No.172 ライト層から注目を集める「グランスノー奥伊吹」を視察してきました
マウンテンリゾート研究会では、先進的な取り組みを行うスノーリゾートへの視察を毎年実施しています。今年度は1月30日、滋賀県米原市の「グランスノー奥伊吹」を訪問しました。当日は代表取締役である草野様へのヒアリングと施設見学を通じ、同社が持続的な成長を遂げている要因についてお聞きしました。
国内(関西圏)のライト層に特化した集客戦略
同施設は20〜30代の若年層やファミリー層といった「ライト層」を戦略的ターゲットに据えています。実際に、視察当日は平日にもかかわらず、インバウンド客の比率は比較的低く、国内(主に関西圏)の学生や家族連れで非常に賑わっており、その集客力の高さが印象的でした。具体的な施策としては、自家用車を持たない層を意識したJR米原駅・JR近江長岡駅からのシャトルバス運行に力を入れているほか 、来場者の3~5割が利用するレンタル用品の拡充にも注力しています。さらに、ターゲットごとにメニューや雰囲気を切り分けたフードコートのリニューアルを行うなど、多角的なアプローチによってライト層の支持を集め、毎年の来場者数増加に繋げています 。
顧客満足度を最大化する積極投資と運営システム
さらに同社の特徴として挙げられるのは、顧客視点に立った積極的な設備投資です。近年では、日本最速となる秒速5.0mの高速リフトを導入したほか、人工増雪機の導入によるシーズン早期オープンの実現、混雑緩和を意図としたレンタルハウスの全面リニューアルなど、継続的な設備投資を行っています。また、これらの投資額をあえて公表し、メディアから取り上げられることで、顧客のスキー場に対する期待感を高める戦略も非常にユニークです。その他にも、予測される混雑状況に応じた4段階のリフト料金設定による来場者数の平準化や、キャンセル料を無料とする柔軟な予約システム等により、顧客の利便性と運営効率を両立させていること等をお話しいただきました。
地域共生とサステナビリティの実現
経営面では、スキー場内の電力を自社の水力発電所で賄い、自給率約220%を達成するなど、環境負荷の低減と商業的な自立を実現しています。加えて、夏季の駐車場を活用したモーターパークや、グランピング施設の運営による通年雇用の創出、地元の子供たちへのシーズン券無料配布など、次世代を見据え、地域と共生する持続可能なスキー場経営の在り方に深く感銘を受けました。


