概要
世界の観光政策において、環境・社会への負の影響を最小化する「サステナブル・ツーリズム」から、地域の自然・文化・暮らしの積極的な再生を目指す「リジェネラティブ・ツーリズム」への転換が注目されている。
ニュージーランドやハワイなどでは、先住民の自然観や倫理観を政策の基盤に据えることでこの転換が進みつつあるが、そうした制度的背景を持たない日本の地域において、何を拠りどころに再生的な観光の仕組みを構築できるかは、学術的にも実践的にも重要な問いである。
本研究は、各地域に根ざした歴史・文化・自然環境といった「場所(Place)」の固有性を手がかりに、サステナブル・ツーリズムとリジェネラティブ・ツーリズムを対立ではなく連続的な発展として捉えるモデルを検討する。具体的には、行政・住民・事業者など多様な関係者が地域の価値観や将来像を共有するための観光計画のあり方(マクロな視点)と、観光事業者が地域資源の消費者から共同管理者へと段階的に変わるための実践的な指針づくり(ミクロな視点)の二つに取り組み、日本の文脈に即した新たな観光地域ガバナンスの構築を目指す。


