研究員へのインタビュー

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池知貴大 観光政策研究部 社会・マネジメント室 副主任研究員 2017年入社ビジネス学部観光学科修了

池知貴大 プロフィール詳細

池知貴大(観光政策研究部 副主任研究員)

JTBFを選んだ理由

 私は学部で法学を、大学院で観光学を専攻しました。学部の後半は、日本全体で観光産業が盛り上がっている時期でもあり、観光産業という産業自体に興味を持ったことが、大学院に入る際に専攻を変えた理由となります。省庁や自治体などの観光政策に関わる仕事がしたいという想いがあり、就職を考える段階で大学院の先輩に相談したところ、(公財)日本交通公社(以下、JTBF)を紹介してくださいました。

 JTBFでは大きく分けて受託事業と自主事業を実施していますが、その実績を調べたり、研究員が執筆している観光研究コラム機関誌「観光文化」などを読んだりしてみると、自分が目指しているスタンスに近い組織であることがわかり、エントリーしようと決めました。

いま、携わっている仕事

 2020年度は受託事業を6件、自主研究を2件担当しています。主要な受託業務としては、2019年度に策定された倶知安町(ニセコ)の観光地マスタープランの管理進捗業務を担当しています。倶知安町観光地マスタープランは、倶知安町の観光を中長期的に振興していくために、目指すべき将来像を明確にし、その実現のための大きな道筋を記載したものとなります。2020年度業務は年3回開催される観光地経営会議を通じてマスタープランに記載されている事業の実施を支援し、また状況に応じた軌道修正等について地域のサポートを実施するという業務内容となります。

 自主研究では、スキーリゾート研究会及び温泉まちづくり研究会を担当しています。自主研究のテーマは多岐にわたりますが、2020年度のスキーリゾート研究会では、コロナ禍におけるスキー場の在り方を検討し、感染症対策を含むスキー場のニューノーマルを検討していきました。こうした、自主研究でのテーマは、受託業務の内容とも密接に絡んでいます。

この仕事のやりがい、難しさ

 観光産業という民間中心で進んでいく商業活動の世界で、当財団での受託業務は主に行政などの公的機関をクライアントとしたものが中心となります。地域が観光地として競争力を持っていくためには、どのようなバランスで民間と行政が動いていくべきか、行政がやるべきこと・やるべきでないことの線引きはどこにあるのか、そうした問題意識をもって入社当初から業務に臨んでいましたが、中々正解が見えません。ここが仕事をしていくうえで難しいと感じる点であり、またやりがいを感じるところでもあります。

就職活動中のみなさんへのメッセージ

 自分がやりたいと決めたことであれば、信念を持ってその道に進むのが良いと思います。私の場合、学部の専門分野は法学でしたが、大学院への進学を機に観光学へと転換しました。周囲は不安に思っていた部分もあったかもしれませんが、自分としては今後、観光はますます発展する分野であると感じていました。やってみたいことがあれば学生のうちにどんどん挑戦してみてはどうでしょうか。

 JTBFは研究員の個性や自主性が尊重されているのが良いと思います。良い意味で研究員が自立しているので、1人1人が信頼されてそれぞれの研究や業務をおこなっている雰囲気はとても居心地が良いと感じています。

池知貴大

柿島あかね(観光政策研究部 主任研究員)

いま、携わっている仕事

 近年、受託調査では、国や地方自治体からのインバウンド・日本人の旅行市場に関する統計調査や、観光消費による経済波及効果に関する調査を主に担当しています。昨年度は、オリンピック・パラリンピックの際の観光プロモーションに関する調査を担当しました。
 インバウンド市場に関する調査を例に挙げると、新型コロナウイルス感染症の流行拡大前の2019年までは訪日外国人旅行者は毎年過去最高の人数を記録していました。以前から訪日客が多かった東アジアの国・地域からの訪日客に加え、近年では欧米豪市場や東南アジア市場からも多く訪れるようになり、10年前と比較すると市場が多様化しています。また、市場によって消費動向や旅行内容が異なることから、政策やプロモーションに活用できる統計調査や、統計を活用しその時々で関心が高まっているテーマについて分析を行っています。インバウンド市場のように市場が変化している最中にその様子を把握できる業務を担当できたことは、とても貴重な体験だと感じています。
 2つ目の例として、観光消費による経済波及効果調査を挙げたいと思います。近年、観光地では、訪れた観光客の数だけではなく、観光客の満足度や、観光客がその地域でどのくらいお金を使ったかという観光消費額等が成果指標として掲げられています。また、観光は第一次産業から第三次産業まで幅広い業種に波及効果が及ぶ複合産業です。観光消費によって、一見すると観光とは関係のない産業にどの程度影響があるのかを数値化してわかりやすく示すことは、地域内での観光振興に対する理解を高めるためにも重要です。具体的な業務としては、推計フレームの設定、地域や国の既存統計等から推計に活用できるデータの検討(場合によってはアンケート調査やヒアリング調査を実施してデータを揃えることもあります)、推計となりますが、これらに加え、推計結果を多くの人に理解してもらい、観光消費額アップにつなげるための資料づくりも重要な業務と考えています。そのため、関係者にヒアリングをしたり、例えば、事業者の方向けには、観光客1人あたり消費額が500円アップするとどのような効果があるか示し、ワンコイン(500円)追加で払ってもらえるような取組を促す等、わかりやすく調査結果を伝えることも意識しています。

 自主研究では、主にインバウンド市場に関連した研究を担当し、当財団の独自調査である「DBJ・JTBF アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査」「JTBF訪日旅行商品調査」の2件を担当し、両調査について、旅行年報、旅行動向シンポジウムでの公表を行っています。
 海外12市場の海外旅行の嗜好等を把握する「DBJ・JTBF アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査」では、今年度は新型コロナウイルスの影響を把握するため2回実施しました。台湾・香港・中国で販売される訪日パッケージツアーの商品内容を分析する「JTBF訪日旅行商品調査」は5年間担当しており、データが蓄積されてきたことから、昨年度は査読論文を執筆しました。

柿島あかね 観光政策研究部活性化推進室 主任研究員 2007年入社観光学研究科修了

柿島あかね プロフィール詳細

柿島あかね

これからのキャリアについて

 研究員時代はさまざまなテーマの受託調査を担当するとともに、自主研究や自己啓発研究支援制度を利用して論文の発表・投稿を行い、研究員としての基礎力向上を意識して業務に取り組んできました。

 5年前に主任研究員になり、今後は専門分野を確立していきたいと考えています。そのためには、研究成果等を当財団の刊行物やホームページで発信するのはもちろんのこと、査読論文、外部への寄稿や講演等を通じた発信や、財団外の研究者や専門家の方とのネットワーク構築に積極的に取り組んでいきたいと考えています。

就職活動中のみなさんへのメッセージ

 社会人は起きている時間の多くの時間を仕事に費やすことになります。どんな仕事でも楽しいと思える瞬間がある一方、時には困難に直面することがあるのも事実です。私の場合は、どういった仕事であれば自分が困難な場面を乗り越えられそうか想像しながら就職活動を進めてきました。

 また、就職活動は色々な企業や職種を知ることのできる貴重な機会だったと感じています。視野を広げて色々な企業を回ってみるなかで、自分がやりたいことや適性などが見えてくるかもしれません。

守屋邦彦 観光地域研究部 地域戦略室長/上席主任研究員 2006年中途入社 情報理工学研究科修了

守屋邦彦 プロフィール詳細

守屋邦彦(観光地域研究部 上席主任研究員)

いま、携わっている仕事

 今年度は受託事業を10件、自主研究を2件担当しています。受託事業の数が多く見えますが、これは、2020年度より室長という立場になり、他のメンバーが主体となって行うプロジェクトの管理が中心となるマネジャーの立場で参加することが多くなったためです。自身が主体となる受託業務としては、例えば沖縄県恩納村でのSDGsを原動力とした持続可能なちいきづくり推進事業があります。この事業は2019年に同村が、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた優れた取組みを行う都市として国により「SDGs未来都市」に選定されたことを契機に推進されているもので、SDGsの目標達成に向けた戦略の策定およびその戦略に基づいた各種取組みの推進支援を行っています。

 自主研究では「これからの観光政策に関する研究」の中で2つの研究を担当しています。1つは、観光政策の実態に関する研究で、都道府県及び主要市町村へのアンケート等を通じて、コロナ禍での観光政策の現状把握・分析を行っています。もう1つは、MICEと称されるビジネス系の会議・イベントの開催やワーケーション・ブリージャーといったビジネスとレジャーが融合した旅行と、地域の観光振興に関する研究で、アンケート調査や事例調査等による調査分析をおこなっています。

これからのキャリアについて

 私は観光地の戦略づくりやマネジメントの支援といった専門分野をベースにしながら、特にMICEやワーケーション・ブリージャーといったビジネス目的の旅行が関係する分野に注目して調査研究に取り組んでいますが、受託事業や自主研究において知識や経験を生かした提案やマネジメントができることはとてもやりがいがあります。多様な業務経験を重ねていくことで自分を信頼してくださるクライアントが増え、講演や執筆などを通して外部にアピールする機会も増えています。

 2012年から2年ほど外部にも出向する機会がありましたが、JTBFの場合、入社すると基本的には同じ環境でキャリアを重ねていくことになるため、他の組織に出向して、多様な仕事のやり方を経験したり、立場を変えて観光と関わる機会を得られたことは、自分のキャリア形成においても重要なステップだったと思っています。

 現在は、さらに専門性を突き詰めていくとともに、若手研究員の皆さんがより一層の力を発揮できるような組織内のマネジメントに取り組んでいきたいと思っています。

就職活動中のみなさんへのメッセージ

 「観光や旅行に関係する仕事」と一言で言っても関わり方は様々です。業種によっても違いますし、観光をマーケット側からみるか地域側からみるかによっても変わります。学生時代に視野を広げて、どの立ち位置で仕事をするのが自分に合っているかを考えることは重要ではないかと思います。

 JTBFは「実践的な学術研究機関」を標榜しており、観光地の持続的な発展のお手伝いをする実務と、実務を通じた得られた知見等を踏まえた研究の両方に携わることが出来ます。また、若いうちから色々な経験を積み、一つ一つのプロジェクトに丁寧に取り組める環境があることはJTBFの特徴だと思います。

守屋邦彦