セミナー・シンポジウム

平成20年度 観光実践講座

2008年11月27日(木)・28日(金)
平成20年度 観光実践講座

地域主体の観光~新しい時代の価値観を地域から発信する

財団法人日本交通公社では、観光・地域振興関連事業の担い手である自治体の方々を対象として、「観光基礎講座」を毎年6月に開催していますが、この「観光実践講座」はその応用編として、地域の現場で実践されている方々を講師としてお招きし、具体的な考え方や実際の行動に役立つヒントをいただく内容で構成しています。

観光振興は国や地域にとってますます重要なテーマとなっていますが、大切なのは地域が主体となること、地域全体の戦略として観光をとらえることです。どのように地域の人たちをまきこみ、地域の資源を活かしていけば良いのか、各地の取り組みを参考にしながら考えましょう。そして、観光を通じ、新しい時代の価値観を地域から発信していきましょう。

観光行政のご担当者様、観光による地域振興を志す皆様のご参加をお待ちしております。

概要

テーマ 地域主体の観光~新しい時代の価値観を地域から発信する
開催日時 2008年11月27日(木)9:45(開講)~28日(金)16:20(閉講)
会場 東京都千代田区丸の内1-8-2 第一鉄鋼ビル
地下1階  D会議室 
主な対象者 観光・地域振興・リゾート関連事業に携わる地方自治体のご担当者および観光業界関係者
主催 財団法人日本交通公社

スケジュール

■11月27日(木)

9:45 開講
10:00

講義1 : 地域主体の観光の時代
社会の成熟とともに観光も変わっています。宣伝・誘客イベントを主とした観光行政から新しい観光地づくり政策へとダイナミックな転換が求められているのです。これからの観光は、地域の暮らしに根ざした地域活性化への取り組みとますます深くかかわってきます。地域が主体的に進めていくこれからの観光のあり方について、海外事例もまじえながら提言します。

<財団法人日本交通公社 常務理事 小林 英俊>

11:45 昼食
12:45

講義2 「浜名湖えんため」~新しい連携が地域を動かしブランドに
「浜名湖えんため」の正式名称は「環浜名湖の観光振興を考える会」。舘山寺温泉観光協会が中心となり行政とともに、地産地消プロジェクト、グリーン&フラワーツーリズム、ロケ誘致などに取り組んでいます。「遠州天然とらふぐ」ブランド化は、ふぐ目的客や関連土産といった新しい需要を創り出しただけでなく、地域に新たな連携を生み出しました。観光産業以外の地域の人々をどのように仲間にしてきたのか、またこれまでの活動から見えてきたことについてうかがいます。

<浜名湖えんため代表/ホテル鞠水亭 専務取締役 稲葉 大輔 氏>

14:30 休憩
14:45

講義3 逆転発想の地域づくり~小さな町の生き方が新しい日本をつくる
人口4000人足らずの旧安塚町が50万人を越す交流人口を呼び込んだきっかけは、やっかいな存在だった雪を”資源”ととらえなおした逆転発想。雪だるま宅配便、雪の貯蔵・冷房システム、スキー場開発、スノーイベント…雪が魅力資源やエネルギーに生まれ変わり、ビジネスになりました。また、ほんもの体験を理念とする「越後田舎体験」は10年目を迎え、400戸が民泊を受入れています。上越市と合併した現在、安塚区には地域住民の8割が出資し自治を行うNPO法人があり、住民自らが福祉サービス、美化にも取り組んでいます。 重要なのは、小さな町が自立的に生き生きとしていること。地域の生き方への共感や憧れが人々を惹き寄せるのです。雪国の”豊かな”考え方としくみは新しい日本のモデルです。

<上越市議会議員/前安塚町長/観光カリスマ 矢野 学氏>

16:45 休憩
17:00

意見交換会

課題を共有し、ヒントを交換しあう機会として毎年たいへんご好評いただいています。今年は、各地自慢の食材をご持参いただき、それぞれ自慢しあうという、地産地消ならぬ “持参自賞”スタイルで意見を交わしたいと思います。
※可能な範囲でのご協力をお願いするものです。
詳細はお申し込み後にご連絡します。

■11月28日(金)

9:40 開場
10:00

講義4 地域を再生する力とは~元気な温泉地の共通項に学ぶ
温泉旅行の人気は高いのに温泉地には元気がない?・・・そんな疑問をもちながら、元気な動きの見られる温泉地数十箇所と各地のリーダーを取材、本にまとめました-『温泉地再生』(学芸出版社 2008)。事例や考え方の共通項から見えてきた、地域再生の力について提言します。

<財団法人日本交通公社 主任研究員 久保田 美穂子>

11:30 昼食
12:20

講義5 豊かさとは何か~地域の人たちと一緒に考えた実践的提言
平成14年から5年間、三重県・紀南振興プロデューサーとして集客交流事業を通じた地域振興に取り組まれた橋川氏は、地域に居を移し、熊野古道をゆっくり歩く楽しみを地域の人たちとともに考え提案してきました。集客交流事業といっても、今、真の豊かさとは何なのか、これからどういう時代をつくっていくのか、といった根本に立ち返り、そこから出てきた価値観をカタチにする仕事とのこと。そこには、出身地の伊勢にて平成2年から11年にわたって「おかげ横丁」の企画立案、管理運営にかかわってきた経験も活かされています。目には見えない地域の固有性や精神性をどのように表現ししくみ化したのか、ご教示いただきます。

<前紀南振興プロデューサー/有限会社伊勢福 代表取締役社長 橋川 史宏氏>

14:05 休憩
14:20

講義6 漁村を変えた番屋エコツーリズム~支援事業を活かした成功例
岩手県田野畑村は陸中海岸国立公園北部に位置し、北山崎などの海岸美といった景観的観光資源に恵まれた人口約4000人の村。この数年で、漁業、酪農、林業、農業など”村の営み”に直接触れる体験プログラムが次々と生まれ、平成19年度には環境省の「エコツーリズム大賞特別賞」を受賞しました。漁師が使う小型漁船(サッパ船)アドベンチャーツアー、漁師の作業小屋「番屋」での料理体験など人気プログラムの主体は、周遊観光時代には観光と縁のなかった地域のメンバーです。平成20年4月にはコーディネート組織のNPO法人も設立。村の人々はどうしてその気になったのでしょうか。講師は、平成17~19年度の「地域提案型雇用創造促進事業」を通じた縁をきっかけに、今年から村の職員として活躍される渡辺氏です。

<田野畑村役場 政策推進課 渡辺 謙克氏>

16:05 ふりかえり
<財団法人日本交通公社 常務理事 小林 英俊>
16:15 アンケート記入
16:20 閉講