活動紹介

No.68 2017年度第3回「温泉まちづくり研究会」を開催しました(2018年2月19日・20日)

No.68 2017年度第3回「温泉まちづくり研究会」を開催しました(2018年2月19日・20日)

7つの温泉地と当財団が共同で研究活動を進めている「温泉まちづくり研究会」(2008年発足)。2017年度第3回研究会を2月19日(月)、20日(火)の2日間、会員温泉地の一つである群馬県草津町の草津温泉で開催しました。概要は以下の通りです。

2月19日(月)
研究会【第1部】
会場: 草津町商工会館 3階会議室

 

1.開会挨拶
大西雅之氏(温泉まちづくり研究会 代表)

2.開催温泉地からの報告〜意見交換

2月20日(火)
研究会【第2部】
会場: 草津町商工会館 3階会議室

テーマ「温泉地の雇用問題を考える~今後どう取り組むべきか~」

1.開会挨拶

梅川智也(温泉まちづくり研究会 事務局長)

2.テーマの趣旨説明

岩崎比奈子((公財)日本交通公社 主任研究員)

3.《第1セッション》 取り組み事例紹介
石川県・加賀温泉郷の温泉旅館雇用促進プロジェクト『KAGAルート』について

プレゼンター:永井隆幸氏(山代温泉「あらや滔々庵」代表取締役)

4.《第2セッション》会員温泉地で実施した「雇用に関するアンケート」結果報告

プレゼンター:守屋邦彦(温泉まちづくり研究会 事務局次長)

5.《第3セッション》ディスカッション

「温泉地の雇用に関する提言/宣言(仮)」とりまとめに向けて

〈会員温泉地代表・登壇者>
 大西雅之氏(NPO法人阿寒観光協会まちづくり推進機構 理事長)
 中澤敬氏(草津温泉観光協会 会長) 
 野村潤氏(鳥羽市温泉振興会 理事)
 當谷逸朗氏(有馬温泉旅館協同組合 理事長)
 宮崎光彦氏(道後温泉旅館協同組合 副理事長)
 桑野和泉氏(由布院温泉観光協会 会長)
 松﨑久美子氏(黒川温泉「ふもと旅館」女将)

 

司会進行: 守屋邦彦(温泉まちづくり研究会 事務局次長)

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今回の研究会には、開催地の草津温泉をはじめ、阿寒湖、鳥羽、有馬、道後、由布院、黒川の7つの会員温泉地の皆さんが揃って参加されました。また、前回研究会に続き、花巻温泉郷もオブザーバーとして参加されました。

開催1日目の冒頭、開会挨拶を行った大西雅之代表は「一昨年の熊本地震、昨年の九州豪雨では我々の仲間である黒川温泉と由布院温泉が大変な状況になり、そして今回は草津温泉が本白根山の噴火という事態に直面した。我々温泉地は、自然の恵みの中で仕事をしている。こうした危機に対するノウハウを身につけなければという思いを新たにした」と述べました。

続いて研究会の第1部に入り、開催温泉地である草津温泉からの報告として、1月23日に発生した本白根山の噴火後の状況について説明がありました。噴火発生後に迅速な情報提供が行われたこともあり、温泉街の客足の回復はかなり早かったということです。その後、会員温泉地の皆さんにより、自然災害対策などについて意見交換が行われました。

2日目の研究会第2部では各温泉地で共通課題となっている「温泉地の雇用問題」をテーマに、プレゼンテーションや論議が行われました。

まず、梅川智也事務局長の開会挨拶に続き、今回のテーマ設定の経緯や、きっかけとなった草津温泉の人材育成に向けた取り組みについて、岩崎比奈子主任研究員から説明が行われました。

 

そして、ゲストスピーカーに石川県・山代温泉の旅館「あらや滔々庵」で代表取締役を務める永井隆幸氏を迎え、山代・山中・片山津の3温泉地で構成される加賀温泉郷で行われている雇用促進の取り組み『KAGAルート』の紹介が行われました。

KAGAルートとは、加賀市と加賀温泉郷DMO、採用コンサルティング業を行う(株)アドヴァンテージの官民連携により、加賀温泉郷に新規就労者を創出する施策です。2017年10月に加賀温泉郷の温泉旅館求人サイトがオープンしたほか、今年2月には「都会脱出作戦」と題し、都心部在住の20〜30代を対象とした就職イベントを開催しました。

「イベントは20名の募集に対して80名の応募があった。書類選考を行ったところ、びっしりと熱い思いが綴られたものも多く、予想以上の反響だった」と永井氏。今後の継続実施も検討しているとのことです。

続いて、会員温泉地の宿泊施設で働く従業員・経営者を対象に実施した、雇用についてのアンケートの集計結果について、守屋邦彦事務局次長から報告が行われました。これは草津温泉で昨年行われたアンケートを、他の6温泉地でもほぼ同様に展開したものです。

アンケートの結果を受け、ディスカッションでは、雇用に関するさまざまな課題について活発な意見交換が行われました。そしてアンケートやこれまでの議論などをもとに、人材の「確保」「定着」「育成」の各段階、国・業界団体、地元行政、地元民間事業者の各主体という軸で、具体的な提言/宣言について議論を行いました。

今後、当研究会では取り組みの成果をより多くの温泉地と共有するとともに、課題解決に向けて関係各方面に発信するため、「温泉地の雇用に関する提言/宣言(仮)」のとりまとめを行っていく予定です。

(2018/3/6 守屋邦彦)