No.176 第22回自然公園研究会を開催しました
2026年3月23日(月)に当財団ライブラリーホールにて第22回自然公園研究会を開催しました。環境省自然環境局国立公園課 藤田和也氏、北アルプス山小屋友交会/横尾山荘 山田直氏、京都府立大学大学院生命環境科学研究科 奥矢恵氏、北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院 吉沢直氏のご講演をはじめ、北海道大学大学院農学研究院 愛甲哲也氏にコーディネートいただいたディスカッションも盛況のうちに閉会となりました。
今回のテーマは、「公益性と持続可能性を考える:山小屋・避難小屋の課題と展望」でした。山岳地域における山小屋が担う登山道整備や遭難救助といった公益的機能が、気候変動や物資輸送費の高騰などにより維持困難になりつつある現状を踏まえ、持続可能な運営に向けた多角的な議論が行われました。環境省からは、公益的機能を踏まえた山小屋の定義の整理や、国立公園の管理運営計画への反映などについて、現在進められている検討の方向性が共有されました。また、北アルプスの事例では、現行の法的制約と運営実態の乖離、公的な役割を明確化することの重要性について現場の実態と合わせて紹介されました。あわせて建築史の視点からは、山岳特有の厳しい環境条件と現行の建築規制との不適合が指摘され、その解決に資する知見として日本の伝統工法の有用性が提示されました。さらに欧州の事例では、気候変動による登山ルートの消失や施設への被害実態が示され、そうした課題への長期的かつ根本的な適応戦略のあり方についても報告されました。
全体を通じて、山小屋の公益的な役割を再確認するとともに、関係機関の連携による仕組みづくりや支援のあり方を検討していくことが、今後の持続可能性を支える重要な鍵であることが共有されました。
プログラム:第22回「公益性と持続可能性を考える: 山小屋・避難小屋の課題と展望」
- 趣旨説明:愛甲 哲也 氏(北海道大学大学院農学研究院)
- 発表①:国立公園における山小屋のあり方検討
藤田 和也 氏(環境省自然環境局国立公園課) - 発表②:「中部山岳国立公園の山小屋の現状」山岳域の利用環境の維持と課題について
山田 直 氏(北アルプス山小屋友交会/横尾山荘) - 発表③:山小屋の建築史からこの先の在り方を考える
奥矢 恵 氏(京都府立大学大学院生命環境科学研究科) - 発表④:気候変動による登山の変容と山小屋への影響:欧州の事例から
吉沢 直 氏(北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院) - ディスカッション


