先読み!マーケット 第二十三話

2013.02.04

第二十三話 SNSをきっかけに動く旅ごころ

 昨年頃からfacebookを始めたという方、また周りで始めたという声を聞いた方が多いのではないでしょうか。2012年末時点のfacebookの日本のユーザー数は1,720万人に上るとされています※1。12年7月末時点では1,020万人でしたから、わずか5ヶ月で700万人も増加したことになります。
 facebook以外のSNS(ソーシャルネットワークサービス)も急速に広がりつつあります。先日登録者数が世界で1億人を超えたと報じられたLINE(ライン)は日本発のSNSサービスで、国内利用者は4,100万人にも上ると言われています※2。facebookやTwitterといったサービスは最初に海外で普及したサービスで日本に浸透するにはやや時間差がありましたが、いよいよ日本でもSNSが居住地域や世代問わず普及しつつあると言えそうです。
 これだけ普及が進むと、企業や自治体等もSNSを活用した情報発信に力を入れて取組むこととなり、公式アカウントや公式ページの設置が相次いでいます。旅行の分野でも旅行会社や航空会社を始め、積極的に展開しています。今回の「先読み!マーケットトレンド」では、こうした展開が旅行者にどのような影響を及ぼすのかを調査データから探ってまいります。

 
 【旅行オピニオンリーダー調査(2012年12月実施)概要】

【PDFはこちら】

■旅行好きほど高いSNS利用率

 調査では、回答者を“旅行好き”と“旅行好き以外”に分け、さらに“旅行好き”を“旅行オピニオンリーダー層”(以下、“リーダー層”)と“旅行好き(リーダー層以外)”の3つのタイプに分類しています※3。そのタイプ別に日常的に利用しているSNSを尋ねたところ、下グラフのような結果となりました。
 “リーダー層”のSNS利用率は65.8%、全体の約3分の2が何らかのSNSを利用していると回答しています。“リーダー層”以外では“旅行好き(リーダー層以外)”で59.3%、“旅行好き以外”で52.4%と利用率はリーダー層と比べて低いですが、いずれのグループでもSNSの利用率は半数以上となっています。
 サービス別にみると、利用率が最も高いのは「facebook」で、どのグループでも1位となっています。そのほか、「mixi」「Twitter」「LINE」が上位を占めています。

図1 日常的に利用しているSNS(複数回答)
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■年代問わず広く利用されているfacebook

 さて、ここからは“リーダー層”に絞って見てまいります。年代別の利用動向を見ると、「facebook」の利用が一番多いのはどの年代にも共通しています。一方で、「LINE」については20代と30代で多く、「Twitter」を上回っています。40代はあまり突出した傾向はなく分散傾向にあると言えます。それに対して50代は「facebook」が多く、それ以外のサービスは少なくなっています。50代の「facebook」利用率は40代を上回っています。

図2 日常的に利用しているSNS(複数回答、リーダー層のみ、年代別)
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■旅行のきっかけになるのはグループ機能やコミュニティ機能のあるSNS

 次にSNSが旅行に出るきっかけになったか尋ねたところ、ここでも「facebook」が一番多い結果となりました。日常的に利用している割合に対して多かったのが「mixi」です。「mixi」の代表的な機能として趣味が同じユーザーが集まる“コミュニティ”機能があり、それが旅行のきっかけになっていることがうかがえます。反対に、グループやコミュニティを作る機能のない「Twitter」では旅行のきっかけになったという割合は日常的に利用している割合の多さに反して少なくなっています。

図3 SNSが旅行のきっかけになったか(複数回答、リーダー層のみ)
図3

 facebookが旅行のきっかけになったと回答した人とそれ以外に分けてfacebookの利用状況を見ると、“旅行のきっかけになった”と回答した人は「宿泊施設・観光施設ページのファン」である割合が7割近くに上るのに対し、それ以外の人では4割と大きな違いが見られました。同様に「旅行会社のページのファン」「旅行に関する情報発信を行うコミュニティページのファン」「旅行関連のコミュニティ・グループに参加している」といった項目で大きく差が見られます。
一方で「航空会社・鉄道会社ページのファン」はどちらのグループでも6割以上と多い半面、あまり大きな差は見られません。

図表1 facebook利用状況(複数回答、旅行のきっかけになった/ならなかった別)
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■宿泊施設・観光施設のfacebookページでの情報発信が再訪のきっかけになる

 宿泊施設や観光施設ページに「いいね!」を押してくれるということは、大なり小なり愛着を持っているからこそのアクションですので、もともと再訪の意思はあるのでしょう。何もしなくてもリピートしてくれる可能性は高いかもしれません。それでも情報発信を行う意義は『何となく行きたいと思っている人の背中を押すこと』なのではないでしょうか。季節ごとに異なる施設の風景や見所を積極的に発信することで、オフシーズンに訪れてもらうことや再訪頻度を上げることにつながると期待できます。
 facebookに代表されるSNSは、ホームページと違ってHTMLやデザインに詳しくなくても比較的容易に公式アカウントやページを開設できることが特徴です。情報発信も写真と一言コメントをつける程度で十分なので、メールマガジンやブログよりも更新が簡単ですし、何より読者の反応やコメントが励みになります。
 また、自治体や観光協会が地域の各施設にページの作成を働きかけて、それぞれのページを取りまとめるページを設置するということも可能です。昨年頃から地域の魅力を発信する新たな手段として取り組む例もいくつか出てきています。
 新しいサービスの登場によってコミュニケーションの手段は変化しています。変化に対応することは大変ですがその反面、より手軽で安価に行えるようにもなってきています。そういった点では大企業だけでなく、むしろ小規模の施設が取り組みやすいサービスとも言えます。こうしたサービスを活用し、気軽に情報発信を始めてみてはいかがでしょうか。

※1 socialbakers
  http://www.socialbakers.com/

※2 NHN Japan 2013年1月25日プレスリリース
  http://www.nhncorp.jp/press/2013/0125357

※3 オピニオンリーダーの概念図

図1

(相澤美穂子)