図書館(恩納村文化情報センター)が村にできたのは、2015(平成27)年4月のこと。子どもからお年寄りまで、何十年もの長い間、村民が待ち望んだ施設である。
開館以来、図書館へはできるだけ足を運び、図書館の様子や利用する姿を見るようにしている。
村の子どもたちを前に「こわい話(沖縄の昔話)」をしたこともある。図書館での読み聞かせは、普段は図書館のスタッフや子供のお母さんたちがやってくれるのだが、村長が自らやるというので親も子どもたちも興味津々で聞いてくれた。それなりに練習をした甲斐あって、子どもたちはけっこう怖がってくれた。こうした郷土文化の伝承はもちろん、子どもの頃から本を読むことの楽しさを知り、豊かに生きるための知識や力を養ううえで、図書館は実に大切な場所である。
恩納村は県内有数の観光地であるからこそ、図書館からも村や沖縄の魅力を伝えていきたいと考えている。それには、村民が地域を良く知り、地域の魅力を伝えることができるようになることだ。一方で、観光客が来ている姿を見て、村民も自分たちの住む地域のすばらしさに気づかされることもある。文化に垣根はない。
沖縄には「うとぅいむち」という「おもてなし」を意味する言葉がある。村が大事にしたいのは「おもてなし」、「人と人とのつながり」である。村を訪れてくれる年間300万人を越える観光客一人ひとりとのつながりを大切にしたい。村民の心を育て、それを観光客におもてなしとして伝えていけたらいい。
「うとぅいむち」の心を育て、村民と観光客がともに村の魅力を再発見する場として、図書館は欠かせない存在である。(談)