セミナー・シンポジウム

平成27年度「観光地経営講座」

2015年6月25日(木)・26日(金)
平成27年度「観光地経営講座」

6月25日~26日にかけて「観光地経営講座 観光地経営の“8つの視点”と実践 ~地域はインバウンドをどう捉えるか?-地域主体の戦略を考える~」を開催しました。

昨年度より「観光基礎講座」と「観光実践講座」を統合し、リニューアルした同講座ですが、今回は「市場創出(新たな魅力と市場をつくる)」に焦点をあて、特にアジアを中心とするインバウンド市場への対応について9つの講義を行いました。

地域の立ち位置や魅力を再認識した上で選択と集中により地元資源を磨き上げていった事例、顔の見える関係を大切にし、戦略的かつ地道にマーケットに売り込んでいくプロモーションの方法、住民と一体となって取り組みを行うことで地域全体が変わっていった様子など、いずれも国、県、宿泊施設、NPOの立場からの実践に基づいたヒントが随所にちりばめられた内容でした。

最後の総括ディスカッションでは、講師の皆様と参加者が一体になり、熱い議論をかわしました。

詳細につきましては、後日、報告書等で公開いたします。

(2015/7/3 福永香織)

平成27年度「観光地経営講座」の概要

テーマ 観光地経営の“8つの視点”と実践 ~地域はインバウンドをどう捉えるか?-地域主体の戦略を考える~
開催日時 2015年6月25日(木)~26日(金)
会場 公益財団法人 日本交通公社 大会議室
東京都千代田区大手町2-6-1 朝日生命大手町ビル17階
03-5255-6074
JR東京駅 日本橋口から徒歩2分
東京メトロ 大手町駅 日本橋寄りB6出口から徒歩1分
主な対象者 観光による地域振興に携わる地方自治体のご担当者
観光関連事業・商工会議所などのご関係者
主催 公益財団法人日本交通公社
協力 観光庁、岐阜県、NPO法人シクロツーリズムしまなみ、信州白馬八方温泉しろうま荘

スケジュール

■6月25日 (木)

9:45 開場
10:00 開講
10:10

◆講義1.観光地経営の視点と実践~8つの視点を概観する
本講義では、まず観光地の現状と課題から「観光地経営」の必要性について考え、「観光地経営」を定義します。また、観光地経営の目的と経営指標についてお話しします。その後、観光地経営を行うための一連の組織的活動「方針(ビジョンづくり)」、「持続的な発展に資する付加価値づくり」、「一連の活動を可能とする組織づくり・人づくり」、「持続性を担保する条件づくり」を展開するために重要な視点として、8つの視点(①状況把握 ②戦略策定 ③市場創出 ④滞在促進 ⑤保存・活用 ⑥組織・人材 ⑦ブランド形成 ⑧財源確保)の概要をお話しします。

○講師:公益財団法人日本交通公社 理事・観光政策研究部長 梅川 智也
新潟県出身。1981年筑波大学社会工学類都市・地域計画専攻卒業。同年財団法人日本交通公社入社。現在、理事・観光政策研究部長。課題解決型から個性創造型のビジョンづくり、プランづくりを心掛け、常に新しい形の「計画」の姿を追求。技術士(建設部門/都市及び地方計画)、日本観光研究学会副会長、立教大学兼任講師ほか。

11:10 休憩
11:20

◆講義2.日本人の旅行市場の動向
本講義では、本講座の受講に際しご理解いただきたい旅行市場のうち、日本人の旅行市場(国内旅行及び海外旅行)の動向やニーズ等について、観光統計や当財団で実施した「JTBF旅行実態調査」「JTBF旅行需要調査」の結果等をもとに解説します。

○講師:公益財団法人日本交通公社 観光政策研究部 主任研究員 牧野 博明
広島県出身。1995年東京大学大学院工学系研究科土木工学専攻修了。同年財団法人日本交通公社入社。現在、観光政策研究部主任研究員。産業観光や観光交通等の研究に携わる。高崎経済大学非常勤講師ほか。

12:20 昼食休憩
13:20

◆自己紹介タイム~自らの地域の課題を再確認し、受講者間で共有する
受講者には、講座受講前に「自己紹介シート」(所属団体/役職/観光に関わっている期間/現在の課題・問題意識/当講座への期待(最も学びたいこと、期待する講義など)等)にご記入いただきます。お一人ずつ簡単にお話しいただき自らの地域の課題を再確認するとともに、受講者間で共有することで、課題解決のヒントを見いだす一助とします。

○進行:公益財団法人日本交通公社 観光政策研究部 主任研究員 牧野 博明

14:20 休憩
14:30

◆講義3.インバウンドFIT客の地方分散化について
【キーワード等】インバウンドの分散化 等

インバウンド旅行者数はここ数年で急激に増加しており、2013年には初めて1,000万人を突破、続く2014年は1,341万人にまで拡大しました。インバウンドには、為替や自然災害、地政学的要因というリスクが伴いますが、日本人の国内旅行が成熟するなかで、のびしろの大きなインバウンドへの期待は高く、インバウンド振興による地域活性化を模索している地域も増えています。
本講義では、アジアを中心とするインバウンド旅行市場の動向やニーズ等について、観光統計や当財団の自主研究として実施した「5か国・地域調査」の結果等をもとに解説します。今回は、「地方分散化」をキーワードに、これまでのゴールデンルート(大都市)中心の旅行から各地(地方)へと拡がっていく可能性について言及します。そして、今後地方がインバウンドを受け入れるために必要となる環境整備や対応策について、提案いたします。

○講師:公益財団法人日本交通公社 観光政策研究部 主任研究員 相澤 美穂子
1998年北海道大学大学院理学研究科修了、2006年3月筑波大学大学院芸術研究科世界遺産専攻修了。2006年財団法人日本交通公社入社。現在、観光政策研究部 主任研究員。旅行マーケット分析、観光統計の作成等に携わる。データ分析ばかりではなく、常にアンテナを張り巡らせ自分の目や耳でマーケットの“今”を捉えることを信条に、調査研究に取り組む。琉球大学非常勤講師ほか。

15:30 休憩
15:40

◆講義4.地域におけるインバウンド対応策について ~岐阜県の取り組み~(仮)
【キーワード】地域のインバウンド対応、地域の活性化 等

岐阜県では、2009年から外客戦略プロジェクトに力を入れています。インバウンド旅行者の誘致に際しては、プロモーションを行うだけでなく、部局間の連携をしっかりと行うことにより、観光資源の見直しや人材育成も同時に推進しています。また、民間組織との連携も充実させ、役割分担を明確にしています。これらのことは言葉で表すと簡単ですが、実行するのは容易ではなく、県庁職員や民間組織の理解・協力が不可欠です。この対応だけであっても、苦労されている自治体は多いのではないでしょうか。
本講義では、岐阜県の外客戦略プロジェクトの考え方やこれまでの取り組み内容、課題等について古田氏にご講演いただき、それをもとに地域におけるインバウンド推進方策・対応策のあり方について考えます。

○講師:岐阜県 観光国際戦略顧問 古田 菜穂子 氏
岐阜市生まれ。大学卒業後、新聞記者、TVディレクター、ライター、映画プロデューサー等として活動、その後岐阜と東京を中心にアートによる地域活性化をめさした各種イベントの企画制作等に携わる。2009年4月、新設された岐阜県観光交流推進局長に就任し、人材育成、地域資源の再発見・ブラッシュアップなどを行うとともに、岐阜県の観光・食・モノ・人を一体化した独自のパッケージブランド戦略と、戦略的かつきめの細やかなパーソナル・リーチ型スタイルでのプロモーションを実施。2013年からは、非常勤の岐阜県・観光交流推進局顧問として、観光プロデュース等に従事。2013年12月より山形県ASEAN戦略アドバイザー、2014年4月より公益財団法人岐阜県教育文化財団総括アドバイザーを兼任。

16:50 休憩
17:00

◆講義5.都道府県等へのアンケート調査におけるインバウンドへの対応
【キーワード等】都道府県におけるインバウンド対応 等

インバウンドは、地域の観光政策において、どのような位置づけとなっているのでしょうか。また、具体的にどのような対応がされているのでしょうか。
本講義では、観光庁、高崎経済大学、横浜商科大学、(株)JTB総合研究所の参画のもと、当財団の自主事業として昨年度実施した「都道府県及び政令指定都市の観光政策に関するアンケート調査」の結果をもとに、各都道府県及び各政令指定都市におけるインバウンドに対する考え方や対応状況(対象国・地域及び実施内容等)について解説します。

○講師:公益財団法人日本交通公社 観光政策研究部 主任研究員 牧野 博明

17:30 休憩
17:40 意見交換・交流会(~19:10まで)

■6月26日 (金)

8:45 開場
9:10

◆講義6.我が国のインバウンド政策について(仮)
【キーワード等】国のインバウンド政策、国の活性化 等

平成15年(2003年)のビジット・ジャパン事業の開始、そして平成18年(2006年)の観光立国推進基本法の制定を皮切りに、我が国のインバウンド推進への本格的な取り組みがスタートしました。現在に至るまでに様々なインバウンド推進策が講じられた結果、東日本大震災等の影響を受けつつも総じてインバウンド旅行者数は増加傾向にあり、「東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までに2,000万人の高みを目指す」との目標に向けた取り組みが進められています。
本講座では、これまでのインバウンド推進策の実施状況及び今後の方向性等について佐藤氏にご講演いただき、それをもとに国の政策に対する地域の役割や地域が取るべき方策等について考えます。

○講師:観光庁国際観光課 外客誘致室長 佐藤 久泰 氏
1993年東京大学法学部卒業。同年北海道開発庁入庁。北海道開発局釧路開発建設部次長、国土交通省北海道局予算課企画官、国土交通省総合政策局物流政策課物流環境政策室長、同課企画室長を経て、観光庁国際観光課外客誘致室長となり現在に至る。外客誘致のための政策立案などに精力的に取り組んでいる。

10:20 休憩
10:30

◆講義7.宿泊の現場からみたインバウンド旅行者の現状(仮)
【キーワード等】インバウンド旅行者の動きや反応、おもてなし対応 等

インバウンド旅行は基本的に宿泊を伴うため、宿泊施設のインバウンド対応はとても重要です。しかしながら、利用者のニーズや反応を的確に捉え、それに合わせた対応・おもてなしを行うことは決して容易ではなく、特に言語や生活文化等の壁が高いほど意思疎通が取りにくくなるため、宿泊施設はインバウンドの受け入れに消極的になってしまいがちです。そのような現状のなかで、しろうま荘には多くのインバウンド旅行者が訪れており、高い評価を受けています。そこには、海外を含めてこれまでに多様な職種を経験された丸山氏のグローバルな視点に立った考え方のもと、しろうま荘ならではのインバウンド対応策が取られていることが挙げられます。
本講座では、宿泊現場ならではの視点からのインバウンド旅行者の様子や反応、そしておもてなし方策について丸山氏にご講演いただき、それをもとにインバウンドに対する宿泊施設の役割や宿泊施設と地域の連携方策のあり方等について考えます。

○講師:信州白馬八方温泉しろうま荘 総支配人 丸山 俊郎 氏
日本大学商学部卒業。テーマパーク勤務、オーストラリアビーチリゾートでのワーキングホリデー、外資系証券会社専属ジムトレーナーを経て、2009年にしろうま荘支配人に就任。同旅館は、2012年のワールド・ラグジュアリー・ホテル・アワードにおいて、日本初となるグローバルウィナーを受賞。旅館経営の傍ら、スキージャンプFISサマーグランプリ白馬大会をはじめ白馬村で開催されている国際スポーツ大会や公式イベントのアナウンサーやMCも務めるなど、多方面で活躍。

11:40 休憩
11:50

◆講義8.地域におけるインバウンド誘致・受け入れの具体的な取り組みについて ~瀬戸内しまなみ海道の場合~(仮)
【キーワード】インバウンド誘致・受け入れ、行政との連携 等

瀬戸内の美しい海と島々を眺めながらのサイクリングが楽しめるしまなみ海道には、多くの日本人観光客に加え、台湾をはじめとする東アジアや欧米等のインバウンド旅行者が訪れています。世界的に知名度が高まりつつあるしまなみ海道ですが、訪れているインバウンド旅行者の反応や、地域のインバウンド対応策はどのように行われているのでしょうか。
本講義では、しまなみ海道及び瀬戸内地域におけるサイクリング観光の動向、インバウンド旅行者の状況等について山本氏にご講演いただき、それをもとに現場におけるインバウンド対応の考え方、そして“サイクリング”をキーワードとする地域連携のあり方等について考えます。

○講師:NPO法人シクロツーリズムしまなみ 代表理事 山本 優子 氏
2001年より今治NPOサポートセンターにて勤務。直後に発生した芸予地震の際、災害ボランティアセンターを設置し、復興支援のコーディネーションを担当。2002年4月に同事務局長に就任、市民参加型のまちづくりに取り組む。その後、今治市島嶼部の振興に関わり、住民と共にネットワーク型の活動を展開する。2009年には、自転車旅行を通して観光交流まちづくりを進める「NPO法人シクロツーリズムしまなみ」を設立、代表理事に就任。

13:00 昼食休憩
14:00

◆講義9.総括ディスカッション
インバウンド旅行者数は1,000万人を超えましたが、訪問先はまだ一部にとどまっているのが現状です。当初、インバウンドはゴールデンルートに集中する傾向がみられましたが、その後北海道(ニセコ等)、長野(白馬等)、中京~北陸、九州(ハウステンボス等)へと訪問地が拡がりました。今後は、初めての訪日客(ビギナー)に加えてリピーターの増加も求められており、新たな地域への訪問(インバウンド旅行者の分散化)が期待されます。
一方、新たな地域が今後インバウンド旅行者を受け入れていくためには、誘致・受け入れ体制の問題(ヒト)、資源の活用の問題(モノ)、そしておもてなし及び消費を促す方法・仕組みの構築の問題(ブランド構築-ヒト・モノ)等に取り組んでいく必要があります。また、インバウンドの推進は日本人観光客への対応にも影響を及ぼす可能性があるので、インバウンド旅行者誘致のメリット(経済的な効果、ブランド構築等)とデメリット(要する時間・費用や日本人観光客への影響等)を勘案した上での判断が必要になってくるでしょう。
以上を踏まえたうえで、本講義ではまず、受講者の関心事を念頭におきつつ、2日間の講義のポイントを振り返ります。その上で、講義を通して見えてきた地域におけるインバウンドへの取り組みのメリット・デメリットを踏まえつつ、インバウンド振興・分散化の可能性及びそのために地域が取るべき具体的対応策(誘致・受入体制、資源活用、ブランド構築、日本人観光客との共存等)について講師と一緒に議論を行い、深掘りします(受講者からの質問や意見を聞きながら、Q&A方式で進めます)。

○パネリスト:
  観光庁国際観光課 外客誘致室長 佐藤 久泰 氏
  信州白馬八方温泉しろうま荘 総支配人 丸山 俊郎 氏
 NPO法人シクロツーリズムしまなみ 代表理事 山本 優子 氏

<総括>公益財団法人日本交通公社 理事・観光政策研究部長 梅川 智也
<進行>公益財団法人日本交通公社 観光政策研究部 主任研究員 牧野 博明

16:00 アンケート記入(~16:10まで)
16:10 閉講

※講義内容・講師は、やむを得ず変更となる場合がございます。