先読み!マーケット 第十五話

2011.01.17

第十五話 底堅いオピニオンリーダーの旅行意欲 ~ 2011年の国内市場

 今年の旅行市場はどうなるのでしょうか。足元の経済情勢をみると、企業収益が改善に転じる一方で、大卒就職内定率は史上最低水準で推移し、20代の完全失業率も高水準にあります。2000年代に入ってからの旅行マーケットは「収入等の経済環境が安定していて、旅行が好きな人」が市場の中核となっています。この構図は、若年層であっても、ファミリーであっても、中高年層であっても変わらないでしょうし、今年も同様に推移するでしょう。
 こうした市場環境下にあって、旅行市場のオピニオンリーダー層にスポットを当てている本調査はマーケットの変化を読み取る上で有用なものだと考えています。
 調査は、2010年12月中旬に実施しました(調査の概要)。今回は先ず、2011年の旅行実施意向を中心にご紹介することにします。

注)本稿で用いる「国内旅行」は観光やレジャー、保養などを主な目的とする旅行を指します。出張・業務、帰省など家事を主な目的とする旅行は除きます。

■ 旅行回数は堅調、単価は上昇へ向かう

 今後1年間の宿泊を伴う国内旅行回数の増減見込みを尋ねたところ、オピニオンリーダー層の34%が昨年に比べて「増える」と回答しました。逆に「減る」と回答した人は17%で、「増える」が「減る」を上回っています。オピニオンリーダー層は、09年11月の調査結果に引き続き、堅調な旅行意欲を示しています。【図1】

図1 今後1年間の旅行回数
図2

  次は旅行費用の動向です。今後1年間における国内宿泊旅行1回あたりの費用の増減見込みを尋ねたところ、「増える」が30%で、「減る」17%を大きく上回りました。08年11月調査を底にして、年々回答状況が改善しています。【図2】

図2 今後1年間の旅行1回あたり費用
図3

 次に、オピニオンリーダー層全員を対象に『あなたが年間の国内宿泊旅行の費用を減らそうと考えた場合、どのようにして支出を抑えますか』と尋ねました。 旅行回数や費用についてポジティブな考えを持つ人が増えた影響から、「長距離を減らして近距離旅行に」「旅行回数を減らす」「安い旅行商品を探す」「宿のグレードを落とす」などの項目は減少しています。【図3】
 但し、旅行の本質的な楽しみを損なわないと考えられる部分で無駄の削減は続いていて、「ネット予約で費用を抑える」が52.5%と最も多く、しかも年々増加するという結果になっています。「交通費を減らす」「各種の会員割引特典などを使う」なども増加しました。

図3 旅行費用の抑制方法(複数回答)
図4

■ パワースポット、登山、B級グルメに関心

 最後に、毎年聞いている旅行ブームへの関心度についての質問結果を概観しましょう。 沖縄、屋久島、京都といった人気観光地のブームについては、「最近興味を持つようになった」という人が減少していて、「以前から興味を持っている」人を合わせるといずれも減少に転じています。【図4】
 旭山動物園についてはブームの沈静化が一層進行しました。これからは、徐々にリピーターを中心としたコアなファン層が需要の中心になっていくでしょう。
 ブームが一段落したかに見えた「古民家・町屋」「源泉かけ流し」「スピリチュアル(パワースポット)」への関心は、再び上昇傾向にあります。特に「スピリチュアル」については、女性層の幅広い年代で関心が高まっています。
 アウトドア系では、「夏フェス」の低下傾向に対して、「登山」が上昇傾向にあります。20~30代の女性層で「最近興味を持った」人が増加しています。「サイクリング」は、「以前から関心」15.4%、「最近興味を持った」17.0%を合わせて約3分の1が関心を示していてます。
 マス媒体への露出が増えている「B級ご当地グルメ」は、年々「最近興味を持った」人が増加しています。但し「もう飽きた」も7.6%で微増となったので、そろそろ収束に向かう可能性が高いでしょう。

図4 旅行ブームの行方

 今回の調査では、オピニオンリーダー層が行う情報収集と情報発信について掘り下げた質問を行っています。次回以降で取り上げていきますので、観光地の情報発信を考える上で参考にしていただければと思います。また、訪日外国人客の市場動向についても随時取り上げていく予定です。HP上では地域の外客誘致事例をご紹介する「インバウンド見聞録」もスタートしましたのでそちらもご覧ください。
 私どもでは皆様が日頃感じている旅行市場への疑問や関心のあるテーマなどについてお便りを募集しております。ではまた。

(塩谷英生・川口明子)

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