セミナー・シンポジウム

平成21年度 観光基礎講座

2009年6月18日(木)・19日(金)
平成21年度 観光基礎講座

~地域が元気になる観光地づくり~

観光は多くの産業・分野と広く深く関わりを持つため、観光関係者が取り組むべき課題は多岐にわたり、複合的な考え方を求められます。既存の観光地に限らず、これから観光振興に取り組もうとする地域において、今後はますます、基礎的な知識の裏付けのもと、地域の明確な将来ビジョンを持って地域振興や観光振興を進める人材が求められていくでしょう。

当財団は旅行・観光を専門とするシンクタンク、コンサルティング集団として、全国各地で観光振興のお手伝いをしてまいりました。本講座は、これまでの経験とノウハウを活かして独自の視点と切り口で構成しています。観光・地域振興・リゾート関連事業に新たに従事される自治体や業界の方々、地域の観光振興の担い手の方々の人材育成の一助となるよう平成8年度に開講以来、今年で14年目を迎えます。

観光をめぐる基礎的な知識の習得はもちろんのこと、専門的な実践ノウハウ、ヒントなど実用情報も盛り込んだ、観光担当者にとって日々の業務に役立つ講座です。約30名という少人数制により、講師への質問や参加者同士の意見交換の時間も充実させています。

行政のご担当者のみならず、施設経営や地域づくりに取り組まれる観光業界の方も、この機会に是非ご参加下さいますよう、ご案内申し上げます。

概要

テーマ ~地域が元気になる観光地づくり~
開催日時 2009年6月18日(木)~19日(金)
会場 東京文化会館 4階 中会議室 1
東京都台東区上野公園5-45
JR上野駅 公園口 徒歩1分
地下鉄上野駅 7番出口 徒歩1分
※「ホール」ではなく「楽屋口」からお入り下さい。

スケジュール

■6月18日 (木)

10:00 開講・オリエンテーション
10:10 講義1 : 観光の意味と可能性
時代とともに旅行者も観光のあり方も変化しています。この講義では、成熟化した社会における消費行動としての旅行を読み解きながら、観光振興に携わる方にまず、とらえていただきたい、現代社会における観光の意味を解説します。これからの観光市場にはどんな欲求の実現が求められることになるのか、地域はどのように取り組むべきなのか提言します。

講師:(財)日本交通公社 常務理事 小林 英俊
兵庫県生まれ。旅行現場での豊富な経験を踏まえた観光マーケティング、地域活性化が専門。観光と環境、観光と健康の実践的研究、エコツーリズムの推進はライフワーク。

11:50 講義2 : 旅行者マーケットの最新動向
地域の観光戦略を立案するためには、旅行者の動向に関する情報収集を行い、マーケットの実態とニーズを把握する必要があります。毎年当財団が独自に調査、分析して取りまとめている旅行マーケットレポート『旅行者動向』のデータ等をもとに、旅行マーケットの捉え方と最新の動向について解説します。(『旅行者動向2008』をテキストとして当日さしあげます)

講師:(財)日本交通公社 主任研究員 久保田 美穂子
長野県生まれ。専門は旅行者マーケティング分析と温泉地活性化に関する調査研究。昨年『温泉地再生-地域の知恵が魅力を紡ぐ』を執筆、出版。

13:50 講義3 : 着地型観光の確立をめざして~平戸の試み
07年、平戸観光協会は長崎県内の観光協会としては初めて第三種旅行業務を取得。PR活動を主体とてきた観光協会が、地域の特性を活かした独自の商品開発に挑み始めました。外国人旅行者向け観光ガイドとして活躍していた籠手田氏がその推進役です。
「日本人と同じサービスで大丈夫?」と心配した旅館と外国人旅行者をつなぎ、まち歩きで平戸を盛り上げてきた経緯を詳しくうかがいます。また、現在進行形の平戸の試みについての解説と、今後の夢を語っていただきます。

講師:(社)平戸観光協会 会長 籠手田 恵夫 氏
長崎県生まれ。JTBを定年退職後、語学や海外駐在経験を生かして郷里の観光促進に尽力。ボランティアガイド、外国人観光客の受入アドバイザーなどを通じ、06年には県認定の「観光マイスター」、07年から平戸観光協会の会長に就任。

15:40 意見交換会 (~19:00)
課題の共有、意見交換ほか ご参加の皆様の地域での取り組みや課題を共有化し、講師や参加者が意見を交換します。
途中で会議室から場所を移して、交流会を開催します(軽食をご用意します)。毎年たいへんご好評いただいておりますので、続けてのご参加をお願いします。

■6月19日 (金)

9:45 講義4 : 地域が元気になるヒント~がんばる地域の最新情報
当財団の研究員は、各地の観光戦略立案からアクションまでのお手伝いや、講演・アドバイザー活動等を通じて様々な地域を訪れたり、お話をうかがっています。
この講義では、様々な地域の「現場」を見て、歩いて出会った面白い話題や、ユニークな取り組みを紹介しながら、地域が元気になるための”ちょっとしたヒント”について考えます。

講師:(財)日本交通公社 主任研究員 中野 文彦
栃木県生まれ。地域の自然、文化、景観等を活用した市町村等の観光振興計画・アクション計画策定および実施支援に関する調査研究に携わる。

11:10 講義5 : 観光経済の視点からみた地域の姿
観光経済という視点から地域の姿、観光の重要性をとらえなおしてみましょう。観光地の事例を経済効果分析の考え方を用いて因数分解していくと、その地域の課題がわかりやすく整理されます。数字を使って地域を動かしていくという発想に触れてみてください。

講師:(財)日本交通公社 主任研究員 塩谷 英生
茨城県生まれ。旅行市場史の研究、市場動向予測、国や沖縄県等での観光統計作成、経済効果の分析などに携わる。

13:25 講義6 : 地域発ニューツーリズムの造り方・売り方
地域で取り組むニューツーリズムに注目が集まっています。資源の発掘、商品づくり、販売という一連の流れの中で、「商品まではつくることができるが、販売流通で悩んでいる」という声もよくきかれるようになってきました。
各地で進む最新事例を交えながら、地域の特性・実情に合ったツーリズム(商品)の開発や地域における体制づくりの考え方を提言します。

講師:(財)日本交通公社   主任研究員 大隈 一志
静岡県生まれ。地域活性化の計画づくりに長年携わりながら、エコツーリズム、インタープリテーションの普及・啓発に向けた諸活動に取り組む。05年「魅力ある自然ガイドツアーづくりの手引き」執筆。
講師:(財)日本交通公社   主任研究員 鈴木 晴江
愛知県生まれ。旅行業現場経験10年を経て、エコツーリズム分野における調査研究、実践活動を開始。地域の文化と持続可能性を大切にし、地域の人とともに課題に取り組む。

14:50 講義7 : 観光圏の考え方と地域における活用について
08年の観光圏整備法の施行は、広域観光への取り組み、2泊3日以上の滞在魅力づくりの活発化による交流人口の拡大、地域の発展をねらっています。観光圏形成の考え方や整備の基本方針、関連する支援制度について整理した上、地域はどのようにかかわっていけばよいのか、具体的な取り組み事例を交えて提案します。

講師:(財)日本交通公社 主任研究員 吉澤 清良
埼玉県生まれ。バリアフリー、温泉、産業観光など多様なテーマから地域を見つめ16年。主役は地域の人、をモットーに観光・交流による地域の活性化に取り組む。

16:05 総括(ふりかえり)
(財)日本交通公社 常務理事 小林 英俊
16:20 閉講

◆企画・進行:(財)日本交通公社 主任研究員 久保田美穂子

※講義内容・講師は、やむを得ず変更となる場合がございます。その節はどうぞご了承下さい。