記念日旅行のススメ~誰でも、いつでも [コラムvol.59]

2008.12.01

研究調査部 岩崎比奈子
研究員コラム

 師走が近づき、これから年末年始絡みの行事が続く方も多いことでしょう。この時期は、毎年多くの人々が国内外へ旅行に出かけますが、年末年始に限らず何かの「節目」が、旅に出るきっかけとなることは多いと思います。そんな旅行を「記念日旅行」として、少し考えてみました。

■誰もが企画できる記念日旅行

 日本では古くから季節や人生の節目を大切にしてきたといえるでしょう。日本人は1年間を24節気に分けるほどに四季の移ろいを敏感に感じて、日を選んでは桜を愛で、紅葉狩りに出かけて自然を楽しんできました。また、自分の人生も春夏秋冬のように捉え、その移り変わりを大切にしているように感じます。雛祭りや端午の節句といった子どもの成長を願う祭りや、喜寿や米寿といった長寿のお祝い、そして今日の学生の卒業旅行も人生の一つの節目の行事です。
 こうした人それぞれが持つたくさんの「節目」をもっと大切に捉えて、これらを旅に出るきっかけにできないでしょうか。

 毎年めぐってくる誕生日や結婚記念日、そして出産、入学、卒業、就職、結婚、昇進、退職といった個人のライフスタイルに根ざした記念日は、ある年代や季節に集中するわけではありません。ある出来事を「これが人生の節目だ」と捉えさえすれば、記念日旅行は、年齢層や男女を問わず誰もが、いつでも企画できる旅行です。
 記念日旅行で大切なことは、これまでの人生を振り返り今後の生活への希望を新たにすること、家族などの親しい人達との温かい交流によって記念日当日が忘れがたい想い出になることです。例えば、レストランでロウソクを立てたケーキとバースデーソングで誕生日を祝ってもらう、こうしたささやかであっても親しい人々からの特別の演出が、大きな感動を生むものです。
 当財団調査の「旅行者動向2008」で「旅行の動機」をみると、「日常生活から解放されるため」がトップで、「思い出を作るため」が4位、「家族の親睦のため」が5位となっています。こうした結果からも、非日常的な時間を作り出す旅先で記念日を過ごすことで、ある時は家族の成長をともに喜び、時には日頃の感謝の気持ちを伝える-記念日旅行が、こうした家族や親しい人々との絆を深める機会になればと思います。

■まずは記念日への"気づき"から

 記念日旅行に出かける人々がまず旅先に求めるのは、同行者との会話や想い出づくりのためにゆったりと時間を過ごせることでしょう。受け入れる地域では、あまりに華美な食事や客室、盛りだくさんのイベントを提供するよりも、リラックスして過ごせる快適な環境と、ささやかであっても想い出に残るサービスの提供が期待されています。 これは、たとえ大きな投資をしなくても、お客様にとってどのようなサービスが感動を呼び、想い出に残るのかを想像しながら、知恵を出し工夫していくことで、まずは可能となってきます。この点では、多くの地域にとって等しく、魅力向上の可能性があるといえるでしょう。
 地域への誘客に取り組む関係者の方々は、人々が自分や家族にとっての記念日の価値に気づき、それが旅立ちのきっかけとなるよう、情報の発信や魅力ある旅行商品づくりに今後さらに取り組んでほしいと思います。

「旅行者動向2008」: https://www.jtb.or.jp/publishing/index.php?content_id=7

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