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	<title>コラム | (公財)日本交通公社</title>
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	<description>公益財団法人日本交通公社は、観光を専門とする実践的学術研究機関です。旅行・観光に関する学術的、実践的な調査研究を通して、わが国の観光文化の振興に寄与し、豊かな社会の実現を目指します。</description>
	<lastBuildDate>Tue, 20 Oct 2026 03:08:44 +0000</lastBuildDate>
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		<title>「地元直営」と「メガチェーン」のあいだ —資本と地域性で読み解く、道の駅の３つの類型—［Vol.549］</title>
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		<dc:creator><![CDATA[webkamitomo]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 19 Oct 2026 04:52:47 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[<p>道の駅の新たな集客モデル 近年、道の駅のあり方が変化している。かつては「情報発信拠点＋地元生産者・事業者による直売所・飲食店」という構成が一般的であったが、最近では目玉となる集客施設を戦略的に配置し、施設全体の集客力と地･･･</p>
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										<content:encoded><![CDATA[<h3>道の駅の新たな集客モデル</h3>
<p>近年、道の駅のあり方が変化している。かつては「情報発信拠点＋地元生産者・事業者による直売所・飲食店」という構成が一般的であったが、最近では目玉となる集客施設を戦略的に配置し、施設全体の集客力と地域への経済効果を最大化するモデルが増えている。ただし、配置される集客施設のタイプは一様ではない。今回、群馬県前橋市の「道の駅まえばし赤城」を訪れたので、その事例をもとに集客施設のタイプを比較することで、新たなモデルの利点について考察する。</p>
<h3>資本と地域性からみた、道の駅の３つの集客モデル</h3>
<p>道の駅における集客施設のタイプとしては、運営主体・事業者の地域性と資本規模から大きく３つのタイプに整理することができる。</p>
<ul style="list-style-type: none">
<li><b>&#9312;地元の事業者による直営</b><br />
        １つ目は地元資本の事業者が、魅力的な商業・飲食施設を自ら運営するタイプである。全国規模のランキングで常に上位に位置する「道の駅 川場田園プラザ」（群馬県川場村）がその代表である。集客の目玉であるベーカリーやビール工房は、道の駅の指定管理者である地元企業が運営している。地域への経済効果は最も大きいが、こうした施設開発や運営が可能な、高度な企画・経営能力を持つ人材・企業が地域にいる場合にのみ成立するモデルである。
    </li>
<li><b>&#9313;メガチェーンの誘致</b><br />
        ２つ目は、全国的な知名度やブランド力を有するメガチェーンを誘致するタイプである。栃木県下野市の「道の駅しもつけ」に入居するスターバックスや、全国各地で増加しているモンベルの併設店舗などが挙げられる。チェーン店単体による地域への直接的な経済効果は限定的だが、その圧倒的な集客力を、産直施設や地元テナントへと波及させて、施設全体の売上を底上げする。
    </li>
<li><b>&#9314;地域外の中小事業者を誘致</b><br />
        そして３つ目が、１つ目と２つ目の中間タイプである。地域外で独自性を持つ中小事業者やローカルチェーンを誘致する。今回訪問した「道の駅 まえばし赤城」がこれに該当する。単体ではメガチェーンほどの集客力はないが、施設コンセプトに合致している事業者を誘致しているため、施設全体としての集客力が高まり、経済効果を最大化させている。
    </li>
</ul>
<h3>「道の駅 まえばし赤城」の戦略</h3>
<p>「道の駅 まえばし赤城」では、芝生広場に面した一角にベーカリーを配置している。運営するのは地元企業ではなく埼玉を中心に展開するローカルチェーンであるが、常時100種類以上のパンを安定・効率的に供給するノウハウを持ち、目玉施設として大量の来店客をスムーズに受けとめている。加えて、巨大な遊具施設や温浴施設などで集客することで、産直施設や地元生産者のよるマルシェ、地元飲食店によるフードコートの売上につなげており、地域への経済効果を最大化させている。</p>
<p>この中間モデルの利点は３つある。一つ目は①との比較で、再現可能性が高い点である。①のように地元人材や企業に高度な施設開発や運営能力が無い地域でも採用できる可能性がある。二つ目は、施設コンセプトに合わせて柔軟な対応が可能な点である。前述のベーカリーでは群馬の地元食材を使った限定メニューを用意している。②のメガチェーンと比べるとこうした対応へのハードルは低い。そして３つ目が施設の世界観を維持できる点である。②のメガチェーンでは来訪者にとってのローカルな特別感を壊しかねないリスクがあるが、施設のコンセプトに合った事業者を誘致できれば、地元企業ではなくても、むしろ魅力的な世界観の空間に仕立てることができる。</p>
<p>全国の道の駅全体で見ればこうした中間モデルはまだ少数派だが、確かな成果を上げるモデルとして増えつつある。地域資本の限界とメガチェーン依存という課題を同時に解決する手立てとして、今後は標準的な選択肢へと広がっていく可能性がある。</p><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-michinoeki-kawamura/">「地元直営」と「メガチェーン」のあいだ —資本と地域性で読み解く、道の駅の３つの類型—［Vol.549］</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>観光と防災：安心・安全を育む地域の備え　 [コラムvol.548]</title>
		<link>https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-tourism-and-disaster-kawaguchi/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=column-tourism-and-disaster-kawaguchi</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[webkamitomo]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 28 Sep 2026 01:30:37 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[<p>日本国内では、地震や津波をはじめ、台風や局所的な豪雨などの自然災害が多く発生しています。豊かな自然は日本の観光の大きな魅力ですが、同時に災害への備えも欠かせません。 2026年3月に閣議決定された『観光立国推進基本計画（･･･</p>
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										<content:encoded><![CDATA[<p>日本国内では、地震や津波をはじめ、台風や局所的な豪雨などの自然災害が多く発生しています。豊かな自然は日本の観光の大きな魅力ですが、同時に災害への備えも欠かせません。</p>
<p>2026年3月に閣議決定された『観光立国推進基本計画（第5次）』においても、主な施策として「災害・感染症危機・テロ対策等安全・安心な滞在環境の実現」が掲げられています。この計画では、観光地や観光産業の強靱化（レジリエンス向上）を進めるとともに、訪日外国人旅行者を含む観光客の安全確保や危機管理体制の強化が示されています。観光地で人々の生命を守り、地域や観光産業を持続させていくための取り組みは、国家的な重要課題として位置づけられており、ますます大切になっています。</p>
<h3>人々の安全確保</h3>
<p>災害が起きたとき、観光客は地域住民と比べて大きな影響を受けやすい立場にあります。地元の地理に詳しくなく、危険な場所や避難場所の情報を取りにくいためです。特に外国人観光客の場合、「海岸で強い揺れを感じたらすぐに高いところへ逃げる」といった日本では共通して知られるような知識を持っていないことも、十分にあり得ます。</p>
<p>先行研究では、訪日外国人旅行者の多くが日本の自然災害リスクや具体的な避難行動について、明確な答えをもっていないことが調査結果として示されています（Nagai et al., 2020）。また、他の研究では、コロナ前の時点ではあるものの、自治体の地域防災計画において、観光客を対象とした予防的な対応規定は未だ不十分であるとも指摘されています（押田ほか, 2018）。</p>
<p>観光客は「地域の危険性や避難方法をよく知らず、すぐに正しい行動をとるのは難しい」という前提に立って、避難誘導や情報提供の仕組みを平時から準備しておく必要があります。</p>
<h3>産業の保護と持続可能性</h3>
<p>あわせて、被災した地域や周辺の観光産業をどのように守り、続けていくかという視点も大切です。大きな災害が起こると、直接的な被害がなかった地域でも旅行を控える動きが広がり、客足が遠のいてしまいます。</p>
<p>復興に向けた割引施策が行われることがありますが、これは需要喚起の効果がある一方で、注意が必要な部分もあります。もともと独自の魅力やサービスを理由に高めの価格を設定していた観光地の場合、大幅な割引によって本来ターゲットにしていなかった層の利用が増え、期待されるサービスと提供するサービスとの間にずれが生じるなど、接客やブランドの維持において新しい問題が生じる可能性があります。観光客が離れてしまったときに、どのように地域の魅力を保ちながら彼らを呼び戻すのか、普段から考えておくことが求められます。</p>
<h3>地域としての包括的な計画</h3>
<p>このように事前に考え、備えておくべきポイントはいくつかある一方で、いつ起こるかわからず、かかった費用を回収できるかもわからない災害対策に、個々の事業者が単独で大きな資金を出したり、時間や労力を割いたりすることは難しいのが現実です。だからこそ、自治体やDMOなどが中心となり、地域全体でまとまった危機管理の計画を持っておくことが有効ではないでしょうか。</p>
<p>観光の危機管理は発災直後の避難だけでなく、その後の復興や地域産業を続けていくことまで見据えた取り組みが大切です（参照：<a href="/researchers/column/column-crisis-management-nasu/">観光地における危機管理の枠組み 防災計画のその先へ　[コラムvol.379]</a>）。観光庁も、事業者向けだけでなく、自治体やDMO向けに『観光危機管理計画等作成の手引き』を公開し、具体的な準備の手順をまとめています。</p>
<p>地域全体で取り組む例は多々ありますが、本稿では、和歌山県白浜町で始まった協議会について、簡単にご紹介します。同町は白良浜を抱える有数のリゾート地でありながら、南海トラフ巨大地震による甚大な被害が予測されている地域でもあります。こうした強い危機感のもと、2024年夏に南海トラフ地震臨時情報が出された際には、安全を第一に考えて海水浴場の一時閉鎖やイベントの中止といった難しい決断を下してきました。</p>
<p>これらを経て、2025年、白浜町で「産学官民連携による南海トラフ地震対応最前線モデル」推進協議会が設立されました。この協議会は、「平時からの備え」と「発災後の迅速な対応」を両立させる防災基盤を構築すること、また、「産学官民連携による共創」を通じて、地域が主体となった持続可能な防災体制を築くことを目的とし、産・学・官・民の多様な主体が参加する場となっています。平時からの備えに加え、帰宅困難者対応などの観光地特有の課題への対策や、観光客自身が防災教育や体験を通じて適切に判断し行動できる力を育むこと、防災を新たな地域価値の創出につなげること、そして白浜での取り組みを全国の観光地にも展開可能なモデルとしていくことを目指し、議論が進められています。</p>
<h3>「安心して選べる観光地」へ</h3>
<p>SNSを通じて、世界中に一瞬で情報が広がることは当たり前になりました。魅力的な観光情報だけでなく、災害の発生や被害の様子についての情報もすぐに広まります。訪日外国人旅行者にとって、「日本のどこかで地震があった」というニュースを見たとき、自分の行きたい場所とどれくらい離れているのか、本当に安全なのか、いま訪問してよいのかを判断するのは、日本人以上に大変な作業になります。</p>
<p>これからは、ただ内部で「対策をする」だけでなく、「どのような対策をしているか」をわかりやすく外に向けて発信していく視点も大切ではないでしょうか。多言語で分かりやすい情報を事前に伝えたり、安全のための取り組みを見える形にしたりすることは、観光客の不安を減らし、「安心して選べる観光地」という強みにもつながります。防災を単なるリスク管理として捉えるのではなく、地域の信頼や価値を高める大切な要素として位置づけていくことが、これからの観光と防災に求められていると考えます。</p>
<h4>【参考文献・資料】</h4>
<ul>
<li>『観光立国推進基本計画（第5次）』（令和8年3月27日閣議決定）. <cite>https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001991694.pdf</cite></li>
<li>観光庁（2022）『自治体・DMOのための観光危機管理計画等作成の手引き』. <cite>http://mlit.go.jp/kankocho/content/810003032.pdf</cite></li>
<li>押田 佳子, 安齊 航也, 久島 琴音（2018）「わが国における「観光危機管理」の現状と課題　都道府県レベルにおける地域防災計画及び観光客対応マニュアルに着目して」. 都市計画報告集. 17 (3). <cite>https://doi.org/10.11361/reportscpij.17.3_339</cite></li>
<li>Nagai, H., Ritchie, B. W., Sano, K., &amp; Yoshino, T. (2020). International tourist risk information seeking and processing in Japan. Annals of Tourism Research. 80. <cite>https://doi.org/10.1016/j.annals.2019.02.008</cite></li>
</ul><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-tourism-and-disaster-kawaguchi/">観光と防災：安心・安全を育む地域の備え　 [コラムvol.548]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>「高付加価値旅行者」をどう捉えるか？ ―観光政策の国際比較から考える日本の「100万円基準」― [コラムvol.547]</title>
		<link>https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-high-value-traveler-policies-kakishima/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=column-high-value-traveler-policies-kakishima</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[webkamitomo]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 07 Sep 2026 01:15:04 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[<p>高消費層への期待 日本のインバウンド政策では、旅行者数の拡大だけでなく、消費額の増加、地方への誘客、持続可能な観光地域づくりが重視されている。その中心的な対象の一つが「高付加価値旅行者」である。観光庁は、着地消費100万･･･</p>
<p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-high-value-traveler-policies-kakishima/">「高付加価値旅行者」をどう捉えるか？ ―観光政策の国際比較から考える日本の「100万円基準」― [コラムvol.547]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<h3>高消費層への期待</h3>
<p>日本のインバウンド政策では、旅行者数の拡大だけでなく、消費額の増加、地方への誘客、持続可能な観光地域づくりが重視されている。その中心的な対象の一つが「高付加価値旅行者」である。観光庁は、着地消費100万円以上／人の訪日外国人旅行者を政策上「高付加価値旅行者」と位置づけ、地方への誘客に向けたモデル観光地の整備などを進めてきた（観光庁 2022；2023；2026）。本稿では、議論を明確にするため、この金額基準によって把握される層を「高消費層」と呼び、政策が期待する幅広い価値との関係を検討する。</p>
<p>この基準の背景には、少数の旅行者が大きな消費を生み出す市場構造がある。観光庁によれば、高消費層は2019年には訪日外国人旅行者の約1%にすぎなかったが、消費額の約11.5%を占めた（観光庁 2023）。2023年には、人数の約2%消費額の約19%を占めている。一方、その消費は大都市圏に偏り、地方での消費が少ないことも課題とされている（観光庁 2026）。このため、高消費層への期待は、消費額の上積みだけでなく、その経済効果を地方へ波及させることにも向けられている。</p>
<p>ただし、高消費層であることが、直ちに地方分散や地域への貢献を意味するわけではない。消費総額だけでは、支出先や滞在のあり方、地域との関わり方までは捉えにくいからである。</p>
<p>こうした問題意識は、旅行者数や消費総額だけでなく、観光が地域社会や自然環境にもたらす効果を重視する近年の国際的な政策動向とも重なる（OECD 2024）。各国の公的資料では、「high-value visitor」「high-quality visitor」「quality tourism」などの用語が用いられているが、その定義や政策上の位置づけは一様ではない。そこで本稿では、用語そのものを比較するのではなく、旅行者が観光地にもたらす価値のうち、各国が何を重視しているのかに着目する。</p>
<p>OECDは近年の観光政策について、環境や地域社会への影響を管理しながら、観光の便益や旅行者の流れを新興観光地や閑散期へ広げ、持続可能かつ包摂的な観光を目指す必要があると整理している（OECD 2024）。この整理を踏まえ、本稿では、旅行者の「量」から「質」への転換を、単価の向上だけでなく、観光が地域にもたらす便益と負担の双方を踏まえて政策効果を評価することまで含むものとして捉える。</p>
<h3>国際比較から見える「高付加価値」の三つの観点</h3>
<p>各国の政策を比較すると、旅行者の消費による観光収入や地域経済への効果が重視されている点は、おおむね共通している。そのうえで、経済効果を地方や閑散期へ広げることを重視する政策や、地域社会、文化、自然への貢献まで視野に入れる政策もみられる。表1は、各国・地域の公的資料に示された主な目的と、それを具体化する数値目標、旅行者像、対象者の識別基準、評価方法を整理したものである。
</p>
<p style="text-align: center"><b>表1　各国・地域の観光政策・取組の主な目的</b></p>
<div class="table-area">
<table class="cntTable borTable floatL mrgt0 top sp-table" style="font-size: 12pt">
<tr>
<td bgcolor="#ffffd6" style="text-align: center;width: 12%">国・地域</td>
<td bgcolor="#ffffd6" style="text-align: center">主な計画・取組名</td>
<td bgcolor="#ffffd6" style="text-align: center">公的資料に示された目的</td>
<td bgcolor="#ffffd6" style="text-align: center">目的を具体化する内容</td>
</tr>
<tr>
<td style="width: 12%">シンガポール</td>
<td>Tourism 2040／Quality Tourism</td>
<td>観光収入の拡大</td>
<td>2040年の観光収入を470億～500億シンガポールドルと見込み、観光収入を国際旅行者数より速いペースで成長させる方針を示している（Singapore Tourism Board 2025:<cite>https://www.stb.gov.sg/about-stb/media-publications/speeches/speech-by-ms-melissa-ow&#8211;chief-executive&#8211;singapore-tourism-board&#8211;at-the-tourism-industry-conference-2025/</cite>）。
            </td>
</tr>
<tr>
<td style="width: 12%">オーストラリア</td>
<td>THRIVE 2030</td>
<td>旅行者消費額の拡大と、地方部での消費拡大</td>
<td>国内旅行を含むvisitor economy全体について、2030年の旅行者消費額を2,300億豪ドル、そのうち地方部での消費額を950億豪ドルとする目標を設定している（Austrade 2026）。
            </td>
</tr>
<tr>
<td style="width: 12%">ニュージーランド</td>
<td>high-quality visitorの誘致</td>
<td>観光による経済・文化・環境・地域社会への貢献</td>
<td>high-quality visitorの特徴として、長期滞在、高額消費、複数地域・異なる季節への訪問、環境や地域社会との積極的な関わりを挙げ、こうした旅行者の誘致を重視している（Tourism New Zealand 2023 <cite>https://www.tourismnewzealand.com/news-and-activity/australian-visitors-spending-more-post-covid/</cite>）。
            </td>
</tr>
<tr>
<td style="width: 12%">カナダ</td>
<td>Tourism 2030: A World of Opportunity／Traveller Segmentation Program</td>
<td>観光収入の拡大と、地域への経済的・社会文化的・環境的便益の創出</td>
<td>2030戦略に沿った対象旅行者の把握に向け、旅行消費額、旅行頻度、季節選好、活動に加え、旅行動機や価値観を組み合わせて旅行者を分類している（Destination Canada 2024a；2024b）。
            </td>
</tr>
<tr>
<td style="width: 12%">タイ</td>
<td>Sustainable Tourism Goals（STGs）／Sustainable Tourism Acceleration Rating（STAR）
</td>
<td>所得分配、文化・環境の保全、観光事業者の持続可能性の向上</td>
<td>STGsは、国連のSDGsを観光分野に展開する目標。所得分配、環境保全、再生可能エネルギー、廃棄物削減などを含む17の項目から構成される。STGsを実行に移す仕組みであるSTARは、観光事業者をガバナンス、社会経済的影響、文化保全、環境への責任の4つの観点から評価している（Tourism Authority of Thailand 2025a；2025b）。
            </td>
</tr>
<tr>
<td style="width: 12%">日本</td>
<td>地方における高付加価値なインバウンド観光地づくりに向けたアクションプラン／モデル観光地事業</td>
<td>旅行消費の拡大、地方誘客、地域産業への波及、自然・文化・産業の維持・発展、雇用・所得の増加、域内循環</td>
<td>着地消費100万円以上／人を対象者の把握に用いる。また、知的好奇心や探究心の強さなどの定性的な特徴にも言及している。モデル観光地を選定し、地方での誘致・受入体制の整備を進めている（観光庁 2022:<cite>https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001860218.pdf</cite>； 2026:<cite>https://www.mlit.go.jp/kankocho/seisaku_seido/kihonkeikaku/inbound_kaifuku/kofukakachi.html</cite>）。
            </td>
</tr>
</table><figcaption><small>注：「公的資料に示された目的」は、対象とした資料に記載された目的・期待される効果を要約した。「目的を具体化する内容」には、数値目標、誘致する旅行者像、対象者の識別基準、評価方法などを記載した。本表は各国・地域の観光政策全体を網羅するものではなく、政策の達成状況を示すものでもない。</small></figcaption></div>
<p>ただし、表1に並べたのは、同じ種類の概念や施策ではない。シンガポールは国全体の観光成長の方向性、オーストラリアは国内旅行を含むvisitor economy全体の数値目標、ニュージーランドは政策上望ましい旅行者像、カナダはマーケティング対象を選定するためのセグメンテーション、タイは観光事業者側の評価枠組み、日本は旅行者を把握する金額基準と地域づくり施策である。本稿では、これらを同一の制度として比較するのではなく、それぞれが「どのような価値を重視しているか」という観点から横断的に整理する。その際、「対象者をどう識別するか」「旅行者にどのような行動を促すか」「誘致によって何を実現するか」は区別して捉える必要がある。</p>
<p>以上を踏まえ、本稿では、各国が重視する価値を、①旅行者の消費がもたらす「経済的価値」、②訪問地域、旅行時期、滞在期間といった「分散を含む価値」、③地域社会、文化、自然への貢献を含む「地域への総合的価値」の三つの観点から整理する。これは各国政府による共通の分類ではなく、本稿が比較のために設定する分析枠組みである。また、三つの観点は優劣や発展段階を示すものではなく、一つの政策が複数の観点にまたがる場合がある。</p>
<p>第一の「経済的価値」は、旅行者の消費額や観光収入を重視するものである。シンガポールの「Quality Tourism」では、旅行者数の増加以上に観光収入を伸ばす方針が示されている（Singapore Tourism Board 2025）。旅行者数の量的拡大だけに依存せず、経済的価値を重視する点では、日本の100万円基準と共通する。ただし、シンガポールは国全体の観光収入、日本は個人単位の消費額を対象としており、指標の単位は異なる。</p>
<p>第二は、経済的価値に、消費が生み出される地域、時期、滞在期間といった分散の観点を加えた価値である。オーストラリアの「THRIVE 2030」は、国内旅行を含むvisitor economy全体について、旅行消費額と地方部での消費額の双方に目標を設定している。このように、分散の観点では、消費額の大きさだけでなく、それがどこで、いつ生み出されるかが問われる。観光需要の地域・時期の分散は、混雑の緩和や地域への経済効果の平準化という政策課題にも関係する（OECD 2024）。</p>
<p>第三は、経済的価値と分散の観点に、地域社会、文化、自然への貢献を加えた「地域への総合的価値」である。ニュージーランドの「high-quality visitor」は、多く消費し、長く滞在し、複数の地域を異なる季節に訪れるだけでなく、文化、環境、社会、経済にも積極的に貢献する旅行者として説明されている（Tourism New Zealand 2023）。ニュージーランドは、三つの観点すべてが示された例といえる。一方、タイのSTGsとSTARは、特定の旅行者を金額で識別する仕組みではない。しかし、観光が地域にもたらす価値を、経済、社会、文化、環境などの側面から評価する考え方を示している（Tourism Authority of Thailand 2025a；2025b）。</p>
<p>カナダの取組は、こうした価値をもたらす旅行者をどのように識別するかという、三つの観点を横断する論点を示している。カナダは、所得や旅行頻度を中心とした「High-Value Guests」から、消費行動に加えて旅行動機や価値観も考慮する「Highly Engaged Guests」へと重点を移した（Destination Canada 2024b）。これは、旅行者の購買力だけでなく、動機、価値観、行動の組合せから捉えようとする見直しである。</p>
<h3>日本の政策目的と100万円基準</h3>
<p>観光庁は、高付加価値旅行者の誘致を、消費額の拡大だけでなく、地方への誘客、地域産業への波及、自然・文化・産業の維持・発展、雇用・所得の増加、域内循環などにつなげようとしている（観光庁 2026）。本稿で設定した三つの観点に照らすと、日本の政策目的は、第一の「経済的価値」にとどまらず、第二の分散を含む価値、さらに第三の「地域への総合的価値」にまで及んでいる。</p>
<p>また、観光庁は、高付加価値旅行者について、単に消費額が大きいだけでなく、知的好奇心や探究心が強く、地域の伝統・文化や自然に触れる体験を通じて、知識を深めたりインスピレーションを得たりすることを重視する傾向があると説明している（観光庁 2022）。このように、日本でも消費額を超えた定性的な旅行者像が示されている。一方、旅行者をデータ上把握する定量的な基準は「着地消費100万円以上／人」であり、知的好奇心や探究心、地方分散、地域還元への貢献は、判定条件に含まれていない。つまり、政策上示されている旅行者像と、データ上の識別基準は同一ではない。「100万円基準」は、旅行後の消費実績から高消費層の規模を把握する事後的な指標として機能する。ただし、誘致前の市場選定には、所得、旅行動機、価値観、過去の旅行行動など、別の情報も必要になる。</p>
<p>また、消費総額だけでは、地方分散や地域への総合的価値までは捉えにくい。総額は滞在日数に左右され、同じ金額でも、地方での宿泊・体験への支出と大都市での買い物とでは、恩恵を受ける地域や産業が異なる。逆に、100万円未満でも、地方を訪れ、地域産品や文化・自然の保全につながる体験に支出する旅行者が含まれる可能性がある。</p>
<p>したがって検証すべきは、100万円基準の該当者が地方分散や地域還元につながる行動をどの程度取っているか、また、基準外に政策目的との親和性が高い層がどの程度含まれるかという点ではないだろうか。</p>
<h3>政策目的に照らして「高付加価値旅行者」を捉える</h3>
<p>国際比較を通じて、日本の政策が高付加価値旅行者に期待する価値は、旅行消費額だけでなく、地方・閑散期への分散と、地域社会、文化、自然への貢献まで含むものとして整理できる。100万円基準は、高消費層を事後的に把握する明確な指標である一方、それだけで政策目的への適合性まで判断できるわけではない。</p>
<p>今後は別稿で、カナダのように旅行動機や価値観も視野に入れ、消費額、滞在日数、訪問地域・時期、費目別支出、地域との関わり方を組み合わせて分析し、100万円以上の層の内部差と、100万円未満でも政策目的との親和性が高い層の存在についても検証したい。</p>
<p style="text-align: right">資料：筆者作成（画像はGoogle Geminiより作成）</p>
<p style="margin-top: 2em">
<h4>【参考文献】</h4>
<ul>
<li>観光庁（2022）「地方における高付加価値なインバウンド観光地づくりに向けたアクションプラン」2022年5月</li>
<li>観光庁（2023）「高付加価値旅行者の誘客に向けて集中的な支援等を行うモデル観光地11地域を選定しました～地方における高付加価値なインバウンド観光地づくり事業～」2023年3月28日</li>
<li>観光庁（2026）「訪日旅行での高付加価値旅行者の誘致促進」2026年3月23日更新</li>
<li>Australian Trade and Investment Commission（Austrade）（2026）“THRIVE 2030 Action Plan to 2030,” 11 February 2026</li>
<li>Destination Canada（2024a）“Destination Canada’s 2030 Tourism Strategy: A World of Opportunity,” May 2024</li>
<li>Destination Canada（2024b）“The Traveller Segmentation Program: Segment Summary Deck”。 </li>
<li>OECD（2024）, OECD Tourism Trends and Policies 2024, OECD Publishing, Paris. </li>
<li>Singapore Tourism Board（2025）“Speech by Ms Melissa Ow, Chief Executive, Singapore Tourism Board, at the Tourism Industry Conference 2025,” 11 April 2025 </li>
<li>Tourism Authority of Thailand（2025a）“TAT Celebrating 65 Years of Leading Thailand’s Sustainable Tourism Future,” 18 March 2025 </li>
<li>Tourism Authority of Thailand（2025b）“Thailand Unites to Drive Sustainable Tourism Goals Towards 2030,” 21 July 2025 </li>
<li>Tourism New Zealand（2023）“Australian visitors spending more post COVID,” 16 October 2023</li>
</ul><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-high-value-traveler-policies-kakishima/">「高付加価値旅行者」をどう捉えるか？ ―観光政策の国際比較から考える日本の「100万円基準」― [コラムvol.547]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>二重価格は信頼を築けるか　[コラムvol.546]</title>
		<link>https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-dual-pricing-ebisawa/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=column-dual-pricing-ebisawa</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[webkamitomo]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 17 Aug 2026 01:36:19 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[<p>入城者2割減、収入2倍という結果 世界遺産・姫路城は2026年3月、18歳以上の入城料を市外からの来訪者は2,500円へ引き上げ、市民は1,000円に据え置いた。18歳未満は居住地を問わず無料である。導入から1か月、入城･･･</p>
<p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-dual-pricing-ebisawa/">二重価格は信頼を築けるか　[コラムvol.546]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<h3>入城者2割減、収入2倍という結果</h3>
<p>世界遺産・姫路城は2026年3月、18歳以上の入城料を市外からの来訪者は2,500円へ引き上げ、市民は1,000円に据え置いた。18歳未満は居住地を問わず無料である。導入から1か月、入城者数は前年同月比17%減となった一方、料金収入は約2倍に達した。姫路市は減少を「想定内」とし、増収分を石垣の安全対策などに充てる考えを示している。</p>
<p>「人数×単価」で成り立つ観光地の収益構造を考えれば、この結果は示唆に富む。数を追わずとも収益は確保でき、むしろ混雑が緩和されて体験の質が上がる。他都市からの視察や問い合わせが相次いでいるのも当然だろう。</p>
<figure>
<p style="text-align: center"><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/08/column546_figure1.png" alt="路城「二重価格」導入1か月の効果" style="width: 85%"></p><figcaption>
<div style="text-align: center"><b>姫路城「二重価格」導入1か月の効果（2026年3月）</b><br />資料：姫路市発表および報道をもとに筆者作成（前年同月＝100）</div>
</figcaption></figure>
<h3>問われているのは「線引きの基準」</h3>
<p>ここで確認したいのは、姫路城が分けたのは国籍ではなく「居住地」だという点である。市民は窓口でマイナンバーカードなどを示せばよい。当初は外国人と日本人を分ける案も取り沙汰されたが、国籍の確認が実務上難しいことに加え、差別との批判を避ける公平性の観点から、この設計に落ち着いたとされる。実は、これが二重価格を考えるうえでの要である。</p>
<p>私たちの周りには、早割、団体割引、学割、返金可否による差など、広く受け入れられている価格差が数多くある。共通するのは、差の理由が明確で、消費者が条件を選べることだ。航空券の運賃体系のように、条件が一段ずつはっきりしていれば、人は高い運賃にも納得する。反発を招くのは、線引きが「その人が何者か」、とりわけ「国籍」、に置かれたときである。条件ではなく属性そのものを理由に高い料金を課されれば、人は差別されたと感じる。目指すべきは差別ではなく差異化だといえよう。</p>
<h3>値上げと暮らしを両立させる</h3>
<p>この考え方を最も洗練させたのが、北海道倶知安町の「Kutchan ID＋」だろう。ニセコひらふ地区を抱える同町では、世界の富裕層向けリゾートへの変貌に伴って物価が上昇し、リフト券は2024年度に9,500円となった。町と倶知安観光協会は、マイナンバーカードで本人確認するデジタル町民証明を導入し、町民はリフト1日券を5,700円の優待価格で購入できるようにした。飲食店やアクティビティにも優待は広がる。観光協会の事務局長は、適正な価格転嫁と町民優待の両立を目指すと語っている。値上げを否定するのではなく、値上げを進めながら暮らしを守る。この二つを同時に成立させる装置が、デジタル住民証明である。</p>
<p>民間には、そもそも価格を分けない道もある。都内には、スタッフ全員が英語で対応し、非アジア系の髪質への技術を備えることで、顧客の大半を訪日客や在住外国人が占める美容室がある。その料金表に国籍や居住地による区分はない。価格差の理由として示されているのは、施術者の経験や髪の長さといった提供内容そのものである。言語対応を価格差の口実とするのではなく、提供価値に織り込んだうえで単一の価格を掲げる。属性ではなく価値で語るとは、こういうことだろう。</p>
<h3>海外が教える受容の条件</h3>
<p>海外の事例も同じことを語る。タイの国立公園はタイ人40バーツに対し外国人400バーツと約10倍の差を設け、納税の有無を理由とするが、国籍が基準であるため批判が根強い。対照的にガラパゴス諸島は2024年、外国人の入域料を200ドルへ倍増させた際、その使途が生物多様性の保全と地域社会への還元であることを明示し、来訪者数の安定化という目的も掲げた。結果として「保護のためなら妥当」という受容を得ている。ハワイの住民割引も州IDで確認する居住地基準であり、割増ではなく割引という立て付けだ。</p>
<p>区分の基準が国籍そのものに近いほど摩擦は大きく、居住地や公共目的に基づくほど受け入れられやすい。加えて、同じ価格差でも「外国人への割増」より「住民への割引」と語られるほうが、摩擦は小さい。2025年に開業したジャングリア沖縄が、国内在住者向けの価格を「日本在住の方への感謝を込めた特別価格」と位置づけたのも同じ発想である。日本の事例が居住地を軸としてきたのは、この経験則に沿った着地点だろう。</p>
<h3>価格は信頼資産である</h3>
<p>国内の動きは加速している。2025年の訪日客は約4,270万人、消費額は約9.5兆円といずれも過去最高となった。政府は次期観光立国推進基本計画にガイドライン策定の検討を明記し、観光庁は2026年4月に有識者会議を立ち上げ、2026年度中の策定を目指している。初会合では、観光コンテンツの維持やオーバーツーリズム対策を目的とした料金見直しの動きは他の施設にも参考になり得ると指摘された。国立博物館・美術館への導入検討の要請や、京都市が2027年度を目指す観光客向けバス運賃の引き上げなど、来訪者に応分の負担を求める動きは、いまや施設の入場料という枠を超えつつある。</p>
<p>価格は単なる数字ではない。この観光地は来訪者をどう遇するのかという姿勢の表明であり、信頼という資産そのものである。安易な「外国人価格」に流れれば、一時の増収と引き換えに地域ブランドへの信頼を損ないかねない。必要なのは、合理的な条件に基づく差異化と、価格の根拠および増収分の使途を語り切る透明性である。</p>
<p>指針を待つことが本質ではない。それぞれの観光地が、自分たちはどんな価格で、どんな関係を来訪者と築きたいのかを自らの言葉で語れるか。観光立国の真価は、その一点に表れる。</p>
<h4>【図の出典】</h4>
<ul style="list-style-type: none">
<li>姫路市発表および報道をもとに筆者作成。入城者数・料金収入とも前年同月を100とした指数。入城者数は2026年3月の速報値。</li>
</ul><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-dual-pricing-ebisawa/">二重価格は信頼を築けるか　[コラムvol.546]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>「楽観主義」を適用する観光戦略　―ウィーンの「オプティマム・ツーリズム」 [コラムvol.545]</title>
		<link>https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-optimum-tourism-ezaki/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=column-optimum-tourism-ezaki</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[webkamitomo]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 27 Jul 2026 02:00:21 +0000</pubDate>
				<guid isPermaLink="false">https://www.jtb.or.jp/?post_type=column&#038;p=58299</guid>

					<description><![CDATA[<p>楽観主義の本来の意味 「楽観主義（オプティミズム）」という言葉は、今日では「何とかなると構える能天気な態度」とほぼ同義に使われることが多い。しかし語源に遡ると、様相はかなり異なる。この語は「達成可能な最善・最適」を意味す･･･</p>
<p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-optimum-tourism-ezaki/">「楽観主義」を適用する観光戦略　―ウィーンの「オプティマム・ツーリズム」 [コラムvol.545]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<h3>楽観主義の本来の意味</h3>
<p>「楽観主義（オプティミズム）」という言葉は、今日では「何とかなると構える能天気な態度」とほぼ同義に使われることが多い。しかし語源に遡ると、様相はかなり異なる。この語は「達成可能な最善・最適」を意味するラテン語オプティマム（optimum）に由来し、18世紀初頭の哲学者ライプニッツが「現にある世界は、可能なあらゆる世界の中で最善である」と論じたことで思想史に定着した。ここでの「最善」は「完璧」ではない。災厄や苦難の存在を認めたうえで、無数の制約の中で実現しうる最善はどこか、と問う態度である。つまり本来の楽観主義とは、現実から目を逸らす明るさではなく、制約を直視したうえで達成可能な最善を定義し、そこへ向かう意志のことだった。</p>
<h3>観光に「最適」の思考を当てはめてみる</h3>
<p>観光もまた、この概念で捉え直したい分野である。観光には、経済や誇りをもたらし地域社会を豊かにする力がある。ただ、誘客の成功は同時に、混雑や住民との摩擦といった負の効果も生み得る。現に観光地では、オーバーツーリズムという言葉をめぐり、一部の事象を切り取った一方的な報道が、地域全体に「観光公害の地」というレッテルを貼っているという異議と、過度な来訪で住民が現に負の影響を受けているという指摘の両方がある。悲観に立てば打ち手は縮小と規制に偏り、根拠のない楽観に立てば量の追求に戻る。災害や感染症、国際情勢、内外の経済成長等で前提が動き続けるなかで、「いま達成しうる最善の観光」、つまり、「最適」を定義し直すこと。それが観光を考えるうえでの楽観主義と捉えることができる。</p>
<p>この発想を、理念ではなく戦略として着地させた都市がある。ウィーン観光局が2025年4月に発表した新戦略「オプティマム・ツーリズム（Optimum Tourism）」である。ウィーンは、観光におけるオプティマムの考え方を明確に打ち出している。戦略のミッションは、ウィーンが愛される理由を壊さない「良い成長（good growth）」。「最適」については、「適切な量と適切なマネジメントによって、手に負えない負の帰結を招かずに、住民と都市への便益を高める観光」と定義している。背景には、コロナ禍で訪問者が消えた都市から彩りと活気が失われ、事業者の苦境が住民の暮らしにまで及んだ「アンダーツーリズム」の経験がある。多すぎても少なすぎても、都市は損なわれる。ウィーンの「最適」は、この実感に根ざしている。以下では、この戦略がどう「最適」を実際の目標に落としているかを見ていきたい。</p>
<h3>目標が「量」ではなく「関係」で定義されている</h3>
<p>戦略の主目標は3つある。</p>
<ul>
<li>第1に、訪問者の10人中9人がウィーンを人に薦めたいと思い、同時に、住民の10人中9人が観光を肯定的に評価する状態を維持すること</li>
<li>第2に、訪問者の3分の2を後述する「望ましい訪問者」像に合致させること</li>
<li>第3に、宿泊の10分の1を会議・ミーティングセクター由来とすること</li>
</ul>
<p>宿泊者数や観光消費額の増加は、主目標のどこにも置かれていない。</p>
<p>もっとも、「数を目標に置かない」こと自体は、今や特別なことではなくなりつつある。ウィーンをはじめ欧州の有名観光地は、欧州全体の経済成長と国際旅行需要の拡大を背景に、特段の誘客をせずとも来訪者が増え続けることを、いわば所与の条件として受け入れている。そのうえで、「増え続けるという前提の下で、何をマネジメントしうるか」を試みているのである。3つの主目標は、その答えとして読むことができる。</p>
<p>注目したいのは第1目標の作りである。最大化戦略なら目標は単一の量になる。ウィーンはそうせず、住民と訪問者の双方が満足している状態、戦略の言葉でいう「スイートスポット」を保つことを目標に据えた。片方を犠牲にして片方を伸ばすやり方は、目標の立て方そのものによって封じられている。最適化を語るとき避けて通れない「誰にとっての最適か」という問いに、正面から答えている。
</p>
<p style="margin-top: 2em">
<figure>
<p style="text-align: center"><img decoding="async" src="/wp-content/uploads/2026/07/column545_figure.png" alt="ウィーン「オプティマム・ツーリズム」の3つの主目標"></p><figcaption>
<div style="text-align: center"><b>図 ウィーン「オプティマム・ツーリズム」の3つの主目標</b><br />（Vienna Tourist Board「Optimum Tourism – Visitor Economy Strategy」(2025年)をもとに筆者作成）</div>
</figcaption></figure>
<h3>「動かせる変数」を目標に選ぶ</h3>
<p>第2・第3の目標にも設計上の合理性がある。宿泊者数や消費額は、景気や為替しだいで動く「結果」であり、観光局が直接動かせるものではない。一方、「どの客層に向けて誘客するか」「会議をどれだけ誘致するか」は、プロモーションの対象選定や誘致活動という、観光局が実際に持っている手段で動かせる。目標の体系を自らの権限の範囲と揃えている点で、制御できない入込客数をKPIに掲げがちな観光計画とは一線を画す。</p>
<p>では「望ましい訪問者」とは誰か。ウィーンの定義では、芸術・文化に関心を持つレジャー旅行者、会議や企業ミーティングで訪れるビジネス客、高価格帯を選ぶ層を指すが、力点は消費単価ではなく行動様式に置かれている。地元の店舗や事業者を支え、団体ではなく個人で旅行し、その振る舞いによって都市に溶け込む。要は、都市の暮らしとの相性である。翻って日本で盛んな「高付加価値旅行者の誘致」は、実質的に消費単価の高い旅行者の議論に収斂しがちだ。だが、単価が高いことと地域にとって好ましいことは本来イコールではない。ウィーンの定義は「金払いの良い客」と「まちと相性の良い客」の区別を戦略文書のレベルで明示し、しかもその実現度を測る目標（3分の2）として設定した点で先駆的である。</p>
<h3>流動する「最適」に対して測り続ける</h3>
<p>さらに、ウィーンは「最適」を固定されたものとして捉えていない。都市の人口も、訪問者の構成も、住民の受け止めも変化し続ける以上、「最適」の位置も条件とともに動く。よって、戦略では、測り続けることを明記している。国連観光機関のガイドラインに沿って設置する「持続可能な観光観測所」が、経済・環境・社会にまたがる指標で観光の状況を測定し、公開し続ける。目標の達成度を、誰もが公開データで確かめられるようにするということでもある。</p>
<p>一方で、この戦略は反成長ではない。「持続可能性は成長の拒否を意味しない」と自ら明記し、実際、ウィーンは2025年に過去最高の約2,006万泊を記録、宿泊売上も過去最高を更新する見込みである。量を目標から外した都市で量が伸びているのは、一見矛盾のように見える。だがこの戦略は、成長を追い求める目的から、うまく運営できれば付いてくる結果へと位置づけを変えており、量の増加はむしろ想定どおりの姿である。観光局のCEOはこれを「都市の質を消耗させる成長ではなく、質を強化する成長」と表現している。</p>
<h3>最適に向けた「調整」を仕組み化しているアムステルダム</h3>
<p>もっとも、弱点もある。戦略は、バランスが危うくなれば是正措置を取る、と原則は掲げている。だが、何をもって「ちょうどよい」を外れたとみなすのか、その線引きはなく、誰が何をする義務を負うのかは筆者が見る限り、公式資料には見当たらない。この点で対照的なのがアムステルダムである。同市は2021年、住民発案を受けた「バランスの取れた観光条例」で年間宿泊数の許容帯域（1,000万〜2,000万泊）と信号値（1,200万・1,800万）を定め、超過が予測される場合には市議会が期限内に対策を提案・採択する義務まで法定した（詳細は<a href="/tourism-culture/bunka264/264-14/">観光文化264号の後藤の論述</a>に詳しい）。ウィーンが「何が最適か」を質的に定義して誘導するのに対し、アムステルダムは「いつ介入すべきか」に手続きで答える。前者には執行の強制力がなく、後者は宿泊数が同じでも客層や行動で負荷が変わる現実を捉えきれない。両者は対立するというより、最適を保つためには両方とも必要な仕組みと見るべきだろう。</p>
<h3>おわりに</h3>
<p>日本の観光計画の多くは「量から質への転換」を標榜し、その具体的な手法を模索している。オプティマムの思考に立つなら、問いは3つに整理できる。①最適の中身を決める（誰にとっての、何の釣り合いか）、②その達成度を、自ら動かせる手段で測れるようにする、③「ちょうどよい」を外れたときに何をするかを決めておく。災害や感染症、国際情勢に揺さぶられ続ける観光にとって、「可能な最善」を問い続けるライプニッツ的な楽観主義は、精神論ではなく、政策の組み立て方の問題である。ウィーンの戦略は、その最初の本格的な実践例として読む価値がある。</p>
<h4>【出典】</h4>
<ul>
<li>Vienna Tourist Board &#8220;Optimum Tourism&#8221; 特設サイト： <cite>https://optimum.vienna.info</cite></li>
<li>同 プレスリリース（2025年4月発表）：<cite>https://b2b.wien.info/en/newsroom/visitor-economy-strategy-2025-882940</cite></li>
<li>同 戦略本文PDF：<cite>https://www.flipsnack.com/viennainternational/optimumtourism_en.html</cite></li>
<li>同 2025年実績プレスリリース(2026年1月)：<cite>https://b2b.wien.info/en/newsroom/pressservice/vienna-2025-performance-report-1095370</cite></li>
<li>後藤健太郎「オーバーツーリズム政策の流れと最新の動向」『観光文化』264号：<cite>https://www.jtb.or.jp/tourism-culture/bunka264/264-14/</cite></li>
</ul><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-optimum-tourism-ezaki/">「楽観主義」を適用する観光戦略　―ウィーンの「オプティマム・ツーリズム」 [コラムvol.545]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>「観光客が多すぎる」の正体　[コラムvol.544]</title>
		<link>https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-overtourism-iwano/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=column-overtourism-iwano</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[webkamitomo]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 06 Jul 2026 01:26:07 +0000</pubDate>
				<guid isPermaLink="false">https://www.jtb.or.jp/?post_type=column&#038;p=58014</guid>

					<description><![CDATA[<p>近年、多くの観光地で混雑やマナー問題、地域住民の生活環境への影響といった議論を耳にする機会が増えました。メディアや行政では、こうした現象を広く「オーバーツーリズム」と呼び、観光客数の増加が問題の根本原因として語られること･･･</p>
<p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-overtourism-iwano/">「観光客が多すぎる」の正体　[コラムvol.544]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<p>近年、多くの観光地で混雑やマナー問題、地域住民の生活環境への影響といった議論を耳にする機会が増えました。メディアや行政では、こうした現象を広く「オーバーツーリズム」と呼び、観光客数の増加が問題の根本原因として語られることが多くなっています。しかし、本当に問題なのは「人数」そのものなのでしょうか。</p>
<h3>地域ごとに異なる「受け止め方」</h3>
<p>例えば、同じ数の観光客が訪れていても、地域によって受け止め方は大きく異なります。筆者がこれまで視察したハワイやクライストチャーチ、バルセロナ、国内の離島地域においても、地域と観光客との距離感や住民の受け止め方は実にさまざまでした。観光客の来訪を歓迎する地域がある一方で、少ない人数であっても負担感や不満が生じる地域もあります。そこには、単純な人数だけでは説明できない何かが存在しているようです。</p>
<p>観光研究の分野では、このような問題を考える際に「社会的収容力（Social Carrying Capacity）」という概念が用いられます。「観光地はどこまで観光客を受け入れられるのか」という議論は、1960〜70年代から観光利用の増加に伴う自然環境の荒廃や混雑への危機感を背景に、自然公園やレクリエーション管理を中心に発展し、その後、観光研究においても半世紀以上にわたり知見が積み重ねられてきました。現在、「オーバーツーリズム」という言葉で改めて注目されている課題も、こうした収容力研究の蓄積から捉え直すことができます。</p>
<p>社会的収容力とは、地域住民や観光客が観光活動を受け入れられる限界のことです。当初は「何人まで受け入れられるか」という数量的な考え方が中心でしたが、近年では人々の感じ方や地域との関係性を含む概念として捉えられるようになっています。</p>
<h3>限界を左右する「関係の質」</h3>
<p>実際、観光客数が増えても必ずしも地域住民の不満が高まるとは限りません。観光による経済的な利益を実感している場合や、観光客との交流に肯定的な経験を持つ場合には、観光を前向きに受け止める傾向がみられます。一方で、生活空間への影響や文化的な摩擦を感じる場合には、人数がそれほど多くなくても観光への否定的な感情が生じることがあります。</p>
<p>つまり、観光地の限界は人数だけで決まるものではありません。地域が観光をどのように受け止め、観光客とどのような関係を築いているか――その「関係の質」によって、地域が受け入れられる許容度は、時に広く、時に狭く伸縮するものです。社会的収容力は、固定された上限人数ではなく、人々の認識や関係性によって変化するものだと考えます。</p>
<h3>数の管理から「より良い関係づくり」へ</h3>
<p>これから人口減少が進む日本では、多くの地域が交流人口や関係人口の拡大につながる観光振興を必要としています。しかし、単に観光客数の増加を目指すだけでは持続可能な観光にはつながらないでしょう。重要なのは、地域と観光客との関係をどのように育み、双方にとって心地よい状態をつくるかということだと考えます。</p>
<p>「観光客が多すぎる」という言葉の背景には、単なる混雑の問題だけではなく、人と人との関係の問題が隠れています。これからの観光地に求められるのは、観光客数を管理することだけではなく、地域と観光客とのより良い関係を築いていくことです。オーバーツーリズムという現象を考えることは、地域と観光の望ましい関係のあり方を、今一度問い直すことでもあるのではないでしょうか。</p><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-overtourism-iwano/">「観光客が多すぎる」の正体　[コラムvol.544]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
			</item>
		<item>
		<title>オランダの2都市から考えるクルーズ船の乗客に対する課税　[コラムvol.543]</title>
		<link>https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-cruise-tax-ikeji/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=column-cruise-tax-ikeji</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[webkamitomo]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 15 Jun 2026 01:54:28 +0000</pubDate>
				<guid isPermaLink="false">https://www.jtb.or.jp/?post_type=column&#038;p=57662</guid>

					<description><![CDATA[<p>なぜクルーズ船の乗客に対する課税の議論があるのか 近年、ヨーロッパをはじめとする世界中の都市で、クルーズ船の受け入れをめぐる議論が活発化している。クルーズ船は一度に多数の観光客を地域に運び、大きな負荷をもたらすため、その･･･</p>
<p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-cruise-tax-ikeji/">オランダの2都市から考えるクルーズ船の乗客に対する課税　[コラムvol.543]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<h3>なぜクルーズ船の乗客に対する課税の議論があるのか</h3>
<p>近年、ヨーロッパをはじめとする世界中の都市で、クルーズ船の受け入れをめぐる議論が活発化している。クルーズ船は一度に多数の観光客を地域に運び、大きな負荷をもたらすため、その受け入れの是非がしばしば議論の対象となる。</p>
<p>もっとも、クルーズ船による負荷への対策は、受け入れるか否かという二者択一にとどまるものではない。寄港隻数や上陸人数の上限設定、到着・出発時刻の調整、港から市内への交通誘導、観光スポットの予約制、港湾インフラの整備など、複数の政策手段を組み合わせることが考えられる。</p>
<p>その中で、クルーズ船の乗客（以下「クルーズ船乗客」という。）に対する課税も、一つの対策として議論に上がることが多い。</p>
<p>この議論を考えるに当たっては、まず宿泊税等の観光税の性格を整理しておく必要がある。観光税の使途には、観光プロモーションやマーケティング、観光コンテンツの造成など、観光振興のための財源としての側面がある。他方で、観光客の来訪によって生じる道路、公共交通、清掃、混雑対策などのインフラや公共サービスへの負担を賄う財源としての側面もある。前者が観光需要を生み出し、地域経済を活性化するための財源であるとすれば、後者は、観光によって地域に生じる追加的な公共負担を、来訪者にも分担してもらうための財源である。</p>
<p>クルーズ船乗客に対する課税は、このうち後者の観点、すなわち観光によって生じる追加的な公共負担を来訪者にも分担してもらうという観点から議論されることが大半である。宿泊税が導入されている地域では、前者の観点に使途が限定されている地域を除いて、ホテル等の宿泊客から徴収された宿泊税が、地域の受入環境や公共インフラを支える財源の一部に充てられている場合が多い。他方で、クルーズ船乗客は船内に宿泊し、寄港地では数時間だけ滞在するため、通常は寄港地の宿泊税を支払わない。それにもかかわらず、上陸した乗客は、都市の道路、港湾施設、公共交通、観光案内、清掃、混雑対策といった公共的なサービスやインフラを現に利用する。このため、宿泊客との間で、観光によって生じる公共負担の分担に不均衡が生じる。実際、宿泊税の導入をめぐる議論の場では、宿泊事業者の側から、宿泊客にのみ負担を求めることの公平性を問う声が上がることもある。</p>
<p>さらに、クルーズ船乗客については、一般の日帰り客とは異なる固有の負荷もある。クルーズ船は、一度に多数の乗客を短時間で送り込むため、来訪の時間帯や場所が集中しやすい。これにより、港湾周辺や主要観光地における混雑、交通渋滞、公共交通への負荷、観光地周辺の滞留、住民生活への影響が生じやすくなる。こうした負荷は、単に日帰り客であることから生じるものではなく、クルーズ船観光の来訪形態そのものに由来する面がある。そして、こうした固有の負荷に対応するための財源として、クルーズ船乗客に対する課税を求める声が上がることになる。</p>
<h3>オランダにおけるクルーズ船乗客に対する課税</h3>
<p>宿泊税は、税率や使途を除けば各地で比較的共通するのに対し、クルーズ船乗客に対する課税の設計は、国や地域によって大きく異なる。以下では、そのうち、クルーズ船乗客がその地に「滞在すること」を捉えるオランダのアムステルダムとロッテルダムの2都市の事例を取り上げ、この「滞在」への課税という発想が、どのように制度化されているかを見ていく。</p>
<h3>アムステルダム：乗客の「滞在」に着目する制度</h3>
<p>オランダ・アムステルダムは、クルーズ船乗客に対する日帰り観光客税を採用している<sup>*1</sup>。税率は1人1日15ユーロであり、課税客体は、クルーズ船乗客が「滞在」することそのものである。課税標準は乗客が滞在した日数であり、これは接岸から出航までの日数として数えられる（滞在が数時間にとどまる場合であっても1日として課税される。）。</p>
<p>上記のとおり、この制度の課税客体は、船舶の入港や出航そのものではなく、クルーズ船乗客がアムステルダム市内で滞在することであるところ、トランジット（その都市を出発地とも到着地ともせず、航路の途中で立ち寄る）のクルーズ船乗客の滞在のみが課税対象となり、アムステルダムを出発地または到着地とするクルーズ船乗客の滞在は課税対象から除外されている。</p>
<p>この区別の背景には、観光税の対象となる「滞在」には、単なる乗降や乗継ぎを超える一定の継続性が必要だという考え方がある。条例に付された公式解説でも、乗降や乗継ぎのために短時間市内にいるだけでは、観光税の対象となる「滞在」とはいえないとされている。</p>
<p>そのため、アムステルダムを出発地または到着地とする乗客については、乗船・下船に伴う短時間の市内滞在にとどまる場合には課税対象外となる。他方で、航路の途中で寄港し、市内で一定時間を過ごすトランジット客については、宿泊を伴わない滞在として日帰り観光税の対象となる。</p>
<p>実質面でも、アムステルダムを発着地とする乗客については、乗船前または下船後に市内のホテル等に宿泊する場合が多く、その場合には通常の宿泊税の対象となる。そのため、発着地とする乗客を日帰り観光税の対象から除外しても、実質的に市内に滞在する場合（すなわち、宿泊する場合）にはその滞在が宿泊税によって捕捉・回収されるため、公共負担の分担に漏れが生じにくいという事情も、この除外を支えていると考えられる。</p>
<p>なお、この日帰り観光税は、同じ滞在であっても、自動車や鉄道で訪れる日帰り客を対象とせず、利用する交通手段によって取扱いを区別していることになる。条例に付された公式解説によれば、観光税が対象とする「継続的な滞在」に当たるかどうかは、個々人の主観的意図ではなく、客観的に判断されるべきものとされている。そして、自動車や鉄道で訪れる日帰り客一人ひとりについて、継続的な滞在に当たるかを個別に認定することは、税の執行上現実的ではない。そのため、執行可能性・確認可能性、すなわち制度の効率性の観点から、クルーズ船以外の手段で訪れる日帰り客を課税対象から外すことが正当化される、という整理がされている。</p>
<h3>ロッテルダム：乗客の「夜間滞在」に着目する制度</h3>
<p>オランダのロッテルダムは、クルーズ船上での夜間滞在に着目したクルーズ船宿泊税を採用している<sup>*2</sup>。税率は1人1泊6.10ユーロであり、ロッテルダム市内で、夜間に4時間以上連続して係留されたクルーズ船上において、乗客が有償で滞在することを課税対象としている。</p>
<p>同条例において、夜間滞在とは、21時から翌6時までの間に、クルーズ船が少なくとも4時間連続して係留される場合をいう。アムステルダムが単に「滞在」に着目するのに対し、ロッテルダムは「夜間滞在」に着目する点で設計は異なるが、乗客が一定時間その地にとどまるという「滞在」を捉えて課税する点では、両者は共通の発想に立っている。</p>
<h3>日本において</h3>
<p>日本でも、クルーズ船の受け入れをめぐる負荷の問題はしばしば指摘されており、近年はクルーズ船乗客への新たな課税を求める声も聞かれる。もっとも、現状では、クルーズ船乗客を対象とした法定外税はまだ実現されていない。</p>
<p>アムステルダムとロッテルダムに共通する特徴は、船舶の入港ではなく、乗客がその地に「滞在」することを課税客体としている点にある。この点で、宿泊税が「宿泊」という滞在行為に着目する税であるとすれば、両都市の制度も、乗客の滞在に着目する点でこれに近い発想に立つものといえる。いずれの条例でも、納税義務を負うのは、滞在の機会を提供する事業者、すなわち運航会社であり、事業者が税相当額を乗客から回収する仕組みがとられている。事業者が乗客に代わって納付する点では、宿泊施設が宿泊税を徴収・納付する構造とも近い。</p>
<p>日本においても、各地域で宿泊税の導入が進むなかで、その使途として観光振興の財源をどう確保するかという点にとどまらず、観光によって生じる公共負担を誰がどのように分担するかが議論されるようになっている。クルーズ船乗客は、その多くが寄港地では宿泊を伴わない日帰り客でありながら、日帰り客の中でも地域に与える負荷が特に大きい。このため、宿泊客との間での公共負担の分担の不均衡と、来訪が集中することによる固有の負荷の双方の観点から、負担の公平性をめぐる指摘が生じやすい。クルーズ船乗客に対する課税には、日本ではまだ先行する例がないものの、こうした視点からすれば、今後、その導入に向けた具体的な検討が始まっても不思議はない。</p>
<p>その際に、オランダの2都市の例が示唆するのは、課税客体を船舶の入港ではなく乗客の「滞在」に求めるという発想もあり得るという点である。課税客体を乗客の「滞在」に置くという整理は、日本の既存の制度との関係でも意味を持つ。港湾管理者が船舶から徴収する入港料は、「船舶の入港」を対象とするものであるところ（港湾法第44条の2）、乗客の「滞在」を課税客体とする設計は、入港料とのすみ分けを説明しやすいものと考えられる。</p>
<h4>【注】</h4>
<ul>
<li>※1 「2019年日帰り観光客税条例（Verordening Dagtoeristenbelasting 2019）」<br /><cite>https://lokaleregelgeving.overheid.nl/CVDR614619/4</cite></li>
<li>※2 「2026年クルーズ船宿泊税条例（Verordening logiesbelasting cruiseschepen 2026）」<br /><cite>https://lokaleregelgeving.overheid.nl/CVDR749018/1</cite></li>
</ul><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-cruise-tax-ikeji/">オランダの2都市から考えるクルーズ船の乗客に対する課税　[コラムvol.543]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
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		<title>親子滞在型リゾートとして台湾リゾート・墾丁　[コラムvol.542]</title>
		<link>https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-kenting-yoshiyachi/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=column-kenting-yoshiyachi</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[webkamitomo]]></dc:creator>
		<pubDate>Mon, 25 May 2026 04:07:11 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[<p>「沖縄の方が安い」という議論の背景 台湾では数年前から、「墾丁に行くなら沖縄へ行った方が安い」といった議論が話題となっていました。かつて台湾を代表する南部リゾート・墾丁（Kenting）ですが、近年は、観光客減少や「割高･･･</p>
<p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-kenting-yoshiyachi/">親子滞在型リゾートとして台湾リゾート・墾丁　[コラムvol.542]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<h3>「沖縄の方が安い」という議論の背景</h3>
<p>台湾では数年前から、「墾丁に行くなら沖縄へ行った方が安い」といった議論が話題となっていました。かつて台湾を代表する南部リゾート・墾丁（Kenting）ですが、近年は、観光客減少や「割高」というイメージも語られるようになっています。</p>
<p>私は先日、私用で実際に墾丁を訪れました。現地を歩いてみると、日本でイメージしていた「若者向けビーチリゾート」とは少し異なる風景が見えてきました。</p>
<p>墾丁は台湾最南端の恒春半島に位置し、1984年に台湾初の国家公園として指定されました。国家公園統計では、2014年には年間観光客数が約837万人に達しましたが、その後は減少傾向が続いています <sup>1)</sup>。</p>
<p>背景には複数の要因があります。LCCの普及により、日本や東南アジアへの海外旅行が一般化したこと、若年層の嗜好が都市型・短期型観光へ変化したこと、さらに「墾丁は割高」というイメージがSNS上で定着したことなどが挙げられています<sup>2)</sup>。台湾北部住民にとって、沖縄は桃園空港から約1.5時間で到着できる一方、墾丁へは高雄からさらにバス等で約2時間の陸路移動を要するため、時間効率の面でも不利とされています。</p>
<p>一方、行政側は、従来統計ではホテル滞在型観光客やエコツアー参加者を十分に把握できていないと説明しています。携帯電話位置情報を活用した推計では、従来統計とは異なる来訪実態も示されています<sup>3)</sup>。墾丁では、以前のように「何人来たか」だけでは、観光地の実態を測りにくくなっている、という状況になっているようです。</p>
<h3>「親子で学ぶリゾート」への変化</h3>
<p>今回、私が墾丁を訪れた大きな目的の一つは、子ども向け環境教育コンテンツの体験でした。若者向けビーチリゾートのイメージが強かった墾丁ですが、実際に訪れてみると、親子向け滞在型リゾートとしての側面もかなり目立っていました。その象徴が、台湾最大級の水族館である国立海洋生物博物館（海生館）です。</p>
<p>特に人気なのが、閉館後の水族館に宿泊する「夜宿海生館」プログラムです<sup>4)</sup>。参加者は夜間の生態観察やバックヤード見学などを体験できます。</p>
<p>実際に参加してみると、サンゴをはじめとする生物の夜間行動を観察したり、海中トンネルの下に布団を敷き、ベルーガの泳ぐ水槽を眺めながら就寝したりする構成となっていました。単なるレジャーではなく、海洋環境への理解を深める教育プログラムとして非常に完成度が高いと感じました。日本でも類似企画はありますが、ここまで大規模な常設型の宿泊プログラムは比較的珍しい印象でした。</p>
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<div style="text-align: center"><img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2026/05/column542_image2.png" alt="研究員コラム" width="90%"></div>
<div style="text-align: center"><figcaption>「夜宿海生館」体験写真（著者撮影）</figcaption></div>
</figure>
<p>印象的だったのは、自然環境だけでなく、地域インフラも学習対象に組み込まれている点でした。近隣港湾ではサンゴ礁観察やエネルギー展示なども行われていました。グラスボートで港を出ると、穏やかなサンゴ礁の海の背後に2棟の原子炉建屋が見えました。サンゴ礁の海と原発建屋が同時に視界へ入る光景は、日本のリゾート地ではあまり見られないものでした。</p>
<figure>
<div style="text-align: center"><img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2026/05/column542_image3.png" alt="研究員コラム" width="90%"></div>
<div style="text-align: center"><figcaption>サンゴ礁と原発が隣接する景観写真（著者撮影）</figcaption></div>
</figure>
<p>宿泊施設側でも、ファミリー市場への対応が進んでいます。大型リゾート「悠活リゾート」は、キッズ設備や、二段ベッドにクライミングウォールとブランコがある部屋、大型プールを備え、台湾国内で高い人気を集めています。スタッフの一人は台北出身で、「墾丁は台湾の沖縄のような場所。こういう場所で働きたくて移住してきた」と話していました。</p>
<p>実際に同行した子どもも、夜の水族館やベルーガ観察に強い興味を示し、電力展示館でも展示を通じて学習を楽しんでいました。悠活リゾートについても「また泊まりたい」と繰り返していました。</p>
<p>平日に訪れた現地は比較的落ち着いた雰囲気で、来訪者の多くは台湾国内客であるように見受けられました。大量集客型リゾートとして知られてきた墾丁とは、利用実態が変わりつつあるようにも感じられました。</p>
<h3>墾丁観光の裏側にある地域事情</h3>
<p>現地を調べていくと、墾丁では観光だけでなく、土地利用やエネルギー政策など、複数の課題が重なっていることも分かってきました。</p>
<p>国家公園区域では長年、厳しい土地利用規制が続いてきました。一方、地域住民からは「生活改善が難しい」「地元住民に利益が還元されにくい」といった不満も存在していました。</p>
<p>そのため近年は、一定条件下で農地転換を認める土地利用規制の見直しも進められています<sup>5)</sup>。外部資本による大規模開発を抑えつつ、地元住民主体の小規模宿泊業などを支援する方向性です。地域主導型エコツーリズムも推進されています。梅花鹿観察ツアーなどでは、地域住民自身がガイドとなり、観光収益を地域へ還元する取り組みが進められています<sup>6)</sup>。</p>
<p>墾丁では、観光とエネルギー政策も無関係ではありません。恒春半島に立地する台湾第3原子力発電所は2025年に運転を終了し、地域社会では雇用や地域経済への影響が議論されています<sup>7)</sup>。現地を歩いていると、観光だけでは語れない地域事情も背景にあるようでした。</p>
<h3>墾丁は「衰退」しているのか</h3>
<p>墾丁を巡っては、観光客減少ばかりが注目されがちです。しかし現地で感じたのは、単純な衰退ではなく、「観光地に何を求めるのか」という価値基準が変化しているという点でした。</p>
<p>行政や一部事業者は、沖縄や東南アジアとの価格競争ではなく、環境教育や長期滞在体験による差別化を図っています。実際、高級リゾート投資も徐々に進み、滞在型や体験型を重視する動きが強まっています<sup>8)</sup>。</p>
<p>一方で、こうした転換の恩恵を受ける事業者はまだ限定的であり、従来型観光に依存する地域経済との間には、温度差もなお残っているように感じられました。こうした変化が地域全体にどのような影響を与えていくのかは、まだ見通しにくい部分もあります。</p>
<p>墾丁を見ていると、観光地に求められるもの自体が少し変わりつつあるようにも感じられました。実際に訪れてみると、かつて日本でイメージしていた「台湾のビーチリゾート」とは少し異なる姿が見えてきました。少なくとも現在の墾丁は、単なる「安い南国リゾート」として語れる場所ではなくなっているように感じられました。</p>
<h4>【参考文献】</h4>
<ol>
<li>墾丁國家公園管理處「遊客統計資料」</li>
<li>台湾メディア・SNS上における「墾丁不如去沖縄」関連報道</li>
<li>墾丁國家公園管理處による通信ビッグデータ活用説明資料</li>
<li>國立海洋生物博物館「夜宿海生館」公式資料</li>
<li>墾丁國家公園第五次通盤檢討関連資料</li>
<li>墾丁國家公園管理處 エコツーリズム関連資料</li>
<li>台湾電力公司・核三廠除役関連資料</li>
<li>台湾観光業界報道（墾丁リゾート投資・ホテル開発関連）</li>
</ol><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-kenting-yoshiyachi/">親子滞在型リゾートとして台湾リゾート・墾丁　[コラムvol.542]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
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		<title>地方観光地の人材不足にどう向き合うか　―地域単位で取り組む3温泉地の事例から―　[コラムvol.541]</title>
		<link>https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-tourism-workforce-yamamoto/?utm_source=rss&#038;utm_medium=rss&#038;utm_campaign=column-tourism-workforce-yamamoto</link>
		
		<dc:creator><![CDATA[webkamitomo]]></dc:creator>
		<pubDate>Wed, 13 May 2026 04:06:59 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[<p>はじめに 人口減少が進む中、日本各地の観光地で人材不足が深刻化している。観光地で働く人材が確保できないことには、来訪する観光客に対し質の高いサービスを提供できないどころか、施設や地域の存続そのものが危ぶまれる事態となる。･･･</p>
<p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-tourism-workforce-yamamoto/">地方観光地の人材不足にどう向き合うか　―地域単位で取り組む3温泉地の事例から―　[コラムvol.541]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<h3>はじめに</h3>
<p>人口減少が進む中、日本各地の観光地で人材不足が深刻化している。観光地で働く人材が確保できないことには、来訪する観光客に対し質の高いサービスを提供できないどころか、施設や地域の存続そのものが危ぶまれる事態となる。</p>
<p>人材不足への対応には、大きく2つの側面があるということができる。新たな人材を地域に呼び込む「確保」と、人材を地域で育て、長く働き続けてもらうための「育成・定着」である。これらに個々の施設で取り組むことも可能だが、人手が限られる中で、施設規模も小さい事業者が単独で十分な対策を講じることは容易ではない。こうした課題には、個々の施設の経営努力に加え、地域として協力して取り組むことが有効と考えられる。</p>
<p>本コラムでは、地域として人材不足の課題に取り組んでいる3つの温泉地の事例を取り上げる。それぞれの取組から、地方観光地における人材確保・育成・定着のあり方を考えてみたい。（写真提供：熊本県観光連盟）</p>
<h3>事例① 黒川温泉　―地域として採用し、地域として育てる―</h3>
<p>熊本県阿蘇地域に位置する黒川温泉は、30軒の旅館が集まる小規模な温泉地である。黒川温泉観光旅館協同組合は、2020年以降、人材の確保と育成に組合全体として取り組む体制を整えてきた <sup>1)</sup>。</p>
<p>まず人材確保の面では、組合が取りまとめの役割を担っている。「黒川温泉おもてなし体験インターンシップ」<sup>2)　※2</sup>は、個々の旅館が単独で学生にアプローチするのではなく、温泉地全体としてインターンシップの募集を行う取組である。参加者は各旅館での仕事体験に加え、共通プログラムとして黒川温泉という地域そのものについて理解する時間を持つ。また採用面では、組合のウェブサイトに各旅館の採用情報が集約されており、複数旅館への応募も可能である。条件面ではなく、従業員の働き方や暮らし方、経営者の思いといった、その地域・その施設で働くことの意味が前面に出されており、「○○旅館で働きたい」という人だけでなく、「黒川温泉で働きたい」という人を受け入れられる仕組みになっている。</p>
<p>育成の面でも、組合は階層別のプログラムを用意している。新入社員が参加する「合同入社式」では、黒川温泉の歴史や地域資源に触れるワークショップを通じて、この地域で働く意義を感じてもらう。また中堅層向けには、次世代リーダー育成プログラム「黒川塾」を開催している。旅館の従業員にとどまらず、「地域の観光人材」としての視点や視座を養い、キャリア意識を醸成することを目的に、キャリアデザインの考え方、地域文化の理解、旅館の魅力づくり等に関連するカリキュラムを設定している。経営者層に対しても人材育成研修を実施し、各旅館での取組をサポートしている <sup>1)</sup>。</p>
<p>これらの取組の背景には、黒川温泉が長年大切にしてきた「黒川温泉一旅館」という考え方がある。温泉地全体を一つの旅館として捉える、地域一体での観光地づくりの思想である。料理やサービスといった個々の施設の競争領域は各旅館が切磋琢磨する一方、人材の採用・育成という、地域全体の持続性に関わる領域については、組合として面で取り組む。この役割分担が、黒川温泉の人材戦略の特徴といえる。</p>
<figure>
<div style="text-align: center"><img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2026/05/column541_1.png" alt="研究員コラム" width="90%"></div>
<div style="text-align: center"><figcaption>黒川塾の様子<sup>※1</sup></figcaption></div>
</figure>
<h3>事例② 嬉野温泉　―日本語学校が「嬉野で暮らす入口」になる―</h3>
<p>佐賀県の嬉野温泉では、温泉旅館の敷地内に日本語学校が開校するという、ユニークな取組が始まっている。</p>
<p>この取組を進めているのは、嬉野温泉の老舗旅館・和多屋別荘である。同館の敷地内に2024年4月に開校した「ICA国際会話学院 嬉野校」は、文部科学大臣が認可した日本語学校で、アジア・中央アジアを中心とする海外人材に向けた日本語教育を提供する。学校の運営は外部法人が担うが、教室には和多屋別荘の現在使われていない宴会場を活用しており、温泉旅館と日本語学校が文字通り隣り合って存在している。</p>
<p>ただし、この日本語学校は旅館の従業員養成を目指すものではない。生徒は嬉野での就職や旅館での就職を目指して入学したわけではなく、日本語を学ぶ場所がたまたま嬉野にあったにすぎない。しかし、嬉野で暮らす中で愛着を抱く学生、学業の傍ら旅館でアルバイトをすることで旅館での就職を視野に入れる学生も現れている。学生のアルバイトは目下の人材不足の解消にもつながっており、地域にとって現在と将来の双方に意義がある。</p>
<p>当初から「嬉野で働きたい」と思っている人を集めるのではなく、まずは「嬉野で暮らし、学ぶ」という入口を地域として用意することで、結果として地域に根づく人材が育つ可能性を広げるという嬉野温泉の取組は、海外人材との接点づくりにおける一つの新たな試みといえるだろう。</p>
<figure>
<div style="text-align: center"><img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2026/05/column541_2.png" alt="研究員コラム" width="90%"></div>
<div style="text-align: center"><figcaption>旅館の宴会場フロアを活用した日本語学校</figcaption></div>
</figure>
<h3>事例③ 草津温泉　―外国人材を「労働力」ではなく「同じ地域の住民」として迎える―</h3>
<p>群馬県の草津温泉は、人口約6,000人の規模で、年間約400万人の観光客を受け入れている、観光に特化した町である。その担い手として外国人材の存在感が年々大きくなっており、現在では町の人口の約1割以上を外国人が占めるとされている<sup>3)</sup>。</p>
<p>草津温泉観光協会DMOには、2016年に発足した人材育成部会がある。合同入社式、若手従業員と地元住民が交流する月例イベント「あつまらナイト！」、地域の観光要素や生活のヒントを盛り込んだ動画制作など、地域全体で人材を確保・育成・定着させるための取組を継続してきた。</p>
<figure>
<div style="text-align: center"><img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2026/05/column541_3.png" alt="研究員コラム" width="90%"></div>
<div style="text-align: center"><figcaption>あつまらナイト！の様子<sup>※3</sup></figcaption></div>
</figure>
<p>近年、人材育成部会が特に力を入れているのが、外国人材との共生である。職場での外国人スタッフの受入れは進む一方で、家族（特に日本語に触れる機会の少ない母親等）の地域への溶け込み、ごみ出しなどの生活ルールの共有、食文化の違いへの相互理解といった、暮らしの場面における課題が顕在化している。同部会会長の中澤牧子氏は、外国人材を「単なる労働力の補填ではなく、ともに地域を支え地域を作る仲間」として迎える必要があると述べている<sup>4)</sup>。</p>
<p>こうした認識のもと、2025年5月には地元の旅館を会場に、地域住民・旅館関係者・行政・外国人住民らが一堂に会する多文化共生イベント「多文化共生会議 in 草津温泉」が開催された<sup>5)</sup>。母国文化の紹介や食を通じた交流が行われ、「同じ地域に暮らす住民」として顔の見える関係を築く第一歩が踏み出されている。</p>
<h3>まとめ　―人材不足対応は地域全体の課題―</h3>
<p>地方観光地における人材の確保・育成・定着は、もはや個々の施設の経営課題にとどまらず、地域全体で取り組むべき課題であるといえる。3つの事例から見えてきた、地域として人材の課題に取り組む意義・メリットを以下に挙げる。</p>
<ul>
<li>確保：旅館単体での取組では訴求力に限界があり、地域としての入り口やきっかけの作成が効果を発揮し得る。（黒川温泉のインターン・採用サイト、嬉野温泉の日本語学校）</li>
<li>育成：個々の旅館を超えたコミュニティの中で、地域文化への理解を深め、自分なりのキャリアを描いていくことが、人材の長期的な成長と定着につながる。さらに、温泉地のように事業者がまちづくりに主体的に関与する地域では、こうした人材の育成は、地域そのものを担う人材の育成へとつながりうる。（黒川温泉の地域同期構想、黒川塾）</li>
<li>定着：職場の中だけでなく、暮らしの場面における課題への対応が欠かせない。これは施設単独では対応しきれない領域であり、地域を巻き込んだ取組によって初めて成り立つ。（草津温泉の多文化共生）</li>
</ul>
<p>これらの事例に共通するのは、人材を「事業者の従業員」としてだけでなく、「地域の担い手」「地域に暮らす住民」として迎え、育て、住み続けてもらうという考え方である。このように人材を地域全体で支えるという視点に立てば、長く働き、暮らす場としての魅力を、地域全体で高めていく必要があるといえる。</p>
<p>もっとも、これらの取組によって人材不足の解決に至れるかというと、課題は多い。地方の人口減少は今後さらに進み、加えて観光・宿泊業は人手不足が構造的な課題となっており、労働条件の改善も含めた対応が業界として問われている。このように地域単位の工夫だけでは解決し切れない問題も多く、より抜本的な改革や観点の転換が求められる側面もある。海外人材を地域の担い手として迎えるという発想についても、生活基盤を長期的に支え続けられるか、子の世代の教育・進路をどう保障するかなど、迎える側の責任は重い。これらの取組はまだ始まって間もなく、長期的な視点に立ち、課題と向き合いながら継続的に検討と改善を重ねていくことが求められる。</p>
<h4>【参考文献】</h4>
<ul style="list-style-type: none">
<li>1)	黒川温泉観光旅館協同組合「キャリアサポート」黒川温泉採用情報サイト，<br /><cite>https://www.kurokawaonsen.or.jp/recruit/support/</cite></li>
<li>2)	黒川温泉観光旅館協同組合「黒川温泉おもてなし体験インターンシップ」SMOUT,<br /><cite>https://smout.jp/plans/17810</cite></li>
<li>3)	全国27市区町村で外国人住民が1割超　群馬県は大泉で21.3％、草津で10.5％　工業や観光の担い手に, 上毛新聞, 2025/11/7, 上毛新聞電子版,<br /><cite>https://www.jomo-news.co.jp/articles/-/803545</cite></li>
<li>4)	公益財団法人日本交通公社（2025）：「温泉まちづくり研究会2024年総括レポート」，pp.9-12,38-39.</li>
<li>5)	JICA東京高崎分室「多文化共生会議 in 草津温泉が開催されました！」JICA, 2025/6/5,<br /><cite>https://www.jica.go.jp/domestic/tokyo/information/topics/2025/1570042_67054.html</cite></li>
<li>※1 黒川温泉観光旅館協同組合より写真提供</li>
<li>※2 2025年度は「黒川温泉オープンカンパニー」として実施。</li>
<li>※3 草津温泉観光協会より写真提供</li>
</ul><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-tourism-workforce-yamamoto/">地方観光地の人材不足にどう向き合うか　―地域単位で取り組む3温泉地の事例から―　[コラムvol.541]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
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		<title>京都、レジリエントな都市の系譜 ―150年の知恵を次代の観光へ―　[コラムvol.540]</title>
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		<dc:creator><![CDATA[webkamitomo]]></dc:creator>
		<pubDate>Tue, 21 Apr 2026 02:36:41 +0000</pubDate>
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					<description><![CDATA[<p>はじめに 今年は、当財団の前身であるジャパン・ツーリスト・ビューロー（以下、ビューロー）が設立されて115年目にあたります。また、沖縄に続き、当財団2箇所目の地方事務所として「京都事務所（JTBF京都観光レジリエンス研究･･･</p>
<p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-exhibition-fukunaga/">京都、レジリエントな都市の系譜 ―150年の知恵を次代の観光へ―　[コラムvol.540]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></description>
										<content:encoded><![CDATA[<h3>はじめに</h3>
<p>今年は、当財団の前身であるジャパン・ツーリスト・ビューロー（以下、ビューロー）が設立されて115年目にあたります。また、沖縄に続き、当財団2箇所目の地方事務所として「京都事務所（JTBF京都観光レジリエンス研究センター）」を立ち上げてから1年が経過しました。</p>
<p>2025年度は京都の事業者の皆様にもご協力いただき、<a href="/book/tourism-culture/tourism-culture-267/">機関誌「観光文化267号：高付加価値観光の本質」</a>を発行した他、<a href="/seminar-symposium/doukou2025/">第35回旅行動向シンポジウム「価値を創り、価値を呼ぶ 地域が主役の高付加価値ツーリズムの実現に向けて」</a>を京都で開催しました。そして、今年度は交流機能や知財のストック（旅の図書館の分館）を備えた新しい京都事務所に深化させていくことを計画しています。</p>
<p>本コラムでは、私たちがなぜ京都を拠点にして研究活動を行うのか、そして名称に掲げた「レジリエンス」という言葉にどのような想いを込めているのか。京都の観光政策のルーツを紐解きながら、ご紹介したいと思います。</p>
<h3>観光政策の礎となった京都博覧会</h3>
<p>近代京都の歴史は、未曾有の危機から始まりました。1869（明治2）年の東京奠都により、人口減少と産業の衰退という深刻な危機に直面しました。京都府参事であった槇村正直は殖産興業に力を入れ、外国人技術者の招聘や工場の整備、職業教育を目的とした学校の建設等を進めていました。こうした中で、地元の豪商であった熊谷久右衛門、三井八郎右衛門、小野善助らによって企画されたのが「京都博覧会」でした。彼らは京都府の協力の元、1871（明治4）年10月10日から33日間の会期で、西本願寺書院を会場に日本初となる「博覧会」を開催し、陳列品336点、11,211人の観客を集めました。そして終了から4日後には彼らが主体となって京都府の協力を取り付け、半官半民の「京都博覧会社」を設立。翌1872（明治5）年3月には、規模を拡大した「第1回京都博覧会」が、本願寺、知恩院、建仁寺を会場に開催されました。以降、規模や名称は変えながらも昭和初期に至るまで、ほぼ毎年開催されることになります。</p>
<h4>先駆的な外国人受入環境の整備</h4>
<p>当時、海外の博覧会の存在は福沢諭吉の『西洋事情』などで紹介されていましたが、明治初期の外国人の行動範囲は開港地や居留地に限定されており、他地域への移動には「内地旅行免状」が必要でした。そこで、京都博覧会社は1871（明治4）年12月に「外国人入京御許可伺」を政府に申請。翌年2月には許可がおりました。一方で、来訪客によるトラブルの可能性も考慮し、英国領事館は補償金を預かることでトラブル時に備えていました。また、会場内には袖章をつけた「ポリス」を配備したほか、英語の立入禁止サインを設置するなど、治安維持にも万全を期していました。</p>
<ul style="overflow: hidden;width: 100%;margin-top: 40px;list-style-type: none;padding-left: 0">
<li style="float: right;width: 30%;margin-left: 20px">
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    </li>
<li>
<p style="margin-top: 0 !important;padding-top: 0 !important;line-height: 1.6">
            京都に到着した外国人は、寺町四条下ルにあった大雲院（外国人応接所）に赴き、そこから宿泊施設へ案内されました。宿泊費は3段階に分かれており、公使等の貴賓に対しては知恩院等の塔頭5箇所を、一般の外国人には19の宿を用意しました。食事も神戸のホテルから料理人を招き、パン、ローストビーフ、ワイン、コーヒーといった本格的な西洋料理を提供しました。
        </p>
<p style="line-height: 1.6">
            通訳は、長崎、足羽、豊岡、大阪等から通訳官を招聘し、各会場で交代で対応にあたりました。そして1873（明治6）年には、京都博覧会を訪れた外国人のため、京都府顧問であった山本覚馬が日本で最初の英文ガイドブック『THE Guide TO THE CELEBRATED PLACES IN KIYOTO &amp; THE SURROUNDING PLACES』を制作しました。
        </p>
<p style="line-height: 1.6">
            外国人の受け入れが未知の領域であった当時、多様な組織と連携しながら、極めてきめ細やかな受入環境を構築していたことがうかがえます。
        </p>
</li>
</ul>
<h4>住民とともに作り、住民自身が楽しむ京都博覧会</h4>
<p>博覧会は国内外の集客だけでなく、徹底して「住民のため」のものでもありました。1872（明治5）年3月には市民向けの広報誌『博覧新報』を発行し、博覧会開催の意義や出品物等の情報を解説しました。博覧会は「半日の見学が十年の読書に勝る」として学校生徒の来場を促し、無料入場が制度化され、同年には女紅場（女子教育機関）の生徒7,531人が来場しました。</p>
<p>さらに、住民の参画意識を高める工夫も凝らされました。一部町内には会場周辺を清掃するための費用（清掃費）が付与された他、住民自らも「案内役」として参画しました。そして第１回博覧会からは娯楽的要素（附博覧）が追加され、今では京都の春の風物詩となっている「都をどり」の他、能の公演や花火、競馬、抹茶の提供などが行われました。また、来場した住民に紅白祝餅を配るなど、教育的側面と娯楽的側面から盛り上げる演出がなされました。</p>
<p>旧皇室典範（1889（明治22）年）によって、即位礼の一部や重要な儀式は京都で実施されることが定められますが、毎年開催された京都博覧会も大礼記念のタイミングには盛大にとり行われました。例えば、1895（明治28）年に平安遷都千百年紀念祭とあわせて開催された「第四回内国勧業博覧会」では、日本最初の路面電車が京都に開業します。この時に平安神宮が創建され、博覧会会場の跡地は岡崎公園として整備されました。また、京都の三大祭の一つである時代祭もこの博覧会を契機に開始されました。</p>
<p>このように数々の博覧会を開催し、国内外から多くの喜賓、来訪客を受け入れてきた京都市は、1930（昭和5）年に行政として初めて観光課を設置します。1932（昭和7）年には全国の観光協会等とともに日本観光地連合会を結成するなど、日本の観光行政を牽引してきました。</p>
<h3>ビューローの原点と京都 ―日本初の「観楓列車」と英語ガイドブックの誕生</h3>
<p>当財団の前身であるビューローが発足したのは、1912（明治45）年のことです。設立の立役者となったのは京都（現・京丹後市）出身の木下淑夫（リンク：https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-kinoshita-bureau-fukunaga/）で、国の鉄道事業をサービスや制度面において大きく発展させた人物として知られています。ビューロー設立に先立つ1902（明治35）年には、国（鉄道作業局）として初めて、新橋（東京）から京都までを結ぶ京都回遊臨時列車（観楓列車）を走らせるなど、早くから京都の観光価値に着目していました。</p>
<ul style="overflow: hidden;width: 100%;margin-top: 40px;list-style-type: none;padding-left: 0">
<li style="float: right;width: 30%;margin-left: 20px">
        <img decoding="async" src="https://www.jtb.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/column540_image2.jpg" alt="" style="width: 100%;height: auto;margin: 0">
    </li>
<li>
<p style="margin-top: 0 !important;padding-top: 0 !important;line-height: 1.6">
            そして、ビューローとして初めて有料（30銭）で販売した英語ガイドブックも、京都を対象とした『MAP &amp; GUIDE OF KYOTO AND ENVIRONS』（1915（大正4）年）でした。ビューローとしても設立直後から海外のポスターやガイドブックを収集・分析し、当時三越の図案部にいた杉浦非水に表紙デザインを依頼する等、出版物には非常に力を入れていました。当時、海外で高い知名度と完成度を誇っていたマレーやテリーによるガイドブックも参考にしつつ、職員が自ら現地に赴き、正確性にこだわって編纂されたのがこの一冊でした。
        </p>
</li>
</ul>
<h3>おわりに　京都、レジリエントな都市の系譜 — 150年の知恵を次代の観光へ</h3>
<p>2026年3月に「京都観光・MICE振興計画2030」（リンク：https://www.city.kyoto.lg.jp/sankan/page/0000351851.html）が策定されました。京都の観光政策を紐解くと、その源流は明治期の京都博覧会、いわゆる「MICE」にあることがわかります。鉄道省の外局として国際観光局を設置した1930（昭和5）年に先駆けること半世紀以上も前から、京都では産業振興、市民教育、そして都市の発展を見据えたツールとして観光を位置づけ、官民一体となって戦略的に展開してきました。そして戦後以降も、京都は全国に先駆け文化財保護や景観政策などを打ち出してきました。</p>
<p>「京都は恵まれている」「京都だからできる」と評されることがあります。しかし歴史を紐解いてみれば、常に最先端の課題と向き合い、その都度しなやかな施策を講じてきたからこそ、今の京都があると言えます。</p>
<p>京都事務所の通称に「レジリエンス」という言葉を掲げたのは、変化の激しい時代において地域の観光に求められるのは、困難をしなやかに乗り越え、より良い形へと進化させる力、すなわち「レジリエンス」であると考えているからです。</p>
<p>この稀有な歴史の蓄積と課題解決のプロセスを「形式知」として整理しつつ、多様な研究・交流機会を創出しながら現代の難局を切り拓くヒントを見出していけたらと考えています。今後の京都事務所の活動と展開に、ぜひご期待ください。</p>
<h4>【参考文献】</h4>
<ul>
<li>『京都博覧会沿革誌』京都博覧協会、1903年</li>
<li>『京都博覧協會史畧』大槻喬編、京都博覽協會、1937年</li>
<li>『博覧新報』博覧会社編、1872年</li>
<li>「明治初期京都の博覧会と観光」工藤泰子、京都光華女子大学研究紀要、2014年</li>
<li>「明治四年京都博覧会について」畑智子、京都文化博物館研究紀要『朱雀』第25集、2013年</li>
<li>『万国博覧会の研究』吉田光邦編、思文閣出版、1986年</li>
<li>『THE Guide TO THE CELEBRATED PLACES IN KIYOTO &amp; THE SURROUNDING PLACES』山本覚馬・丹羽圭介・石田旭山、1873年（写真は復刻版）</li>
<li>『国鉄興隆時代 : 木下運輸二十年』青木槐三, 山中忠雄 編著、日本交通協会、1957年</li>
<li>「MAP &amp; GUIDE OF KYOTO AND ENVIRONS」ジャパン・ツーリスト・ビューロー、1915年</li>
<li>観光文化259号「ポスト・コロナの観光地マネジメント～京都市～」、（公財）日本交通公社、2023年</li>
</ul><p>The post <a href="https://www.jtb.or.jp/researchers/column/column-exhibition-fukunaga/">京都、レジリエントな都市の系譜 ―150年の知恵を次代の観光へ―　[コラムvol.540]</a> first appeared on <a href="https://www.jtb.or.jp">(公財)日本交通公社</a>.</p>]]></content:encoded>
					
		
		
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