活動紹介

No.165 第4回研究懇話会を実施しました(11月20日)

No.165 第4回研究懇話会を実施しました(11月20日)

(公財)日本交通公社では2025年度、当財団の研究顧問を務める有識者を講師としてさまざまな角度から話題提供をいただき、その話題を元に研究員と対話を行う研究懇話会を実施しています。全5回を予定しており、11月20日に第4回の研究懇話会を開催しました。会には研究員のほか、研究顧問の有識者も参加されました。

今回、講師としてお招きしたのは文化遺産マネジメントを専門とする北海道大学観光学高等研究センター(CATS)の西山徳明教授です。研究懇話会の前半は「CBT(community-based tourism)と DM(destination management)」と題し、観光開発の公益性についてお話がありました。

エチオピアやフィジーなど、観光学高等研究センター(CATS)が海外で行なってきた観光開発の国際支援や、西山先生が関わった岐阜県白川郷のオーバーツーリズム対策など、豊富な事例を交えて話題提供が行われました。西山先生は、国際支援がコミュニティベースドツーリズムやデスティネーションマネジメントの原点について考える機会となったとして、「どのような発展段階の地域も、デスティネーションマネジメントを行う組織は社会から見て明確な公益ミッションを掲げることが不可欠」という知見を得たと述べました。そして、観光研究者には、観光の地域課題解決への貢献力を社会に示す研究や、以前JTBFでも実施していたようなキャリングキャパシティに関する研究などが求められている、という考えを示しました。

これを受けて、後半の質疑応答では研究員から、観光文化と公益性の両立の可能性、観光の公益性を示す具体的事例、バルセロナでオーバーツーリズム対策として導入されている総量規制の考え方についてなど、さまざまな角度からの質疑応答が積極的に行われました。研究顧問の一人であり、今回参加されていたセントラルフロリダ大学の原忠之先生からも、アメリカのDMOと比較した視点から、プライシングによる顧客管理手法や、多量の観光客が流入する状況に対するアメリカとヨーロッパでの捉え方の違い等についてコメントが寄せられました。