ガイドという仕事…⓫沖縄・座間味
いつの日か、座間味のエコツーリズムをテーマに歌をつくりたい

大坪弘和(カラフルウェーブBoss、座間味村ホエールウォッチング協会広報委員長)

 1966年愛知県に生まれ、裏山でカブトムシを取ったりザリガニ釣りをしたりする環境で育つ。野球少年だったが中2でロックに出会い、現在も細々と地元の祭りなどでバンド演奏を行っている。短大の経営情報科でコンピューターを学び就職するものの、机の前に8時間も居続ける事などそもそも無理だと思いはじめ、給食・弁当屋でアルバイト。小3でのヨットを皮切りにウィンドサーフィンや水上スキーなども楽しむようになった。
 一方で、「ダイビングは沖縄で!」という思いのもと、1993年2月に座間味島を訪れ、人生初のダイビングを行った。おまけにホエールウォッチングで3頭のザトウクジラに出会い、帰宅後は座間味に思いをはせ続けた。そして、これまでに1年間も悩み続けた事はなくこの思いは本物だと決めて、1年半後に座間味島に移住した。
 当初は飲食業をしていたこともありレストランで働くものの、半年後にとある事情により一時解散。その時に座間味村ホエールウォッチング協会(以下、ZWWA)のガイド募集チラシを見て、「タイミングばっちり!」という感じでガイドとして働く事となった。

飲食業、事務局員、畑仕事、そして野鳥CLUB

 ZWWAは1991年に発足、翌年から事業を開始したものの、1995年当時はまだまだ様々な事が順調とはいえなかった。会員に送付すると謳っていた機関誌は発行すらされておらず、クジラの数がまだ少なかったこともあり、ホエールウォッチング船がクジラに出会えないこともままあった。その頃は任意団体であり、シーズン中の2か月間だけの営業だったが、年々内部の様々なことを変革していった。
 学生時代に情報処理を学んでいたこともあり、インターネット(当時はパソコン通信と呼ばれていた)を使用したPR活動を提案するも、会員の皆さんには話しが通じなかった。数年後、この島でも一部の方がインターネットという言葉を知るようになり、1999年にようやく自作でZWWAのホームページを立ち上げることとなる。
 また、沖縄本島から日帰りで訪れる事業者が増えつつある頃、島の事業者の集客数が落ち込んだので、新たにオリジナルの物販事業を始めた。他に「ガイド講習会」や「一人一鯨会」などのイベントの開催にも関わるようになる。などと、ほぼ「ガイド」とは言えないような様々な活動にも携わってきた。
 春から秋は海水浴場の売店で飲食業、冬はZWWA事務局員、他に畑仕事をしたりして過ごしていた。島で暮らすようになり、内地では見た事のない鳥や、蝶などの昆虫、花などにもはまっていき、仲間たちと「座間味野鳥CLUB」を作ったり、島の子供向け(特に幼稚園)に「高月山探検」や「くじらのお話し会」などの活動をするようになった。ザトウクジラを見ることの感動もさることながら、陸の野生生物にも魅力があることを伝えたいと思っていた。

陸の自然観察ツアーやオンラインツアーの開始

 運良くZWWA事務局員として島育ちが二人育ってきたので、2019シーズンを終えると事務局長を後輩へと引き継いだ。現在は広報委員長として関わっている。そして2020年からいよいよホエールウォッチングが悪天候により中止となった場合などの代替ツアーとなる「陸域自然観察ツアー」と、以前からの懸案事項であった船のツアーに不安がある方への「展望台からのホエールウォッチングツアー」を開始した。ところが途端に、世界的にCOVID-19が流行り、両ツアーとも数回の開催にとどまっている。
 2020年の秋にオンラインツアーなるものの存在を知った。「なんて素敵な事業があるのだろう!1回1000円/1hで午前午後夕方と開催し、それぞれに5人ずつ参加すればOTAの手数料を引いても日当12000円!!」と思い、慌てて準備を始めた。年内には開始することが出来たものの、実際にはじめてみると想像とはかけ離れており、2〜3万円/月が続き月収30万円以上は程遠い感じだった。その後、ビーチを歩いたり、夕日を生配信したり、様々な種類のツアーや他地域とのコラボツアー、夏休みの自由研究、SDGsに特化した内容、当社オリジナルの土産セット付きなども開催したところ、12月には30万円/月を超えることが出来た。副産物として自分のガイドスキルが上がる、島の知名度が上がる、座間味に行きたくなってしまった人が増えることにもつながった。

ガイドの給料はまだまだ安い!

 ガイドとして、またZWWAの事務局員など様々な立場として、以前から感じていることの一つに「ガイドの給料が安い」というのがある。島では県の最低賃金が守られているかどうかも不明だ。県全体としても、特に離島ではアルバイトの賃金が安いイメージがある。独身者一人なら賃金以外の魅力もあるとは思うが、結婚などを機に島から出てしまうスタッフも多く見てきた。沖縄だけなのか、他の観光地もそうなのかはわからないが、しっかりと賃金を払い、長く働いてもらえる環境をつくった方が、新人の教育や
リピーターの確保など様々な面でメリットは多いと思うのだが。現在ではオーナーの意識もかなり変わってきただろうか?
 島民も観光客も「座間味と言えば、海!」というイメージが強い。海系のアクティビティーに関してはガイドラインを設けたり、自主ルールを作ったり、エコツアーの要素である自然を守りながら事業を行っている。しかし、陸域に関してはまだまだ意識が薄いようで、ガイドラインも無ければガイドや案内者の知識も少ないようだ。ハブがいない島としての魅力もあり、海で遊べない日のメニューとしても広がっていくだろう。まずは「カラフルウェーブ」でガイドラインを明文化し、将来的にはより良い「エコツアー」が広まっていって欲しいと思う。
 10代の頃から色々な歌詞に特に影響を受けてきた気がする。いつの日か島発信のエコツーリズムがテーマのカッコいいロックに乗せた歌詞が出来て、世の中にお披露目出来たら良いなぁ〜