活動紹介

No.171 第5回研究懇話会を実施しました(1月22日)

No.171 第5回研究懇話会を実施しました(1月22日)

(公財)日本交通公社では2025年度、当財団の研究顧問を務める有識者を講師としてさまざまな角度から話題提供をいただき、その話題を元に研究員と対話を行う研究懇話会を実施しています。全6回の開催を予定しており、1月22日に第5回の研究懇話会が開催されました。会には研究員のほか、研究顧問の有識者も参加されました。

今回、講師としてお招きしたのは都市計画を専門とする東京大学大学院工学系研究科の中島直人教授です。研究懇話会の前半は「アーバニスト/アーバニズム論からの現代観光考」と題し、アーバニスト及びアーバニズムとは何かという基本的な話から始まり、後半はツーリズム及びツーリストとの共通項や相違点、現代の観光への提言についてお話がありました。

中島氏は一般社団法人アーバニスト代表理事を務めており、2021年に共著書『アーバニスト 魅力ある都市の創生者たち』を上梓されています。中島氏はアーバニズムという概念が歴史的経緯を経て、都市を「生きる」という意味に「つくる」が加わって両義性を持つようになったと説明。「アーバニズムの実践者であるアーバニストも都市計画の専門家であるとともに、都市に住み、その魅力を楽しむ主体という二つの役割を併せ持つ」と述べました。

この論に呼応する形で、中島氏はツーリスト/ツーリズムという言葉について、ツーリズムには日常の環境外にある国や場所へ「移動する行為」と、それを支える「産業や事業」の二つの意味が内包されているが、ツーリストはゲストとしての意味にとどまっていると指摘。「現在の観光はゲストとホストの境界が揺らぎ、両者を行き来するケースも多い。ゲストにもホストにもなり得る『新しいツーリスト』をどのように生み出していくかが、今後の観光で大事なポイントではないか」と問題提起されました。

これを受けて、後半の質疑応答では研究員からさまざまな感想や意見が出されました。「観光の専門家が、観光にどのように関わるべきか」という問いに対し、中島氏は「都市計画の分野ではかつて生活と仕事を分けて考えていたが、近年は自分の住む地域のまちづくりに関わるなど、役割を接続させ、複数的な立場を持つケースが増えている」と回答。「観光分野でも、一人のゲストとして観光経験を積み、その視点がホストとしての仕事にフィードバックされ、『生きる』と『つくる』が一体となった専門家であることが期待されるのではないか」と述べました。