活動紹介

No.142 ポストコロナに起こる観光の変化 ハワイの今から学ぶ

No.142 ポストコロナに起こる観光の変化 ハワイの今から学ぶ

2023年8月20日~25日にかけて、社内研修の一環で、米国ハワイ州オアフ島へ視察に行ってきました。ハワイは、世界を代表するデスティネーションであるだけでなく、マーケティング、DMOのあり方など、日本がこれまで継続してウォッチし、参考にしてきたデスティネーションでもあります。今回の視察では、ポストコロナ期に日本でも起こり得るかもしれない変化や関係者の反応を現地で確認してきました。

コロナ禍後のハワイ州への観光客数は、特に米国本土からの観光客を中心に急速な回復を見せています。ハワイ州観光局によると、2023年7月は、アメリカ西部からの渡航者数は2019年比7.9%増(※1)でした。一方で、日本からの渡航者数は2019年比60.7%減と、まだまだ回復に至っていないという現状もあります。
ハワイ州では、コロナ禍で観光客が激減していた2020年、ビーチの水質が改善しハワイの固有種が多く見られるようになるなど、観光客による環境への悪影響を多くの住民が実体験として経験しました。そして、コロナ禍後のハワイ観光は、2019年以前のオーバーツーリズム状態に戻すのではなく、「Regenerative Tourism(再生型観光)」に舵を切っています(※2)。

上記のような背景から、ポストコロナ期のハワイの現状を知るため、①日本人旅行者の回復状況、②Mālama Hawai‘i(※3)やボランティアツーリズムの取組、③ハワイのオーバーツーリズムの現状、④自然観光地における利用者管理といったいくつかのテーマを設定し、ハワイ大学マノア校旅行産業管理学部(School of Travel Industry Management, University of Hawai‘i at Manoa)やハワイ大学経済研究所(The Economic Research Organization at The University of Hawai‘i)等へのヒアリングや、オアフ島内の各観光地の視察を行いました。視察内容の詳細は、今後当財団の刊行物等で紹介していく予定です。

今回お会いした関係者の方々の多くから、「早く日本からの観光客が戻ってきてほしい」という声が聞かれ、ハワイにとって日本は重要な市場であることも実感しました。当財団として、今後もハワイの状況をウォッチしつつ、日本の状況も共有しながら、交流を続けていきたいと思います。

【注】

▲有料化や事前予約制等による利用者管理を行っているハナウマ湾の様子   ▲ハワイ大学 旅行産業管理学部
Jerry Agrusa氏へのヒアリングの様子