の基本方針<br />
（『沖縄県観光危機管理基本計画』から抜粋 <sup>21)</sup>）</strong></p>
<p>　施設の破損や交通の寸断といった直接的な被害を乗り越えたとしても、観光需要は即時に回復しない。需要を発災前の状態にまで回復させるためには、応急的な復旧の完了後にも継続的な対応が求められる。沖縄県の計画においては「危機からの回復（Recovery）」がその段階に相当する。また、危機管理の定義において「風評被害」が挙げられていることからも分かるように、災害で直接の被害を受けなかった地域においても、「危機からの回復（Recovery）」段階の取組みが必要となる。</p>
<p>　では今般の災害において、「危機からの回復」の端緒は開かれているだろうか。</p>
<p>　高橋はるみ知事は19日に『観光復興に向けた北海道知事からのメッセージ』として、道内の住民に対しては「一人一人が過度に萎縮せず、普段どおりの心豊かな生活を送ること」を、道外に対しては「震源地から離れた本道の大部分の地域では、交通や宿泊など観光客の受入には全く支障がない状況」となっていることを、それぞれ発信した <sup>22)</sup>。また政府は21日に、観光への影響を払拭すること目的として、北海道全域を対象とした宿泊割引制度「ふっこう割」の導入を決定した <sup>23)</sup>。民間においても、交通事業者が割引制度などの導入を発表した <sup>24)</sup>。</p>
<p>　一方で北海道内の日本版DMO（候補）法人である14団体 <sup>25)</sup>のウェブページを参照すると <sup>26)</sup>、7日時点でトップページに災害に関する情報を掲載していた団体はなく、「新着情報」等の下部ページで情報を発信していた団体が3団体、FacebookなどSNS上で情報を発信していた団体が2団体みられるのみであった。情報の内容は「イベントの中止情報」「店舗の臨時休業」等であり、当該地域の被災状況や支援情報を網羅的に発信する事例はみられなかった。一週間後の14日時点では、トップページに災害に関する情報を掲載していた団体が2団体、下部ページで「観光施設への災害の影響はないので是非来訪してほしい」との情報を掲載していた団体が1団体みられたものの、その他の団体では下部ページでイベントの中止情報や店舗の営業情報を掲載するか、もしくは地震に関する情報の掲載がなかった。</p>
<h3>防災計画の先へ</h3>
<p>　本コラムでは今般の地震による被害状況と、各地で整備が進められてきた観光防災計画の一部を、比較しつつ参照してきた。</p>
<p>　地域内で住民とともに被災した観光客のコントロールと支援の手法については、観光地を有する自治体を中心に制度や知見が蓄積されてきた。今回の災害においても、現時点では二次的な死者や遭難者を出すことなく支援を完了したものと考えられる。</p>
<p>　一方で、域内の安全が確保された後の対応についてみると、「ふっこう割」に代表される政府の取り組みには既に一定の知見蓄積があり、今回の対応においても直接の被災地域だけでなく北海道全域が対象となるなど、従前の成果を踏まえた対応がなされた。自治体のトップである知事からの明朗な情報発信にも、一定の効果が期待される。しかしながら、観光セクション全体を巻き込んだ一体的な対応は、十全とは言いがたい状況にあった。</p>
<p>　観光地としての経営を維持するために必要とされる、広域・長期・継続的な取組みについて、明確な指針や制度は未だ発展途上の段階にある。また、観光地を「元通りの（被災前の）姿に戻す」だけでなく「新たな姿に発展させていく」といった方向性も考えられるなど、議論や検討を要する点も数多い。</p>
<p>　観光地が災害に見舞われたとき、今そこにいる観光客の生命と安全を守るための「防災」は、自治体においても事業者においても最優先の事項である。しかしながら観光セクションにおける危機対応は、彼らを無事に帰宅させた後にも継続するものである。今まさに北海道で始まりつつある取組みが、将来の観光危機管理において得難い先行事例となることを祈念したい。</p>
<h4>出典</h4>
<p> 1)総務省消防庁: 平成30年北海道胆振東部地震による被害及び消防機関等の対応状況（第27報） &lt; <a href="http://www.fdma.go.jp/bn/338977852787916d7067883595262637b6fa6402.pdf">http://www.fdma.go.jp/bn/338977852787916d7067883595262637b6fa6402.pdf</a> &gt;, 2018/09/19更新, 2018/09/19閲覧<br />
 2)北海道: 観光復興に向けた北海道知事からのメッセージ &lt; <a href="http://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/kkd/kankoumessage.htm">http://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/kkd/kankoumessage.htm</a> &gt;, 2018/09/19更新, 2018/09/19閲覧<br />
 3)北海道: 平成30年北海道胆振東部地震による被害状況等（第8報） &lt; <a href="http://www.pref.hokkaido.lg.jp/sm/ktk/300906jisin/top.htm">http://www.pref.hokkaido.lg.jp/sm/ktk/300906jisin/top.htm</a> &gt;, 2018/09/07更新, 2018/09/19閲覧<br />
 4)北海道テレビ: 空港閉鎖の千歳市に観光客向け避難所「助かります」 外国人も避難 北海道胆振東部地震 &lt; <a href="http://news.hbc.co.jp/771b1b401900c49fafcb7661b56f21ff.html">http://news.hbc.co.jp/771b1b401900c49fafcb7661b56f21ff.html</a> &gt;, 2018/09/07更新, 2018/09/07閲覧<br />
 5)苫小牧民報: 災害に強いまち、本領発揮 千歳市、訓練生かし迅速に対応 &lt; <a href="https://www.tomamin.co.jp/news/area1/14651/">https://www.tomamin.co.jp/news/area1/14651/</a> &gt;, 2018/09/13更新, 2018/09/19閲覧<br />
 6)本稿では仮に「当該地域の資源や資産に物理的な損害を与える、もしくは当該地域への訪問に対する不安を増大させることにより、地域の運営を困難ならしめる、非日常的かつ突発的な事象全般」と定義する。具体的には、自然災害、少雪や渇水などの天候不順、感染症、食中毒、戦争、テロ、サイバー攻撃といった事象が想定される。<br />
 7)高坂晶子(2017): 危機対応策としての観光版BCMの在り方: JRIレビュー 2017 vol.12, No51, pp63-88<br />
 8)富士河口湖町(2016): 富士河口湖町観光防災の手引き【発災時対応編】 &lt; <a href="https://www.town.fujikawaguchiko.lg.jp/ka/info.php?if_id=4278&amp;ka_id=9">https://www.town.fujikawaguchiko.lg.jp/ka/info.php?if_id=4278&amp;ka_id=9</a> &gt;, 更新日不明, 2018/09/19閲覧<br />
 9)京都市: 帰宅困難観光客避難誘導計画 概要版 &lt; <a href="https://www2.city.kyoto.lg.jp/shikai/img/iinkai/keisou/gaiyouban.pdf">https://www2.city.kyoto.lg.jp/shikai/img/iinkai/keisou/gaiyouban.pdf</a> &gt;, 2014/03/19更新, 2018/09/19閲覧<br />
 10)京都市: 災害発生時における観光客等に対する施設利用等の協力に関する協定の締結について ～京都テルサを一時滞在施設に指定～ &lt; <a href="http://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/page/0000227557.html">http://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/page/0000227557.html</a> &gt;, 2017/10/25更新, 2018/09/19閲覧<br />
 11)徳永優輝, 落合 知帆, 岡﨑健(2015): 京都市清水・祇園地域における震災時の観光客対策としての寺社活用可能性: 日本都市計画学会都市計画報告集13, pp160-163<br />
 12)杉山貴教, 大窪健之, 金度源, 林倫子(2015): 清水寺周辺における帰宅困難観光客避難誘導計画の改善に関する研究 &#8211; 避難シミュレーションを用いた検証を通して: 歴史都市防災論文集9, pp127-134<br />
 13)東京新聞: 地下歩道、緊急の「宿」に 札幌市が観光客らに開放、食料も: 2018/09/08付夕刊<br />
 14)札幌市: 平成30年9月12日臨時市長記者会見記録 &lt; <a href="https://www.city.sapporo.jp/city/mayor/interview/text/2018/20180912.html"> https://www.city.sapporo.jp/city/mayor/interview/text/2018/20180912.html</a>&gt;, 2018/09/13更新, 2018/09/19閲覧<br />
 15)北海道: 平成30年北海道胆振東部地震による被害状況等（第16報） &lt; <a href="http://www.pref.hokkaido.lg.jp/sm/ktk/300906jisin/top.htm"> http://www.pref.hokkaido.lg.jp/sm/ktk/300906jisin/top.htm</a>&gt;, 2018/09/09更新, 2018/09/19閲覧<br />
 16)共同通信: 北海道地震、観光損失292億円 &lt; <a href="https://this.kiji.is/413654437510726753">https://this.kiji.is/413654437510726753</a> &gt; 2018/09/15更新, 2018/09/19閲覧<br />
 17)共同通信: 農林水産の被害397億円 &lt; <a href="https://this.kiji.is/413997317479548001">https://this.kiji.is/413997317479548001</a> &gt;, 2018/09/16更新, 2018/09/19閲覧<br />
 18)共同通信: 北海道地震、土木の被害1千億円 &lt; <a href="https://this.kiji.is/415352497106568289">https://this.kiji.is/415352497106568289</a> &gt;, 2018/09/20更新, 2018/09/21閲覧<br />
 19)共同通信: JR北海道の減収は11億円超 &lt; <a href="https://this.kiji.is/414638203783431265">https://this.kiji.is/414638203783431265 </a>&gt;, 2018/09/18更新, 2018/09/19閲覧<br />
 20)沖縄県（編）(2015): 沖縄県観光危機管理基本計画: 沖縄県, p9<br />
 21)沖縄県（編）(2015): 沖縄県観光危機管理基本計画: 沖縄県, p11<br />
 22)北海道: 観光復興に向けた北海道知事からのメッセージ &lt; <a href="http://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/kkd/kankoumessage.htm">http://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/kkd/kankoumessage.htm</a> &gt;, 2018/09/19更新, 2018/09/19閲覧<br />
 23)産経ニュース: 政府、宿泊割引「ふっこう割」を全道対象に &lt; <a href="https://www.sankei.com/economy/news/180921/ecn1809210029-n1.html">https://www.sankei.com/economy/news/180921/ecn1809210029-n1.html</a> &gt;, 2018/09/21更新, 2018/09/22閲覧<br />
 24)日本経済新聞: ANAやJAL、北海道復興支援で運賃割引: 2018/09/21付電子版<br />
 25)観光庁: 日本版DMO（候補）法人の登録一覧 &lt; <a href="https://www.dmo-net.jp/dmolist/">https://www.dmo-net.jp/dmolist/</a> &gt;, 2018/07/31更新, 2018/09/19閲覧<br />
 26)（公財）日本交通公社が、各日の10:00から12:00にかけて各ウェブサイトにアクセスして調査。</p><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-crisis-management-nasu/">観光地における危機管理の枠組み	防災計画のその先へ　[コラムvol.379]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
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