バルセロナから考える
観光都市のマネジメント

 今日、観光は都市現象に内在し、そして都市を構成する要素の一つでもある。観光客の行動は、インフラストラクチャーやイメージ、様々な経済活動を通じて、あるいは時に彼らの行動そのものによって世界中で都会的な生活を形成することに貢献しているが、同時に、住民への摩擦、緊張、負担も生み出している。つまり観光は、都市の構築と変容、その生産と消費パターンを通じて実質化するとともに、しばしば社会経済的不平等と分断の動きを強めてしまう。したがって現代の都市は、他の都市現象と同様に、観光を規制し、統治すべきコレクティブな問題としてとらえ、同時に、どのような都市空間を構築するかを規定する要因としても位置付ける必要がある。
 バルセロナにおける近年の最も大きな変化の一つは、観光をめぐる議論が広く一般市民の関心事となったことだ。実訪問者数が2024年には1,550万人に達し、それが様々な影響を及ぼしたことで、我々が「観光」と呼ぶ枠組みに、賛否の声、多様なテーマ、そして対立の争点が生まれ、そのあり方をめぐって目に見える形で多元的な議論が巻き起こった。
 もはや観光という特定分野に限定された専門的知見、マーケティング手法、業界の利益といった議論は意味をなさない。観光は、都市とその周辺を含めた地域全体にとっての機会や課題を考慮した、より広範なアジェンダに統合されねばならない。つまり、観光を大都市圏の社会経済的な力学に内在するものとしてとらえるためには、観光が都市の構造に一定の責任を有しているということだけでなく、むしろ都市空間の生産メカニズムそのものが観光活動の発展を可能にしてきたということを考慮すべきであり、それこそが議論の核心である。
 この文脈において、バルセロナは都市政策を通じて観光の負の影響に対処するために観光そのものを規制する必要があると認識した欧州初の都市の一つである。とりわけ、2017年に承認された「観光用宿泊施設特別都市計画(PEUAT)」は、最も重要な規制措置であった。
 PEUATは、市の中心部における宿泊施設の新設を禁止すると同時に、民泊の許可を凍結することで、都市における宿泊の供給量を制限することを可能にした。そしてこの計画は、観光業界の枠組みを超えた多様な参加者による公開討論を経て承認された。そのため住民グループ、居住の権利や環境保護に関する活動家などの意見が反映されたものとなっている。民泊を含めた宿泊施設の供給動向が住宅市場や都市のモビリティ、従来型の商工業の衰退に与える影響に関する長期的なモニタリングのデータ分析を踏まえたものでもある。
 PEUATは、技術的にも法的にも妥当なものであり、広範な政治的合意に基づいて継続的に支持されているにもかかわらず、解決されるべき課題も多い。例えば、PEUAT単体では、バルセロナのオーバーツーリズムを完全に抑制するには不十分であることも分かっている。特に混雑が顕著なエリアでの訪問者数の規制、観光利用のための持続可能なモビリティ政策、違法民泊への罰則強化といった取り組みはオーバーツーリズム対策には欠かせない。
 さらに、観光がグローバルな現象であることを踏まえれば、国や欧州全体のレベルで対策を拡大する必要もある。
具体的には、空港拡張の中止、観光に伴う二酸化炭素排出への課税、搾取的なデジタルプラットフォームの規制、観光業における労働者の権利保護などは急務だろう。
 観光都市をマネジメントするには、もちろん技術的なツールも重要だ。しかし、何よりも大切なのは、多くの住民にとって住みやすく活気ある都市の未来を実現するという、本質的な課題に対する政治的認識ではないだろうか。