漲れ! 静岡のお茶力 (観光文化 195号)

2009.05.20

観光文化195

特 集 : 漲れ! 静岡のお茶力

お茶は、その文化とともに健康飲料として世界中に広がっています。世界の緑茶消費量は、生産量から推計すると、この十年間で六一%と高い伸びを見せています。今号は、日本の主要生産地である静岡県を題材に、静岡茶の起源から緑茶文化の創造、茶業振興へ向けたさまざまな取り組みなどについて紹介します。

発行年月
2009年5月
判型・ページ数
B5判・32ページ
価格
本体価格 1,400円 + 税

※オンライン書店(Amazon.co.jp)にてPOD版を発行中。
(本書は当サイトでの販売は行っておりません。)

【195号 PDF版】
PDF版の転載はご遠慮ください。

[巻頭言] 第13回 全国茶サミット静岡大会 in 牧之原 静岡県牧之原市長  西原 茂樹

 二〇〇九年一月三十日、開港を間近に控えた富士山静岡空港に隣接する高尾山石雲院の本堂で開催された「全国茶サミット」は、大変充実した会議となった。
 日本におけるお茶は、その地域の気象条件や清い水と高い技術力、芸術性等によって、特性のあるさまざまなお茶が作られ、地域に根差し発展をしてきた。そして、礼儀作法を取り入れた茶道や日常的な飲み物として、日本の食文化とともに、おもてなし・ゆとりといった素晴らしい茶文化を育んできた。しかし近年は、ペットボトル飲料のシェアが伸び、リーフを急須で淹れて飲む習慣が急速に薄れている。故に、リーフの消費量は低迷し、茶業界は厳しい状況に置かれている。生産者は、より高品質で安全・安心なお茶の供給に専念してきたが、全国の茶生産地が連携して「淹れて飲む」お茶の普及活動が重要課題となっている。
 今回の全国茶サミットの開催テーマは「緑茶『大交流時代』始動??日本のお茶から世界のO―CHAへ?」である。ここでいう「大交流時代」とは、お茶を全国や世界へ広める意味だけでなく、新しいお茶のあるべき姿を発信するために、現在の茶業界がさまざまな交流をするという意味も含めている。時代に合った茶文化の創造には、手軽に飲めるペットボトルとの差別化を図り、「お茶を楽しむ」「心を豊かにする」といった新しい生活スタイルを提案するさまざまな積極的アプローチが不可欠である。大会宣言においても、お茶を飲むことがもっと普及し、生産地としても安定して生産が続けられるよう交流を深め、茶業振興を図ろうという趣旨が盛り込まれた。
 その交流とは、まず、今回のような生産地間の交流によって共通の課題や成果の共有化をしていこうとするものである。自治体関係者や生産者が直接会って、課題や期待などを話すことが重要だと考えた。そこから、互いを第三者の視点から見て改善点を指摘し合い、逆に、他の生産地の良い点を取り入れて、自身の茶産地発展へとつなげていく機会にもなる。
 もう一つ、消費者との交流も欠かせない。ペットボトルの普及やそもそも家に急須がない家庭が増えているなかで、消費者に飲んでもらえるようなお茶を作るためにも、淹れて飲むお茶の良さを消費者に訴えていく必要がある。例えば、熱いお茶をゆっくり時間をかけて飲むことにより、日頃の疲れを癒やすリラックス効果が期待できる。家族で食後にテーブルを囲みながら飲めば、それに加えて、失われつつある家族の時間を取り戻すこともできる。また、古来よりお茶は薬効が謳われている。近年でも問題になっているメタボリックシンドロームに対するお茶の効能を立証するために、病院が中心になって市民と協働で臨床試験を開始した自治体もある。もし立証されれば新たなお茶の普及につながるので、結果に注目が集まっている。
 このように、従来のお茶のあるべき姿を復元しつつ、そこから新しいお茶のスタイルを確立することが普及への第一歩となる。そんなひらめきやヒントを今回のサミットで得ていただけたら、テーマである「交流」の意義があったと考える。

  • 観光文化 195号
  • 巻頭言
    第13回 全国茶サミット静岡大会 in 牧之原 西原 茂樹 P1
  • 特集 漲れ! 静岡のお茶力
  • 特集1 静岡茶、日本一への足取り 中村 羊一郎 P2
  • 特集2 技術史を中心とした茶業発展の百年 中村 順行 P6
  • 特集3 緑茶を世界に普及させるために 白井 満 P11
  • 特集4 「静岡の新たなお茶文化」の芽生え 相川 香 P17
  • ◆連載
    連載I あの町この町 第33回 不老上人―広島県・尾道市因島土生町 池内 紀 P22
  • 連載II 風土燦々(6) 北の大地のワイン造り(前編) ―北海道浦臼町 飯田辰彦 P28
  • 連載III ホスピタリティーの手触り 54 サイパンの今とこれから 山口由美 P30
  • 新着図書紹介 P32

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