先読み!マーケット 第二十二話

2013.01.15

第二十二話 オピニオンリーダー層に聞く2013年の国内旅行動向

 公益財団法人日本交通公社では、昨年12月に国内旅行市場の中心を担うオピニオンリーダー層を対象に調査を実施しました。その結果、2013年の国内旅行市場は、回数ベースでも消費額ベースでも比較的好調に推移することが見込まれます。
 調査は、約5万人のインターネットモニターから1,104人のオピニオンリーダー層を抽出して実施しました(図1)(調査の概要)。

 注)本稿で用いる「国内旅行」は観光やレジャー、保養などを主な目的とする旅行を指します。
   出張・業務、帰省など家事を主な目的とする旅行は除きます。

【PDFはこちら】

図1 オピニオンリーダー層の概念図
図1

◇ 旅行回数は「増える」40.4%、「減る」12.8%◇

 2013年の宿泊を伴う国内旅行回数については、昨年に比べて増加するとの回答が40.4%と例年に比べて好調な見込みとなっています(「かなり増える」8.2%+「少し増える」32.2%)。これは、東日本大震災からの回復分を取り込んでいた昨年度調査結果(35.9%)と比べても高い数字です。
 「減る」と回答した人は12.8%(昨年度14.6%)に留まり、オピニオンリーダー層の旅行意欲は順調とみて良いでしょう。
 参考までにセグメント別の回答状況を紹介しますと、年代では「20代」で48.9%、「50代」で45.1%の人が「増える」と回答しています。例年高めだった「60代以上」は39.4%と平均的な回答状況になりました。世帯構成では、子供のいる世帯や単身世帯が比較的高く、世帯年収では600-1000万円の中間所得層で旅行意欲の高さが目立っています。

図2 今年1年間の旅行回数の増減
図2

 旅行回数が「増える」という人にその理由を自由回答で聞きました(有効回答437票)。「ゆとりができたので(時間的余裕、金銭的余裕、心のゆとり、子育てが終わった等)」との回答が50代以上を中心に最も多く、38.4%に上っています(昨年度34.6%)。今年増加が目立った理由は、「行ってみたいところがある・日本をもっと知りたい」18.8%(同11.2%)、「同行者と楽しみたい」10.3%(同4.9%)でした。震災の影響が縮小したことで、昨年9.0%だった「今年旅行に行けなかった分を来年に」は3.2%へ、「元気なうちに旅行を楽しみたい」は6.8%から4.6%へと減少しています。

図3 年間旅行回数が増加する理由(前年比較図及び年代別比較表)
図をクリックすると拡大いたします
表をクリックすると拡大いたします

 今後の旅行で重視したい点についても聞きました(全員に。20項目から複数回答)。上位3項目は①「気分転換・リフレッシュ」84.1%、②「美味しいものを食べること」81.4%、③「休養・リラックスすること」76.1%で、昨年と同順となりました。比較的増加が目立つ項目は、④「同行者と一緒に楽しむこと」71.3%(昨年68.1%)、「趣味の活動を楽しむこと」35.7%(同32.9%)「旅行先の人々とのふれあい」32.2%(28.2%)などです。

図4 今後の旅行で重視したい点(前年比較図)
図4

 一方、旅行回数が「横ばい」または「減少する」と回答した理由を聞いた結果が図4です。「混雑する時期に旅行に行きたくない」20.4%(昨年度21.7%)、「家族と休暇が重ならない」19.8%(18.6%)、「有給休暇をとりにくい」16.7%(21.3%)といった回答が上位となっています。「自分や家族の給与やボーナスの減少」「景気の先行きが不透明」といった経済的要因は大幅に低下しました。(注:本調査が実施された時期は、衆議院選において積極財政と成長戦略を掲げる安倍政権の誕生が確実視され、円安と株式市場の回復が進んだ時期に当たっています。)

図5 旅行が増えない理由
図をクリックすると拡大いたします

◇ 旅行費用「増加」が32.0%と高水準に ◇

 2013年の国内宿泊旅行1回あたり費用の増減見込みについては、「増える」が32.0%(「かなり増える」6.4%+「少し増える」25.6%)と昨年度の26.6%から増加し、過去5年間で最も高い水準になっています。「横ばい」は57.0%(昨年度61.2%)、「減る」は11.0%(同12.3%)といずれも減少しました(図5)。旅行費用を減らすための方法について聞いていますが(図6。複数回答)、年々延べ回答数は減少しており、これ以上費用を下げる余地は少なくなっているようです。

図6 1年間の1回あたり旅行費用の増減
図6

図7 旅行費用を減らすための方法
図7

(塩谷英生)

旅行市場への疑問や関心、「先読み!マーケットトレンド」へのご意見などをお寄せ下さい
MAIL:sakiyomi@jtb.or.jp