活動紹介

No.79  Historical Archive on TourismとThomas Cook Archivesを往訪しました

No.79  Historical Archive on TourismとThomas Cook Archivesを往訪しました

当館のような観光・旅行を専門とする図書館・資料室は海外にも存在することをご存知ですか?

2018年に開設40周年を迎えた当館は、新たなネットワークを形成すべく、ドイツ・ベルリンにあるHistorical Archive on Tourism(HAT)と、イギリス・ピーターバラにあるThomas Cook Archivesを往訪しました。

HATはベルリン工科大学図書館に付属する観光専門のアーカイブスで、ガイドブックや世界各地の旅行パンフレット、紀行文、学術誌、統計資料、写真、ポスターなど70000点以上の資料を所蔵しています。世界中のガイドブックのお手本でもあったBaedekerのガイドブックに加え、Griebenのガイドブック、主に富裕層が利用したMeyersのガイドブックなど500冊以上が並ぶ様子は壮観でした。

日本の資料は文献とパンフレットで約100点あり、中には国際観光局が発行した「ツーリスト・ライブラリー」やジャパン・ツーリスト・ビューローの機関雑誌「ツーリスト」などもありました。

Thomas Cook Archivesはトーマス・クック本社内にあるアーカイブスです。同社が発行したExcursionist(1851-1902)やThe Traveller’s Gazette Magazine(1902-39)をはじめ、同社の関連施設やスタッフの記録、旅行記、ガイドブック、パンフレット、時刻表など、同社誕生から現在に至るまでの資料を所蔵しています。

日本に関係する資料として、トーマス・クックの息子であるジョン・メイスン・クックが世界一周で日本に立ち寄った際の旅行免状や1920年に同社とジャパン・ツーリスト・ビューローが相互代理店契約を結んだ際の記録など、貴重な資料の数々を見せていただきました。

所蔵資料の概要をはじめ、運営面での課題、ヨーロッパにおける観光関連のアーカイブ施設などについて有益な情報交換をおこなうことができました。いずれも限られた体制や予算の中で、明確なコンセプトに基づき貴重な資料を所蔵・管理・公開していること、そして自社や自国のアイデンティティとして歴史を大切にし、その価値を発信している姿勢に感銘を受けました。

Thomas Cook Archivesを案内するPaul Smith氏

(2019.3.13 福永 香織)