概要
第2回 マドリード州観光局
<組織>
マドリード自治州の雇用観光文化省に属している。局長を除く役職員は全員がプロパー職員であり、ローテーションによる人事異動等の制度もない。職員数は95人である。
<財源>
財源は全て自治州政府の予算が充てられている。2012年の予算は約1,100万ユーロとなっている。
<事業内容>
首都マドリード市を州内に抱える同州では、同州を訪れる旅行者の量的な拡大とともに、州内の各地域への分散化にも取り組んでおり、これまでに「マドリード世界遺産都市」や「マドリードの農村」などの企画を行ってきた。
「マドリード世界遺産都市」は、マドリードの中心部から1時間前後で訪れることのできる3つの世界遺産都市を訪れるプログラムであり、「マドリードの農村ツアー」はマドリード市内の都市観光と周辺の農村部におけるグリーンツーリズムを組み合わせたものとなっている。いずれも、マドリード州内の観光案内所で「ツアーパスポート」と呼ばれる冊子が無料で配布されており、旅行者はそのパスポートをプログラムで定められた地域の宿泊施設やレストランで提示し割引を受けるという内容になっている。
「マドリード世界遺産都市周遊」には260施設、「マドリードの農村ツアー」には140施設が参加しているが、いずれも割引分を補助金で補填する等の取り組みは行っていない。観光は民間事業者が自発的に事業を展開するべきものであり、州政府が関与するのはプロモーション活動や公的な機関だからこそ実現できる、広域連携、官民連携等に限定している。
こうした取り組みの根本となっているのが「マドリード州観光計画」であり、マドリード州在住の住民、マドリードを訪れるスペイン人旅行者、そして外国人旅行者の3つのターゲットを設定した上でプロモーション活動を行っている。マドリードは首都であり、空港やメトロ、バスなど充実した交通インフラを有する一方、都市としての規模が非常にコンパクトであり、マドリード市から日帰りで訪れることのできる地域も多い。マドリード州による旅行者の分散化の取り組みはこうした視点に基づくものである。 なお、マドリード州観光局の業務はあくまで観光プロモーションであり、旅行商品の開発やその販売促進については、州内の自治体や民間事業者の要請に基づいて支援を行うに留めている。州政府として自ら日帰りツアー等を催行することはない。
<自治体・民間との連携>
観光政策においては、自治州政府だけでなく各市町村にも広範な権限が与えられているため、市町村は民間事業者との連携等にもイニシアチブを発揮し、独自に様々な取り組みを展開している。州観光局が企画して市町村との連携を模索することもあるが、プロモーション活動等についても市町村から連携・協働の申し入れがなされることが多い。 なお、スペイン政府観光局とは全ての自治州の観光局長が参加する会議等を通じて、比較的な緊密な連携を取っている。
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発注者 | 公益財団法人日本交通公社 |
実施年度 | 2014年度 |