DBJ・JTBF アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査 2023年度版

概要

DBJ・JTBF アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査 2023年度版

株式会社日本政策投資銀行(DBJ)では、多様化するインバウンド市場において、自治体や事業者がインバウンド施策を実施する際の基礎資料となるデータを広く発信することを目的として、2012年より継続的にアジア・欧米豪12地域(欧米豪は2016年より調査対象に追加)の海外旅行経験者を対象にインターネットによるアンケート調査を実施している。2015年より当財団(JTBF)と共同で調査を行い、以降、毎年、調査及び調査結果のリリースを行っている。

2020年6月には、新型コロナウイルス感染症が外国人旅行者の海外旅行意向に与えた影響や、感染収束後のインバウンド市場の潜在需要を調査すべく、「第1回新型コロナ影響度特別調査」を実施し、2020年12月には、「第2回新型コロナ影響度特別調査」を実施した。また、2021年10月には第1回調査、第2回調査後の外国人旅行者の意向変化を把握するため「第3回新型コロナ影響度特別調査」を行った。2022年度は世界的にインバウンドが再開しつつある状況下で調査を実施した。

今回の調査では、世界的なインバウンド観光再開後の外国人旅行者の意向変化等を把握することを企図している。

調査概要・回答者属性

報告

調査結果概要

1.向こう1年の海外旅行の予定・検討状況は高水準 海外旅行はアジア、欧米豪ともに計画段階に

  • 海外居住者の向こう1年の海外旅行の予定・検討状況は、アジア、欧米豪ともに高水準。アジアと欧米豪を比較すると、「予定・検討」の割合はアジアの方が高く、次の海外旅行の予算や滞在日数も、欧米豪よりもアジアの方が増加・長期化の意向が強い。
  • 足元の海外渡航者数の状況は、先行して海外旅行が回復していた欧米豪にアジアが追いつき同水準となり、海外旅行はアジア、欧米豪ともに計画段階となった。
  • 海外旅行を予定・検討する理由は、アジアでは「リラックスや癒しを得たいから」、欧米豪では「海外旅行が好きだから」が多く、前回調査の傾向と変わらない。一方、海外旅行を予定・検討しない理由としては、経済的な理由が大きく影響している。なお、前回調査で上位にあった新型コロナに関する理由は、順位が低下していることから、フェーズが変化していることがうかがえる。

2.日本の人気は引き続き高く、トップを維持 一部の国で下降していた人気も回復

  • 次の海外旅行先として、日本の人気は引き続き高く、トップを維持している。アジアでは高い水準でトップを維持しており、欧米豪では、前回2位から1位に返り咲いた。
  • 海外旅行の予定・検討者の海外旅行先としても、日本はアジア、欧米豪いずれにおいても トップで、海外旅行予定者の渡航先としての日本人気も確認できた。
  • 韓国では、日本の人気が急上昇しており、コロナ禍前と比較するとその差がさらに顕著となっている。オーストラリアでは、海外旅行予定者の渡航先としての日本人気が群を抜いて高く、フランスでは、下降していた日本の人気が回復した。
  • 海外旅行はアジア、欧米豪ともに計画段階にあり、海外旅行先としての日本の人気も高い ことから、コロナ禍前の水準まで回復しつつある訪日外国人旅行者数は、今後より一層増 えていくことが期待される。訪日外国人旅行者の受入環境の整備にあたっては、今後は質の向上への取り組みも重要であり、持続可能な形での観光の復活が望まれている。

3.日本の地方観光地への訪問意向は引き続き高水準 地方部への来訪と長期滞在につなげる取り組みを

  • 日本の地方観光地への訪問意向は引き続き高水準。体験ニーズが継続的に高く、地方部での活用が期待できる「自然や風景の見物」は、実施率も活動項目の中で最も高い。
  • 地方部での消費拡大や長期滞在が見込まれるアウトドアアクティビティの一例として、スノーリゾートでは、アジアを中心に雪遊び等ライトな活動へのニーズが高い一方、欧米豪のスキー・スノーボードの経験者はスノーアクティビティに加え、長期滞在へのニーズが高い。
  • また、全体的な傾向として、アジアより欧米豪の方が各活動に要した時間が⾧い。
  • これらのニーズや傾向をふまえ、各地域において、地方部ならではの資源を活かしながら、地方訪問意向を実際の来訪と長期滞在につなげる取り組みが望まれる。

4.訪日旅行時の支出の考え方と収入は連動していない 旅行者にとって価値を感じるものやこだわりポイントへの出費は、収入水準にかかわらず期待できる

  • 訪日旅行時の支出の考え方として、「支出を惜しまない層」+「こだわり消費層」は、約7割。
  • 全体的に支出の考え方と世帯収入は連動しておらず、訪日時に支出を惜しまない、または自分のこだわりポイントには支出する人は、収入水準にかかわらず一定数いる。
  • 消費行動に関しては、訪日旅行時の活動の実施率、実施にあたり支出した人の割合、支出金額の観点から分析を行ったところ、活動の実施率が高くなるほど、支出した人の割合が低くなる傾向がみられた。また、アジアでは、買い物で支出した人の割合と満足度が相対的に高く、欧米豪では、イベントで支出した人の割合と平均支出額が相対的に高いことが確認できた。
  • これらの結果から、例えば「自然や風景の見物」のように実施率は高いものの支出した人の割合が低い特性を持つ活動については、誘客促進のためのコンテンツとして活用するとともに、来訪した人が支出したくなる仕組みづくりを進めていくことが有用と考える。また、平均支出額の高いイベントについては、参加者が増えると消費額拡大が見込まれるため、大阪・関西万博や各地のお祭り、スポーツイベント等の集客に向けた取り組みが望まれる。
  • このように、各地域が持つ資源を活かすとともに、資源を活かした活動がどのような特性を持つのかを把握した上で、観光施策及び観光事業の方向性を検討することにより、地域へ経済効果をもたらしていくことを期待したい。

他年度の研究・事業

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この研究・事業の分類

分野 旅行者動向・観光統計 インバウンド
関連する研究・事業
自主/受託 自主
自主事業区分 基盤調査研究
発注者 公益財団法人日本交通公社
実施年度 2023年度