No.167 温泉まちづくり研究会有志による由布院視察・勉強会を実施しました(12月9日)
2025年12月9日(火)、温泉まちづくり研究会の有志メンバー(草津温泉、有馬温泉、黒川温泉)が由布院を訪れ、「外部資本流入と温泉地ブランドの再構築 ―新旧事業者と地域の共存戦略―」をテーマに視察・勉強会を実施しました。
由布院は長年まちづくりに取り組んできた結果、ブランド価値が向上・観光客が増加し、近年地域外からの飲食店や簡易宿所の進出が加速しています。そういった現状に対して地域が抱いている課題感や現在の対応策、今後の展望を共有し、同様の課題感を抱いている他温泉地のメンバーと議論をすることが今回の視察・勉強会の目的でした。
最初に、由布市まちづくり観光局事務局次長 生野敬嗣氏・由布院温泉観光協会代表理事 太田慎太郎氏より、先人たちが積み重ねてきた由布院のまちづくりの経緯や、現状の規制・ルールでは外部事業者進出のコントロールが追い付かず由布院らしさの喪失が危ぶまれている現状について、共有が行われました。
そして町中を視察して由布院の現状を体感した後、意見交換を行いました。まず、地域外から多数の飲食店が進出している状況について詳細な質問が行われ、湯の坪街道にはもともと観光客向け店舗はなかったこと、コロナ禍以降家賃が高くなり地元事業者が撤退していること等が共有されました。また、オーナーとの対話の重要性、観光協会の在り方・存在意義の見直しの必要性、外国人労働者も含めた共生社会構築の必要性、地元ならではの店舗や商品の発信の必要性、もともとのインフラのキャパシティを考慮した開発の必要性、グリーンスローモビリティやパークアンドライド・空飛ぶクルマ等を活用した交通体系見直しの必要性等について、議論が行われました。
今回の視察・勉強会を通じ、由布院が直面している「ブランド化に伴う外部資本の流入」や「地域らしさの維持」という課題は、多くの温泉地が向き合うべき普遍的なテーマであることを再認識しました。 現地を歩き、膝を突き合わせて議論したことで、規制やルールの整備だけでなく、オーナーとの対話や将来を見据えた交通体系の構築など、多角的なアプローチの必要性を共有できたことは大きな成果です。 温泉まちづくり研究会では、今回の学びを各々の地域へと持ち帰るとともに、今後も地域を越えた連携と情報共有を続け、持続可能な温泉地づくりに取り組んでまいります。


