No.160 タイの観光の現状と政策を視察・取材してきました
持続可能な観光地域づくりが課題となる昨今、日本での取り組みと比較し示唆を得るため、当財団では、国家主導で観光振興に取り組むタイを訪れ、バンコクを中心に大学、政府関係機関、宿泊事業者への取材や視察を行いました(写真1)。
バンコクにはたくさんの大型ショッピングモールがつくられ、日本チェーン・日本食レストランも数多く見られました(写真2)。また、あるモール内には、伝統的技法を用いた実用性のある商品を、現代的な親しみやすいデザインで販売する店舗がありました。日本の地域産品の展開にも参考になるような新たな価値づけ、商品化の方法として、大変興味深く感じました。
バンコクから車で2時間ほど離れたペッチャブリー県へも訪れました。地産品のみでできた飲料を開発したり(写真3) 、ウォールアートで彩られた通りを整備したりと(写真4)、観光振興の仕掛けづくりが進む一方で、インフラ面では主要都市と地方部の格差を目の当たりにすることとなりました。このインフラ格差を解消することは、観光客の地方分散を促すとともに、各地での滞在満足度を向上させ、ひいてはタイ全体の観光魅力を高めることにつながるのではないかと感じました。
政策の面では、持続可能な観光への意識が早く、2000年以前から地方開発のためにも全国的に多様なキャンペーンが行われてきたことを確認しました。国家主導による観光戦略は、複数の地方へ一貫して大規模に展開されるという点で、地方自治体が主となる日本とは異なる面もあることを学びました。
現地を訪れたことで、今後の調査・研究に非常に有用な示唆を得る貴重な機会となりました。
当財団では、研究員の視野や情報量、知見の拡大を目指した知財集積発信事業を行っており、その一環として、海外視察を実施しました。視察を行った研究員がそれぞれの学術的関心のもと、取材や視察から得た知見や考察等について、機関誌『観光文化268号』に特集記事として取りまとめを予定しております。
写真1:政府関係機関での取材の様子 |
写真2:ショッピングモール内の日系店 |
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写真3:地産品で開発された飲料を販売する店 |
写真4:ペッチャブリー県での視察の様子 |


写真1:政府関係機関での取材の様子
写真2:ショッピングモール内の日系店
写真3:地産品で開発された飲料を販売する店
写真4:ペッチャブリー県での視察の様子