③…❹ 長野大学
協働型・実践型の観光まちづくり教育・研究・地域貢献

1 公立大学法人長野大学の概要

 長野大学は、信州の学海と呼ばれる上田市塩田平に、人口一万六千人弱(設立当時)の旧塩田町が十万坪の土地と七千万円を出資し、1966(昭和41)年、学校法人を創設したことに始まる。地方の小さな町が私立大学を誘致または創設ということは珍しく、公設民営大学の先駆けとして注目された。塩田町はその後1970(昭和45)年に上田市に編入合併され、現在に至っている。
 上田市はもともと上信越高原国立公園や美ヶ原等の大自然に恵まれるとともに、別所温泉や鹿教湯温泉、菅平高原、大河ドラマ『真田丸』でも有名となった上田城跡等の観光地を抱える。こうしたロケーションを活かすとともに、環境保全や観光振興への社会的要請に応えるため、2007(平成19)年に既存学部を改組し、文理融合の教育・研究組織として環境ツーリズム学部が開設されている。
 開学後五十年あまりの私立大学による経営の歴史を経て、2017(平成29)年4月、上田市が設置する公立大学法人長野大学として新たなスタートを切り、令和3年3月には公立化後入学した学生を初めて社会人として送り出すに至っている。
 このような大学創設の経緯に基づき、建学以来「地域社会との密接な結びつきにより、学問理論の生活化を目指す」ことを建学の志とし、学海とも称された在野知と大学の専門知の連携研究や地域協働型教育を推進するとともに、その成果を地域に還元することを目標に掲げ、大学運営が行われてきた。これによって日経グローカルによる「全国の大学地域貢献度ランキング」では、2010〜2015年度にかけて6年連続私立大学部門トップの評価を得ている。公立大学法人設立の目的も、「地域に根ざした大学として教育と研究を推進し、豊かな人間性と高い専門性及び国際的な視座をもった実践力のある人材を育成し地域の産業及び社会の発展に貢献する知の拠点を形成する」ことであり、公立大学としてこれまで以上に、市民や地域企業、地域社会との連携を意識した教育、研究が指向されている。
 観光に関わる教育・研究・地域貢献の中心となるのが前述した環境ツーリズム学部であり、自然環境とその生態系サービスを活かした観光、その観光を基軸とした地域政策やまちづくりを学究している。その他、社会福祉学部、企業情報学部と、大学院総合福祉学研究科から構成されているが、観光情報や地域デザイン、ユニバーサルツーリズム等の面で学部の垣根を超えた、観光系の研究や地域貢献活動が指向されている。また地域と協働しまちづくりや人材育成に取り組む大学組織として、地域づくり総合センターがある。

2 観光振興の地(知)の拠点を目指して

 公立大学に期待される社会的役割は、文部科学省が2013(平成25)年度から進めた「地(知)の拠点大学」の考え方そのものといってよい。本学においてもCOC+に参加してきたが、もとより地域企業や自治体と協働して、学生にとって魅力ある就職先を創出するとともに、その地域が求める人材育成に必要な教育カリキュラム改革・拡充を進めてきた。そして次の①②の観点から地域が求める人材育成と課題解決の拠点となるべく取り組んでいるが、観光県である長野県において、観光コースの教育・研究・地域貢献が果たす役割は大きいと自負している。

① 地域を支える人材育成システム

 公立化により、本地域(上田定住自立圏域や長野県)を支える人材になろうとする意識・意欲の高い学生を受け入れ、自立自走できる地域経営を担う人材としてしっかりと育てて、地域の優良企業・組織のリーダーや地域社会の中核的人物として送り出す責務が増大した。こうした責任を果たすため、本学は地域住民及び自治体と手を携えながら、図―1に示すような、学生を地域から受け入れ送り出す「地域人材の循環システム」と、この地で様々な領域で発生する課題を地域住民組織、地域企業、自治体と協働しながら解決する「地域課題の解決システム」の両輪の構築を目指している。

 地域の観光産業や観光政策、まちづくり等を担う学生の育成や、観光産業・地域づくりに関する地域課題解決においても、こうしたシステムへの期待は大きい。特に少子高齢化が進む地方都市において、持続可能なまちづくりには、とりもなおさず観光や交流が重要要素であることは間違いなく、教育・研究・社会貢献を重ね合わせて、地域協働で地域課題解決に取り組んでいるところである。

② 幼少期〜シニアに至る生涯学習の拠点

 地域に根差した人材の育成に当たっては、小中高大連携等により、幼少期からの地域教育やまちづくり教育が重要視されている。一方で旅や風景といった観光関連のテーマは、自然環境、地理・歴史、文学、芸術等多方面の学問と関連し、生涯学習の講座としてニーズがある。
 このような幼少期〜シニアに至る生涯学習において、公立大学、そして観光・まちづくり分野への期待が高まっている。

3 観光まちづくり人材育成に向けた環境ツーリズム学部の教育

 学部における観光コースの教育・研究の特徴は、単なる観光現象や観光地理、産業についての学究ではなく、環境保全・資源保護の視点や、観光を持続可能な地域づくりに活かしていく観点、すなわち観光まちづくり分野に軸足をおいていることである。過疎化・高齢化が顕著に進展する地方都市において移住・交流・関係人口等の概念を包含する広い意味での観光まちづくりや、自立自走できる地域経営の核の一つである観光産業は、持続可能な地域社会形成において最重要課題であることは言うまでもなく、こうした職業や役割に自らの将来の夢を重ねて、学びのテーマとする学生が本学部には多数入学する。このような特徴に基づいて提供する教育概要を以下に紹介する。

① 教養教育

 全学共通の系統だった教養教育の一環として「地域と世界」系統をひとつに据え、信州や上田への地に足の着いたローカル学習による地域社会の理解を促す一方、視座をグローバルに広げ、当該地域や自身を相対化していく視点養成に重点を置いた教育を行っている。これは地域を支える観光人材に直結する教育とも位置付けられる。この中で、地域社会で活躍できるよう、「信州学」「信州上田学」「信州地域史」を開設するなど、地域系科目の充実を図っている。
● 信州上田学
 上田は「信濃自由大学発祥の地」であり、この地の人々が自ら学び地域を築いてきた歴史と気風がある。こうした本地域ならではの課題解決型人材育成のための初年次教育のひとつとして開講している。上田市政においても「上田の魅力を知り、ともに地域を築く体験を通して若者定着へと繋げる『信州上田学』の推進」が位置づけられ、公立大学としてそれを具現化したものとなっている。地域の魅力を掘り起こし、ローカルナレッジを普遍的視野から再構築、再評価し、地域資源を創造する地域学を目指している。
 講義の具体的な内容は、地元企業や行政、地域の講師との交流を通じて、地域の現実に多角的視点からアプローチし、学生のみずみずしい感性で自ら課題を捉えながら、グループワークを通して解決策を検討しプレゼンテーションするアクティブラーニングの手法がとられている。

② 専門教育

 前述したように観光まちづくりに軸足をおいた本学の観光コースの学びは、地域社会学・行政学関連の科目や、社会調査関連の科目、環境政策論や里山再生論等の環境関連科目とともに組み立てられカリキュラム構成されている。観光専門科目としては、観光概論、観光文化論、観光政策論、持続可能なツーリズム、観光交通論、観光まちづくり事業論、観光まちづくり計画論、各種演習等があり、5名の教員が担っている。他大学の観光(専門)学科に比較すれば、科目数は限定されるが、観光地やまちづくり現場への近さを活かした実践的・体験型の教育を強みとして打ち出している。
 また観光人材の養成をねらいとする長野県観光部の寄附講座『先進的な観光地経営を学ぶ』では、観光庁や観光先進国の観光局の政策担当者、JR東日本等の交通事業者、デジタルマーケティングやDMO等の専門家、地元長野県の観光産業、観光まちづくりのリーダー等の実践的な講話を聴く機会も提供されており、これらは学生だけでなく、上田地域および県内の観光事業者や観光行政スタッフも学習する機会として開放されている。
 コロナ禍の令和2〜3年度においても、このような専門講座や専門ゼミナールでは、協働している事業者や住民組織、(一社)長野県観光機構等のDMO、国・県・市町村の観光・交通政策担当者が学生・教員を媒介として水平方向でつながり、対面で活発な意見交換や情報交流を行う場を目のあたりにしてきた。公立大学ならではの役割として、今後も大事にしていきたい。

③ 地域協働型教育

 長野県内には、スキー人口の低迷等により持続性に黄色信号が灯った高原リゾート集落や、長野オリンピック時の投資回収が進んでいなかったことに加え、コロナ禍等が重なって経営が厳しくなっている温泉地も少なくなく、こうした観光地のテコ入れは重要課題となっている。一方、中心市街地や中山間地域においていっそう顕著に進む過疎化・高齢化への対策として、観光まちづくりが課題となっている。こうした地域課題を「観光まちづくり演習」やゼミナールで共有するなかで、科学的・客観的に分析し、地域組織と協働して実践的に課題解決に取り組む教育に各教員が取り組んでおり、2020(令和2)年度においても15件程度の実績がある。

4 私の観光まちづくり教育・研究

 ここからは私が長野大学赴任1〜2年目以降、継続的に取り組んでいる観光まちづくり教育と、それと重ね合わせた一部の研究について紹介する。

① 観光まちづくり事業論:観光事業やまちづくり現場のフィールドワーク導入

 観光まちづくりを”事業”面から捉える、すなわち主要な観光事業(ビジネス)と市民まちづくり事業(タスク)等の基礎知識や手法を学ぶ科目である。まずは一般的な教科書的教材を用いた教室での座学で学び(第1ステップ)、次の授業では周辺の観光事業現場、まちづくり現場にフィールドワークして観光事業やまちづくりリーダーからレクチャーを受け(第2ステップ)、復習として事業の特徴や要点、課題等をレポートにまとめ(第3ステップ)、さらに次の授業において数名の学生によるレポート・プレゼンテーションを行った後討議や補完的講義を行う手法をとっている。具体的にはリゾート開発・運営事業ではあれば菅平・峰の原高原開発、温泉地まちづくりや宿泊事業であれば鹿教湯温泉、歴史的まちづくり事業であれば海野宿等をフィールドワークの対象としている。なお正課としては2限連続の授業としているが、フィールドワーク時はさらに延長する可能性がある前提での履修プログラムとなる。
 フィールドワークや体験型授業を積極的に導入しながら、実践力の養成を重視するカリキュラムポリシーに基づいた典型的な科目であり、これにより観光まちづくりの普遍的なしくみと、地域に落とし込む際の実践的なノウハウ、課題の理解が深まっている。

② 観光まちづくり演習:産官学連携による着地型旅行商品の協働造成

 本地域周辺で実際に進行中の観光まちづくりに関わる事業計画策定や着地型旅行商品造成等を演習テーマとした科目である。観光旅行形態の変化やユーザーニーズの変化等のデータ分析、関係者へのヒアリング調査や現地の資源調査・掘り起こし等を行うとともに、半期で前述した計画や旅行商品プランを仕上げていく形態をとっている。
 コロナ禍の昨年度も、緊急事態宣言等によって宿泊客が減少した鹿教湯温泉斎藤ホテルや、観光インターンシップによる観光人材を図っている長野県観光部との産官学連携により、ホテルの旅行会社(齋藤駕籠屋)の着地型旅行商品を学生と事業者が協働考案し、パンフレットの内容まで検討に加えさせて頂く演習を行い、この旅行商品は実際に催行された。旅行商品造成のしくみや行程、マーケティングの仕組みを体験するとともに、旅行参加者の評価も聞くことができるなど、実践的な授業内容となっている。
 旅行商品造成だけでなく、別所温泉の遊休土地を使った滞在空間計画策定、青木村の景観まちづくりプラン策定、大学生観光まちづくりコンテストへの参加等を演習テーマとしてきた。

③ 歴史的町並みを舞台にした観光まちづくり調査とイベント支援(ゼミ学習)

 上田市や小諸市の城下町は、ともに北国街道沿いの歴史的町並みが残る一方、現状はその観光ポテンシャルを十分活かせていない。こうした対象地において、地域の要請によって、町並みの現状・特性および市民意識調査や、地域組織と協働した実際の観光まちづくりに、学生ともども参加させて頂いている。
 このうち上田市柳町は、観光事業者等と観光の魅力向上策を検討するだけでなく、狭隘な街路に大型観光バス車両が急増したことによる観光交通問題等をテーマにして、学生が観光客、地域住民をまきこんだ解決の方向を探っている。また、観光の魅力増進と観光交通対策の両面を意図して、学生が自ら観光ボランティアガイドも行っており、これらを通して観光まちづくりの楽しさ、奥深さや、地域住民や行政等のステークホルダーの合意形成の難しさを学んでいる。
 一方の小諸城下町では、町並み保存に取り組むNPO法人と連携して、まずは市民にその町並みの魅力や価値を知ってもらう取組の一環として、ゼミ生が毎年、子供たち向けのイベントを提供しており、コロナ禍の令和2年9月においても、感染予防に十分注意しながら、幼少期のまちづくり教育にもつながる『城下町忍者クイズラリー』を実施した。

④ 道の駅の高度化・複合化提案と、活性化にむけた学生の取組(ゼミ学習)

 30年ほど前に始まった道の駅事業は、近年では多様な観点から地域活性化の拠点として着目されるとともに、地域の大学生と連携する等により、有効な活用を図るべく全国で取組が進められている。北佐久郡立科町にあった農産物直売所とレストランで構成される『農ん喜村』の道の駅化にあたり、町から大学への委託研究の中で、隣接するクラインガルテンや交流促進センターを複合化させたり、六次産業拠点として高度化し滞在拠点の魅力増進を図る構想を策定・提案した。
 学生が模型を作成して、町にプレゼンテーションするとともに、交流センター敷地を活用したオープンカフェの社会実験を行う等により、その効果を事業者や行政等と検証した。その後も売り場のポップ等のデザイン化や、イベントにおける学生企画商品の提供等、連携を深めている。なおこうした学生の学習については、国土交通省関東地方整備局が実施した『道の駅学生コンテスト』において表彰されるに至っている。
 なお立科町では、町内の事業者や商店の課題や悩みを解決するため、全国から集まった学生たちによるアイデアコンペを実施し、最優秀のプランを実際に実現する『タテシナソン』が数年来行われており、ゼミ生が参加するだけでなく、その準備・運営に携わっている。
 立科町出身の学生が、このようなゼミ学習を通して学生時代から観光まちづくりに取り組むことにより、地域の魅力や活性化の必要性を真剣に考え、当該町役場等に就職するといった、地域人材の循環も実現している。

⑤ 保健休養地事業の構造的問題の究明と打開策にむけた学生の取組

 長野県企業局により1960〜70年代を中心に開発された保健休養地(いまでいう高原リゾート・分譲地)事業は、全国でもモデルにされた『菅平方式』『和合方式』『麻績方式』といったユニークな事業方式を生み出したことで知られているが、開発から半世紀程がたち、施設の老朽化やペンション経営者の高齢化等により持続可能性が怪しくなってきている。その代表開発事例のひとつである須坂市峰の原高原を対象に、こうした実態とその課題を解明するため、地元観光協会、長野県および須坂市、長野大学の産学官連携による調査研究および学生によるフィールドワーク学習を継続的に実施。なお、本研究結果は、日本観光研究学会に拙著の研究論文として発表している。
 このなかでは、ペンションという顧客定着性が極めて強い事業形態において事業継承を円滑にしていくため、世襲だけでなく多様な事業継承を模索していくべきことや、ペンションを知らない層を含めた新規顧客開拓が必要となることが明らかとなり、ゼミ生が毎年、地元観光協会や事業者と連携して、SNSを使った情報発信や新しいイベントの企画催行、空きペンションのリノベーションと活用実験に取り組んでいる。こうした学習・活動を通じて、対象地に愛着が生まれた学生が育ち、地域組織と信頼関係ができたこともあって、在学中から、地域おこし協力隊として任用される学生も出現している。これもまた、前述した地域人材の循環が機能した、顕著な例といえる。
 なお廃業した宿泊施設や大型の空き家を大学の研究者や学生とリノベーションし、まちづくり拠点として活用する動きは目立って増えてきており、別所温泉旧『臨泉楼柏屋別荘』では、オーナーとの協力関係を構築したうえでコワーキングスペース等としての活用に実験的に取り組んでいる。
 なおこうした演習、ゼミ学習の一部や成果報告は、上田市が中心市街地内に開設し本学が運営を受託している『まちなかキャンパス上田』で、一般市民も巻き込んで実施している。

5 教員免許更新講習を活用した、観光まちづくり教育の実験的な取り組み

 教員養成課程を持つ本学は教員免許更新講習を開講しており、2015〜2019年度にかけて、『観光まちづくり教育』をテーマに、観光系の教員が1プログラムを担った。将来にわたって地域に定着して担い手となる人材や、観光産業を担う人材を育成していくためには、幼少期からのまちづくり教育や観光教育が不可欠であり、観光庁でも『観光教育のススメ』を推進している。ここで制作された動画や、全国各地の先進事例、そして私がゼミ生とともに地元小学校の総合的な学習の時間を活用して行った『ため池探検隊』の内容紹介等を行いながら、幼少期から大学までつながっていくべき『観光まちづくり教育』のあり方を普及する機会としている。

 参考までに令和3年度の講習内容を次に示す。

終わりに

 断片的に紹介した以上の教育・研究・社会貢献の取組は、地域住民のご協力があり、パートナーシップが組めてこそ実現したものである。幸い、コロナ禍による地域協働型教育・研究への影響は限定的で、感染予防対策を十分とりながら、継続的に実施できている。
 一方、コロナ禍で、地元観光産業が大きな打撃を被る等により、地方都市や中山間地域の停滞の構図はより露わになったと言える。こうしたなかで、地方公立大学として、また観光系の学部をもつ大学として、観光まちづくりや関係人口育成により、地方創生を進めていく上での役割、要請は引き続き大きいものと考えられる。加えてコロナ禍だからこその観光まちづくりへの取組や、ポストコロナを見据えた新しい取組、例えば屋外公共空間(道路や公園等)を活用した賑わい創出等に向け、地域・組織と大学が連携して社会実験を行おうとする動きも出始めている。
 学生の出口(就職)については、コロナ禍による観光産業への影響がはっきり出ており、観光産業への就職を希望し学んだ学生が不本意な進路を取らざるを得ない状況も見られ、大学としてフォローが求められている。教員や研究者としては、ポストコロナの観光産業の成長性は高いと予想されていること、観光まちづくりは百年の計であることなどから、どのような進路を選択しても、環境ツーリズム学部で学んだ学生諸君の力が必要となる時代であることを説いている。苦しい経営状況のなか、コロナ禍でも毎年、一定数の学生の就職を受け入れて頂いている宿泊事業者や交通事業者が少なくないのは、大変ありがたい。
 考えてみると、大学はもとより多様な人材の知的交流の場であり、関係人口を作り出す拠点である。加えて、従来の社会観念や手法・技術の枠に捉われない、新しいしくみを研究開発し、実験していく場でもある。大学のこうした潜在力を信じ、地域組織とのパートナーシップを大事にしながら、期待や要請に応えていきたいと考える。

熊谷圭介(くまがい・けいすけ)
公立大学法人長野大学環境ツーリズム学部教授。長野県松本市出身。東京工業大学大学院修了後、株式会社ラック計画研究所入社、全国各地の観光まちづくりや景観まちづくりの支援業務、国の関連調査・研究に携わる。2013年に長野大学着任。現在、日本観光研究学会副会長。技術士(建設部門)