オンライン座談会…開催日:2020年6月23日
① コロナ禍における北海道の自然観光

観光と関係ない人たちにも「観光は重要な産業だ」と言い切れるような強さを我々は持つべき(寺山)。
野外活動の中で日々している判断が、コロナ時代を生きて行くための考え方のヒントになる(植田)。
今後の登山者の山の登り方や自然との付き合い方を、おこがましいですが変えてやろうと(岡崎)。

 

自己紹介と現在までの状況

愛甲 北海道では全国に先駆けて2月末に緊急事態宣言が出ましたが、それぞれの地域でどういう影響が出たのかを簡単な自己紹介を含め、お話しください。
植田 りんゆう観光は、大雪山・層雲峡地区の黒岳にかかるロープウェイとリフトの索道業を運営している会社です。その他に冬のみ札幌の藻岩山スキー場のリフトとゲレンデ管理をしており、旅行業資格も持っていて、ハイキングや登山のツアーをしています。
 コロナの影響ですが、2月末に北海道独自の緊急事態宣言が出た時、当社は藻岩山のスキー場も、層雲峡のロープウイやリフトも黒岳スキー場という形で営業しておりました。
 行政と協議した結果、何とか営業自体はそのタイミングでは続けることができ、藻岩山スキー場については予定通り3月31日まで営業できましたが、やはりお客様の入り込みはもちろん少なくなりましたし、黒岳に関しては外国のお客様の姿が見えなくなることに始まり、だんだんと国内のお客様も少なくなっていきました。
 全国的に緊急事態宣言が出たあたりから、外出自粛の風潮が非常に強くなってきて、黒岳はそれほどお客さんが多くないスキー場なので、なんとかゴールデンウィーク終わりまで細々と続けていきたいと思ったんですが、近郊のスキー場がどんどん休止していき、当社も5月6日の終了予定を4月29日に繰り上げました。
 例年北海道ではゴールデンウィーク明けまで営業するスキー場が複数ありますが今年は全滅で、風潮というか人の心の部分で、営業しづらかったという印象があります。



愛甲 具体的にはどれくらい落ち込みましたか。
植田 この4〜5月で、黒岳のロープウェイは8割減ですね。6月に少し回復してきましたが、外国のお客さんの団体と本州からの団体が全く動いていない状態なので、道内からのお客様がある程度動いても、そこだけで5〜6割は減るイメージですね。
愛甲 もともと外国の団体はどのぐらいの比率を占めていましたか。
植田 コロナ前までの層雲峡温泉街の入込は約3割ですね。ロープウェイもほぼそれに近い数字で、25%から30%未満です。
愛甲 さっき言われた「心の部分」という言葉が印象的でしたね。4月29日で閉めると判断をしたのはどういう理由からでしょうか。
植田 最終的に休もうと決断したのは社内からの声でした。4月末に近くなると、だんだん標高の低いスキー場は営業をやめていき、残ったのは旭岳や黒岳など数カ所しかなく、当社が4月29日に辞める前々日ぐらいに、他スキー場に来たお客さんがSNSにそのことをアップして叩かれたらしいんです。
 それを受けてそのスキー場が急に営業をやめ、そしたら当社の社員から「札幌ナンバーなど黒岳に来る車が増えている。旭岳から流れてきているのでは」と連絡があり、社員にどうしたいかと聞きました。
 私は、スキー場というオープンな空間で密にならないよう配慮し細々とでも営業できればと思っていましたが、社員は地元でコロナの発症事例もなく、自分たちが1番手になれないと。また、雰囲気とか人の気持ちの問題を見ていると、無理して営業して「何でこんなときに営業しているんだ」と言われたら答えようがないということで、「わかった。ゴールデンウィークは休みにしよう」という判断をしました。
 あの時は自粛警察というか、札幌ナンバーで市外に出ただけで張り紙を貼られたり、今思い出しても「皆が自粛しているからそれに従え」という雰囲気は非常にありました。
寺山 一般社団法人知床しゃりは昨年7月の設立で、観光協会や商工会などが地域の課題に対していろいろな中長期計画を作る中、なかなか実行体制が取れなかったので、実行部隊の法人を作ろうということでできました。DMO的機能や地域商社、まちづくりなどいろいろな期待をされており、具体的には地域ブランディングを行う会社で、「知床トコさん」という地域ブランドを運営しており、昨年度のグッズ売上額は約5000万円でした。
 これを原資にツアーから食品まで、地域商品を作り、100人くらい雇って2〜3年できる事業計画を立てていたのですが、このコロナ禍でグッズの売上額は前年80〜90%減となり、5月はゼロでした。
 ちなみに宿泊者数は4月が前年比約86%減の3000人、5月は約95%減の1700人で、ゴールデンウィークは一部のホテルで営業しようという雰囲気もありましたが、町民からのリクエストが役場に入り、それを受けて全て休業ということになりました。
 観光というのはそもそも移動と交流が目的なので、それがリスクと見られたらどうしようもなく、町民の気持ちがその方向に振れた場合は、やむを得ないので閉じるという決断をそのホテルもされました。ただ、6月になると特に根拠はないですが、風向きが変わりお客さんがぼちぼち来ています。
 うちは観光メインの会社ではないのですが、地域の持続性や知床が未来も選ばれ続けるためには、観光が実質的に農業、漁業よりも重要な産業であると位置付け、この地域で観光が踏みとどまって将来発展することは、うちの法人にとってまさに存在意義に近いので、色々悩みながらやっています。
寺崎 さっき、町民からのリクエストでホテルが休業することになったということですが、この町民とはどんな方ですか。
寺山 正確にはわからないんです。
寺崎 普通に暮らしている方の声に耳を傾けざるを得なかったと。
寺山 産業構造として知床は農業、漁業が豊かで、春先はどちらも集団作業が始まる時期です。「今は誰も感染していないけど、第一号を外から持ってこられるのは困る」という感覚を各産業の人が抱いても不思議ではないです。当然、根拠のない恐怖ではありません。
愛甲 観光が外から人を呼び込む装置であるがゆえに、ウイルスを運んでくる装置のように思われる場合があると言うことですね。離島などでもそういう雰囲気があり、利尻礼文などでも来島自粛の要請がされていましたね。
寺崎 知床が将来も選ばれ続けるためには、観光は実質的に農業、漁業よりも重要ということですが、誰にどういう風に選ばれ続けることを想定していますか。
寺山 うちのミッションに、知床が居住地として将来に渡り選び続けられるために、地域ブランディング商品を開発するというのがあります。住民にとって選ばれ、そして観光地としてビジターに選ばれ続けることに寄与する商品開発をしましょうと。
岡崎 自分はもともと登山道を直したいというシンプルなところから始まって、登山道整備の立ち位置で色々やり始めて、そのためには何が必要かを考え続けています。まずは技術が必要と思って身につけ始め、少しずつ直せるようになった時に技術だけじゃ足りない、システムを変革しないといけないと気づきました。
 行政と話しても難しい部分があったので、行政ではなく登山者を味方にしていこうという発想から、一般社団法人大雪山・山守隊を作りました。商売っ気は全然ないのですが、登山道整備の位置付けも時代や社会の変化によって変わるので、その中で自分がどこにいるのかは気にするようにしています。

 今回のコロナ禍による直接的な影響は少ないですが、他の皆さんも言っていたようにいろんな人から叩かれる状態が起きるので、イベントを行う雰囲気ではなくなってしまい。それは全然構わないんですが、この後がどうなるのかということを常に考えています。今できる発信として「営業は自粛するけど管理は自粛しない」と言っています。そんなに我慢できるものではないので、何ヶ月か経ったら全然違う環境になってるんじゃないかなと。そういう中で先の先まで決めてしまったらまずいだろうと。
 黒岳や知床ではSNSや町民の声などから方針が決められたという話がありましたが、そういう情報によって色んなことが変わっていくこと、こういう状況の中で先を見ている人というのが結構はっきりわかってきたので、できるだけそういう人たちとチームを組んで、先に進んでいきたいと思っています。
 登山道整備は突き詰めると責任問題などになって身動きが取れなくなるんですが、今回のコロナ禍も全く同じで、「感染したら誰が責任取るんだ」とか、誰かを悪者にしたいという日本人の変な感覚がものすごく見えたと思います。文化としてそういう風になってはいけないんじゃないかなと。そういう中で自分のできることは登山道整備なので、管理をしっかりしていこうと思っています。
愛甲 岡崎さんがイベントを予定していたのは夏ですよね。
岡崎 はい。たくさん人を集めてはできないんですが、指導者を作るという形で、少人数で続けようかと思っています。指導者ができれば、来年はもっと色々なことをできますよという形で謳っていくしかないかと。
寺崎「先を見ている人がわかってきた」というお話がありましたが、その反対は「先を見ていない人」ですよね。両者の違いは何でしょうか。
岡崎 極端に言ったら責任を取れる人か、人に責任転嫁する人か。叩かれてもこれが正しいと思って進んでいける人と、叩かれるのが怖くて決断できなかったり、周りに合わせてしまう人の違いですね。自分の周辺は小さい会社が多く、それぐらいの責任はとれるという人が多いのですが、これからはそういう人たちが地域を作っていくのかなと。今回のコロナ禍で先を見ている人たちがいると感じられたのは嬉しかったです。

コロナ禍で脆弱さが露呈した自然や公園の管理

愛甲 岡崎さんは技術に加えてシステムが必要だと言われましたが、具体的にはどういうものですか。
岡崎 国立公園の登山道管理のシステムです。今の登山道の管理は侵食に追いつかず、やってもやっても良くなる方向に進めることができないのは、どの地域に行っても思います。
 それに対する方法がないことはないですが、こなすためのシステムは全然できてなくて、問題意識として捉えている関係者もすごく少ないような気がして。利用者は「何でここまでほっといてるの」と思う方も多いんですが、管理している方々はそれが普通だと思っているので、なかなか進んでないと思います。これからインバウンドを取り込むとか、魅力ある国立公園をと言われてますけど、自分から見ると「これじゃ日本の恥さらしちゃうよ」という気持ちです。
愛甲 昨年、週刊誌の記事でも取り上げられるなど、少しずつ周知されつつありますが、今回のコロナの影響の中、施設や登山道について国立公園が管理する仕組みや枠組みの中で議論していると、何か思うところがあったでしょうか。
岡崎 黒岳石室の隣に併設されているトイレを、管轄している北海道上川総合振興局が閉鎖するという判断をしたんですね。登山者を止めるとか登山道自体を閉鎖する上でトイレを閉鎖するなら分かるんですけど、登山は自粛で、歩いてもいい状態で閉鎖したら大変なことになると。その方針が一年間続くなら、2〜3ヶ月後には多分登山者が結構来るようになるんじゃないか、その時にトイレが使えないとなったら、キャンプ場から何から大変な状態になるとはっきり想像できました。
 もし黒岳石室の周りが汚くなり、それが海外のSNSに取り上げられたりすると、風評被害としてはかなりダメージが大きいのではと。以前、トムラウシが日本一汚いキャンプ場などと言われ、自虐的に直す活動もありましたが、その比じゃないなと。
 それで自分の管轄とは違う場所でしたが、行政の方に「とにかくトイレは開けるべきでは」とお願いしました。そういう感覚を共有してもらうのが難しいですね。管理している行政が、管理しないことによって起きる問題を理解してないと思います。
愛甲 黒岳のトイレの事について、私も行政と色々やりとりしている時に、普段のシステムの弱さが出ちゃったなと感じました。
 まだよく分からない新型ウイルスへの対応で、おまけに山の上では何が起きるかはわからない。エビデンスもはっきりしない中で6月下旬の山開きと7、8月の登山シーズンを控え、誰が決断するか、どういう風に話し合って決めていくか、普段から準備できてなかったところを突かれたなという感じがすごくしました。
 施設はそれぞれが判断できますが、山は入口がはっきりせず、登山道を閉鎖するといっても、自由に入ってくる人もいるわけで。特に大雪山は3月に新しい総合型協議会を立ち上げようとしていた矢先に、コロナの影響で総会延期、書面開催となりました。環境省も急いで情報共有の場やメーリングリストを作ったり、できることはしてくれたと思いますが、タイミングが悪かったなと思います。植田さんはそのあたりで何か感じたことは。
植田 石室については岡崎さんが言った通りで、当社も上川町が所有する建物の管理を夏の間だけ受託していますが、行政から「いろいろ考えた結果、感染リスクを避けられないので今年はトイレを開けません」という話をされた時に参ったなと思いました。
 当然常駐する管理人の排泄問題もあれば、テント場などはどうするんだと。テントに泊まれば当然排泄するわけで、みんなが携帯トイレを使うというのも難しいだろうと。ここでやはりシステムの弱さが出たな、民間と行政とでは判断基準が違うと。上川町の方から「万が一感染が起きると層雲峡温泉街、上川町に多大なマイナスイメージや風評被害がある」という発言があり、それもそうかという気もしますが、山の世界と町の世界、観光の世界を一緒にし考え過ぎるのもどうかなと私は思っています。
 もちろん否定する気はないのですが、町の論理だけでは山の世界は測りきれない部分があるので、そこは分けて考えないといけないかなと。自分たちもここは山の論理に近づけ、ここは町の論理に近づけると判断基準が変えたりしていて、行政の方とはその辺の感覚をすり合わせるのが難しい。中には親身になってくれる方もいますが、町の論理でざっくりと判断してしまうことがあるなと。そういう、大ナタを振るうところが山の世界に持ち込まれると、なかなかうまくいかないのかなと。
 そういう意味ではもう少し管理体制や組織をはっきりさせていく必要があるのでは。今回はトイレと石室をどう擦り合わせるかも時間がかかりましたし、これから間違いなく一元管理が必要になってくるだろうと。でないと岡崎さんがいうように、国立公園の全体的な資源としての魅力は向上していかないのではと思います。

ヒグマとコロナの共通点

愛甲 寺山さんは前職が知床財団で、知床は国立公園の協働型管理のモデルにもなっている場所です。今回のコロナの影響下でその辺は機能したのか、どんな感じでしたか。
寺山 私は昨年3月まで知床財団で、まさに今話に出ていた国立公園の現場管理をしており、閉鎖なども含め国立公園の管理作業は何をすべきかという話を10年くらい現場でしていました。
 管理者は説明責任が重くのしかかってくる関係でどうしてもナーバスになり、自粛をした方が楽なわけです。あらゆるリスクを考えきれないので自粛や閉鎖になる。しかし岡崎さんが言うように、管理を自粛してはダメだと思います。閉鎖というのは当然持っているカードの一枚ですが、運用や再開とセットにしないと管理にはなりません。
 知床の遊歩道はヒグマが出ると閉鎖しますが、コロナの対応と似ているなと思います。状況把握のために一旦閉鎖するんですが、そこから開けるのが難しいんですよね。クマがいなくなるわけではないですから。コロナウイルスも多分なくなるわけではないので、開放するときのロジックが難しい。
 知床の場合は、状況把握のためにパトロールがとりあえず一周して、クマが滞留するような特別の餌がなければ、通常のリスクとして開放します。コントロールできるリスクであれば開放し、もし人が入るゲートの近くで1日前にクマが確認されたら、確実にクマは近くにいるので、遭遇を避けるためにこういう手があります、ガイドを誘導で雇うという手もありますと情報提供します。
 自然の中での管理は当然リスクをゼロにはできないので、最低限の管理活動と情報把握及び周知、その上での選択肢の提示をしないとどうにもならないし、逆にこれくらいしかやることがない。クマが出ないよう、遊歩道に全面フェンスを施すのは自然公園でやるべきではありません。
 知床はこういう場所であると情報を提示し、クマがいるという事実を訪れる人に理解してもらい、とれる選択肢を提示するしかないです。その選択肢とは勉強して気をつけて行く、ガイドを雇う、やめるというもので、それを選んでいただくのが管理活動ではないかなと。コロナウイルスの対応も同じだと思います。
 ホテルも人が多く集まるのでウイルスのリスクはありますが、コロナよりよっぽど怖いノロウイルスなどに対応しながら営業しているわけですよね。対応マニュアルは政府が作るガイドラインよりよっぽどしっかりしていると思うし、「こうしています」と情報公開して再開し、お客さんの選択に委ねるのが大事では。民間も国立公園も「管理し、情報公開し、選択肢を提示する」の3点でやっていくしかないだろうと思います。
愛甲 3人ともほぼ同じことを話されており、寺山さんの今の話に集約されていると思います。問題は、状況把握や情報提示を誰が責任を持ってやるかがはっきりしないことで、これが今の日本の国立公園や観光地の問題ではと感じます。
 観光地も単独の自治体の範囲で収まればいいですが、広域にまたがるとそういう判断が難しくなったりすると思います。知床はヒグマに関しての責任は環境省が取り、協議会で話し合う場所を作るということになってるんですよね。
寺山 ウイルスと同じようにクマもいなくならないので。山に行ったら雨が降るのと同じように、知床にはクマがいるわけで自然環境の一つです。環境保護関係者、観光関係者、住民が同じ船に乗っているわけですよね。クマがいることになんとか折り合いをつけないといけない。それを行政上の船に作り変えるのに管理計画や協議会という形式をとるのは必要な話です。
 今回もコロナ対策について勉強会をしましょうということで、地元のホテルの人にも声をかけて「情報共有して公開しないとダメですよ。コロナはクマみたいなものだから」というと、「そうだな」と納得されました。一度閉じたら開けるのは大変なので、今やっていることを公開するべきだと言うと理解してもらいやすかったです。

寺崎 では、大雪山の黒岳については、どういった管理や地元への投げかけが理想的なのでしょう。トイレの問題や宿泊施設も含めて、地域全体のマネジメントについては誰が責任者になるのでしょうか。
植田 3月に大雪山国立公園連絡協議会という組織を作り直したのですが、大雪山国立公園の未来を考えていく中で、民間も環境省も入ったものになることを期待しています。そこでコロナなどいろいろな議題について、みんなで選択肢を決めていく場ができればいいのかなと。
 宿泊業、観光業それぞれ守りたいものが違ったりするので、簡単なことではないですが、まずはみんなが俎上にあげられる場があることからスタートするのかなと。
岡崎 登山道を整備する立場から考えると、インバウンドの誘致を登山者が「このままの管理ではまずい」と思い始めていることが、プラスの追い風にできるのではと思っています。
 登山者も、誰がどういう管理をして今に至るのかをわかっていない人が多く、というより関係者もわかっていない方が多いんですが、「実はこういう状況だ」と言うと「どうしてそうなっているの」「なぜこうしないの」とみんなほぼ同じ反応を見せます。一般の人も現状を知れば、やるべきことを理解してくれるのではと思います。
 そうなれば、インバウンドに来てもらうなどでお金が落ちるシステムにするにはどうしたらいいのか、それを管理費に回すにはどうしたらいいのか、国立公園の経営について、こうしたら良くなるとイメージさせることが必要ではないかと思います。
 行政も現場に来る方は理解してくれる方も多いんですが、上に行けば行くほど、全然現場を理解していない決断になってしまい、それが現場に降りてきてギャップに苦しんでいると言う方もたくさんいるので、そういう方々を変えていくなら、自分の場合は登山者と向き合い、管理などに興味のない一般の人に理解してもらうことしかないと思っています。

コロナ禍での営業再開について

愛甲 緊急事態宣言が解除され、県をまたいだ移動の自粛も解除され、少しずつ観光客が動き始めているということですが、植田さんはコロナの影響下で営業していく中、再開についてはどんな判断をされ、どんな対応の工夫をされていますか。
植田 黒岳ロープウェイはゴールデンウィークに休んだ以外はほとんど止めていません。先ほど話に出たように、閉鎖や休業は再開とセットになると思っており、我々観光業としてはお客様をウエルカムで受け入れるべき立場だろうと。もちろん対策は取りながら、お客さんが来るかどうかはそれこそお客さんの判断や選択になると思うので、我々は店を開けていつでも来てくださいという態度を持つということですね。
 愛山渓ヒュッテは5月20日から日帰り入浴をスタートし、6月1日からは宿泊も受け付けを再開しました。他の業界団体や本州の山小屋も参考にし、1部屋の人数を絞ったり、柱ごとにビニールシートの仕切りをしています。
 これで完全に防げるとは思いませんが、コロナの知見が増えてきた中でとるべき対策をしてそれを開示し、前向きにやっていくことかなと思います。リスクはゼロではないですが、それでもお客さんが来たいと判断してくれれば、来てくださいというような形です。
 ゴールデンウィーク前後の自粛論議が非常につらかった思い出があるので、雇用を守るということも含めて、前向きに粛々と営業は続け、できるだけ閉めないという判断をしています。
愛甲 かなり経営的には大変なのでは。休む方がいいのか、開けた方がいいのか。
植田 そこは100%の正解はないと思います。層雲峡温泉街もかなり休業して、その間は休業補助金をいただき、当社も使える制度は全て使いながらと思っています。融資もかなり受けています。
 ここで諦めるのではなく、戻って来る日を信じて、アフターコロナで我々の仕事やお客さんの層や質も少しずつ変わりながら、変化して続けていけるよう、先を見ていこうと。これが正解かどうかはわかりませんが、1度動きを止めてしまうと、そこからまたエンジンをかけて動き出すのはすごく力が要るので、できるだけ社員の気持ちも、仕事も、受け入れも止めたくないと強く思っています。
愛甲 予約は入ってきていますか。
植田 大雪山も知床も、アウトドアでの楽しみという意味ではまだまだ需要が戻ってくる可能性があると思っています。実際、ここ2週間ぐらいで大雪山高原温泉、愛山渓などに道内の方が少しずつ動き出しており、これから夏山シーズンも始まるので、山を楽しむお客さんが動き始めるのでは。
 ただインバウンドや本州の団体が戻るには、まだまだ時間はかかるでしょうし、GoToキャンペーンも動き出しに時間がかかりそうですし、今期の売り上げは半分くらいになるだろうと思っています。インバウンドが戻るのは早くて来年の春かなと。
 地元の観光協会も冬は氷瀑まつりなど集客イベントをしていますが、今年は縮小もやむなしと言う感じです。
愛甲 寺山さんにも同じ質問です。ご自身の事業を含めて、ウトロでは民間事業者は再開の判断はどうなのか、どう動き始めているでしょうか。
寺山 ウトロはホテルのキャパが4000人以上ですが、ゴールデンウィークは全館閉めて観光客がいない様子を見て、住民がとても異様に感じていました。「沈黙の春」と言う言葉がありますが、ある意味、観光の生態系が崩壊したことを実感したゴールデンウィークでした。
 その前に「自粛してもらわないと困る」と言う町民の風が吹いた時には、「観光がそもそもこの土地に必要ないのでは」という風向きになったらまずいなと思いました。この土地にとっての観光の意味が根底から揺らぐかなと思ったら、そんなことはなくて、漁師さんや町民と話しても「いやー寂しいね。来てもらいたいね」という雰囲気になったことはすごくよかったなと。
 科学的には何一つ、物事は進んでいないんですが、お客さんを迎えようという雰囲気がそこはかとなく漂っていることに、実はとても安心しているところです。各ホテルは対策を見える化しようとか、ガイドはマスクをするかとか、それぞれのガイドラインに従って動き出している形です。
 ウトロには大きなホテルが4軒ありますが、2軒は6月から動き出し、2軒はまだ再開していないので半分強のキャパが稼働した状態です。ホテルの経営者はどうしのぐか、資金繰りを見ながらか悩んでいると思いますし、小さい民宿は家業を続けるのかと真剣に悩み、まだ再開していないところも多いですね。再開するにしても、7月からと考えているところが多いかと。
 GoToキャンペーンのスタートが遅れるのは結構痛いですね。しかし、経営判断が難しい中でもお客様を迎えようという雰囲気で動き出し、ホテルなども掃除や消毒などの作業が増えたけれど、スタッフの表情が明るく、ビジターをちゃんと迎えられる根本的な雰囲気があるので、よかったなと思えた再開シーンでした。
愛甲 観光をやってない人も含めて、お客さんが来ないとちょっと寂しいなっていう感情をみんなが感じていたのでしょうか。
寺山 もちろん全員ではないと思うし、「本当に開けんの、やばいっしょ」と言ってる人もいますが、世間話レベルで「でも開けないと大変だべ」という声も聞こえてきます。
愛甲 GoToキャンペーンの話が出ましたが、道民割についてはどうですか。結構期待されている向きはあるのでしょうか。
寺山 ふっこう割などの実績を認識しているのは宿泊業の方なので、それは期待していると思います。
愛甲 知床も大雪山も、ピークのシーズンに訪れるのは道外の方で、都道府県を超える移動もだいぶ緩和はされてくるけど、この夏は東京や関西のお客さんが今まで通りに全部が戻ってくるとは思えないですよね。
 そうすると知床や大雪山も、北海道民にもっと訴求する必要もあるのでは。今年の夏はマイカー移動で観光する方が増えると思いますし、どのぐらい道民に来てもらうかは、結構重要だと思うのですが、植田さんと寺山さんはどう思われますか。
植田 まさに今どこの観光地もターゲットは域内、北海道であれば道内の方々にならざるを得ないだろうと思います。だからこそ各地の観光協会がこぞってPRしていて、網走観光協会は新聞に一面で7泊8日12000円という広告を打ったり、私どもの上川町もテレビCMを作って町長が出演したり、530万人の北海道民をどこの観光地が持っていくのか、必死に考えていると思います。
 GoToキャンペーンが秋以降にずれ込んでしまうと、夏の最盛期は道内を取り込むしかないと。マイカーは間違いなく増えると思いますが、マイカーが使えない人たちについては、もっと遠出がしづらくなるのではと思います。
 当社も先週から山登りの日帰りツアーを再開しましたが、今のところは一人2席以上使えます、換気も消毒もしますという形でやっています。まだまだ大型バスやJRの移動については、ハードルがあるのかなと。
 マイカー旅行というと、やはり人口圏の大きな札幌からどこまで足を伸ばしてくれるか、多分知床も考えられてると思うんですけど、東日本大震災の時に岩見沢以降の高速道路を無料にしたとき、層雲峡温泉街でもかなり効果が見られたことがありました。今回はそれよりJRやバス会社を助けなきゃいけないのではという声もあると聞きますが、果たしてこれからワンバス40人というバス旅行が残っていくのかなと。まさにwithコロナで旅行スタイルが変化していく部分ではという気がしています。なので、各旅行会社もバスツアーを積極的にまだ売り出せてないんじゃないかなと。
寺山 深刻な状況ですが、1年経ったら8割ぐらいは元に戻ってるんじゃないかなという気もします。10年前の福島原発の爆発で世界が変わると思ったけど、半分は元に戻っていると思います。こういう時に新しい動きが生まれて、それと並行しつつ半分は既存のシステムに戻るのでは。
 うちは何か新しいことを考えるためにできた団体なので、道内からマイカーで知床に来た人たちを車から下ろすコンテンツは何かを真剣に考えるのが、切羽詰まったお題だと思っています。
 かといってそんな大きな仕掛けはできませんから、6月から電動アシスト自転車をホテル2カ所とビジターセンターに配置して、自転車で知床峠まで行くテスト商品を始めました。大自然の中、ステイホームでなまった体に汗をかきませんか、電動アシストならなんとここまで行けますよという演出で、4〜5000円で売れないかというのを試しています。
 ホテルからは「レンタサイクルは500円でも売れなかったよ」と言われましたが、情報発信などによって4000円で売れたとしたら、半分ぐらいは元に戻っても1割ぐらいはそういうお客さんを作れればと期待しています。
 今年はマイカーで近隣から来る人がボリューム層で、そういう人たちに何を訴求するかは全体的な課題です。北海道の人が自転車に乗って歩くというのはすごくハードルが高いですが、今はインバウンドも来ないので、まずはどれくらい稼働があるか、試してみようと。
 しかしMaaSやライドシェアなど、乗合バスをうまく活用しようという流れが今回のコロナで止まったのは痛いですね。田舎で交通機関を何とかしようと思ったら観光と生活をくっつけて何とかできないかというのが生命線だと思っていたのですが、それが止まったのがとっても痛いなと思います。

来訪者の質の変化

愛甲 岡崎さんは大雪高原ヒグマ情報センターの管理をされていて、施設が再開したんですよね。施設を開けるにあたり、環境省とか北海道からはどういう風に運用しようと言う話はあったんですか。
岡崎 環境省、上川町、北海道が関わっていますが、道からはまだ連絡も来ていないですね。いつも6月後半にならないと連絡がこないのですが、方針くらいは来てもいいかなと思ったんですが。
 環境省の方々はあまりコロナのことは気にせずに、対策をしっかりしている点はアピールしてどんどんやってきましょう、管理していきましょうと。まだ登山者が来る駐車場のトイレが開いておらず困っているといった問題は起きていますが、特に運営するための苦労はなかったです。
 登山者については減るのか、増えるのかがわからなかったのですが、今のところ正直変わりません。まだ休日しか見ていませんが、去年の休日とほぼ同じスタートで、ほとんど道内の方ですが、元々今の時期は道内からが多いというのも同じです。
 一つ違うのは、去年と比べてかなりアクティブな方が多いことです。例えばただ沼を歩くのではなく、スキーを担いで登って行って滑って降りてくるとか。また、ほとんどの人は事前にSNSで情報収集をしてきています。
 なので今後を考えると、情報発信の仕方だったり、今までと違う視点を見せることができたら面白いんじゃないかなと。変な言い方ですけど、チャンスがいっぱい見えていて。これだけどこもかしこも人が少なくなっている中、一歩先行くことができるのではと思います。
 北海道は自然環境がものすごく素晴らしい場所だと思うし、町の商売と比べるとこれから山の商売はすごくとっかかりがいいんじゃないか、呼び込みやすい場所ではと直感的に思います。大雪高原は非常に規模が小さく、年間6000人くらいしか来ないところですが、これからの呼び込み方で色々変化させられ、来た人が新たな発信をしてくれる形を作っていけるのではないかなと思います。
愛甲 高原温泉は秋がピークですよね。今はまだそんなに多くない。これから秋に向かってどうなっていくかは心配もあり、逆に楽しみな部分もあると思います。今年は白雲岳の工事もあると思いますが、今後の登山者の山の登り方や自然との付き合い方は変わっていくと思いますか。
岡崎 変わっていくというよりは、おこがましいですが、変えてやろうという気持ちですね。高原温泉は今までは秋が8割でしたが、夏に面白い時期もあるけどほとんど人は来なかった。自分らは春の魅力を知っているし、理解でしてくれる人も出てきているので、これからは秋以外の時期を売ることに力を入れていこうかなと思っています。
 白雲岳もとても魅力的な場所なので、その魅力を分かる人ならかなり大金を払っても来ると思うんですよね。これからはたくさん来て少しお金を落とす形よりも、一人が非常に満足してたくさんのお金を落とす形に変わると、皆さんが思っていますが、そういう発信ができているかはちょっと分からない。自分の視点はあまり一般的ではないのですが、思ったことを試す場所もできたので、どんどん思いつきを試していければと思っています。
寺山 この時期に来る人が、本当のお客様だと思うところがあって。地元でよく言っているのは、カメラマンと釣り人は同じくらい来ているなと。管理側にとってはトラブルも結構あり、お金もそんなに落とさない客層ですが、こういう人たちが自然環境や自然公園にとって本質的なビジターなのではないかと。
 本質的なことからすると、この状況では来たい人しか来ない、それがカメラマンと釣り人だと。そういう意味では登山客の数もそんなに落ちないかもしれませんね。これはちょっと真剣に考えないといけないと。
 今後もコロナ対策がうまくいかず、お客さんが落ち込んだままならビジターの本質をちゃんと考えないといけない、この状況でも来る人はとても大切にしないといけないなと。一番厳しい時期に来たお客さんが何を見ているのか、よく見ておきたいなと思います。
植田 寺山さんに近い思いを私も持っていて、こういう時にも離れないお客さんは観光地のファンづくりにもつながるので、気をつけて見ておくべきだと思っています。黒岳ロープウェイの歴史上で初めて、今年は夏のシーズン券というのを作って売ってみたんです。5月は開店休業だったので、みんなの仕事も作らなきゃいけないし、目先の収入も欲しいということで始め、6月21日まで売っていましたが、200枚弱が売れました。
 夏から秋にかけて乗り放題ということで、ちゃんとお金を使って黒岳に来ようと思ってくれる方は道内の方だろうと思って作ったのですが、こういう時でも反応して応援するよという方やお得だと思って買ってくださった方がそれなりにいたことは我々にとってもすごくいい勉強になったし背中を押してもらえました。そういう時にきてくれるのはどういうお客様か、きちんと見ながら付き合っていかなきゃいけないなと思ってます。
 アウトドアや外での楽しみはますますこれから価値が上がり、高いお金を払ってもそういう体験をしたいというニーズはますます高まるのでは。コロナによって旅行の機会が限られるなら、その大事な機会にはお金をかけて素晴らしいところに行こうという意識が強まるんじゃないかと思います。そこで北海道の自然の素材が、注目され価値が認められるチャンスは大きいと思っています。
 自然への負荷を考えつつ、そのチャンスをどう活かしていくか。やはり岡崎さんが言うように、少ない人数でたくさんお金を落としてもらえる仕掛けや場所づくりになるのかなと思います。それに合わせて層雲峡温泉街も変わっていかなければいけないし、そのいいきっかけになると思います。

今回の経験から観光地が学ぶこと

寺崎 最後に皆さんにお聞きしたいことがあります。今回のコロナを経験して、観光地はここから何を学ぶべきだと思いますか。
岡崎 物事や価値観を変えるのは昔から「若者、よそ者、ばか者」と言われますが、現在の観光地が動かない中で、自分にも「どういう形がいいのか」と聞かれる場合もあります。今までお前らなんかいらないと言われることもあったのですが、少しでも新しい発想を取り入れようという人が地域に増えてきたのではと思います。
 自分などは、ばか者代表でいろいろ意見を言っていこうかと思いますが、同じような境遇の人たちが、同じ地域内だけでなく地域を超えてつながることができれば、面白い形になり、今まで考えられなかったことを考えられる大きなチャンスではないかと。そういう希望だけはすごく持っています。
寺山 今回、地域にとっての観光の価値が何なのか、突きつけられたところがあって、本質的に移動と交流が観光の形ですから、感染症に関してはマイナス要因でしかないですよね。その中で、この土地にとって観光が必要だと言い切れるものは何なのかということを突きつけられたと。
 ゴールデンウィークの静かな時は観光をやるべきかと考えさせられたし、観光が再オープンした時に皆の表情が明るくなったのはよかったなと。観光地であるウトロから離れた観光と関係ない斜里町の人たちにも「観光は重要な産業だ」と言い切れるような強さを、我々は持つべきだなと肝に命じたところがありまして。
 私個人は、「観光は世界平和に貢献するから必要だ」と言い切ることに決めて転職しています。知床を世界遺産にしてくれたユネスコは、文明の衝突を防ぐために戦争の反省から作られた団体で、そのユネスコが知床がいいところだと言ってくれたということは、「ここはいいところだよ、戦争するのはやめようよ」ということで人々に開かないと守った価値がないと、私は言い切ることにしております。
 「世界平和のために知床世界遺産を開くのが観光地の仕事です」と言い切るべく、あと20年ぐらい働こうかなと思っています。「世界平和のために俺たちは観光やってるんだ」という雰囲気が出てきたら、ホテルでアルバイトしている若い人たちもちょっとは元気になるじゃないですか。やはり世界平和のためにあるのは観光だと、つかみ直すきっかけを突きつけられたのが今回の機会だったなと思います。
植田 うちの会社の企業理念の中にも「お客様に喜びを提供することで世界平和に貢献します」という一文を入れており、やはり私も観光や娯楽は世界平和につながっていかないといけないなと思っていて、今のお話を聞いて同志がいてよかったなと思いました。
 コロナで学んだことに関しては、経済活動、企業活動をしていく中でのリスクの考え方について改めて考えさせられたなと。未知のものなので、ナーバスな反応をする人もいましたが、決断したり活動していく中で、リスクはゼロにはならないと改めて思いました。
 ロープウェイも風が吹けば減速して運転したり、山に登れば遭難しないで帰って来られるように、いろんなリスクを考えながら判断します。観光地も冷静にリスクを勘案しながらそれでもやっぱり、お客様をウエルカムで受け入れる態度が必要なんだろうと思います。
 国立公園や自然をテーマに野外活動をする中で、我々が今まで自然の中で培ってきた知見や日々行なっている判断が、コロナ時代を生きていくための考え方のヒントになると感じました。そういう視点から我々も何か発信できればと思います。
愛甲 私は、できるだけ早くこのような機会をもち、様々な経験を共有すべきと考えていました。本日のお話は、他地域の方にも興味深く、参考になるでしょう。東日本大震災の時も被災地以外の人の意識が予想外に早く戻ったように感じましたが、寺山さんがいうように、今回も観光客の動きなどは何事もなかったように半分くらいは元に戻るかもしれません。そういう中で、今起きていることや学んだことを記録し、後から検証することが大事だと思います。人の動きもそうですし、自然公園を運営するシステムがどう機能したのか、そこで見えた弱さなどを次の改善に生かすために、勉強させられているんだろうなと感じます。
 こうしてみなさんとお話ししたことも、きちんと記録に残しておけることを非常にありがたいと思っています。本日はどうもありがとうございました。

 

 

 

 
 
 

植田拓史(うえだ・ひろし)
(株)りんゆう観光代表取締役社長。札幌市出身。神奈川大学/大連理工大学卒。大雪山層雲峡・黒岳ロープウェイ/リフトを運営。上川町より受託し避難小屋「黒岳石室」の夏季管理、「大雪山愛山渓温泉・スパ&エコロッジ愛山渓倶楽部」管理運営。世界に向けて北海道の魅力発信に奔走中。趣味は登山、山スキーだが最近登っているのは黒岳ばかりの口だけクライマー。

 

 

 

 

 

岡崎哲三(おかざき・てつぞう)
一般社団法人大雪山・山守隊代表。合同会社「北海道山岳整備」代表。札幌市出身。上川町の避難小屋「黒岳石室」、大雪高原温泉ヒグマ情報センター勤務を経て、2011年、生態系の復元を目指す合同会社北海道山岳整備を設立。2018年には山の道を守る活動を行う(一社)大雪山・山守隊を立ち上げた。近自然工法と武道を学ぶことがライフワーク。

 

 

 

 

 

寺山 元(てらやま・げん)
一般社団法人知床しゃり事務局長。新潟県出身。北海道大学卒。外資系コンサルタント(1991-94)、旅行会社(1994-2005)を経て、2006年(公財)知床財団へ。2019年から現職。知床の、自然と人の共存に関するの調査・研究や環境保全活動に取り組む。

 

 

 

 

 

コーディネーター
愛甲哲也(あいこう・てつや)
北海道大学大学院 農学研究院 准教授。博士(農学)。鹿児島県出身。北海道大学卒。1993年北海道大学大学院農学研究科助手等を経て2008年から現職。専門は造園学、特に公園の計画・管理。著書に「はじめて学ぶ生物文化多様性」(共著、講談社、2020年)、「自然保護と利用のアンケート調査」(共編著、築地書館、2016年)、「利用者の行動と体験(自然公園シリーズ)」(共編著、古今書院、2008年)など。知床世界自然遺産地域科学委員会委員、富士山世界文化遺産協議会世界文化遺産アドバイザーなど。

 


 

 

 

 
進行
寺崎竜雄
(公益財団法人日本交通公社 理事・観光地域研究部長)