研究員へのインタビュー

池知貴大 観光政策研究部 研究員 2017年入社ビジネス学部観光学科修了

池知貴大 プロフィール詳細

池知貴大(観光政策研究部 研究員)

JTBFを選んだ理由

 私は学部では法学を専攻し、大学院で観光学を選考しました。修士論文では、中国本土出身の若者が持つ日本の観光地としてのイメージが電化製品やアニメなどの日本製品からどのように影響を受けて構築されているのかという研究をしていました。どちらかというと観光地側に興味があり、省庁や自治体などの観光政策に関わる仕事がしたいという想いがありました。就職を考える段階で大学院の先輩に相談したところ、(公財)日本交通公社(以下、JTBF)を紹介してくださいました。

 JTBFでは大きく分けて受託事業と自主事業を実施していますが、その実績を調べたり、研究員が執筆している観光研究コラム機関誌「観光文化」などを読んでみると、自分が目指しているスタンスに近い組織であることがわかり、エントリーしようと決めました。

いま、携わっている仕事

 主要な業務としては、自主研究として実施している「観光財源研究会」を担当しています。この研究会は2017年度に新しく立ち上がったもので、観光地のマネジメントをおこなっていく際に必要となる財源確保に関する課題整理を行うと共に、具体的な導入手法等について検討を行い、各自治体での取り組みを支援することを目的としています。日本では法定外目的税として宿泊税の導入や入湯税の超過課税などが検討されていますが、他にも様々な方法があります。

 私が任されているのは、海外での先行導入事例を調査したり、新しい税制を導入する際に発生しそうな課題や解決方法をまとめることです。こうした新しい税制の導入にあたっては条例の制定も必要になってくるため、学部時代の専門分野である法学の知識が役に立っていると感じます。

この仕事のやりがい、難しさ

 「観光財源研究会」では、実際に新しい税制の導入を考えている自治体の皆さんのサポートもおこなっています。調査にとどまらず、具体的な地域の政策に寄与できることにやりがいを感じています。観光財源を確保し、計画的な観光地経営がおこなえる観光地が日本に増えるといいなと思っています。

 仕事をしていく上で難しいと感じていることは、調査・分析した結果や自分の想いをいかに相手にわかりやすく伝えるかということです。私たちのクライアントは自治体が多いですが、その先には観光産業従事者や一般の住民まで様々な方がいらっしゃいます。相手の立場をふまえてわかりやすく伝えるスキルを上げていきたいと考えています。

就職活動中のみなさんへのメッセージ

 自分がやりたいと決めたことであれば、信念を持ってその道に進むのが良いと思います。私の場合、学部の専門分野は法学でしたが、大学院への進学を機に観光学へと転換しました。周囲は不安に思っていた部分もあったかもしれませんが、自分としては今後、観光はますます発展する分野であると感じていました。やってみたいことがあれば学生のうちにどんどん挑戦してみてはどうでしょうか。

 JTBFは研究員の個性や自主性が尊重されているのが良いと思います。良い意味で研究員が自立しているので、1人1人が信頼されてそれぞれの研究や業務をおこなっている雰囲気はとても居心地が良いと感じています。

池知貴大

柿島あかね(観光経済研究部 主任研究員)

いま、携わっている仕事

 今年度は受託事業を3件、自主研究を2件担当しています。主な受託事業としては、自治体の観光経済波及効果を測定する調査を担当しています。近年、観光地では、訪れた観光客の数だけではなく、観光客の満足度や、観光客がその地域でどのくらいお金を使ったかという観光消費額などが成果指標として掲げられています。また、観光は第一次産業から第三次産業まで幅広い業種に波及効果が及ぶ複合産業です。その効果を数値化してわかりやすく示すことは、地域内での観光振興に対する理解を高めるためにも重要です。

 今回の調査では、観光客を対象に旅行内容や消費額を把握するためのアンケート調査と、観光関連事業者の方へのヒアリング調査を実施しています。こういった調査においては、アンケート調査が重要であることは言うまでもありませんが、ヒアリング調査も重要です。観光関連事業者に地域観光の課題をヒアリングして調査票を作成したり、集計・分析後もその結果に違和感がないかなどを確認し、地域の実態に合った調査結果を出すためのアプローチを心がけています。

 自主研究では、観光経済研究部として「訪日市場の動向に関する研究」に取り組んでいて、その一環で「訪日団体旅行商品調査」を担当しています。台湾、香港、中国の旅行会社が販売している訪日団体旅行商品の内容を調べて国やエリアごとの特徴を分析しています。調査自体は3年目になりますが、当初は膨大な訪日旅行商品をどのように抽出して分析していくかという点で苦労しました。分析面では、毎年把握している基礎的なデータに加え、例えば「爆買い」が注目された年は買い物スポットの分析を行うなど、その時々で関心が高いテーマも分析するよう心がけています。この調査も集計・分析結果は数値で出てくるのですが、こうした結果の背景にある各国・地域の市場動向や旅行業界の特徴などを把握するため、現地の旅行会社などにヒアリングをしたり、旅行博で関連情報を収集するといったことも合わせて行っています。調査の結果は、毎年発行している「旅行年報」で公開していることに加え、「旅行動向シンポジウム」でも発表しています。

柿島あかね 観光経済研究部 主任研究員 2007年入社観光学研究科修了

柿島あかね プロフィール詳細

柿島あかね

これからのキャリアについて

 これまでの約10年間は、様々なテーマの受託調査を担当するとともに、自主研究や自己啓発研究支援制度を利用して論文の発表・投稿を行い、研究員としての基礎力向上を意識して業務に取り組んできました。

 これからの10年間は、一人前の研究員として自立するために専門分野を確立していくとともに、観光という現象を科学的に捉えることも必要だと感じており、論文もしっかり書ける研究員になっていきたいと思っています。

就職活動中のみなさんへのメッセージ

 社会人になると、起きている時間の多くの時間を仕事に費やすことになります。もちろん、楽しいことだけでなく、時には大変な場面にも直面することもありますが、どういった仕事であれば自分が乗り越えられそうか想像しながら就職活動を進めるとよいのではないでしょうか。

 また、就職活動は色々な企業や職種を知ることのできる貴重な機会だったと感じています。視野を広げて色々な企業を回ってみるなかで、自分がやりたいことや適性などが見えてくるかもしれません。

守屋邦彦 観光政策研究部 主任研究員 2006年中途入社 情報理工学研究科修了

守屋邦彦 プロフィール詳細

守屋邦彦(観光政策研究部 主任研究員)

いま、携わっている仕事

 今年度は受託事業を4件、自主研究を2件担当しています。ここ数年は、MICE(Meeting、Incentive、Convention、Exhibition/Eventの頭文字をとったビジネスイベントの総称)に関連する調査を観光関連組織からの受託事業として継続的におこなっています。一昨年はExhibition(展示会)の国際化に向けたマーケティング調査、昨年はMICEで訪れた外国人に地域を楽しんでもらうためのプログラム開発、そして今年はMICEを誘致する際に博物館などの特徴ある施設(ユニークベニュー)の活用に向けた調査をおこなっています。

 自主研究では「温泉まちづくり研究会」の運営を担当しています。全国の7つの会員温泉地とともに温泉地の活性化に向けた調査や研究会を実施し、年度末には総括レポートをとりまとめています。

 また、2013年に発行した「観光地経営の視点と実践」の改訂版執筆も自主研究の一環として実施しており、現在、観光政策研究部のメンバーと分担しながら執筆を進めています(今年中に発行予定)。私が専門としているMICEの章も新たに追加する予定です。

これからのキャリアについて

 私は観光地の計画づくりやマネジメントの支援といった専門分野をベースにしながら、特にMICEに注目して調査研究に取り組んでいますが、受託事業や自主研究において知識や経験を生かした提案やマネジメントができることはとてもやりがいがあります。多様な業務経験を重ねていくことで自分を信頼してくださるクライアントが増え、講演や執筆などを通して外部にアピールする機会も増えています。

 2012年から2年ほど外部にも出向する機会がありましたが、JTBFの場合、入社すると基本的には同じ環境でキャリアを重ねていくことになるため、他の組織に出向して、多様な仕事のやり方を経験したり、立場を変えて観光と関わる機会を得られたことは、自分のキャリア形成においても重要なステップだったと思っています。

 次のステップとしては、さらに専門性を突き詰めていくとともに、組織内でのマネジメントを意識する必要もあると思います。自分の適性などもふまえながら考えていきたいと思っています。

就職活動中のみなさんへのメッセージ

 「観光や旅行に関係する仕事」と一言で言っても関わり方は様々です。業種によっても違いますし、観光をマーケット側からみるか地域側からみるかによっても変わります。学生時代に視野を広げて、どの立ち位置で仕事をするのが自分に合っているかを考えることは重要ではないかと思います。

 JTBFは2016年度に文部科学省から科学研究費補助金取扱規程に規定する研究機関としての指定を受けました。「実践的学術研究機関」として、観光地のお手伝いをする実務と研究を両立させられること、若いうちから色々な経験を積み、一つ一つのプロジェクトに丁寧に取り組める環境があることはJTBFの特徴だと思います。

守屋邦彦