ミーティングをはじめとするビジネストラベルは、「face to face」のコミュニケーションが基本です。
このため、通信手段の発達により廃れていくのではと考えられた時期もありました。しかし、近年のアメリカでは「1時間のミーティングの価値は、ビデオ会議5回、電話会議10回、メール20回に相当する」という調査結果も出ており、直接会って話すことの重要性と効果が改めて認識されています。こうしたことから世界的に見ても、ミーティングビジネスの分野は今後も堅調に成長すると思われます。
ビジネストラベルの世界的な傾向として、観光地としての人気が上がると、ミーティングのデスティネーションとしても注目されることが挙げられます。
このため、レジャー分野でのインバウンドが非常に好調な日本は、ビジネストラベルの分野でも存在感を増しています。この機会を活かしていくためには、ナイトタイムコンテンツの充実も重要です。例えばミーティングではレセプション後の2次会も大事なコミュニケーションの場であり、遅い時間まで楽しめる良質な空間が求められます。早朝の時間帯も含め、ビジネストラベラーが日中のビジネスタイム前後に楽しめるコンテンツを開発することは、日本国内での消費拡大にもつながります。
欧米の企業で近年増加しているビジネストラベルの形態が、業務出張の前後に休暇を楽しむブリージャー(Bleisure=出張Business+余暇Leisure)です。エクスペディアが2017年にアメリカ・イギリス・ドイツ・インド・中国の5カ国を対象に行った調査では、出張旅行の60%がブリージャーでした。
ブリージャーの傾向として、出張先と同じ都市に引き続き滞在して休暇を楽しむケースが多いですが、ミレニアル世代など若い世代では、東京から北海道の大自然に足を伸ばすといったアクティブなケースも見られます。ブリージャー向けに、大都市から手軽にアクセスできる地方への訪問の提案やプロモーションも効果的と考えられます。
また、ブリージャーはひとりでの訪問が多いですが、その際に訪れた都市や地域に好印象を抱けば「今度は家族で訪れたい」と思うケースも多く、レジャー目的によるリピートが期待できます。ブリージャーで最初のきっかけを作り、家族旅行やMICEなど次の訪問へ着実につなげていくことが大事です。
注目すべきは世界的に見ても、ブリージャーを楽しめる、すなわちビジネスもレジャーも満足できるデスティネーションとしてPRや情報提供を積極的に行っている国は、今のところないという点です。
これはある意味チャンスであり、日本が先鞭を切ってもいいのではと強く感じています。(談)