No.140 観光財源セミナー2023を開催しました(7月25日)
当財団では2017年に自治体・DMO等と共同で「観光財源研究会」を開設しました。コロナ禍で活動を停止していましたが、このたび活動を再開いたしました。
本研究会の活動の一環として、パンデミック後に各地で注目が高まりつつある観光財源について、情報提供や議論を行う「観光財源セミナー2023」を7/25(火)に、当財団にて開催しました。開催概要は添付の通りで、外部より2名、当財団から2名の登壇者によるセミナーに対し、全国から自治体及びDMOの計13団体の参加を得て、盛況のうちに閉会いたしました。
講演概要
①DMO観光財源概論:(公財)日本交通公社 理事・観光研究部長 山田雄一
国内外の観光地で起きている観光振興による人材移動や経済効果、オーバーツーリズム、環境問題等の実態について紹介するとともに、観光振興の財源の必要性と位置づけについて整理し、有効に観光財源を活用し、観光振興のサイクルを回していくための考え方について共有しました。
②実効的な宿泊税制等の作り方:TMI総合法律事務所 弁護士 池知貴大氏
かねてより宿泊税の研究をしている弁護士の立場から、宿泊税の導入に向けた技術的な要素を共有するとともに、単に宿泊税を導入するだけでは、永続的に観光振興の財源として用いられる保障がないことを事例とともに紹介し、宿泊税の導入と同時に使途を定めるための技術とガバナンスの構築について共有しました。
③「旅先納税」におけるDMO財源インパクト:(一社)倶知安観光協会 事務局長 鈴木紀彦氏
世界のリゾート地であるニセコエリアの地域DMOである俱知安観光協会の直近の取組を幅広く紹介するとともに、観光客が旅行先で自治体に寄付し、その場で受け取った特典の電子クーポンをお土産店・飲食店・宿泊施設等で利用できる「旅先納税」の取組成果について共有しました。また、国内で唯一、定率制で運用されている倶知安町の宿泊税の執行状況についても共有しました。
④エリア広告マネジメントによる収益確保:(公財)日本交通公社 副主任研究員 江﨑貴昭
エリアマネジメントの世界で活動の財源として注目がされている広告マネジメントによる収益確保の例を参考に、DMOが調整役となって広告代理店機能を実装することにより、域内の特定エリアで一体的な広告掲出を行い、財源確保を目指すプロセスについて共有しました。
⑤意見交換
各参加者の自地域における観光財源確保の状況や課題について、意識共有や意見交換を行いました。
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観光地の全体最適を目指し、戦略的に観光振興活動を進めていくうえで、公的財源(宿泊税等)等の安定財源が必要となります。加えて、財源確保はゴールではなく、それを「誰が」「どのように使うか」が曖昧にならないようにする仕組みづくりも非常に重要です。観光財源研究会は、上記の考え方をもとに、今後も議論や各地での実践を行っていきます。