現在、観光振興財源として「宿泊税」が着目され、各地で検討と導入が進んでおり、今後はより一般的な(つまり、存在することが前提となる)財源確保手段となることが想定される。このような状況は、導入した財源の実効性のある使途を、どのように地域内で合意形成し、地域の意思として決定していくか、すなわち、観光振興財源の活用に関する観光地としてのガバナンスが問われるフェイズであるとも言えるだろう。
 前述のような背景を踏まえ、本特集では宿泊税の「導入」に関するプロセスを改めて整理しつつ、導入済み地域の現状や実効性を担保するための法的な技術論にも触れながら、観光振興財源の「活用」に関するプロセスと、観光地としてのガバナンスのあり方について考察する。