部門長からのメッセージ

梅川智也 理事・観光政策研究部長

梅川 智也理事・観光政策研究部長

私たちが目指す「創発的組織」と研究員

 21世紀に企業が生き残る道は、自ら学習機能を持った「ラーニング・オーガニゼーション*1」になることであると言われてきました。私たちが目指す「創発的組織」は、単に「学習する」だけでなく、さらに「創造的な価値を生み出す組織」を企図しています。

 そのためには、組織の目標(ビジョン*2)を理解、共有し、その実現のために日々努力すること、研究員として自らの能力を常に高めること、そしてそれぞれの研究員が協働して創造的な価値を生み出し続けること、つまり仲間とのチームワークが可能なことなどが、私たち公益財団法人日本交通公社のいわば“観光研究テロワール”といえるでしょう。私たちは、大学とも政府系研究機関とも民間のシンクタンクやコンサルタントとも異なる独自の道として「実践的な学術研究機関」を目指しています。

 ちなみに、私は1981(昭和56)年に入社して以来約35年間、一度も異動転勤することなく、ときに楽しく、ときに厳しく「観光研究」を続けてきました。“やり続ける”ことも能力の一つかもしれません。これから新しく仲間となる研究員の皆さんには、専門性とともに次のような人材を期待しています。

1.明るく健康で前向きな人材
2.自らの目標が明確で、かつ周囲と調和が図れる人材、人の話が聞ける人材
3.広く観光文化の発展に力を尽くしたいと思う人材

 ひとことで言うと「個性豊かでバランス感覚のある調和のとれた人材」ということになります。
 私たちとともに、日本の旅行・観光と観光地をより豊かで魅力あるものにしていきましょう。

*1:『最強組織の法則-新時代のチームワークとは何か』(徳間書店・1995)、ピーター・M・センゲ、マサチューセッツ工科大学経営学部教授
*2:『’22ビジョン』(公益財団法人日本交通公社・2012)

“タフ”であれ

 わたしたちのコンセプトは「実践的な学術研究者」。

 内外の研究が伝える知見を、観光地という現場にもちこみ、地元の人たちとの協働作業に活かしていく。逆に、観光地づくりの中で得られたデータや経験の中で気づいた法則性を、学会や各種の研究会で報告する。たくさんの本を読み、多くの方と話し、データを収集し、それらを分析して自分の考えをとりまとめ、伝えること。

 わたしたちの仕事は、この繰り返しです。

 この過程で大切にしていることは、現地に出向いて、見て、聞いて、感じて、自ら判断すること。ネットを検索すればさまざまな情報を得ることができますが、本当に価値があるのは自分の足で得た情報と、その経験の蓄積です。

 わたしは若手研究員に、どんどん出て行けと言っています。出張好きな人は喜びそうな話題ですが、年間100日以上も出歩くとなると結構大変です。机に向かう仕事も増えますから。

 ですから、当財団の研究員に大切な資質は、“タフ”であることだと思います。
寺崎竜雄 理事・観光地域研究部長

寺崎 竜雄理事・観光地域研究部長

塩谷英生 観光経済研究部長

塩谷 英生観光経済研究部長

発地から着地まで

 当部は2016年度に新設されました。我々の役割は、国や地域の利益を第一に考えた観光振興施策を研究し、発信していくことです。

観光地は、人が訪れて、観光を生業とする人がいて、はじめて観光地となります。

ではどうすれば、観光客は増え、消費は増えるのか?
 地場産品や人材が活かされて域内経済が循環していくのか?

統計の数値だけを追ってもわからないことばかりです。本質的な課題を知るため必要なのは、発地に取材してニーズを知り、着地を歩いて資源性を量ること。そして、発地と着地をつなぐ、交通、流通、情報、法制、財政、金融、技術動向といった市場を取り巻く環境の変化を知ることです。

 我々の研究では、統計分析と事例調査のバランスを重視しています。社会や経済の仕組みに関心があって、数字にもある程度強く、そのうえ旅行が好きな方にとっては、やりがいのある仕事だと思います。

図書館という“書斎”をどう活かすか

 当財団が運営する「旅の図書館」(1978年開館)は、2016年に「観光の研究や実務に役立つ図書館」として移転・リニューアルオープンしました。約6万冊の観光関連資料を体系立てて配架する独自分類の導入や、専門性・稀少性の高い蔵書の公開、書架のある空間で研究交流を行う「たびとしょCafe」の開催など、観光に関する情報や人のネットワーク拠点となる「観光研究プラットフォーム」の構築に向けて、さまざまな取り組みを行っているところです。

 観光をテーマに活動する研究員にとっては、地域の現状や課題を肌で感じることはもちろんですが、様々な情報や知識をインプットし、多様な立場の研究者や実務者とコミュニケーションを図りながら自身の分析力、提案力を高めていくことがとても重要です。

 自身の研究テーマを深めたい時、新しい分野の調査や研究にチャレンジしたい時、地域が抱える課題を解決するためのヒントが欲しい時、「旅の図書館」はきっと拠りどころになると思います。

 自分の研究デスクや調査フィールドの他に図書館という“書斎”があり、この“書斎”を多くの研究者や実務者の皆さんと共有できることはとても幸せなことです。あなたなら、この環境をどう活かしますか?

福永香織 観光文化情報センター 旅の図書館長

福永 香織観光文化情報センター 旅の図書館長