観光地づくりオーラルヒストリー<第10回>鈴木 忠義氏
3.「観光」に関する失敗と反省 4.「観光」の計画とその実現

概要

観光地づくりオーラルヒストリー<第10回>鈴木 忠義氏<br />3.「観光」に関する失敗と反省 4.「観光」の計画とその実現

 (1)我が国の観光の何が問題か

観光産業が前面に出過ぎているということです。まず金儲けではなくて、観光地としての魅力を作らないと人が来なくなってしまうんですよね。それには行政、業界、観光者それぞれに対する観光についての教育が大事だと思います。

 (2)観光分野で何を失敗し、反省しているか

行政、業界、観光者に対する教育が大事なのに、そういう人達を教育しなかったことです。といっても、私一人でできるわけがないんだけど。国全体で観光への認識が足りなかったわけですよ。生産第一主義でね。

 (3)私が関与した「観光計画」は実現したか、その要因は何か

高山市、草津町、川場村の3カ所での観光計画は実現したと思います。その要因は、経済発展と観光需要をうまくつかんだから。それに、高山市の成功要因はやはり、首長さんですね。首長がしっかりしていて、その下にいい部下がついて、価値観を共有できたことがよかったと思います。

草津は、大学を卒業した頃に恩師の鞄持ちで初めて行って以来、ずっとつき合っていますが、地元に理解者がいるというのは大事ですね。外部からの知恵も必要ですが、やはり地元にそういう人が育ってこないと、本当のいいまちづくりはできないのではないかな。

 (4)(一般的に)「観光計画」はなぜ実現しないのか

行政当局や首長などが、口では「観光が大事」と言いつつ、観光への理解が不足していることです。要するに「人」がいないということですね。