活動紹介

No.148 「2023年度第3回温泉まちづくり研究会」を開催しました(2月15日・16日)

No.148 「2023年度第3回温泉まちづくり研究会」を開催しました(2月15日・16日)

2023年度の第3回研究会を2024年2月15日(木)・16日(金)の2日間に渡り、京都市で実施しました。概要は以下のとおりです。


【1日目】 プレゼンテーション

第1部 京都市における環境対応

1) 「京都市の環境への取組」
 京都市観光協会 企画推進課 主任  福永香織氏

2) 「ヒルトンのESG戦略とヒルトン・ガーデン・イン京都四条烏丸での活動について」
 ヒルトン・ガーデン・イン京都四条烏丸 営業推進部長  田多井大輔氏

3) 「カラフェ型浄水器を活用したペットボトルの削減の手法」
 BRITA Japan 株式会社 営業部長  楠光義氏

第2部 人材育成

4) 「観光ホスピタリティ人材の育成と雇用」
 大和学園 校長代行  作岡友樹 氏

5) 「宿泊業界の人材の定着・確保の状況 〜コロナ禍中のヒアリングからみえてきたこと」
 武蔵野大学 講師  岩崎比奈子 氏

【2日目】 ホテル視察

午前 GOOD NATURE HOTEL KYOTO(グッドネイチャーホテル京都)視察
   各温泉地の取組共有・2日間の感想

午後 Dusit Thani 京都(デュシタニ京都)視察 ※希望者のみ


1日目の研究会は、京都市河原町にある京都経済センターで行われました。開催に先立ち、当研究会代表を務める道後温泉の宮﨑光彦氏が「当研究会は第6ステージを迎え、環境をビジネスの視点で捉えるという観点から研究や議論を行なっている。今回は京都市の環境対応について現場の話を聞く機会をいただいた。雇用問題も喫緊の課題であり、合わせて研究を重ねていきたい。理論と実践をバランスよく進めることで、各温泉地のレベルアップを図っていく必要がある。」と挨拶しました。

続いて行われたプレゼンテーションは第1部と第2部に分かれ、第1部は京都市内での環境に対する取り組みをテーマに3名、第2部は人材育成をテーマに2名が登壇しました。

第1部ではまず、京都市観光協会の福永香織氏より、京都市の取組が紹介されました。福永氏は、観光客を対象とした意向調査に令和3年から持続可能な観光についての項目が新たに加わったことに触れ、「ようやく行政、事業者、観光客の三者について、環境対応や意識に関するデータが揃ってきている」とコメントしました。

続いて、2022年11月にオープンしたヒルトン・ガーデン・イン京都四条烏丸の取り組みについて、営業推進部長の田多井大輔氏からお話がありました。歯ブラシを持参していないゲストにはヘッドを交換できる歯ブラシを提供し、客室内では水をペットボトルで提供せず、浄水フィルター付きカラフェを設置しています。田多井氏は「こうした取り組みの背景にヒルトングループ全体としてのESG戦略があり、それを支えるのがグループ全体のビジョン」と述べました。

第1部の最後には、BRITA Japan 株式会社営業部長の楠光義氏が登壇しました。同社ではペットボトル削減に向け、宿泊施設への浄水フィルター付きカラフェの導入を進めています。楠氏は「宿泊施設の現場の声を聞くと、ペットボトルの水の保管場所に苦慮している」として、カラフェの導入による負担軽減のメリットを強調しました。

第2部では、京都市内に4つの専門学校を運営する大和学園で校長代行を務める作岡友樹氏が登壇しました。作岡氏は大和学園で行われている実践的な教育や、近年の学生たちの就職に対する意向について紹介した後、人手不足解消のアイデアとして宿泊業界での企業奨学金制度を提案しました。

最後に当研究会の相談役である岩崎比奈子氏から、人材の定着確保に関する研究の情報が共有されました。学生たちと接して最も感じることとして「宿泊業が就職先の選択肢になっていない。どんな仕事かというイメージが伝わっていないので、業界としてはここから始める必要があるのでは」と述べました。

懇親会は古い京町屋を多目的スペースとして活用している、中京区の「ちおん舎」で開催されました。開始前に希望者はオーナーから館内を案内いただき、町屋の持つ長い歴史の一端に触れました。

2日目は午前、四条河原町に2019年12月に開業し、優れたデザイン性と先進的な環境対応で注目されている「グッドネイチャーホテル京都」の視察が行われました。簡単なプレゼンテーションの後、いくつかのグループに分かれて館内見学が行われました。

午後は、2023年9月に日本初進出したタイのラグジュアリーブランドホテル、「デュシタニ京都」の視察が希望者を対象に行われました。