活動紹介

「2019年度第2回温泉まちづくり研究会」を阿寒湖温泉で開催しました(10月1日・2日)

「2019年度第2回温泉まちづくり研究会」を阿寒湖温泉で開催しました(10月1日・2日)

2019年度第2回研究会を、10月1日(火)~2日(水)の2日間、会員温泉地のひとつである阿寒湖温泉で開催しました。概要は以下のとおりです。

【1日目(10月1日)】
 <講演> 夢見る力が「気」をつくる
  講師:唐池恒二氏 (九州旅客鉄道株式会社 代表取締役会長)

 ※研究会開始前に阿寒ユーカラ「ロストカムイ」鑑賞、研究会終了後にウェルカム・ガーデン・パーティと交流会、阿寒湖の森ナイトウォーク「カムイルミナ」体験

【2日目(10月2日)】
 <講演> 阿寒DMOの挑戦~アドベンチャートラベルの聖地を目指して
  講師:大西雅之氏 (NPO法人阿寒観光協会まちづくり推進機構 理事長)

 <意見交換>

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温泉まちづくり研究会は、毎年3回の研究会の開催を基本としており、そのうちの1回は会員温泉地で開催しています。今回は、国立公園を舞台にデジタルアートを駆使した体験型アトラクション「カムイルミナ」が2019年7月にスタートするなど、新たな取り組みが会員温泉地からも注目を集めている阿寒湖温泉での開催となりました。

初日は、2019年度から当研究会の代表となった道後温泉旅館協同組合副理事長の宮﨑光彦氏より「阿寒湖温泉での開催は数年越しの計画で、実現して非常に嬉しく思っている。これからの温泉地は『創客』という視点が重要であり、各地域がまとまって魅力あるまちを作ることが必要」との開会挨拶に続き、JR九州の唐池恒二代表取締役会長による講演が行われました。

唐池氏は「人と組織を強くするのは逆境と夢。JR九州にとって唯一の夢が九州新幹線の開通だったが、実現すれば夢がなくなってしまう。そこで新たな夢となったのが世界一の豪華列車をつくることだった」として、今や国内海外を問わず大人気のクルーズトレイン「ななつ星in九州」に結実するまでのプロセスがユーモアを交えて語られました。

そして講演タイトルにある「気」とは英語では「energy」を指し、「夢を描くことは、関係するすべての人に『気』を充満させる」として、組織や地域づくりにも不可欠であるとお話されました。さらに、唐池氏のこれまでの取り組みや経験を集約した「まちづくり10の極意」も伝授されるなど、非常に示唆に富む講演でした。

唐池氏

唐池氏

2日目は、当研究会の前代表であり、阿寒湖温泉で観光まちづくりを牽引してきたNPO法人阿寒観光協会まちづくり推進機構の大西雅之理事長による講演が行われました。

阿寒湖温泉では2015年4月から入湯税の100円かさ上げを実施していますが、大西氏は「大きな後押しとなったのが、阿寒湖の宿泊客に対するアンケートで、回答者の7割が肯定的な意見だった」と述べ、このかさ上げによって、約20年前から住民と関係者が一体となって作ってきた阿寒湖のビジョンを具体化する財源が確保できたと語りました。

2004年に観光協会とまちづくり組織が合併してNPO法人阿寒観光協会まちづくり推進機構が設立されましたが、「この時に掲げた『アイヌ文化に彩られた国際リゾート』というビジョンは今も変わっていない」として、大西氏はこのビジョンの下に、今後はアドベンチャーツーリズムの聖地を目指すという新たな目標を掲げ、アイヌ文化や自然を活かしたコンテンツの造成やまちづくりを進めていくと語りました。

この講演の後は、各温泉地の代表の皆さんから自由に発言していただき、現在行われている取り組みや地域で抱えている課題の共有等が行われました。

大西氏

大西氏

なお、初日には、デジタルアートとアイヌ古式舞踊を融合し、阿寒湖アイヌシアターで2019年3月に上演を開始した新プログラム、阿寒ユーカラ「ロストカムイ」の鑑賞、研究会終了後はデジタルアートに彩られた夜の森を歩くナイトウォーク「カムイルミナ」を体験する機会が設けられました。いずれもアイヌ文化と自然という阿寒湖の核を成す2つの魅力が凝縮され、示唆に満ちた幻想的なコンテンツで、多くの参加者が魅了されていました。

加えて、初日の夜に開催されたウェルカム・ガーデン・パーティでは、阿寒湖を望むホテルの中庭で、地元のアイヌの方々による歌や伝統楽器の演奏、古式舞踊が披露され、奥深いアイヌ文化の一端に触れる貴重な機会となりました。

(事務局)