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	<title>観光財源 | (公財)日本交通公社</title>
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	<description>公益財団法人日本交通公社は、観光を専門とする実践的学術研究機関です。旅行・観光に関する学術的、実践的な調査研究を通して、わが国の観光文化の振興に寄与し、豊かな社会の実現を目指します。</description>
	<lastBuildDate>Fri, 01 Aug 2025 02:10:21 +0000</lastBuildDate>
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		<title>観光振興の先に待ち受ける住宅不足 －観光部門としての向き合い方－ [コラムvol.529]</title>
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		<dc:creator><![CDATA[webkamitomo]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 04 Aug 2025 01:15:51 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[<p>近年、国内のリゾート地で「住宅が手に入らない」という声が聞こえてきている。その背景には、観光需要の拡大と不動産市場の加熱がある。ニセコや白馬といった人気のリゾート地では、富裕層や外国人投資家による別荘購入、短期民泊向けの･･･</p>
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										<content:encoded><![CDATA[<p>近年、国内のリゾート地で「住宅が手に入らない」という声が聞こえてきている。その背景には、観光需要の拡大と不動産市場の加熱がある。ニセコや白馬といった人気のリゾート地では、富裕層や外国人投資家による別荘購入、短期民泊向けの物件取得が相次ぎ、地元の住民や観光産業の労働者が住宅を確保できない状況が広がりつつある。</p>
<p>この住宅危機は、観光振興の成果ともいえるが、放置すれば地域経済や観光の持続可能性そのものを脅かしかねない。実際、ホテルや飲食店が人手不足で稼働率を下げざるを得ない例や、地域の子育て世帯が転出せざるを得ない例も出てきている。</p>
<p style="margin-top: 2em">
<h3>海外リゾートでは「観光部門が住宅政策に関わる」</h3>
<p>この問題に先進的に取り組んでいるのが、北米の山岳リゾートである。その中でも、カナダのウィスラーは観光による住宅市場への圧力に最も早くから正面から取り組んできた地域の一つだ。1997年、Resort Municipality of Whistler（RMOW：ウィスラー自治体）は、Whistler Housing Authority（WHA：ウィスラー住宅局）を設立した。WHAは観光産業に従事する労働者や地元住民の「手頃な価格の住宅（アフォーダブル住宅）」へのニーズに対応するための公的機関である。ウィスラーで働く人やその家族が安定して暮らせる住まいを確保することを目的として、住宅の建設や取得を行い、販売または賃貸をしている。これらの住宅は、原則としてウィスラーで働く人およびその家族に限定され、別荘や投資目的での購入は禁止されている。また、転売時には上限価格が設定されるなど、投機的な価格上昇を防ぐための措置も導入されている。このように、地域の労働者や住民が安定して暮らせる住宅を確保するための一連の取り組みは「アフォーダブル住宅」と呼ばれる。</p>
<p>また、WHAの取り組みは「労働者の75％を地元で住まわせる」という目標に基づいている <sup>（※1）</sup>。WHA自身も「ウィスラーの労働者の少なくとも75％を地域内に住まわせる」という目標を掲げ、その目標を達成し続けており、実際には80％前後を維持していると報告されている。</p>
<p>この仕組みを支えているのが、MRDT（Municipal and Regional District Tax：宿泊税）や開発業者からの拠出金である。WHAはこれらを財源として住宅整備や維持管理を行う他、新規のホテル開発等のプロジェクトには住宅供給義務や資金拠出を課す制度も運用している。なお、2023年にはMRDT収入から約297万カナダドルがWHAの住宅供給・管理に投入された<sup>（※1）</sup>。なお、このうち200万ドルは、Airbnb等のオンライン宿泊仲介業者（OAP：Online Accommodation Providers）経由の宿泊から得られた税収である<sup>（※2）</sup>。OAP経由の宿泊は、住宅を観光用途として貸し出すケースが多く、住宅市場を圧迫する要因となり得るため、この税収は全額アフォーダブル住宅の整備に充てる方針となっている。</p>
<p>これらの取り組みの結果、2024年時点でウィスラーの住宅ストック全体の約50％がWHAによって管理されており<sup>（※3）</sup>、観光による住宅圧力を観光収益や行政の仕組みで緩和するモデルが確立されている。</p>
<figure>
<p style="text-align: center"><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2025/07/529_Resort-Municipality-of-Whistler.png" alt="Resort Municipality of Whistler strategic plan"></p><figcaption>
<div style="text-align: center">Resort Municipality of Whistler 2023-2026 Strategic Plans <sup>（※4）</sup><br />RMOWの戦略プランには「住宅施策」が重点事項として位置づけられている</div>
</figcaption></figure>
<p style="margin-top: 2em">
<h4>【注】</h4>
<ul style="list-style-type: none">
<li>（※1）RMOW Housing Facts 2023<br /><cite>https://www.whistler.ca/property-housing/housing/housing-facts/</cite></li>
<li>（※2）Municipal and Regional District Tax<br /><cite>https://www.whistler.ca/municipal-services/grants-and-funding/municipal-and-regional-district-tax/</cite></li>
<li>（※3）WHA financials; mill rate changes; record number of applications to Community Enrichment Program<br /><cite>https://www.whistler.ca/news/wha-financials-mill-rate-changes-record-number-of-applications-to-community-enrichment-program/?utm_source=chatgpt.com</cite></li>
<li>（※4）RMOW Housing<br /><cite>https://www.whistler.ca/property-%20housing/housing/</cite></li>
</ul>
<p style="margin-top: 2em">
<p>アメリカ・コロラド州アスペンもまた、早くから住宅危機への対応に乗り出した地域だ。1970年代から住宅プログラムの検討が始まり、1982年11月にAspen-Pitkin County Housing Authority（APCHA）という公的住宅供給機関が設立され、観光労働者や地域従業員向けの住宅確保を進めてきた<sup>（※5）</sup>。APCHAの役割は、地域で働く人々が手頃な価格で住めるように、権利制限付き（deed-restricted）住宅を管理し、その販売・賃貸を促進することにある。deed-restricted住宅とは「権利制限付き」の住宅を意味し、転売価格や入居者の所得条件に制限をかけることで、長期的に手頃な価格を維持することを狙っている。これにより、住宅が高騰する市場においても、地域社会の多様性と機能性を保つことが可能となっている。</p>
<p>また、APCHAは、新規開発を行う事業者に対し、従業員向け住宅の供給を義務付けている。その運営財源としては、観光関連の税収や開発事業者の負担金が充てられており、観光の利益を住宅供給に回す循環型の仕組みを構築している点でウィスラーと共通する。</p>
<p>2023年現在、APCHAが管理するdeed-restricted住宅は3,000戸を超え、北米の山岳リゾートでは最大規模を誇る<sup>（※6）</sup>。この取り組みにより、高級リゾートとしての人気が高い一方で、観光労働者が安定的に地域に住み続けられる基盤が維持されている。</p>
<h4>【注】</h4>
<ul style="list-style-type: none">
<li>（※5）Aspen-Pitkin County Housing Authority<br /><cite>https://www.apcha.org/</cite></li>
<li>（※6）Household Financial Security<br /><cite>https://www.aspen.gov/DocumentCenter/View/817/11-Household-Financial-Security</cite></li>
</ul>
<p style="margin-top: 2em">
<h3>日本の観光部門として考えるべきこと</h3>
<p>これらの事例を参照しながら、日本において考えるべきことは、観光が地域の住宅市場に与える影響を政策の中でどう位置づけるかだ。日本では住宅政策は建築・都市計画・福祉など複数部門にまたがっており、観光部門が直接関与するケースは少ない。宿泊税の使途に「住宅確保」を含める発想も乏しい。結果として、観光施策が住宅市場に与える影響が可視化されにくく、対応が後手に回りがちになっている。</p>
<p>では、日本の観光部門はこの住宅問題にどう関わるべきだろうか。筆者は以下の3点を提案したい。</p>
<p style="margin-top: 2em">
<ul style="list-style-type: none">
<li><b>①観光の視点から地域の住宅市場の実態を把握する</b><br />
        「宿泊客数のうち民泊（短期賃貸）が占める割合の把握」「住宅が観光用途に転用される動き（空き家の民泊化や長期賃貸から短期賃貸への転用）の把握」「観光関連労働者の住宅確保率や地域の住宅負担率」等、観光振興が住宅市場に与える影響を把握する。
    </li>
<li><b>②観光財源の一部を住宅対策に充てる</b><br />宿泊税や入湯税の使途として、労働者・住民向け住宅の整備や家賃補助を認める仕組みを検討する。海外では宿泊税を住宅確保に使うのは珍しくなくなってきている。</li>
<li><b>③都市部門・住宅部門と連携し、地域独自のルールづくりを検討する</b><br />北米のアフォータブル住宅の事例を参考に、条例等を用い、転売価格や入居者の所得条件の制限等を検討する。<br />（なお、直近では都心の一部でマンションの転売を一定期間制限する動きも見られている）
    </li>
</ul>
<p style="margin-top: 2em">
<p>これらの問題は、本来は都市計画の枠組み（用途地域）で対応することが基本となるが、特に地方部では都市計画地域や用途地域が指定されないことで、その対応が困難となっている実情がある。今後も観光需要が拡大していく中で、部門間連携を行いながら、従来の常識にとらわれない、柔軟で戦略的な対応が求められるだろう。</p>
<figure>
<p style="text-align: center"><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2025/07/529_Community-Monitoring-Dashboard.png" alt="Community Monitoring Dashboard"></p><figcaption>
        RMOWの「Community Monitoring Dashboard <sup>（※7）</sup>」において、住宅費負担の重さを整理。この他にもダッシュボードでは労働人口に対するベッド数等、観光の数値以外にも住宅に関する指標をモニタリングしている。</p>
<ul style="list-style-type: none">
<li>青の棒グラフ：住宅費が総所得の30%以上を占める回答者の割合</li>
<li>水色の棒グラフ：住宅費が総所得の40%以上を占める回答者の割合</li>
</ul>
</figcaption></figure>
<p style="margin-top: 2em">
<h4>【注】</h4>
<ul style="list-style-type: none">
<li>（※7）Resort Municipality of Whistler Community Monitoring Dashboard<br /><cite>https://performance.whistler.ca/</cite></li>
</ul><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-housing-solutions-ezaki/">観光振興の先に待ち受ける住宅不足 －観光部門としての向き合い方－ [コラムvol.529]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>観光政策を「戦略」フェーズへ　[コラムvol.520]</title>
		<link>https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-strategizing-yamada/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=column-strategizing-yamada</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[webkamitomo]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 06 Jan 2025 05:12:51 +0000</pubDate>
				<guid isPermaLink="false">https://www.jtb.or.jp/?post_type=column&#038;p=53611</guid>

					<description><![CDATA[<p>宿泊税議論　再び 私が年末年始の本コラムを担当するようになったのは2019年の年始コラムからである。 振り返れば、2019年という年は、新型コロナのパンデミック前の1年間であり、観光に関わる様々な事象が「過去最高」と言わ･･･</p>
<p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-strategizing-yamada/">観光政策を「戦略」フェーズへ　[コラムvol.520]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<h3>宿泊税議論　再び</h3>
<p>私が年末年始の本コラムを担当するようになったのは2019年の年始コラムからである。</p>
<p>振り返れば、2019年という年は、新型コロナのパンデミック前の1年間であり、観光に関わる様々な事象が「過去最高」と言われるような1年間であった。私は2019年12月の当コラムにおいて <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-destination-management-2019-yamada/">「令和時代の観光地域づくりに向けて」</a>と題し、観光が大きな成長をする中で発生している「成長痛」への対応が必要なことを述べた。</p>
<p>が、その3ヶ月後、世界は、新型コロナによるパンデミックによって強制停止されることになった。紆余曲折を経て、観光は世界的には2022年、我が国においても2023年には復活し、2024年1〜11月で、2019年の年間訪日客数を上回る水準となっている。もはや、パンデミックの記憶は遠いものとなっており、新たな観光政策が多く展開されるようになっている。</p>
<p>その政策展開の原動力となっているのは、2019年に導入した国際観光旅客税である。パンデミック中は、ほとんど税収が無かったが、国際観光の回復と共に税収も回復。パンデミック後の観光政策における基幹的な財源となっており、地方での観光政策の展開にも広く使われるようになっている。</p>
<p>しかしながら、観光が地方自治体において重要な政策課題となる中で、国からの財政支援のみに依存することの限界も出てきている。例えば、DMOは、今日の観光振興において重要な組織となっているが、DMOが実効的に機能するには、人材と事業費の安定的な確保が不可欠である。しかしながら、少子高齢化の進展によって、地方自治体の財政状況は逼迫しており、固定費として観光政策に投入できる資金的余裕は乏しい。限られた行政予算を観光政策に投入するには、他部門の予算を割愛するか、国などからの補助金に頼らざるを得ない。前者であれば、住民サービスを低下させることになるし、後者では持続的な予算投入は保証されない。</p>
<p>こうした状況の中で、2024年は、観光政策、特に地域のデスティネーション・マネジメントに関わる仕組みが大きく変わる「可能性」が生じた年となった。それは、地方自治体における観光財源、端的に言えば「宿泊税」の導入である。宿泊税導入に関する議論は、パンデミック前にも存在していたが、パンデミックで中断。観光が本格回復した2023年ごろから、各地での議論が再開するようになっていた。</p>
<p style="margin-top: 3em">
<h3>宿泊税は必要条件でしか無い</h3>
<p>私はパンデミック前後で宿泊税導入に向けた研究会を組織し、その導入プロセスや税制上の課題についての研究、実践に取り組んできた。北海道倶知安町は、その一つである。パンデミック前ギリギリでの導入となり、パンデミック中の税収は限定的であったが、基幹財源があることからパンデミック中にもDMOの体制強化が行われ、その後の観光需要回復期にブーストをかけることに成功している。人口16,000人の地方の「町」が、4億円以上の宿泊税収を得て、それが観光振興に再投資されていることは、一つの「成功例」と呼べるだろう。</p>
<p>ただ、宿泊税は導入すれば、どの地域でも倶知安町のような展開が出来るのかと言えば、そうではない。宿泊税という「原資」の確保は、持続的な観光振興、デスティネーション・マネジメントの実施に必要条件であるが、十分条件ではないからだ。</p>
<p>まず、認識しておきたいのは、新税から得られる税収は実は硬直的だということである。例えば、宿泊税に近い性格を持った財源に入湯税があるが、市町村別に、その中長期的な推移を見てみると、大きな変動はほとんど起きていない。もちろん、観光客数の増減による変化はあるが、その「増減」は極めて緩やかであり、税収額はほとんど変化していない。これは、観光振興に特化した超過課税を導入した地域も同様である。例えば、釧路市は阿寒湖温泉において、2015年に入湯税の超過課税を導入し、それを同地区の観光振興に投入してきたが、導入時の2015から2019年まで、ほぼ税収は変わっていない。税収同様に、行政支出（予算／経費）も、硬直的となりやすい。一度、予算として割り当てられると、前年踏襲で次年度以降も予算組がなされがちだからだ。例えば、行政商工部門の人件費など行政にとっての義務的経費に充当する判断をする自治体もあるだろう。これは、自治体での観光政策を拡充するものではあるが、一度つけた予算を、将来的に削減することは難しい。</p>
<p>つまり、宿泊税からの税収は、導入時の規模で概ね確定される。また、基本的な使途も、初期段階で固定化されやすい。よって、宿泊税が、継続的な観光地域づくりに繋がる原資となるか否かは、初年度の使途をどのように設定するのかということに掛かっている。</p>
<h3>新しい戦略構想が必要な世界へ</h3>
<p>では、どのような使途設定が良いのだろうか。</p>
<p>せっかく得た税収である。これまで手を回すことが難しかった事業に投下したいと思うことが多いだろう。二次交通の充実、イベントの実施、新しい観光コンテンツの開発…などなど。これらは、それぞれ「必要」な取り組みではあるが、国などの補助金でも実施できる取り組みである。</p>
<p>私は、宿泊税という自らの財源は、自地域の観光地域づくりに関わる「経営資源」を増やすことに投下すべきだと考えている。優秀な人材とチームがDMOにあり、適切な統計データが収集分析され、競争力ある事業者が地域にあれば、自ずと「強い」観光地を創っていくことが出来、それは宿泊税の増収に繋がっていくからだ。経営資源は、観光政策を実施したら勝手に育つわけではない。人材の確保と育成には、資金だけでなく中長期的な時間軸を持った人材マネジメントが必要となるし、統計データの収集にも分析にもノウハウが求められる。競争力をもった事業者の集積には後半な産業政策との連動が重要となる。</p>
<p>すなわち、「経営資源を育てていく」という発想を主軸においた戦略の立案と実践が出来るか否かが、これからの観光地域づくりを左右することになるだろう。これは、これまでの観光計画とは一線を画する取り組みとなる。</p>
<p>我々は、新たな地平に居る。</p>
<p>後年、振り返った時に、2025年という年が「観光地域づくりが変わった年」と認識されるように取り組んでいきたい。</p><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-strategizing-yamada/">観光政策を「戦略」フェーズへ　[コラムvol.520]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>観光振興に必要なマーケティング・デジタル人材の要件を考える　[コラムvol.515]</title>
		<link>https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-human-resources-ebisawa/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=column-human-resources-ebisawa</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[webkamitomo]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 07 Oct 2024 05:17:04 +0000</pubDate>
				<guid isPermaLink="false">https://www.jtb.or.jp/?post_type=column&#038;p=53184</guid>

					<description><![CDATA[<p>観光振興の旗振り役として、日本に300以上のDMO/観光地域づくり法人がありますが、そのDMOにおいて、今、マーケティング×デジタル人材が特に必要とされています。 今年になり、観光庁では「観光地域づくり法人の機能強化に関･･･</p>
<p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-human-resources-ebisawa/">観光振興に必要なマーケティング・デジタル人材の要件を考える　[コラムvol.515]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>観光振興の旗振り役として、日本に300以上のDMO/観光地域づくり法人がありますが、そのDMOにおいて、今、マーケティング×デジタル人材が特に必要とされています。</p>
<p>今年になり、観光庁では「観光地域づくり法人の機能強化に関する有識者会議」が行われています。実施の背景として、コロナ禍後、訪日インバウンド旅行者の偏在傾向が確認され、インバウンドの地方誘客観点から課題が見られることに起因しています。本来の目的である地方誘客が進まず、むしろ、東京、京都、大阪、福岡などに局所的に集中する状態になっているということです。<br />
その会議体の中では、地域のDMOが抱える課題について取り上げられており、以下のような結果となっています。</p>
<h3>地域のDMOが抱える課題</h3>
<figure>
    <img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/10/ebisawa-dmo1.png" alt="日本交通公社研究員コラム"><figcaption style="text-align: right"><cite>出典：観光庁「令和5年　登録DMO現状調査」</cite><br />
    </figcaption></figure>
<p>上記の結果から、仮定すると、課題上位のこれらのボトルネックは「財源」であると考えられます。財源が確保されれば、人材確保や育成がしやすく、人材が整えば、マーケティングやDXが「一定」程度推進されると想像されるからです。</p>
<p>このような中、地方行政では、この課題に応えるように、にわかに宿泊税の導入に向けた取り組みが進んできています。（この詳細の進捗については、当財団の他のコラムや <a href="https://www.jtb.or.jp/project/non-profit/network/zaigen/">観光財源研究会</a>を参照ください。）</p>
<p>この背景には、すでに当財団の財源研究でも触れられていますが、地域側で自由に使える財源が乏しいことがあります。近い将来、目的税としての宿泊税が一般化すれば、観光地域側、特にDMOでボトルネックとなっている財源については、解決されることでしょう。</p>
<h3>宿泊税導入により、財源が確保された近未来</h3>
<p>では、次に問題になっている人材面、マーケティング・DX人材は、財源問題を克服すれば解決されるのでしょうか。</p>
<p>結論から言いますと、簡単にはいかないでしょう。<br />
直近まで、コロナ禍を挟んで4年半、筆者は広域連携DMOに在籍し、数多くのDMOと関係させていただきましたが、仮に、財源があっても、必要な人材要件をしっかり定め、中心となる人材を登用し、その人材を中心にチームとして育成を進めなければ、決して人材の問題は解決しないと推察します。</p>
<p>例えば、最近、バズワード化している「観光DX」を一括りにしても戦略立案、全体デザイン設計、ビジネス課題設定（抽出）、データ収集スキーム策定と実行、データ分析（解析）、特定課題発見、施策設定と実行、などその領域は極めて広いものです。</p>
<p>ですので、マーケティング・DXに関して、一人長けた人材を採用すれば、「すべてうまくいく」はまったくの幻想で、そもそも、一人で完結できるような人材は、極めて希少性が高く、れっきとした高度専門人材になります。<br />
昨今、大手金融機関が20代でも年収5千万円を可能にする賃金体系の制度を整え、話題となりましたが、まさに、このような人材マーケットでの競争になります。</p>
<p>果たして、観光業界は、上記のような人材マーケットで戦える年収水準でしょうか。</p>
<h3>本来求められるDMOで必要なマーケティング・DX人材の能力・スキル</h3>
<p>少なくとも、このような高度専門人材の登用が現実的でないことを前提に今回は、この人材が持ち合わせているだろう必要な能力・スキルを過去の実体験から、3つに分解して考えたいと思います。</p>
<p style="margin-top: 2em">
<p><P>①観光ビジネス構築/観光マーケティング力<br />
観光消費額等のKGIを上げるために必要な方向性やビジョンを示した上で、戦略を立てる。その中で課題を特定し、その達成のために必要なマーケティング施策の立案と必要なタスクに対して、役割を分けて実行する力（絵を描ける力）</p>
<p>②デジタルリテラシー/データ分析力<br />
デジタルのトレンドや統計に精通し、データの扱いに関して、収集スキームおよびローデータからデータを操り、ビジネスに必要な示唆を抽出する力（データ起点の示唆を出せる人）</p>
<p>③データ収集システム構築/エンジニアリング力<br />
示された収集スキームに対して、プログラミングを施し、実際に収集する環境を整えるとともに、収集されたデータをビジュアライズ化する能力</p>
<p style="margin-top: 2em">
<p>上記の能力・スキルからポイントになるのは、何を組織で内製化しつつ、外注するかという点です。結論からいえば、①は内製がマスト、②内製がベター、③は外注でOKです。</p>
<p>①は組織の事業戦略に大きく関与するレベルのため、この素養のある人材がDMOにいないと自立した経営は難しくなります。もちろん、DMOは地域内マネジメント（合意形成力）が必須であるため、前提として合意形成力を持つ人材は不可欠ですが、その上で、①はそれをするために必要な説得材料、説明材料を提示する人材となります。</p>
<p>「地域にこんな課題があり、それを解決する糸口は、このデータエビデンスからすると、この施策がもっとも有効だ。」<br />
というようなエビデンスベースの説得材料が用意できてはじめて、地域のステークホルダーからの合意は得られやすくなるものです。</p>
<p>実際、筆者が在籍したDMOでも、プロパーとしてマネジメントに長けた事務局長が組織を支え、出向者や観光庁の外部の専門人材登用（以下、専門人材）で、①と②を3名程度で充当して、組織を形成し、③については、外部で地域に寄り添う協力会社をディレクションしながら、委託しました。これによって、長らく停滞していた組織・事業のPDCAが回り始めた経験があります。ちなみに、出向者や専門人材で補わざるをえなかったのは、慢性的な財源の不足が原因でした。</p>
<p>特に、所属が、広域連携DMOだったこともあり、地域内に50を超えるDMOが存在する中、地域内での事業の連携をするためには、求心力が不可欠で、その求心力の源泉となったのが、各地域でも活用できるそれぞれオリジナルのデータ基盤のプラットフォーム（DMP）構築と運用であり、地域の商材が販売できるオンライン上のプラットフォームの稼働でした。（現在、組織的な事情で、オンラインの販売プラットフォームは活動を停止しています）</p>
<p>話を戻しますが、まずは、組織として必要な①のような人材をプロパーとして登用、確保することをお勧めしたいと思います。これは実体験からになりますが、現状、出向者や専門人材で埋めるという方法もありますが、任期が限られている点と、求めている必要な人材要件を往々にして満たせないことも起きるからです。</p>
<p>①に加え、②のような人材を内部で雇えるようであれば、非常に強い組織/チームとなるでしょう。①の人材が描いたことをデータで裏付けたり、①の描いた方向性での施策に対して、データで検証したりするなど、内部にいることで、高速に事業のPDCAが回るので、事業のスピード感は圧倒的に増すからです。もし、組織の中にいない場合は、専門人材登用等でぜひ登用を試みたいところです。仮に週1回程度でも、自組織を支援してもらえれば、組織力としてパワーアップすることでしょう。</p>
<p>③については、理想的には内部にいることがベストですが、現状のDMO組織では難しいところかと思います。自組織に寄り添える能力の高いベンダーを探した方が早いと言えます。地域のために、一緒に汗を流してくれるベンダーを探していきましょう。</p>
<p style="margin-top: 2em">
<figure>
    <img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/10/ebisawa-dmo2.jpg" alt="日本交通公社研究員コラム"><figcaption style="text-align: right"><cite>公益財団法人日本交通公社　蛯澤 作成</cite><br />
    </figcaption></figure>
<h3>おわりに</h3>
<p>最後になりますが、今、コロナ禍を経て、訪日インバウンドが増加し、より一層地域間の競争が激化しています。このような中、マーケティング・デジタル人材確保・育成の重要度は益々増していくことでしょう。<br />
地域として必要なことはまずは必要な財源を確保することです。<br />
その上で、地域の競争力の源泉である人材を資源化していかねばなりません。そのために、上記プロセスを踏み、骨太な組織/チームを組成し、この過渡期に成長できる持続可能な組織を作り上げていきましょう。
</p>
<p style="text-align: center">
<img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/10/ebisawa-dmo3.png" width="70%" alt=""></p>
<p style="margin-top: 6em">
<h3>観光財源に関するその他のコラム</h3>
<table>
<tr>
<td style="width: 27%">
            <img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/09/514-image1.jpg" alt="">
        </td>
<td class="resp-td" width="2%">&nbsp;</td>
<td>
<p>2024.09.13<br />
            <span style="font-weight: bold">「自律的」な観光振興とは何かを考える－欧州の「観光事業者税」をケースに－ [コラムvol.514]</span></p>
<p>全国各地で、宿泊税を中心とした観光財源の検討が進んでいます。通常、観光財源の検討にあたっては、観光財源確保のメニューをいくつか提示・検討したうえで、地域内で議論し、選択していくことに・・・<br />
            <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-tourism-promotion-ezaki/">詳細はこちら</a></p>
</td>
</tr>
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<td style="width: 27%">
            <img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/01/503-image1.jpg" alt="">
        </td>
<td class="resp-td" width="2%">&nbsp;</td>
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<p>2024.01.29<br />
            <span style="font-weight: bold">スイスにおけるDMOの構造改革の取り組み　[コラムvol.503]</span></p>
<p>我が国の観光地域づくりの舵取り役として期待される観光地域づくり法人（DMO）は、その活動対象とする区域の大きさに応じて「広域連携DMO」、「地域連携DMO」、「地域DMO」の3つに区分されている点が特徴です。・・・<br />
            <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-switzerland-dmo-structure-reform-kanno/">詳細はこちら</a></p>
</td>
</tr>
</table><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-human-resources-ebisawa/">観光振興に必要なマーケティング・デジタル人材の要件を考える　[コラムvol.515]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>「自律的」な観光振興とは何かを考える－欧州の「観光事業者税」をケースに－ [コラムvol.514]</title>
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		<dc:creator><![CDATA[webkamitomo]]></dc:creator>
		<pubDate>Fri, 13 Sep 2024 04:24:15 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[<p>全国各地で、宿泊税を中心とした観光財源の検討が進んでいます。通常、観光財源の検討にあたっては、観光財源確保のメニューをいくつか提示・検討したうえで、地域内で議論し、選択していくことになります。 このような地域内での議論の･･･</p>
<p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-tourism-promotion-ezaki/">「自律的」な観光振興とは何かを考える－欧州の「観光事業者税」をケースに－ [コラムvol.514]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>全国各地で、宿泊税を中心とした観光財源の検討が進んでいます。通常、観光財源の検討にあたっては、観光財源確保のメニューをいくつか提示・検討したうえで、地域内で議論し、選択していくことになります。</p>
<p>このような地域内での議論のなかで、欧州の一部の地域で実施されている「観光事業者税」の事例が稀に参照されることがあります。観光事業者税とは、域内に所在する事業者から観光振興のための税を徴収するものであり、宿泊税と併せて、地域の観光財源としているものです。</p>
<h3>観光事業者税の仕組み：オーストリア・レッヒ村（フォアアールベルク州）</h3>
<p>オーストリアの山岳リゾート地であるレッヒ村における観光事業者税について参照してみたいと思います。</p>
<p>レッヒ村では、観光財源を調達する手段として、宿泊客から徴収する「宿泊税」と市内の全事業者から徴収する「観光事業者税」を設けています。レッヒのDMOであるレッヒ観光局（Lech-Zürs Tourismus GmbH）の2023-24予算総額約600万€（約9億円）における観光財源の内訳を見ると、宿泊税収入が40%、観光事業者税が31%と、全体の約7割を公的財源として占めています。なお、残りの約3割は事業活動等となっています。このように、観光事業者税は、レッヒ観光局における重要な観光財源となっています。</p>
<figure>
    <img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/09/514-image2.png" alt="コラム画像514-1"><figcaption style="text-align: right"><cite>レッヒ観光局 2023/24予算における収入内訳<br />
    （Lech-Zürs Tourismus GmbH 2022-23アニュアルレポートより筆者作成）</cite><br />
    </figcaption></figure>
<p>レッヒ村はいわゆる「基礎自治体」レベルの単位ですが、欧州では、宿泊税や観光事業者税の根拠は、州法レベルでルールが設定されており、それに各自治体が従う形となります。</p>
<p>レッヒ村が位置するフォアアールベルク州の観光法では、自治体が観光振興に注力をする場合は、州政府に対し、「観光自治体」としての宣言をすることができるとしており、観光自治体を宣言することで、観光事業者税といった公的財源の確保が可能となります。また、一定の宿泊客数を有する観光自治体は、観光振興業務を担う有限会社等（GmbH）の設立（いわゆる「観光局」）を設立し、活動費の半分以上の出資をすることが求められます。</p>
<p>つまり、観光振興で生きていくことを宣言した自治体は、法定組織である観光局の立ち上げと運営を求められ、これを運営する費用として、公的な観光財源（宿泊税、観光事業者税）を徴収する権利を得られる、という立て付けです。</p>
<figure>
<blockquote style="margin-left: 0;width: 100%">
<div style="background: #166dde;border: 1px solid #166dde;padding-left: 10px"><span style="color: #fff"><strong>フォアアールベルク州「観光の促進と保護に関する法律(観光法)」（抜粋）</strong></span></div>
<div style="border: 1px solid #166dde;font-size: 100%;padding: 10px">
<strong>（第2条）観光自治体としての宣言</strong><br />
観光が特に重要である自治体や、観光振興に特に力を入れている自治体は、市議会の決議によって <span style="color: #dc143c"><strong><u>観光自治体</u></strong></span>として宣言することができる。<br />
<strong>（第3条）地域組織</strong><br />
観光税を集め、過去3年間（11月1日～10月31日）の<span style="color: #dc143c"><strong><u>平均宿泊数が10万泊を超える観光自治体</u></strong></span>は、観光に関連する業務を遂行するため、定款に従い、<span style="color: #dc143c"><strong><u>営利企業の運営、有限会社（GmbH）への参加、またはこれらの業務を行う団体に参加しなければならない。自治体が有限責任会社に参加する場合、少なくとも51％の出資を引き受けなければならない。</u></strong></span><br />
観光関連業務の遂行を委託された市町村の組織単位または経済企業には、地名および「観光（Tourismus）」を付加した名称を付さなければならない。市町村が有限責任会社または社団法人に参加する場合は、その旨を表示しなければならない。<br />
<strong>（第6条）徴収の権限</strong><br />
第2条に基づき自らを<span style="color: #dc143c"><strong><u>観光自治体として宣言した自治体</u></strong></span>は、観光促進のための措置および施設にかかる費用を賄うために、<span style="color: #dc143c"><strong><u>観光事業者税（Tourismusbeitrag）を徴収する権限を有する。</u></strong></span><br />
<strong>（第7条）納税義務者</strong><br />
(1) 自治体内に所在する<span style="color: #dc143c"><strong><u>すべての事業者が課税対象</u></strong></span>なる。<br />
(2) この法律の意味において、経済的利益を目的とした行動は職業活動とみなされる。<br />
(3) この法律における「所在」とは、事業活動を行うために使用される特定の場所又は施設を指す。「所在」には、12か月以上にわたり作業が行われている又は行われる予定の倉庫、タクシー乗り場、建設現場も含まれる。<br />
(6) 連邦税法第34条から第47条に基づく非営利、慈善および教会目的の減税要件を満たす機関は、第1項の意味では課税の対象にならない。
</div>
</blockquote><figcaption style="text-align: right"><cite>出所　フォアアールベルク州資料https://www.ris.bka.gv.at/GeltendeFassung.wxe?Abfrage=LrVbg&amp;Gesetzesnummer=20000639<br />
    ＊2024年9月11日最終閲覧<br />
    和訳：筆者</cite><br />
    </figcaption></figure>
<h3>観光事業者税の計算例：レッヒ</h3>
<p>フォアアールベルク州法では、観光事業者税は、観光自治体内に所在するすべての事業者が課税対象となるとしていますが、業種によって納税額が異なります。観光事業者税の額は「課税対象売上高」から業種別の「課税基準」を乗じ、さらに「税率」を乗じて決定されます。</p>
<p>具体的にみると、まず、州内の自治体は、住民１人あたりの宿泊数により「クラス」が設定されます。続いて、産業の種別と自治体のクラスにより、７つの課税グループのいずれかに分類されます。この課税グループごとに、課税基準（＝売上高のうちの何％が納税額となるか）が決定されます。このように、自治体のクラスと業種により、「課税基準」が決定され、課税売上高と課税基準が掛け算され、最後に、調整として自治体ごとに設定される「税率」を乗じることで、納税額が決定されます。</p>
<p>※なお、具体の計算例や各クラス、グループの分類等は以下を参照ください。</p>
<p>このような設計の基本的な考え方は、観光地としての立地や観光客の来客による恩恵を受ける度合いが高い事業者ほど、観光事業者税の納税額が高くなる、ということです。</p>
<figure>
    <img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2024/09/514-image3.png" alt="コラム画像514-2"><figcaption style="text-align: right"><cite>出所　フォアアールベルク州資料をもとに筆者作成</cite></figcaption></figure>
<h3>地域経営の前提を考える　－日本で成り立つのか－</h3>
<p>先述した制度は、レッヒ村に限らず、欧州の一部の地域山岳リゾートにおいて適用されています。そのため、宿泊税同様に「日本でも導入しよう」という指摘もでてきます。が、単に日本国内に適用可能な観光財源確保の事例として扱うのではなく、制度設計の背景にある「地域経営の考え方」への着目が必要でしょう。</p>
<p>まず、欧米の多くの地域では、「自身の税収により地域経営を行う（＝自身で税収をあげないと地域は成立しない）」ということが前提であり、自主財源比率も高く、「自律」の意識が色濃い地域です。故に、自地域が生き残るために「自分たちの力や制度でどのように地域の価値を高めていくか」「正しい政策決定にコミュニティが納得するか」を考えることが必要不可欠となります。特に、今回とりあげたオーストリアは連邦制の国家であり、各州が主権を持つ強い地方分権制度を持ち、その社会制度や歴史的背景からも、「自治・自律」が強い文化を有していると言えます。このような地域においては、「観光を主要産業として経済を回すことで、地域経営を行っていくこと」についても、観光事業者以外も含めたコミュニティ全体が合意・推進することが前提であり、観光事業者税の制度も、この考え方が出発点にあると言えます。</p>
<p>日本国内において、上記の前提が成り立つ地域がまったく無いとは言い切れませんが、事業者の移動の流動性が比較的高く、また、自治体の税収の不足分を国が交付税等で補填するシステムであることも含め、日本と欧米では地域経営の考え方のベースや税システムが異なることを意識する必要があると言えるでしょう。</p>
<p>仮に日本国内の地域で同様の税制度を検討する場合には、欧米との税システムの違いを理解しつつ、「域内事業者・関係者の多くが『自律が地域経営を支える』という意識を持つこと」、「地域が観光にフォーカスすることによる恩恵が自身のビジネスを支えていることに（業種の差はあれど）、共通の理解を持つこと」、「これらの認識・理解を行政が適切にフォローし、また、各事業者が納得する観光戦略を描けること」といった、共通認識や信頼感をもとにした「合意形成」が官民で必要となります。これらのいずれかが崩れると、地域の一体感を損ねるだけでなく、事業者による訴訟や反対表明等による、地域づくりの後退を招く可能性があります。</p>
<p>このように考えると、「自律性」「コミュニティ理解」という面で、日本では現時点ではまだまだハードルが高いと言えるのではないでしょうか。</p>
<h3>おわりに</h3>
<p>観光事業者税をはじめとする欧米の「事例」と呼ばれる諸制度を参照することは地域の発展にとって必要な作業ですが、表層部分をすくってトレースすることは、かえって混乱を招く恐れがあることに注意が必要です。</p>
<p>当財団では、自主研究の一環として、観光財源研究会を立ち上げています。本研究会では、「適切な手法で確保した観光財源をしっかりと観光振興のために使われること」をミッションに、今後も研究活動を行っていきたいと思います。</p>
<hr />
<div id="zaigen">
<p>詳しくは以下をご覧ください。<br />
<a title="観光財源研究会ページ" href="https://www.jtb.or.jp/project/non-profit/network/zaigen/">観光財源研究会ページ</a></p>
</div><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-tourism-promotion-ezaki/">「自律的」な観光振興とは何かを考える－欧州の「観光事業者税」をケースに－ [コラムvol.514]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
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