旅行におけるサステナビリティに関する意識 ~JTBF旅行者調査トピックス~

概要

旅行におけるサステナビリティに関する意識 ~JTBF旅行者調査トピックス~

コロナ禍によって急速にサステナビリティを重視した旅行や旅行商品が注目を集め、サステナブルツーリズムの概念も広く知れ渡るようになりました。観光庁・UNWTOのガイドライン(※1)やGSTC(グローバル・サステナブル・ツーリズム協議会)の指針等を受け、各観光地では具体的な検討・取組が始まっています。
今回は、地域で行われているサステナビリティに関わる取り組みを体験するツアーや地域への貢献活動、旅行先が行っている取り組みに対する意識について把握するために、性別・年代ごとに分析・とりまとめを行いました。

(※1)観光庁・UNWTO(世界観光機関)駐日事務所「(日本版)持続可能な観光ガイドライン」(2020年6月)

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報告

サステナビリティに関わる取組を体験・学習するツアーの認知度 4分の1

  • 地域で行われるサステナビリティに関わる取り組みなどを体験、学ぶことを目的としたツアーを「知っている」と回答した層は全体の24.5%でした。また、そのうち0.7%が実際に体験したと回答しました。
  • 性・年代別において、認知度が特に高かったのは40代男性(30.1%)で、次いで10~20代男性(29.1%)でした。女性のうち、特に認知度が高かったのは60代および10~20代でした。
  • 「行ったことがある」は、男性では10~40代、女性では40~70代の一部でみられましたが、その割合は1%前後でした。

サステナビリティに関わる取組を体験・学習するツアーの経験意向 10~30代で高

  • 地域で行われるサステナビリティに関わる取り組みなどを体験、学ぶことを目的としたツアーを経験してみたいか尋ねたところ、16.9%が“してみたい”と回答しました。
  • 性・年代別にみると、男性より女性の経験意向が高く、女性では60代以上を除いて2割を超えています。男女ともに比較的10~30代で意向が高く、積極的な姿勢がみられました。

旅行先での地域貢献活動 「いずれか参加してみたい」5割超

  • サステナビリティに関わる取組を体験・学ぶツアーへの意向は2割を下回った一方で(上記参照)、旅行先での地域貢献活動への意向では、全体のうち5割がいずれかの活動に参加してみたいと回答しました。特に60代男性と40代女性でこの割合が高く、6割を超えました。
  • 参加してみたい活動では、「農業や漁業の人手として実際の作業に加わる活動」がトップ、次いで「ビーチクリーンなどの清掃美化活動」となりました。性・年代別にみると、前者は主に女性からの参加意向が高い一方で、後者は老若男女問わず参加意向が高い活動となりました。

旅行先での地域貢献活動「主目的になる」4割超

  • 旅行先での地域貢献活動に参加したいと回答した人に対して、地域貢献活動が旅行の主な目的になるか尋ねたところ、4割が“主目的になる”と回答しました。しかしながら、そのうち半数以上が「有料の場合は参加したいと思わない」としており、支払いに消極的でした。
  • 性・年代別にみると、“主目的になる”と考える層は、男女ともに10~20代で最も高いです。また、「主目的になるし、有料であっても参加したい」と支払い意欲が最も高かったのは60代男性および10~20代女性で、2割を超えました。

旅行計画でサステナブルな取組を重視 30代以下男性で高い傾向

  • 2022年10月から12月に国内旅行を実施した人に対して、旅行を計画する際に、旅行先や宿泊施設がサステナブルな取組を行っていることを重視したか尋ねたところ、約2割が“重視した”と回答しました。海外旅行(参考)と比べると、国内旅行ではその割合が半分にとどまっています。
  • 性年代別にみると、 “重視した”層は30代男性(39.6%)および10~20代男性(31.1%)で高く、そのほかの性年代では1~2割程度となっています。

旅行先でのサステナブルな取組「ゴミ分別・削減」が最多

  • 国内旅行実施者が、旅行先での「サステナブルな取組」として実施したことでは、「ゴミ分別・削減(40.3%)」がトップとなりました。次いで「公共交通機関・レンタカー(EV/FCV)の利用」や「徒歩・自転車の利用」が続き、交通手段においてサステナブルな取組を実施していました。
  • 一方で、「いずれも実施していない」は全体の3割を占めました。特に男性40代で最も高く、5割に近い値となりました。

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発注者 公益財団法人日本交通公社
実施年度 2023年度