観光地における規制条例に関する研究(2025年度)

概要

観光地における規制条例に関する研究(2025年度)

一部の観光エリアでは、開発圧力の高まりに伴い、景観の毀損や地価の高騰等の問題が顕在化した。他方で、都市計画法に代表される画一的な規制手法では、こうした動態的な課題に対して機動的に対応することが困難な場合も多いことが確認された。

本研究では、このような問題意識の下、「観光自治体」という概念に着目し、その制度的意義および実務上の展開可能性と限界について、理論面および実務面の双方から検証を行った。

具体的には、第1に、権限移譲・権限創出・財政措置の三軸を設定し、日本における観光地マネジメントに関する制度的制約を構造的に整理した。第2に、カナダ・ブリティッシュコロンビア州(ウィスラー、サンピークス)やフランス、イタリアにおける関連制度および運用実態を対象として、観光自治体に相当する制度的枠組みの形成過程と機能について比較分析を行った。

さらに、これらの分析を踏まえ、日本において観光自治体を実装する上で中核的課題となる「権限創出」の具体的条件(財産権、営業の自由等との関係性)を検討する観点から、カタルーニャ州における民泊の総量規制や、アムステルダム市における商業多様性規制の事例を分析し、観光地における規制の正当化を支える立法事実の構築および提示の方法論を整理した。

各調査の概要・調査レポート

  • 日本の制度的制約の構造的整理
    旅館業法・建築基準法・都市計画法等の許認可制度と自治体条例の実効性のギャップを分析し、観光地マネジメントにおける制度的限界を三軸に基づき整理した。
  • 海外の観光自治体制度の比較分析
    カナダBC州の三本柱(州有地開発政策・リゾート自治体制度・強制会員制観光協会)を中心に、ウィスラーからサンピークスへの制度展開過程を分析した。あわせて、フランスの観光コミューン/観光リゾート制度、イタリアの州法委任型制度についても、財政構造を含めて比較検討した。
  • 権限創出の法的条件の検討(財産権、営業の自由等との関係性)
    カタルーニャ州の民泊総量規制に対するスペイン憲法裁判所の判断や、オランダ・アムステルダム市の商業多様性規制に対する国家評議会の判断等を分析し、立法事実に基づく規制正当化の論理構造を整理した。

この研究・事業の分類

分野 観光政策・観光地経営 観光政策
エリア 全国
自主/受託 自主
自主事業区分 自主研究
発注者 公益財団法人日本交通公社
プロジェクトメンバー 池知 貴大
実施年度 2025年度