観光ビジネス創出による地域活性化とその効果に着目した研究の 2 か年目として、研究成果の一部を査読付き論文「観光経済の集積が地方自治体財政に及ぼす影響に関する研究」としてとりまとめ、学術雑誌に投稿した。また、「不動産再生による観光地づくり」をテーマに国内や欧州における事例調査を実施し、「旅行動向シンポジウム」や『観光文化 256 号』で発表した。
概要
人口減少社会を迎えている我が国、特に地方部等の小規模自治体(人口10万人未満)にとって、人口減少を食い止めることは喫緊の課題である。こうした課題に対して、観光による雇用創出、転入者創出への期待は大きいものの、その効果は明らかになっていない。一部の地域では、地域の有する資源にこれまで気づかなかった新しい価値を見出すことで、地域になかった新しい観光(ツーリズム)とそれを担う観光ビジネスを生み出し、雇用の創出等の効果を生み出している事例も見られるものの、観光資源の乏しい小規模自治体において、実現可能な取組となりえるのかも判然としない。
そこで、今年度はあらためて小規模自治体を網羅的に分析し、転入率の高い自治体において、従来指摘されているように、地域資源を活かした観光(ツーリズム)の創出やそれを担う観光ビジネスの創出(それを担う組織)が、転入者数の増加に効果があるのかを考察した。