No.161 バルセロナの観光の現状と課題解決のための施策について視察してきました
2025年10月4日~12日にかけて、当財団の自主研究活動の一環として、スペイン・バルセロナへ視察に行ってきました。
バルセロナでは、一部地域への観光客の集中による生活環境悪化や住宅価格高騰などの課題を抱えており、その対策として高流入エリアの管理を行う「EGA(観光集中地域管理プラン)*1」や、宿泊施設の開発制限などを行う「PEUAT(観光宿泊特別計画)*2」などの施策により観光と市民生活のバランスを図っています。我が国の観光政策にも通ずる課題やその対策として行われている施策について、関係者へのヒアリングや現地訪問により視察しました。
ヒアリングでは、かつてバルセロナ市役所で観光計画策定に携わった経験のあるバルセロナ大学地理歴史学部のアリアス・アルベルト先生との意見交換をはじめ、バルセロナ市役所、バルセロナホテル協会、カタルーニャ州政府観光局、バルセロナ大学ホテル観光学院、エブロデルタ自然公園などを訪問し、それぞれ関係者へのヒアリング、意見交換を行いました。
また、歴史的建造物を活用した国営の宿泊施設「パラドール」の1つであるパラドール・デ・トルトーザ(Parador de Tortosa)やバルセロナ大学ホテル観光学院の運営するホテル・アリマラ(Hotel Alimara)、民泊など多様な宿泊施設に滞在しながら、サグラダ・ファミリア、カサ・バトリョ、グエル公園などガウディ建築をはじめボケリア市場、旧市街など多くの観光客が集中するエリアを実際に訪問し、その様子を視察しました。
今回の視察では、およそ1週間に渡ってバルセロナおよびその近郊に滞在し、バルセロナの観光の現状をあらゆる角度から視察した結果、多くの成果を得られた一方で、現地の様子と事前に見聞きしていた情報や一部報道とのギャップを感じる面もありました。視察を通じて得た知見は、当財団の機関誌「観光文化268号」において報告するとともに、今後の研究活動に活かしていきたいと思います。
バルセロナ大学ホテル観光学院の運営するホテル・アリマラ |
城跡に建てられたパラドール・デ・トルトーザ(奥)とトルトーザのまちなみ |
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バルセロナ大学地理歴史学部 アリアス・アルベルト先生へのヒアリングの様子 |
バルセロナ市役所 ジュディット・ロメラ観光管理局長へのヒアリングの様子 |
【注】
- *1 https://ajuntament.barcelona.cat/turisme/en/strategic-management/lines-action/management-high-tourist-traffic-areas
- *2 https://ajuntament.barcelona.cat/turisme/en/review-special-urban-development-plan-tourist-accommodation-peuat


バルセロナ大学ホテル観光学院の運営するホテル・アリマラ
城跡に建てられたパラドール・デ・トルトーザ(奥)とトルトーザのまちなみ
バルセロナ大学地理歴史学部 アリアス・アルベルト先生へのヒアリングの様子
バルセロナ市役所 ジュディット・ロメラ観光管理局長へのヒアリングの様子