No.159 第3回研究懇話会を実施しました(9月25日)
(公財)日本交通公社では2025年度、当財団の研究顧問を務める有識者を講師としてさまざまな角度から話題提供をいただき、その話題を元に研究員と対話を行う研究懇話会を実施しており、9月25日に第3回の研究懇話会が開催されました。会には研究員のほか、研究顧問の有識者も参加されました。
今回、講師としてお招きしたのはマーケティングと消費者行動を専門とする早稲田大学商学学術院の守口剛教授です。研究懇話会の前半は「マーケティング研究におけるフィールド実験の活用」と題し、近年マーケティング界で重視され、多く活用されているフィールド実験の最新事情について、ご自身の研究事例も含めて話題提供が行われました。
フィールド実験とは「実際の生活空間で実施する実験」であり、「2016〜17年頃からマーケティング、経営学、経済学の各領域でこの実験を用いた論文数が増加している」と守口氏から説明がありました。
アマゾンやグーグルなどの企業は、数百万人のユーザーを対象とするオンライン上のフィールド実験を年間1万回以上実施しているとして、そうした企業の一つであるブッキングドットコムが自社の予約画面で行ったフィールド実験の事例が紹介されました。フィールド実験は、コントロール性が高いがリアリティに欠けるラボ実験と、リアリティが高いがコントロールが難しい行動履歴データの間に位置し、「リアリティとコントロール性の両方を兼ね備えたアプローチ」と守口氏は述べました。
これを受けて、後半の質疑応答では研究員から、フィールド実験の学問的な位置付けや分析方法についての確認、観光分野への具体的な応用方法や過去の事例についてなど、さまざまな角度からの質問が積極的に行われました。


